13.死因究明制度

2019年6月 6日 (木)

死因究明推進基本法が成立しました!

 当選一回のころからの長きにわたり地道に取り組んでいた死因究明制度に関し、ついに本日(令和元年6月6日)恒久法が成立しました。紆余曲折は長くなりますので割愛しますが、ここまでご協力をいただいた皆様に、深く感謝申し上げます。特に、故保岡興治先生には、議連の立ち上げ時から温かくご指導をいただきました。また今国会では参議院提出法案となりましたが、石井みどり参議院議員が実に粘り強く各会派との交渉を行い、まとめていただきました。今日の衆議院本会議で委員長報告をした冨岡勉衆議院厚生労働委員長も、議連発足時からのチャーターメンバーでした。また厚生労働省も、冬から春にかけていろいろありましたが(笑)、ちゃんと後始末をつけてくれました。篤く御礼申し上げます。

 振り返ってみれば議連を立ち上げたのが2009年(参考:議連発足当初の記事「異状死議連の誤解を解く」) なので、足掛け10年でひとつの節目(いちおう2012年に一度は「死因究明等の推進に関する法律」が成立しているので、ふたつ目の節目ですかね)を迎えることができました。長かった…。とはいえ今度は恒久法、しかも厚生労働省所管ということで、児童虐待対策のためのCDRとか、孤独死対策や自殺対策、看取りの問題など、さまざまなテーマと関連させて施策を具体化してもらえるといいなと期待しています。

 いま、過去のページを見ていたら、2014年にこの法案を衆議院に提出し内閣委員会で趣旨説明をした際にきていたかりゆしウェアを、今日も着ているということを発見しました。このかりゆしウェアはお気に入りなのですが、何か幸運が宿っているのかもしれないので、大事にします。

 なお、今回提出の法案について、前回提出と若干の修正がありますので、改めて資料を掲載しました。下記リンク先をご覧ください。

死因究明推進基本法案関連資料集

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2014年6月18日 (水)

死因究明等推進法案が審議入りしました。

 かねて異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟事務局長、および自由民主党政務調査会死因究明体制の推進に関するプロジェクトチーム座長として取り組んできた死因究明等推進法案が、昨日5会派(自民・公明・みんな・結い・生活)共同提案として衆議院に提出され、本日衆議院内閣委員会にて趣旨説明を行いました。4月に法案提出の方針を決めてから駆け足でここまで漕ぎつけ、いくつか山や谷を越えてやっとここまで来たかと思うと感慨深いものがあります。ただし今国会もう閉会間近なため、次期臨時国会での成立を目指すということになります。

 この法案の関連資料等をまとめたページを作りましたので、ぜひご覧いただければ幸いです。なお、5年間の時限立法となった理由は、今国会中に内閣府の肥大化について問題提起があり、自民党行革本部や内閣において対策が検討される時期と本法検討時期が重なったため、その議論に配慮した結果です。ただ、延長や他省庁への移管も含めた検討規定を入れていますので、5年経ったら何もなくなるという状態は避けるように工夫しました。

 まだ賛同頂けていない会派がありますので、国会閉会中にも協議を行い臨時国会では全会一致で成立させることができるように取り組んでいきます。また同時に、今月中に閣議決定される見通しのいわゆる「骨太の方針」でも関連施策の推進を記載してもらえるよう調整中であり、来年度予算の獲得に向けても引き続き努力する所存です。引き続いてのご指導ご鞭撻をお願いします。

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2012年5月24日 (木)

死因究明二法案、衆院通過にあたり。

●死因究明二法案が衆院を通過!

 5月22日(火)の衆院本会議において「死因究明等の推進に関する法律案」(推進法案)および「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律案」 (死因身元調査法案)の二法案が内閣委員会の委員長提案として趣旨弁明が行われ、その場で可決された。参議院は問責二閣僚の問題で審議はほぼストップしているが、この二法案は議員立法のため内閣は関係なく審議することが可能で、おそらく今国会で参議院も通過し、成立することが確実な情勢である。

●死因究明推進法の課題

 もともと「死因究明等の推進に関する法律案」は、私が在職中に「異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」を冨岡勉前衆議院議員らと立ち上げ、多くの方のご参加とご講演を頂いてまとめた報告書をもとに法案化され衆議院に提出されたものであり、一つの仕事がもう一歩で形になるところまでやってきたというのはいささか感慨深い。また私が携わる前からも自民党の下村博文議員や民主党の細川律夫議員らが衆院法務委員会で提言をまとめており、そういった粘り強く取り組んだ先達には改めて深く敬意を表すものである。この法律の成立により、死因をきちんと調査する体制が地域差なく整備され、ご遺体の「声なき声」を掬い上げ後世に役立てることで、日本の治安や公衆衛生が向上し、また本人やご遺族の悲しみや怒りの感情を和らげることに繋がることを期待したい。

 しかしながら法案の衆院通過に至るまでかなりの紆余曲折があり、全てが思い通りになったわけではない。例えば、当初警察庁が法案を準備し、途中で民主党からの議員立法に衣替えして提出された「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律案」が抱き合わせにされたことだ。

 推進法案はそもそも2年間で死因究明制度全体を省庁横通しで再構築してしまおうという趣旨の法案であり、警察主導の新しい法医解剖制度を今から創設する死因身元調査法案とは論理的に本来両立しない。民主党と自民党・公明党がそれぞれ実績を上げるべく妥協した結果である。また、医療の提供に関連して死亡した者の死因究明も別途検討とされたことで、この点も骨抜きにされた。以前、医療事故調の議論の際に、診療関連死の定義そのものが議論の的となり結局話を整理することができなかった。今回は「医療の提供に関連して死亡した者の死因究明は別途検討」という線引きが行われたことにより、この問題は相変わらず積み残しされた。そもそもあらゆるご遺体に省庁の縦割りの線を引くことはいろいろな意味で不適切だと思うし、本来その解消を目指す法案でもあったのだが、民主党との摺合せの中でこの問題が残されてしまった。残念である。

●死因・身元究明法の問題

 一方、もともと警察庁の法案であった死因・身元究明法についても問題が残る。一つは現行の監察医解剖制度との重複だ。5月18日に行われた衆院内閣委員会での質疑では、みんなの党の山内康一議員の「一つの死体を巡って二つの法で取り合うというようなことは起きないのか」という質問に対し、答弁に立った提出者・民主党の細川律夫議員が「そこは微妙に重なるところがあります」と認めた上で「運用の点で棲み分けるようお願いしたい」という無責任な答弁をしておりこの問題が現時点で整理されていないまま残っていることが明らかにされている。

 また、同じ委員会質疑にて共産党の塩川鉄也議員と山内議員から、遺族への死因の説明に関し、実施された検査のデータや画像診断の画像等客観的データまで遺族に開示するよう何度も質問があったが、答弁に立った細川律夫議員や警察庁の舟本馨・刑事局長は「適切に説明が行われる」としか答弁しなかった。塩川議員や山内議員は「警察が客観データを独占するのではなく遺族に開示して渡せ」という趣旨で質問したのに対し、「適切に説明する」と細川議員および警察庁は徹底して答えており、前向きな答弁のフリをしつつ実はゼロ回答しかしていない。山内議員は「セカンドオピニオンのため」と目的を述べているにも関わらず、警察が説明しかしないのでは、遺族の期待に応えることにはならない。舟本刑事局長などは「ご遺族の要望に応じて、適切かつ十分な開示、といいますか、説明をするよう通達等を発出」と、わざわざ「開示」と口にして「説明」と言い直している。どれだけ警察が死因に関するデータ等の情報を遺族に開示したくないかを示す質疑だった。

 出来ない理由があれば正々堂々と述べればよい。そうではなく言葉の綾で逃げるのは詐術である。国会において詐術を用い、理由なく情報開示しない穴を敢えて塞ごうとしないというのは、現場の怠慢か隠蔽を許そうとしているものと想像せざるを得ない。細川議員と警察庁のそういう姿勢が浮き彫りとなった質疑であった。お時間のある方は衆議院TVにて2012年5月18日の内閣委員会の質疑、とくに塩川議員および山内議員の質疑をご覧になっていただきたい。合わせて30分程度だ。

 ただこの点についてはそんなに悲観していない。実際にこの法律が適用されるような事態が発生した際、遺族がいまの説明に使ったデータや資料を渡せと要求すればそれを現場の警官は拒むことができるのだろうか?法律上義務付けはできなかったものの、「ご遺族の要望に応じて適切、十分な説明を行う」とまで答弁している以上、実際に拒否をする理由が立つとは考えにくい。運用において、きちんと法の基本理念に基づき遺族に対する情報開示が徹底されることを期待したいし、私も引き続きそのような観点から注目し続けるつもりだ。もちろん機会を見つけてきちんと情報を遺族に渡すようルール化するべく警察庁へ働きかけ続けたい。

●今後について

 まずは、参議院においてこれらの点について再び糺される機会が持たれることを期待したい。二院制というのはこういう時のためにあるのだ。参院の存在感を示す絶好のチャンスである。

 また、法律が成立して、いつの間にか新しい制度が始まっていたというのでは困る。新たな死因究明制度の運用およびさらなる検討においては、関係する一部の人のみで行われるのではなく、きちんとオープンな形で公正に議論されることが望ましい。山内議員の質問でも、法医学関係者のみならず一般の医療関係者も含めるべきという意見が述べられている。

 一般論として、国会や政党内の議論は必ずしもクローズなわけでもないのだが、やはり一般の人にはハードルが高く、最終的には一部の人の都合で勝手にものが決まったりしがちである。とくに、一般の関心が薄い分野において政治家と役所がタッグを組んだ日には、実はこれと戦うのは相当骨が折れる仕事となる。
 
この法案について言えば、これまで医療メルマガMRICや私のブログなどを通じ、その政策形成プロセスの公開と共有に努めた。もちろん私の主観が入るので完全に公正・公平な記事であったかは読者に判断を任せるが、そうあろうと努力したつもりだ。私は現時点では国会議員ではないので国会で議論することができない。私が議論の中でおかしいと思う点は、自民党内議論やさまざまな方法で現職議員の方々に働きかける(実際には、議員会館にて意見書を配り歩く等の作戦も行っている)のと同時に、ネットにも意見表明をするように努めた。ネットは徒手空拳の私にとって、議員バッジが無いことを補足する大きな武器となった。もちろん、何人もの現職議員の方々にもご協力をいただいたし、いろんな立場からお励ましをいただいたことにも助けられた。法案成立前にちと気が早いが、心から感謝申し上げる。
 引き続き、日本が「死因不明社会」という汚名を雪ぎ、より安心・安全な社会になれるよう全力で努力するつもりだ。死因究明制度の動向について各位のより一層のご注目をいただきたい。

【参考:死因究明制度に関するこれまでの経緯報告一覧】

●異常死議連の発足から提言まで

異状死死因究明制度の確立を目指す議員連盟が発足しました(MRIC 臨時vol,45 2009/3/10)

異常死議連の誤解を解く(MRIC 臨時vol.55 2009/3/15)

異状死死因究明制度の確立に関する提言(2009/5/14)

石巻市医師会によるAi実施の要望を蹴った警察の姿勢(MRIC Vol.274 2011/9/22)
 
●警察庁提言から法案化まで
犯罪死の見逃し防止に資する死因究明性の在り方について(警察庁 2011//4/28)


『犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方について』について(MRIC
Vol.171 2011/5/23)


死因究明に関する二法案の相違点(MRIC Vol.367 2012/1/16)

●法案抱き合わせの成立へ

死因究明制度に関する与野党合意について(MRIC Vol.448 2012/3/31)


ふたつの「死因究明に関連する法案」が提出された春。あるいは「麻雀トライアスロン・
雀豪決定戦」と「第70期将棋名人戦」など。
(7ページ目に橋本の活動に関する記述あり)(海堂尊ブログ 2012/4/16)

(2012/8/23 追記)

医療事故調問題と死因究明二法 (MRIC Vol.543 2012/7/18)

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2012年4月 1日 (日)

消費税のドタバタのウラで、新たな天下り組織創設…かな?

 以下は、3月31日に医療関係者向けメールマガジンMRICに配信された拙文。落選中のため直接議論にタッチできないうちに勝手に与野党実務者合意がまとめられ、結果として消費税のドタバタに紛れて皆の知らないうちに黙って新たな政府からの委託を受ける組織ができるかもしれない。議員バッジなしでもできる手段を駆使して、なんとか手を打ちたいと思っている。

 連続殺人事件などが相次ぐ現在、解剖の充実は必要。だけどそのための組織は単に警察の下請けをするのではなく、社会に開かれ遺族の想いに応えるものでなくてはならない。皆さん、そう思いませんか?

 ちなみに、エイプリルフールではない(笑)
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死因究明制度に関する与野党合意について

前衆議院議員
自由民主党岡山県第四選挙区支部長
橋本 岳

2012年3月31日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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1. 死因究明制度に関する与野党合意の概要

 かねて死因究明制度見直しの動向について、MRICにてお伝えしてきた(MRIC Vol.171「『犯罪死の見逃し防止に資する死因究明制度の在り方について』について」2011年5月23日、およびMRIC Vol.367「死因究明に関する二法案の相違点」2012年1月16日)。これに関し今般、両案修正の上抱き合わせで成立させる方向で、与野党実務者会議にて合意された。

 具体的には、自民党・公明党議員立法の「死因究明推進法案」については、1)「法医学に関する知見を活用して専門的に死因究明を行う全国的な機関の整備」の検討・実施を明文化、2)法の目的および理念に、死体の身元確認についての記載を追加、3)医療の提供に関連する死体について別途検討する旨の記載が追加、等の修正が行われる。また警察庁の法案を踏まえた民主党による「死因調査法案」も若干の文言の修正および「死因究明推進法案」との整合のための修正を加えることとされた。両案揃えて議員立法として国会に提出し、この通常国会で成立を目指すこととなった。

2. 骨抜きとなった理念

 「死因究明推進法案」の元となった議連提言作成者の一人としては、とても不本意な合意である。そもそも診療関連死問題を含め、現在の死因究明制度の混乱を招いている制度の縦割りを排し、内閣府にて白紙から制度設計を行うことを目指したものが議連の提言であった。したがってそもそも両案は相反する内容を持つものであり、並んで議論されること自体があり得ない。今回の合意によって、警察庁主導の法医解剖制度および現在厚労省で検討が再開された医療事故調制度が別建てとされたため、「白紙検討」は全く骨抜きとされた。法医学会の要望を受けた「専門的機関の整備」の記載追加も、必要性は理解するが、権益の既成事実化を図るものともなりうる。私個人としてはMRICへの投稿による注意喚起に加え議連事務局を通じて意見書の提出などを行っていた。しかし全く考慮されず、警察庁・民主党に引きずられる形で短期間かつ非公開の実務者協議のみで合意形成されたことは、誠に残念としか言いようがない。

3. 法案の問題点

 今回の合意によって成立の見通しが立った「死因調査法案」も、上記MRIC投稿で指摘した通りの課題をはらむ。創設される法医解剖制度により、事件性の有無が明らかでない死体について警察署長の判断により遺族の承諾なく解剖ができるようになる。その結果については「死因そのほか参考となるべき事項の説明」を遺族に行うのみであり、その説明に遺族が不審を感じても検証のしようがない。法の目的として「遺族等の不安の緩和又は解消」を目的として掲げる割には、単に判明した死因だけを伝えられても遺族の不安解消には決してならない。また見方を変えれば、新たな組織を創設する割に情報公開の意志が薄く、場合によっては新たな天下りの受け皿作りになりかねないセンスの悪い法案とも言えるだろう。これに対しては、遺族の求めに応じて解剖所見や遺体画像診断(Ai)の画像等、調査によって得られた医学的な知見まで遺族に開示するように法文に明記することが必要である。そうすれば、調査結果を第三者が検証を行うことができるようになるし、組織の腐敗を防ぐ手段にもなるだろう。

 また「死因究明推進法案」では上記の通り医療の提供に関連する死体に関する死因究明の在り方は別途検討とされたため、現在再開された厚労省の議論に委ねられる。この検討会については、井上清成弁護士等が意見を述べておられる(MRIC Vol.438「医療の法律処方箋―医療事故調、議論再開~医療者が安心して医療ができる体制を」)。今後の動向に注意を要するであろう。

4. 今後について

 3党実務者の協議は合意に至ったが、法案提出前に今後案文化して各党の党内手続きをクリアする作業が必要になる(そこがクリアされればほぼ法案の成立は確定する)。自民党の部会などで上記合意の意図をただし、また問題点について修正を求めてゆきたい。

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2011年10月 5日 (水)

石巻医師会のAi実施の要望を蹴った警察の姿勢

 朝晩はめっきり涼しくなり、今日は雨も降る中昼間でもすこし寒さを感じるようになった。クールビズに慣れてしまいネクタイを締めるのが窮屈だが、これだけ気温が下がるとむしろネクタイも暖かく感じる。風邪などが流行っているようである。くれぐれもご注意をいただきたい。

 さて、たまには政策ネタを。在職中から取り組んでいるAi(死亡時画像診断)導入について、この夏に議連の会合に出た時のお話を作文に書いたので、ブログに掲載する。

石巻医師会のAi実施の要望を蹴った警察の姿勢

 この件については、文中で触れている通り作家・海堂尊先生のホームページで触れられているほか、先日上梓された『死因不明社会2 なぜAiが必要なのか』(講談社ブルーバックス、海堂尊ほか)にも資料が掲載されている(資料3 東日本大震災被害者の人物同定におけるAi使用に対する警察の対応、p237-239)。その裏側のようなお話である。現在のAiを取り巻く官庁の姿勢は決して前向きとは言い難い。自分としてもできることをしていくが、やはり一人でも多くの方に関心を持ち現状を知っていただくことが大事だ。そこで筆を執った次第。

 なお、11月に岡山県医師会の招きで海堂尊先生が岡山にて講演を行われる。日時は2011年11月12日(土)14:00~17:00、会場は岡山県総合福祉会館だ(岡山県医師会によるご案内)。ご関心の方はぜひご来場されたい。僕も伺う予定にしている。

 最後に。今、地域のみなさんが政治に求めるテーマとして、Aiに大きなニーズがあるとは思わない。というか、最近『アリアドネの弾丸』のドラマのおかげで多少関心がもたれるようになったが、Aiなんて言葉も知らない人がまだまだ大多数であろう。選挙に通りたければ今はこんなマイナーなテーマに時間を割かずに一軒でも多く歩きなさい、一回でも多く街頭演説しなさい、という正論のお叱りは甘受します。また、もっと日本の国家観とか社会保障とか大きな視野を持って語りなさいというご指摘も謹んで承ります。

 だけど、みんながほとんど関心を持たない場所にこそ社会の闇や狭間が往々に存在し、それで深刻かつ切実に苦しむ方がおられることを僕は何回か見ている。Aiしかり、難病しかり。大事件や大問題になってから調子よく「前から僕は問題だと思っていた」と騒ぐことは誰でもできる。例えば今回の朝霞公務員宿舎建設中止の件なんかもそんなものだ。むしろ大問題になる前に、誰も気づかないことや忘れられたことにこそ光をあてる政治家でありたいと僕は願っている。もっともまだまだ力が足りないし、何はともあれまずは政界にもう一度復帰しなければならない。がんばろう。

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2011年6月11日 (土)

テレビに出ます、または死因究明に関するエトセトラ

 たまには政策的な話をひとつ。といっても、死因究明制度についてなのであまりポピュラーな話題ではない。しかし政治家の本性として、政策に意を注ぐところもぜひご承知置きいただきたい。市民社会にとってとっても大事なことだから。

 少し前になるが、6月3日、内閣不信任案採決の翌日、東京にてCSテレビ局、朝日ニュースターの番組「海堂ラボ」の収録にゲストとしてお招きいただき、『チーム・バチスタの栄光』等で活躍中の作家・医師の海堂尊先生がパーソナリティを務める番組に出演、収録をしてきた。僕と海堂先生との関係は、『ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日』に詳しい。

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 テーマは「医療と政治のこれから」だったのだが、不信任案否決という政局の翌日で興奮冷めやらぬ中であり、まずそのあたりの話から話題はスタート。そこから海堂先生と僕、アシスタントの駒村多恵さんとの間で、政治のあり方やAiはじめ死因究明制度について、また震災復興や道州制に至るまで(海堂先生の新刊『ナニワ・モンスター』参照のこと)、縦横無尽に語り、あっという間に1時間が経った。何故Aiの制度化に取り組むのか、僕の個人的なことではあるが、政治家の三代目としての想いもお話させていただいた。他では口にしていないことなので、これは本邦初公開、乞うご期待。

 なお放送予定は、7月7日(木)夜10:00~(再放送あり)。ただし残念ながら地上波放送ではなく、スカパー!やCATVの多チャンネル放送(Oniビジョンではご覧に頂けるが、くらしきケーブルテレビではダメ)での視聴となる。また、いずれ駒村さんのブログ「駒村研究生の●●レポート」でも取り上げていただけるだろう。

 で、その収録のあと、新橋に移動して、医療安全について多くの提言をされている井上清成弁護士にお目にかかった。先日、死因究明制度について警察庁の研究会が報告書を公開したが、それについてMRICという医療者向けのメールマガジンに書いた僕の作文を目に止めていただき(内容のご理解には海堂先生のブログ「法医と警察はAiただ乗りを強行するつもりかしらん。」も合わせてご参照を)、ぜひ一度お目にかかりたいとお誘いをいただいたのだ。有名人からお招きをいただき内心ドキドキしていたが、一時間ほどお話させていただいて、個人的にはとても意気投合。また医療安全について勉強をさせていただくお約束をすることができた。海堂先生が別れ際に、「保団連の雑誌に論文を書いたので、読んでください」と言われていたその雑誌を、井上先生にあっさりいただくこともできた。あまりの偶然にびっくりしたが、必然だったのかもしれない。

 先日、病院長が義母である病院理事長を撲殺したという嫌疑で逮捕されたというニュースがあったが、これはおそらく内部告発がなければ見逃されていたケース。死亡診断書を書いた医師自身が殺人犯という極めて特殊な例ではあるが、警察の視点からすると現行制度の盲点を突いた殺人事件の見逃しには違いない。こういう悪質なケースを見逃してはならないが、かといって医療行為の中で発生した事象を全部警察の目でチェックさせるというのも委縮医療を招く。第三者の目があれば全く話が違ったであろうし、Ai導入はその端緒になるものと信じている。浪人中だが、だからこそ今のうちに政策の勉強もコツコツ続けたい。

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2011年1月27日 (木)

AI情報センター

 一昨日25日、東京から戻る前に銀座のAi情報センターに立ち寄ってきた。議員在職中に、異状死死因究明制度の問題に取り組んだ際、遺体の画像診断であるAiについて国会質疑議連などで取り上げていた。実際にこれを行う機関として昨年設立されたのがAi情報センターだ。代表理事の山本正二先生を訪ねて伺ったら、ちょうど作家の海堂尊先生も偶然現れ、イメージクエストの本田さん、高沢さんともどもお昼をご一緒いただいた。質疑で取り上げたことが、こうやって形になっていくのは本当に嬉しいし、またそのことを忘れずにいて下さっていることも有難いこと。政務官交代により停滞はあるものの、現場では着実に関心が高まっている由。

 海堂先生の新刊(「ゴーゴーAi」というタイトルで講談社二月末刊行予定の由)のゲラを拝見する光栄に浴したが、Ai導入に向け戦ってきた先生のノンフィクション戦記物とでもいうべき趣。発売がいまから楽しみだ。


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(写真:Ai情報センターで記念写真。左から、山本先生、海堂先生、橋本、本田社長)

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 昨日は打ち合わせ等の後、加須山、茶屋町、小瀬戸で街宣し、JCの岡山ブロックの委員会のため井原に。今朝は開新橋、大梵の交差点での街宣からスタート。大梵では、近くの方がわざわざ寒い中に出てきて下さり「今のようなええことばあ言うて何もせん政治はおえん!頑張って!」ご激励をいただき、感激。頑張ろう。昨日からFacebookを始めてみたけど、試行錯誤中。

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2009年12月11日 (金)

海堂尊先生とランチ

 今日は、『チーム・バチスタの栄光』など医療エンターテイメント小説で有名な作家・海堂尊先生が倉敷にお越しになり、ランチをご一緒した。天城中学校で授業を行うために来倉されたそうで、海堂先生に授業してもらえる中学生が少しうらやましい。

 海堂先生は、異状死死因究明制度の議連の勉強会などでいろんな形でご指導いただいていたし、また来年1月上旬に宝島社から発売予定の文庫版『イノセント・ゲリラの祝祭』の解説を僕が書かせていただいたようなご縁もある(ぜひ買って読んでくださいね!)。以前、勉強会でときどき倉敷にも運んでおられた由。「応援しますからがんばってくださいね!」とお励ましをいただき、さらにやるぞ!思った次第だ。

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 午前中は、街宣ののち来年の参議院選挙の自民党公認比例代表候補予定者の高階恵美子(たかがいえみこ)さんの会合に出席した。看護師出身の高階さんも自称「意外にでかい」方だったのは、かなり奇遇かも。

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2009年7月24日 (金)

ナンバーワンよりオンリーワン

 昨日も終日挨拶回り、本日は朝6時半から街宣。その後は挨拶回り。街頭演説をしていると、つい「衆議院議員の」と口をついて出てきてしまう。いかんいかん。もういまはただの立候補予定者。気を引き締めなおさなければ!今日も何名もの方から「がんばって!」とご激励をいただいた。感謝。

 昨日、『チーム・バチスタの栄光』や『極北クレイマー』等の作品で有名な作家・医師の海堂尊先生から、応援メッセージをいただいた。さっそくWebサイトに掲載しているのでぜひご覧いただきたい。死因究明制度に関する議連での活動と提言をご評価いただいた。ほとんど一般の方やマスコミの話題にもならないし、国会議員で主体的に取り組んでいる議員は3人くらいしかいなかった分野。でも時津風部屋事件のような犯罪見逃しも現にあったのだ。日本社会の将来のために必要だと思って頑張ったことだけに、ご評価いただけて素直にうれしい。

 SMAPの歌の歌詞に曰く「ナンバーワンよりオンリーワン」。調子のいいことは誰にでも言える。でも自分しかしなかった活動がある。難病対策などもそうだし、両院議員懇談会の様子をネット実況した(tsudaった)のもそうだ。個々の活動に賛否両論あるのは当然。しかし誰もしないことにチャレンジする勇気は持っていたい。そうしたことも、ぜひしっかり訴えていきたい。

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2009年6月19日 (金)

骨太の方針2009

 来年度予算編成の基礎となる「骨太の方針2009」について、概ね固まってきた模様。記述の通り、党政調全体会議等にていくつか僕から要望した点もあるので補足する。ただし僕が見ているのは決定された最終版ではないので念のため。

(21日追記。党総務会にて2200億円削減の件でペンディングになった模様。がんばれ津島雄二、尾辻秀久両議員)

○幼児教育、保育の総合化

 「幼児教育、保育の総合化を図る」という文言は「幼児教育、保育のサービスの充実・効率化・総合的な提供を推進する」とされた。
 内閣府の担当者に一つ一つ詰めて確認したところ、「総合的な提供」とは「認定こども園の増加、幼稚園における預かりサービスの拡充」のこと。また「効率化」とは、充実を前提としており、「定員の弾力化や、今回の補正予算で安心こども基金に加わった送迎センター(定員割れの保育所への送り迎えを行う)を想定」とのこと。
 「一元化」の問題で議論となったが、そういう意味ではないと明言された。誤解を招くことは回避されたのではないか。

○死因究明制度

 これについては結局「犯罪の見逃し防止及び公衆衛生の向上のため、法整備に向けた動きも踏まえつつ、死因究明制度に係る施策を着実に推進する。」となった。要望を汲んで議連の動きにも触れられており、二重丸の結果である。あとは法制化の準備を進めるのみ。選挙後になるだろうが。

○医師養成数

 これまであった偏在是正の記載とともに、「医師等人材確保対策を講じる」という記述がされた。「中期プログラム」では「医師等人材確保策」として医師養成数の増加と書いてあるので、そのように読めということだ。

○社会保障費2200億円削減

 これについては、残念ながら「基本方針2006」という文字自体は残ってしまった。完全に財政再建の旗を降ろすわけにはいかんということだろう。ただし正確には「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ、安心と活力の両立を目指して現下の経済社会情勢への必要な対応等を行う。」という記載となり、これまでの記載(「『基本方針2006』の方針を堅持し」等)からは相当緩い表現となっている。「経済情勢」だけでなく、「社会情勢」まで含まれたことも注目。また例外規定をわざわざ書きこんでおり、来年度予算ではそこを活かすことを示唆している。

 園田政調会長代理は既に来年度予算では2200億円削減は行わない、診療報酬は上げることを明言している。また別項の「当面の最優先課題」にて、「社会保障の『ほころび』の修復なしに政府への信頼回復はない」という認識が示されており、これは年金の問題や医療・介護の問題を示唆している。そういう意味では、これらの記述により来年度予算編成においてはこの分野に相当重点を置くものと期待できるだろう。

 ただ再来年以降については議論が持ち越しとなってしまった。引き続き注意が必要だ。財政再建の旗を降ろすわけにはいかないという苦労もわかるのだが、、、、。

 この件については、尾辻秀久・参院議員会長と園田博之・政調会長代理の間で怒鳴りあいに近いやりとりになり、最終的には保利耕輔・政調会長が「私が責任を持ちます」と引き取った経緯がある。自民党の中でも大きな争点になっているのだ。

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