15.財政・税制

2024年11月19日 (火)

年収の壁と最低賃金の議論のためのシミュレーションをしてみた

●はじめに

 先の衆議院総選挙以降、いわゆる「年収の壁」の問題について議論が盛んになっています。地元でいろいろな方にお話をお伺いしていても、特に事業主の方から、人手不足の折から働き控えに繋がるので困っている、どうにかしてほしい、という切実なお話はしばしば伺います。ただ、所得税が発生する「103万の壁」や被用者保険が適用される「106万の壁」の話、さらには配偶者の話なのか大学生年代の扶養の話なのか、今後最低賃金が上がるとどうなるのかといったさまざまな要素が錯綜しているようにも思われ、丁寧に話を分解して理解を共有しながら議論をすることが必要と思っていました。

 そうしたところ、議員在職中、ともに衆議院厚生労働委員の与党理事として汗をかいた盟友・伊佐進一前衆議院議員が、これらの問題について大変にわかりやすい解説動画をYouTubeにアップしておられるのを発見し、とてもわかりやすくてよくできていてすごいなと感心した次第です。ご興味の方には、ぜひご覧になることをお勧めします。

【お金のニュース】103万円の壁は存在しない!?手取りを増やすの核心に迫る!わかりやすく解説します!(前 衆議院議員 いさ進一 チャンネル)

 ただ、解説は解説として、それで具体的に何がどうなって結果どうなるのよ、ということは計算してみないとよくわかりません。そこで私の方では具体的な例を挙げてシミュレーションしてみることにしました。その結果について、まずはこのブログで記します。

●本記事の要約

  • 本人はパートで週20時間労働し、配偶者は月収28万円である夫婦二人世帯を想定し、岡山県倉敷市で働く場合と、東京都北区で働く場合でそれぞれの最低賃金が本人の時給となるものとして、世帯の収入、社会保険料、所得税、住民税を計算し、結果として世帯の手取りがどうなるかを試算した。
  • 結果として、時給が高い北区の場合の方が収入は高くなるものの、社会保険料や税を差し引いた手取りには大きな差が生じないことがわかった。本人が所得税の課税対象となることよりも、社会保険の加入により社会保険料負担が生じる影響の方が大きかった。
  • したがって、家計の手取り向上や労働者の働き控えについて検討するためには、所得税よりも、社会保険料負担(いわゆる「106万円の壁」)をどうするかについて、より丁寧に議論する必要があるのではないか。社会保険料控除の見直しなども考えられるのではないか。

●シミュレーションの想定

 夫婦2人世帯を考えます。本人は、パートで週20時間働いており、賃金水準はその地域の最低賃金であるとします。配偶者は正社員で勤めており、月収28万円ただしボーナスなし、すなわち年収336万円とします。この際どちらが夫でどちらが妻かは関係ないので、適宜あてはめてください。いずれも40歳未満として介護保険料は考慮しません。また加入する健康保険は両人とも協会けんぽとします。雇用保険料も算入します。

 時期は今年(令和6年度)とし、住んでいる場所が岡山県倉敷市の場合と、東京都北区の場合を比較します。この違いは最低賃金、社会保険料の料率、住民税均等割額などに影響します。特に、最低賃金の違い(岡山県:982円、東京都:1,163円)により本人の年収が倉敷市では約102万円、北区では約121万円となり、同時点における居住地域における差の検証であるとともに、結果として社会保険に加入しない場合と加入する場合の比較検証すなわち106万円の壁前後の検証としても読め、また将来的に岡山県の最低賃金を上げていった場合の検証としても読めるというのが、この設定のミソです。

 計算として、世帯の年収、世帯の社会保険料額、世帯の所得税額、世帯の住民税額を出して、世帯の手取り(=世帯年収額-(世帯社会保険料額+世帯所得税額+世帯住民税額)を比較して検討してみます。なお住民税の課税ベースは前年度の収入ですが、前年度も同じ収入であったものとします。

 計算は私自身が、各役場や協会けんぽのWebサイトなどを確認しながらエクセルで行いましたので、端数の処理が雑だったり、そもそも間違いがあったりする可能性はあります。やってみた感想として、これを仕事として日々計算されている税理士の先生方や役所の税担当の方々をとても尊敬したい気持ちになりました。繰り返していれば慣れるのでしょうが、しかしとても複雑な仕組みだなあとあらためてしみじみ思いました。

●結果

 先に記したように、ご本人が同じ働き方をしていても、最低賃金の違いがあるため、倉敷市では配偶者の社会保険の扶養のままであり、一方北区では社会保険に加入することとなります。また倉敷市では103万円も切っているため、所得税は非課税となりますが、北区では所得税の課税対象となります。一方で住民税はいずれも課税対象です。こうしたことを前提に、結果は以下の表の通りとなりました(表をクリックすると拡大します)。

表:世帯手取りシミュレーション結果
241119simuration_kekka

 世帯の収入では、同じ働き方でも倉敷市と北区で19万円近い差がありました。これは純粋に時給の最低賃金額の差(181円)が、1年間になるとこれだけ違いが出るという結果です。一方で、「106万円の壁」を超えるため、北区では本人が社会保険に加入するため17万円超の社会保険料増加となります。所得税は、本人は北区のみ課税対象となりますが、課税所得額が6,000円弱、税率5%なので300円弱の課税額であり、年間で考えれば僅かです。すなわち「103万円の壁」は、壁というほどの影響は実はないということです。住民税所得割はいずれも課税対象でありほぼ差はありませんが、均等割額が倉敷市は1人55,000円なのに対し北区が1人50,000円と安いため、2人分で1万円分北区がおトクとなっています。あとは、東京都と岡山県の協会けんぽの料率の差が数百円単位で影響しています。

 なお「103万円の壁」は国税である所得税についての議論ですが、実は家計に与える影響は、地方税である住民税の方がかなり大きいことも、この表において注目すべき点であろうと思われます。税負担と家計の関係を考える際には、所得税・住民税をともに考慮した議論が必要だということです。

●考察

 この表から読み取ることができることはいくつかあります。まず、素直に「岡山県倉敷市在職と東京都北区在職の差」として捉えた場合、「東京の方が最低賃金が高いから稼げる!」という単純な話ではないということはいえるでしょう。今回の試算では、収入が増えた分はだいたいそのまま社会保険料で消えてしまい、手取りは年間約24,000円の差しかありません。この程度の差は、家賃水準の違いによりむしろ簡単にマイナスになります。また、今回は配偶者の勤め先の配偶者手当について考慮していませんが、おそらく120万円も稼ぐと配偶者手当が無くなるのでその分もマイナスになる可能性があります。そのことから、時給が高くなると、その時点の手取りのみを考えれば、「106万の壁」を意識して労働時間を減らすインセンティブも働きやすいとはいえると思います。ただし社会保険に加入することで、将来基礎年金に加え厚生年金による報酬比例部分が上乗せされたり、万一の際に医療保険から傷病手当金が支給されたりするなどのメリットがあります。たとえば、厚生年金については、年収120万円で20年加入すれば、毎月の保険料額(約9,000円)を上回る年金(約9,900円)が終身でもらえるなど、寿命が延びる中で、老後の安心材料は増えることも、考慮はされるべきでしょう。

 また、「本人が年収102万円で留めた場合と120万円まで稼いだ場合との比較」として捉えれば、住民税均等割の差の影響を除外すると、ほとんど世帯手取りが同じになるという結論であるともいえます。年収105万円まで稼げば、同じ住所であればおそらくその方が120万円まで働くよりも社会保険料負担が無い分、現在の手取り的にはおトクとなります。これがまさに「106万円の壁」です。もちろん、社会保険に加入すれば上記のようなメリットが期待できますから、そこも含めた比較検討が必要であろうとは思いますが。

 あるいは、将来的に最低賃金がさらに引上げされた場合のシミュレーションと考えることもできます。現在の岡山県の水準から東京都の水準に引き上げると、同じ働き方をしていても自動的に106万円を超えることになり、手取りが減る人が発生する状況が生じうるということです。現在厚生労働省で106万円の賃金要件を撤廃するという議論が行われています(「【速報】「106万円の壁」撤廃案を厚労省が正式提示…現在1:1の社会保険の負担割合を事業者負担大きく変える提案も」(FNNプライムオンライン))が、これは、最低賃金がある金額を超えて引き上がると、週20時間の要件を満たせば機械的に年収106万円を超えてしまうため、要件として存在させる意味がなくなるという理由もあるものと思っています。

 ただ結局、手取りが減る場面があればそこを意識して働き方を調整する人は出るものとも思われます。この問題に対して、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を定めて企業への助成等の対応を行ってはいますが、残念ながら周知が十分とはいえません。

241119nensyukabetaiousaku
図:「年収の壁・支援強化パッケージ」(出典:厚生労働省)

 なお、このシミュレーションではあまり関係してきませんが、130万円の壁というものもあります。社会保険非適用業種などにアルバイト等に出た際、130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、国民年金・国民健康保険の保険料負担が発生するという壁です。この壁は、超えても純粋に保険料が増えるだけで給付面のメリットもなく、本当の意味での「壁」といえます。ただし、伊佐先生のYouTubeでも触れていましたが、社会保険非適用業種をなくしていこうという動きがありその方向での解決できれば望ましいことです。ただし課題は、事業主負担増に小規模事業者や非適用業種の事業者が耐えられるかどうかであり、それはそれで補助・助成等とのセットで議論する必要はあるでしょう。

●まとめ

 国民民主党が主張している、所得税非課税額を103万円から178万円に引き上げるという議論は、生活の基本となる金額を控除する基礎控除48万円と給与所得者の必要経費の代替としての給与所得控除55万円を、物価上昇等を踏まえて引き上げるべきだという主張として捉えれば、それはそれで筋の通った議論だとは思います。そのことにより、多くの方々が手取り増にもなります。ただし、所得税のみならず概ね同じロジックで税額を決定している住民税にも議論を及ぼす必要がありますし、そのため所得税および住民税ともに主張通り満額実施すれば、国・地方合計して数兆円規模と想定される税収減をどう考えるのかという議論はあわせて検討する必要があります。さらに、住民税非課税世帯には社会保険料の軽減などさまざまな施策があり、この対象が拡大することによる追加の公費支出増や収入減も頭に置く必要があります。また、伊佐先生の動画で指摘されているように、所得が高い人ほど税率が高いため実控除額が増えるということをどう考えるか、という論点も生じます。また、本人が配偶者ではなく子の大学生の場合(特別扶養控除の対象から外れるかどうか)についても、伊佐先生のご指摘に深く賛同します。大学生を抱える世帯の手取り増のために、大学生の労働時間を増やすことで対応させるのは疑問です。

 他方、働き控え対策として考えた場合は、所得税非課税限度額を上げても、そもそも納める所得税額が急に大きくなるわけではないため、あまり意味はありません。むしろ社会保険加入の要件である106万円の壁をどう乗り越えさせるかということの方が大きな問題であることが、今回のシミュレーションで明らかになったといえるでしょう。この検討では触れていませんが、社会保険加入により事業主も保険料を折半して負担することになりますので、事業主側の影響も考慮して対策を考える必要があります。

 また、今回のシミュレーションを組み立てていて気づいたのですが、所得税および住民税には社会保険料控除という仕組みがありますが、低所得者の場合税率が低いため結果として影響額が小さく、あまり意味がありません。例えば一定の所得の方までは所得控除ではなく税額控除にする(マイナスになる場合は給付する)といった手段は、わかりやすく106万円の壁を乗り越える手立てになるのではないでしょうか。保険の問題を税で解決するのは筋違いという向きもあるかもしれませんが、将来のことを考えたら社会保険加入者を増やすことは間違いなく財政上もプラスになりますので、そこは目をつぶってもよいでしょう。保険料負担を事業主に寄せることが検討の対象となっているようですが、小規模事業者には負担増は受け入れ困難です。既に社会保険料控除がある以上、税で解決してしまう方がよいと思います。

 私は、先の総選挙の際には、最低賃金増のみならず、下請け取引の監視強化や賃上げ税制の強化、公的報酬増による人件費増など、あらゆる手段を講じることにより賃上げを行う必要があると訴えました。手取り増の手段として基礎控除や給与所得控除の引き上げも検討に値するものとは思いますが、それですべてが解決するかのような主張には、今回のシミュレーションを踏まえても、やはり賛同できません。こうした丁寧な議論が、各党間での協議や国会にて行われることを期待します。

続きを読む "年収の壁と最低賃金の議論のためのシミュレーションをしてみた"

| | コメント (1)

2012年11月16日 (金)

「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律案」に対する賛成討論

(平成24年11月15日 衆議院本会議)

自由民主党の齋藤健です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表して、賛成の立場で討論を行います。
本法案は、平成24年度予算の財源のうち全体の4割、38.3兆円の赤字国債発行を法的に担保し、予算執行を財源の面で裏づけるものです。
我が党は、平成24年度予算に反対いたしました。本来であれば、予算と一体のものである「公債発行特例法案」には賛成できないことは言うまでもありません。しかし、今回、我が党が賛成するに至りましたのは、我が党がかねてから主張してきた平成24年度予算の膨張した歳出を見直し減額補正を行うこと、及び予算案と「公債発行特例法案」の一体処理の必要性を与党・民主党が認めて、本法案を修正することで合意したからであります。
昨年8月にも自公民の3党合意により平成23年度の「公債発行特例法案」の成立の道筋をつけましたが、その際も民主党は今回と同じように歳出見直しの約束をしましたが、高校無償化の政策効果の検証を怠るなど、平成24年度予算においても約束は守られず、水ぶくれ予算となりました。挙句の果ては、我々との真摯な政策協議を避け続け、「公債発行特例法案」成立の遅延を招きました。どうして民主党の皆さんは、こうも約束を守れないのでしょうか?
ところで、国の「歳出」である予算案と、「歳入」を確保するための本法案は同じタイミングで成立させるのが、いままでの慣例でありました。
そのため、自公政権では当初予算案と「公債発行特例法案」を、同時に成立させるように最大限の努力をして参りました。
ところが、民主党政権においては、そのような真摯で責任感ある態度が全く見られません。昨年に続き今年度も、憲法上規定された衆議院の優越規定を使って予算のみを通す一方で、政府・民主党は、「公債発行特例法案」は野党が反対しているから通りませんというばかりで、与野党が一致して賛成できるような「知恵」を示した上で、成立を図ろうとする働きかけや努力をしてきませんでした。
政府・民主党は、本年3月末の時点で、「公債発行特例法案」を参議院に送ったら、否決される可能性があるから、予算案と分離して処理するという判断をしたと聞いています。それなのに、この夏の通常国会の会期末に、成立まで何の展望もないまま、この法案を強引に参議院に送付した挙句、廃案にしてしまったのはなぜでしょうか?意味がわかりません。
野田総理は、衆参両院で与野党の賛同を得られるような環境整備に努めていきたいと3月時点で述べておられました。それから既に8ヶ月が経過いたしました。今回自民、公明、民主3党政調会長会談において、ようやく本法案を修正することで合意しました。しかし、余りにも遅すぎませんか。政府・民主党は、なぜ、予算の執行を抑制して地方自治体等に迷惑をかける前に、今回のような案を我々に提示しなかったのでしょうか。政権を担う者の責任感と能力があまりにもなさすぎる。
政権与党として恥ずべき醜態だと私は思います。
ところで、今、議場に席を占めている民主党議員の皆さんは、「無駄をなくせば、16.8兆円が捻出できる。」そうすれば、消費税を上げずとも、月額2万6000円の子ども手当ての支給、高速道路無料化、農業者戸別所得補償、高校無償化の「バラマキ4K政策」の実施は可能だと言って当選してきたのではありませんか。違いますか。その責任をどう感じていますか?
結果は、本年度においてはその4分の1以下の約3.9兆円しか捻出できていません。
結局、民主党が政権を取ってから編成した予算は、3年連続で「税収より借金が多い」という無残な姿となりました。
これに対し、我が党は、現実を直視した上で、政権与党時代から、消費税率の引上げはやむをえないと訴えてきました。
これに反対し続けた当時の野党・民主党は、政権交代後も菅前総理が財務大臣時代の予算委員会で、(消費税率の引き上げについては)「逆立ちしても鼻血も出ないというほど完全に無駄をなくしたと言えるところまで」検討しないと言っていました。
ところが、突然方針転換をされ、先の総選挙でマニフェストについて「書いてあることは命がけで実行する、書いてないことはやらないんです、それがルールです」とまで断言した野田総理が、「書いてない」消費税率引上げを「命がけで実行する」ことになったのです。
これは、明らかに、国民に対する裏切りではありませんか。あの夏の日の演説はいったい何だったのでしょうか?
それでも我が党は、一体改革関連法案は、国家国民のために苦しくとも通すべきと判断し、加えて、野田総理自身がマニフェストで国民を裏切ったことを重く考え、「法案が成立した暁には、近いうちに国民に信を問う」と約束したため、自公民3党合意がなされ、この歴史的な法案は成立しました。暁どころか、3ヶ月余りが経過いたしました。総理は明日、この約束を人として実行しなければなりません。
近いうちに返すからという言葉を信じてお金を貸したのに、いつまでたっても返してくれない、そういう状況になったら誰でも、いったいいつ返してくれるのか、そう聞くのは当たり前ではないでしょうか。そして、いつ返すのかはっきりしてくれと申し上げたら、今度は、これをやったら返してやると、新しい条件をつけてくる。これが正直者のやることでしょうか?学校の先生がどう言ったか知りませんが、一つだけ確かなことは、そういう方に、二度とお金を貸す人はいない。
 それでもなお、我が党は、総理が突然追加的に出された新条件に誠実に対応することといたしましたが、信頼関係は崩壊しております。野党の協力を得なければ物事が進まない、ねじれ国会の下では、このことは致命的であります。
 もはや、野田政権には、明日衆議院を解散する以外に、我が国の国政を前進させる道はなくなりました。
民主党政権のこの3年2ヶ月の間、日本の外交は、どうなりましたか。
日米関係はどうなりましたか。インド洋での給油・給水活動から撤退し、普天間で迷走し、アメリカ大統領にトラスト・ミーと悪ふざけし、元首相がイランを訪問する。
日中関係はどうなりましたか。
日韓関係はどうなりましたか。いずれも戦後最悪ではないですか。
日露関係はどうなりましたか。日本の領土はどうなっていますか。
経済はどうなりましたか。アンチビジネス対策のオンパレードで企業がなだれをうって海外に出ていってしまっていませんか。
震災復興は進んでいますか。増税までして確保した復興予算はちゃんと使われていますか。自分で作った予算を自分で仕分けするなんていう茶番を税金を使ってまで、まさかやらないでしょうね。
不適任な大臣は一体何人出ましたか。
あきれ果てて離党した仲間は、一体何人いますか。これも自民党政権の負の遺産ですか。
マニフェストはどうなりましたか。ガソリンは下がりましたか。年金通帳は配られましたか。高速道路は無料になりましたか。これも自民党政権の負の遺産ですか。
今、マニフェストを準備されているそうですが、そんなものを受け取る有権者はおりません。
もはや、これ以上、言葉のやり取りは必要ない。あとは剣を交えるのみ。終わります。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年6月10日 (水)

「骨太の方針」素案について議論

 9日朝飛行機で上京。午後は衆院本会議にて臓器移植法改正4案に関する中間報告。田村憲久・衆院厚生労働委員長が審議内容等について詳細に報告し、各案提案者が発言を行った。さすがに普段よりも厳粛な雰囲気が本会議場に漂う。来週にも採決される見通しか。終了後、与党道州制特区法PT、異状死議連関係の説明、衆院法制局と死因究明制度の基本法制定に向けた勉強会。

 夜宿舎に帰宅し、作文しなきゃ…とか夕食どうしよう…とか風呂入らなきゃ…とか思いつつ、シャツとズボンのままベッドに倒れこみそのまま眠ってしまった模様。気がついたら午前2時すぎ。着替えだけして朝までもう一度寝た。

 10日は朝から衆院経済産業委員会。午後は党政調全体会議、再び経済産業委員会、与党道州制特区推進法PT、異状死議連関係の申し入れ。

 党政調全体会議とは、来年度予算編成の方針となる「基本方針2009」を議論する場。党所属全議員が参加できる重要な会議である。発言権を確保するため20分前に会場に行って保利政調会長、園田政調会長代理の目の前の席に着席。首尾よく指名していただき発言した内容は以下。

1.「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ現下の経済状況への必要な対応等を行う。」となっている部分について、『基本方針2006』には社会保障費用自然増分の2200億円削減が書いてあるので「~を踏まえ」の部分を削除すべき。

2.労働基準監督署が病院に対して医師の勤務状況の是正を命じる例が多発していることを考えれば、医師不足は偏在是正だけでは到底解消しない。医師養成数の拡充についても記載すべき。

3.異状死議連の提言を受け、「犯罪の見逃し防止等のため死因究明を着実に推進する」として死因究明の推進が書かれたのは感謝するが、犯罪の見逃し防止に加えて「公衆衛生の向上」も追加すべき。そうでないと警察だけの問題になってしまう。

4.「幼児教育・保育の総合化を推進する」と書いてあるが意味が不明。保育の児童福祉という根幹は守るのか。一元化とどう違うのか。説明できる言葉に直すべき。

 その他多数の発言が各議員から相次いだ。今回の議論を踏まえ修文ののち、来週再び開かれる予定。さてそれまでにどう変わっているか。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009年6月 5日 (金)

財政制度審議会の建議

昨日は衆院本会議など。今日は午前中衆院国土交通委員会に差し替え出席後、衆院経済産業委員会。新エネルギー利用促進に関する法改正について。会期延長により意外に色んな法案の審議が進む。臓器移植法改正案の審議も厚労委で行われているはずだ。夕方新幹線で帰倉。

3日に建議された財政制度等審議会の資料を読む。診療報酬値下げなどが話題になっていたが問題はそれだけではない。さりげなく「『基本方針2006』の考え方を踏まえた歳出改革」とか書いてある。この意味するところは明確で、社会保障費増加分の2200億円削減を続けるということ。見事な霞ヶ関文学。

財制審はそもそもそういう役目のものなのだが、あまりにも現状を見ない提言。来週から今年度の「骨太の方針」の議論が始まるが、仲間の議員と協力してなんとか撤回させねばならない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月28日 (水)

消費税上げについて

今日は麻生太郎総理の施政方針演説はじめ、政府四演説が衆院本会議で行われた。総理らしい色のにじむ、でもあまりケレン味の無い素直な演説だった。

おそらく消費税率上げの話が明日の新聞等で取り上げられるであろうし、代表質問でも出てくる話だろう。また中期プログラムや所得税法の附則に書くかどうかということで自民党内でも激しい議論があったのも既に報道の通りだ。そして以後も議論は続くし、続けなければならない。

ただ、政府は単に消費税を上げたいだけのか、というと話はそこまで単純ではない。その他の税についてもさまざまな見直しを同時に行うことになっているし、景気回復等の前提条件もきちんと書いてある。それを踏まえた議論をしてほしいと切に願う。

参考に、すったもんだの党内議論の末まとめられ、先日国会に提出された「所得税法等の一部を改正する法律案」の附則第百四条をタイプしてWebページとしてアップした。これを読めば、政府と自民党がどういう方向に税制を動かそうとしているかざっくりわかるはずだ。また、石破茂農水相の考えも本人のブログに記されている。橋本もほとんど同意見。あわせてぜひ参考にしていただきたい。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年1月27日 (火)

二次補正予算成立

結局、13時から両院協議会開会、今日は衆院自民党の衛藤征士郎議員が議長だったこともありスムーズに進行。17時40分から衆院本会議で河野洋平議長が衆院の議決が国会の議決となった由宣告し、補正予算成立。

これで生活対策がうてることになる。ただし参院で放置されている関連法案もいずれ再議決がいるが…。

明日からは来年度本予算の審議だ。頑張ろう。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2009年1月20日 (火)

東京でのある一日

昨晩の夜中、誘惑に負けてつい「九州じゃんがら」のぼんしゃんらーめん全部入り+カピタンにんにく+ライスを食べに行ってしまった。朝起きたらやたら胃が重い。げっぷがにんにく臭い。宿舎の近所においしいラーメン屋があるのも考えものである。食欲に弱い自分が最も考えものなのだが。

院内にて9時40分の党国会対策委員会から日程スタート。村田委員長代理から参院の状況を伺う。23日の採決がどうなるかが一つの焦点であるが、おそらく思うようにはなるまい。法案説明は中座。

10時からストップ結核パートナーシップ推進議員連盟。橋本は事務局次長。海外の結核対策への日本の支援のあり方と、国内の結核対策の両方が議題。例の日比谷公園年越し派遣村にて結核患者が一人見つかり病院搬送された由。この方は入村時に発見されたので大事には至らずに済んだが、現下状況での非正規雇用の方々の感染症対策は急務だ。また、結核患者を受け入れると診療報酬上病院は不採算との報告もあった。それらの点について二次補正予算に向けて官邸に要望を行うこととなり、私が文案を作成することになった。

11時20分から内閣府亀水参事官と午後の道州制推進委員会について打ち合わせ。40分から総務省電気通信事業部武内部長らからIPv6関係の事業についてレク。地デジほど目立たないが、いずれ起こるIPv4アドレスプールの枯渇に備えた地道な活動が必要だ。

党本部へ徒歩で向かい、12時から社会保障制度調査会医療委員会。地域医療の確保に向け、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会、日本薬剤師会、日本女医会からヒアリング。それぞれに重要な話なのだが、医師不足の医師会と過剰感のある歯科医師会が並んでも、ちょっとまとまりがない。私からは、病院休診等医療崩壊のの個別具体的な事例では大学医学部との関係等が問題になっている点を指摘し意見を伺う。あわせて実は病理医が最も不足しており、医療安全調査委員会の議論で今後論点となり得ることも指摘しておいた。

13時から、道州制推進本部道州制推進委員会の役員会。橋本は事務局次長で司会。北海道庁から、北海道道州制特区法に基づく第三次提案の説明を受ける。今回は本質的な提案が多い。国直轄事業の維持費の地元負担の廃止とか、政令市・特例市・中核市等の指定用件を条例で定められるようにする等。入れ替えで国土交通省、総務省、厚生労働省の意見も聞く。役所の理屈ばかりでなく、できるだけ北海道の要望に沿うように検討を求める。そのための特区なのだから。

14時から政調全体会議。少し遅れて参加すると、もう席が一杯。後ろの方の柱の陰しか空いていないのでそこに座る。税法の付則に将来の消費税増税について2011年という数字を書くべきかどうかが争点。一年生議員から中川秀直議員ら大御所までが手を上げて続々発言。(1)高齢社会における社会保障維持のためいずれ増税は不可欠、(2)しかし行革や天下り防止等も含め国民の理解は全く得られていない、(3)景気への影響も懸念多し(ただし好況になれば「景気の腰を折るな」という議論が必ず出るのだが)、(4)埋蔵金やらどこかから財源が湧いて出るという寝言を信じる議員は皆無、といったあたりがコンセンサス。あとは麻生総理を選んだ責任論や政党としての矜持、しかし民意は全く不評という現状との間で喧々諤々の議論。意見は収束に向かいつつあるように思える。あとは案文を見て議論をすべきであろう。こういう自由な議論ができるのが自民党の強みだし、そういう点をもっと多くの人に知ってほしいと思うのだが。2時間近く議論が続くが中座。

090120

(写真:白熱する政調全体会議)

帰り道、参議院の議員会館に立ち寄り、民主党の鈴木寛議員にご挨拶。超党派の医療議連の事務局をされており、かつ橋本の大学の先生筋にもあたる。倉敷市の伊東市長とも懇意とか。自分の会館事務所に戻って、総務省移動通信課の竹内課長から3.9世代携帯電話の免許や電波割り当てについてレク、続いて経済産業省産業技術政策課の小林課長から産業活力活性化法改正案についてレク。ここまでで17時。

今後の日程の確認などをして東京駅に向かい、18時過ぎの「のぞみ」で帰倉。家に着くのは22時過ぎだ。八重洲口地下の大丸にて、ちょっと奮発しておいしいお弁当を買って車内で食べるのがわずかな楽しみ。こういう日々を東京では送ってます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2009年1月 6日 (火)

財政演説に対する代表質問

 昨日は財政演説後、竹下亘議員らと会食、情報交換。その後最終の新幹線で帰倉。今朝は7時から水島・開新橋で街宣。企業に年始のご挨拶に伺ったのち飛行機で上京。眠い。

 午後1時から衆院本会議。財政演説に対する各党代表質問。野党の代表質問はワンパターンで新味なし。金融・景気の悪化を「麻生内閣による人災」と決めつけ、定額給付金を無意味と切り捨て、必ず日々谷公園の派遣村の話を取り上げる。景気や雇用に迅速な対策を求めつつ、一刻も早い退陣または解散をも求めるのは、無理な注文というもの。社民党の辻元清美議員が農業について取り上げたのがやや提案的だったくらいか。一方与党側の質問は丁寧かつ真摯ではあったものの、あまりインパクトもなかった。

 定額給付金を止め、地方自治体に配ったらどうかという提案が民主党・鳩山由紀夫幹事長からあった。自治体が自由に使えるお金が増える、との理由による。では何故、国民各自が自由に使えるお金が増えることが批判されなければならないのか。また国民は貯蓄に回してしまい効果がないという給付金への批判があるが、自治体が借金の返済に回さないという保障はあるのか。結局、反対のための反対という感は拭えず。

 永田元議員の件から数日しか経ってないにも関わらず、「愛のある政治が必要」と臆面なく発言された鳩山氏の感覚には、ちょっと僕には絶望的についていけないものを感じた。政党が違うからどうでもいいんだけど。

 補正予算関連法案の財務金融・総務・国土交通各委員会への付託に野党は反対し、議院運営委員会で採決によって付託したとか。議論そのものすら否定するのであれば、何のための国会か。とはいえこうなったら全て強行採決になるのだろう。釈然としない思いを持ちつつ、夕方の新幹線で帰倉。

| | コメント (8) | トラックバック (0)