07.経済・景気・雇用

2024年11月19日 (火)

年収の壁と最低賃金の議論のためのシミュレーションをしてみた

●はじめに

 先の衆議院総選挙以降、いわゆる「年収の壁」の問題について議論が盛んになっています。地元でいろいろな方にお話をお伺いしていても、特に事業主の方から、人手不足の折から働き控えに繋がるので困っている、どうにかしてほしい、という切実なお話はしばしば伺います。ただ、所得税が発生する「103万の壁」や被用者保険が適用される「106万の壁」の話、さらには配偶者の話なのか大学生年代の扶養の話なのか、今後最低賃金が上がるとどうなるのかといったさまざまな要素が錯綜しているようにも思われ、丁寧に話を分解して理解を共有しながら議論をすることが必要と思っていました。

 そうしたところ、議員在職中、ともに衆議院厚生労働委員の与党理事として汗をかいた盟友・伊佐進一前衆議院議員が、これらの問題について大変にわかりやすい解説動画をYouTubeにアップしておられるのを発見し、とてもわかりやすくてよくできていてすごいなと感心した次第です。ご興味の方には、ぜひご覧になることをお勧めします。

【お金のニュース】103万円の壁は存在しない!?手取りを増やすの核心に迫る!わかりやすく解説します!(前 衆議院議員 いさ進一 チャンネル)

 ただ、解説は解説として、それで具体的に何がどうなって結果どうなるのよ、ということは計算してみないとよくわかりません。そこで私の方では具体的な例を挙げてシミュレーションしてみることにしました。その結果について、まずはこのブログで記します。

●本記事の要約

  • 本人はパートで週20時間労働し、配偶者は月収28万円である夫婦二人世帯を想定し、岡山県倉敷市で働く場合と、東京都北区で働く場合でそれぞれの最低賃金が本人の時給となるものとして、世帯の収入、社会保険料、所得税、住民税を計算し、結果として世帯の手取りがどうなるかを試算した。
  • 結果として、時給が高い北区の場合の方が収入は高くなるものの、社会保険料や税を差し引いた手取りには大きな差が生じないことがわかった。本人が所得税の課税対象となることよりも、社会保険の加入により社会保険料負担が生じる影響の方が大きかった。
  • したがって、家計の手取り向上や労働者の働き控えについて検討するためには、所得税よりも、社会保険料負担(いわゆる「106万円の壁」)をどうするかについて、より丁寧に議論する必要があるのではないか。社会保険料控除の見直しなども考えられるのではないか。

●シミュレーションの想定

 夫婦2人世帯を考えます。本人は、パートで週20時間働いており、賃金水準はその地域の最低賃金であるとします。配偶者は正社員で勤めており、月収28万円ただしボーナスなし、すなわち年収336万円とします。この際どちらが夫でどちらが妻かは関係ないので、適宜あてはめてください。いずれも40歳未満として介護保険料は考慮しません。また加入する健康保険は両人とも協会けんぽとします。雇用保険料も算入します。

 時期は今年(令和6年度)とし、住んでいる場所が岡山県倉敷市の場合と、東京都北区の場合を比較します。この違いは最低賃金、社会保険料の料率、住民税均等割額などに影響します。特に、最低賃金の違い(岡山県:982円、東京都:1,163円)により本人の年収が倉敷市では約102万円、北区では約121万円となり、同時点における居住地域における差の検証であるとともに、結果として社会保険に加入しない場合と加入する場合の比較検証すなわち106万円の壁前後の検証としても読め、また将来的に岡山県の最低賃金を上げていった場合の検証としても読めるというのが、この設定のミソです。

 計算として、世帯の年収、世帯の社会保険料額、世帯の所得税額、世帯の住民税額を出して、世帯の手取り(=世帯年収額-(世帯社会保険料額+世帯所得税額+世帯住民税額)を比較して検討してみます。なお住民税の課税ベースは前年度の収入ですが、前年度も同じ収入であったものとします。

 計算は私自身が、各役場や協会けんぽのWebサイトなどを確認しながらエクセルで行いましたので、端数の処理が雑だったり、そもそも間違いがあったりする可能性はあります。やってみた感想として、これを仕事として日々計算されている税理士の先生方や役所の税担当の方々をとても尊敬したい気持ちになりました。繰り返していれば慣れるのでしょうが、しかしとても複雑な仕組みだなあとあらためてしみじみ思いました。

●結果

 先に記したように、ご本人が同じ働き方をしていても、最低賃金の違いがあるため、倉敷市では配偶者の社会保険の扶養のままであり、一方北区では社会保険に加入することとなります。また倉敷市では103万円も切っているため、所得税は非課税となりますが、北区では所得税の課税対象となります。一方で住民税はいずれも課税対象です。こうしたことを前提に、結果は以下の表の通りとなりました(表をクリックすると拡大します)。

表:世帯手取りシミュレーション結果
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 世帯の収入では、同じ働き方でも倉敷市と北区で19万円近い差がありました。これは純粋に時給の最低賃金額の差(181円)が、1年間になるとこれだけ違いが出るという結果です。一方で、「106万円の壁」を超えるため、北区では本人が社会保険に加入するため17万円超の社会保険料増加となります。所得税は、本人は北区のみ課税対象となりますが、課税所得額が6,000円弱、税率5%なので300円弱の課税額であり、年間で考えれば僅かです。すなわち「103万円の壁」は、壁というほどの影響は実はないということです。住民税所得割はいずれも課税対象でありほぼ差はありませんが、均等割額が倉敷市は1人55,000円なのに対し北区が1人50,000円と安いため、2人分で1万円分北区がおトクとなっています。あとは、東京都と岡山県の協会けんぽの料率の差が数百円単位で影響しています。

 なお「103万円の壁」は国税である所得税についての議論ですが、実は家計に与える影響は、地方税である住民税の方がかなり大きいことも、この表において注目すべき点であろうと思われます。税負担と家計の関係を考える際には、所得税・住民税をともに考慮した議論が必要だということです。

●考察

 この表から読み取ることができることはいくつかあります。まず、素直に「岡山県倉敷市在職と東京都北区在職の差」として捉えた場合、「東京の方が最低賃金が高いから稼げる!」という単純な話ではないということはいえるでしょう。今回の試算では、収入が増えた分はだいたいそのまま社会保険料で消えてしまい、手取りは年間約24,000円の差しかありません。この程度の差は、家賃水準の違いによりむしろ簡単にマイナスになります。また、今回は配偶者の勤め先の配偶者手当について考慮していませんが、おそらく120万円も稼ぐと配偶者手当が無くなるのでその分もマイナスになる可能性があります。そのことから、時給が高くなると、その時点の手取りのみを考えれば、「106万の壁」を意識して労働時間を減らすインセンティブも働きやすいとはいえると思います。ただし社会保険に加入することで、将来基礎年金に加え厚生年金による報酬比例部分が上乗せされたり、万一の際に医療保険から傷病手当金が支給されたりするなどのメリットがあります。たとえば、厚生年金については、年収120万円で20年加入すれば、毎月の保険料額(約9,000円)を上回る年金(約9,900円)が終身でもらえるなど、寿命が延びる中で、老後の安心材料は増えることも、考慮はされるべきでしょう。

 また、「本人が年収102万円で留めた場合と120万円まで稼いだ場合との比較」として捉えれば、住民税均等割の差の影響を除外すると、ほとんど世帯手取りが同じになるという結論であるともいえます。年収105万円まで稼げば、同じ住所であればおそらくその方が120万円まで働くよりも社会保険料負担が無い分、現在の手取り的にはおトクとなります。これがまさに「106万円の壁」です。もちろん、社会保険に加入すれば上記のようなメリットが期待できますから、そこも含めた比較検討が必要であろうとは思いますが。

 あるいは、将来的に最低賃金がさらに引上げされた場合のシミュレーションと考えることもできます。現在の岡山県の水準から東京都の水準に引き上げると、同じ働き方をしていても自動的に106万円を超えることになり、手取りが減る人が発生する状況が生じうるということです。現在厚生労働省で106万円の賃金要件を撤廃するという議論が行われています(「【速報】「106万円の壁」撤廃案を厚労省が正式提示…現在1:1の社会保険の負担割合を事業者負担大きく変える提案も」(FNNプライムオンライン))が、これは、最低賃金がある金額を超えて引き上がると、週20時間の要件を満たせば機械的に年収106万円を超えてしまうため、要件として存在させる意味がなくなるという理由もあるものと思っています。

 ただ結局、手取りが減る場面があればそこを意識して働き方を調整する人は出るものとも思われます。この問題に対して、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を定めて企業への助成等の対応を行ってはいますが、残念ながら周知が十分とはいえません。

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図:「年収の壁・支援強化パッケージ」(出典:厚生労働省)

 なお、このシミュレーションではあまり関係してきませんが、130万円の壁というものもあります。社会保険非適用業種などにアルバイト等に出た際、130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、国民年金・国民健康保険の保険料負担が発生するという壁です。この壁は、超えても純粋に保険料が増えるだけで給付面のメリットもなく、本当の意味での「壁」といえます。ただし、伊佐先生のYouTubeでも触れていましたが、社会保険非適用業種をなくしていこうという動きがありその方向での解決できれば望ましいことです。ただし課題は、事業主負担増に小規模事業者や非適用業種の事業者が耐えられるかどうかであり、それはそれで補助・助成等とのセットで議論する必要はあるでしょう。

●まとめ

 国民民主党が主張している、所得税非課税額を103万円から178万円に引き上げるという議論は、生活の基本となる金額を控除する基礎控除48万円と給与所得者の必要経費の代替としての給与所得控除55万円を、物価上昇等を踏まえて引き上げるべきだという主張として捉えれば、それはそれで筋の通った議論だとは思います。そのことにより、多くの方々が手取り増にもなります。ただし、所得税のみならず概ね同じロジックで税額を決定している住民税にも議論を及ぼす必要がありますし、そのため所得税および住民税ともに主張通り満額実施すれば、国・地方合計して数兆円規模と想定される税収減をどう考えるのかという議論はあわせて検討する必要があります。さらに、住民税非課税世帯には社会保険料の軽減などさまざまな施策があり、この対象が拡大することによる追加の公費支出増や収入減も頭に置く必要があります。また、伊佐先生の動画で指摘されているように、所得が高い人ほど税率が高いため実控除額が増えるということをどう考えるか、という論点も生じます。また、本人が配偶者ではなく子の大学生の場合(特別扶養控除の対象から外れるかどうか)についても、伊佐先生のご指摘に深く賛同します。大学生を抱える世帯の手取り増のために、大学生の労働時間を増やすことで対応させるのは疑問です。

 他方、働き控え対策として考えた場合は、所得税非課税限度額を上げても、そもそも納める所得税額が急に大きくなるわけではないため、あまり意味はありません。むしろ社会保険加入の要件である106万円の壁をどう乗り越えさせるかということの方が大きな問題であることが、今回のシミュレーションで明らかになったといえるでしょう。この検討では触れていませんが、社会保険加入により事業主も保険料を折半して負担することになりますので、事業主側の影響も考慮して対策を考える必要があります。

 また、今回のシミュレーションを組み立てていて気づいたのですが、所得税および住民税には社会保険料控除という仕組みがありますが、低所得者の場合税率が低いため結果として影響額が小さく、あまり意味がありません。例えば一定の所得の方までは所得控除ではなく税額控除にする(マイナスになる場合は給付する)といった手段は、わかりやすく106万円の壁を乗り越える手立てになるのではないでしょうか。保険の問題を税で解決するのは筋違いという向きもあるかもしれませんが、将来のことを考えたら社会保険加入者を増やすことは間違いなく財政上もプラスになりますので、そこは目をつぶってもよいでしょう。保険料負担を事業主に寄せることが検討の対象となっているようですが、小規模事業者には負担増は受け入れ困難です。既に社会保険料控除がある以上、税で解決してしまう方がよいと思います。

 私は、先の総選挙の際には、最低賃金増のみならず、下請け取引の監視強化や賃上げ税制の強化、公的報酬増による人件費増など、あらゆる手段を講じることにより賃上げを行う必要があると訴えました。手取り増の手段として基礎控除や給与所得控除の引き上げも検討に値するものとは思いますが、それですべてが解決するかのような主張には、今回のシミュレーションを踏まえても、やはり賛同できません。こうした丁寧な議論が、各党間での協議や国会にて行われることを期待します。

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2012年2月 8日 (水)

水島のトンネル事故について

 水島コンビナート内のJX日鉱日石エネルギー水島製油所にて海底トンネル工事中に出水し、5名の方が行方不明となるいたましい事故が昨日発生した。まずは行方不明の方々の捜索と事故原因の調査・再発防止を急がなければならない。とはいえ海底での出来事であり、難航している模様だ。

 工事のコストを切り詰めるため安全面が手薄になっていたのではないかといった話も耳にする。いずれ調査の結果などが公表され責任が問われることになるであろう。ただ同時に、なぜそこまでコストを切り詰めなければならなかったか、その背景も同時に考えなければなるまい。先日「水島の悲鳴」というエントリで記したとおり、日本を代表する大企業といえども極めて厳しい環境下での事業運営を強いられる状況が現在ある。そのしわ寄せが早速このような形で現場に現れたような気がして、いささか暗澹とした気持ちにならざるを得ない。

 今日は玉島をあいさつ回りしていて、ある方から「自民党もいまのままじゃダメじゃ!」というお叱りをいただいた。消費税とか議員定数削減も大事なテーマだし、民主党政権の正当性の無さは指摘し続けなければならないが、一方で「日本が将来どうやって稼ぐか」を国会で語るのも、自民党の大事な仕事だと思う。

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2012年1月19日 (木)

水島の悲鳴

 今週はじめから、水島コンビナート企業の方々にご挨拶に伺っている。水島は、鉄鋼・自動車・石油・化学・造船・食品そして火力発電所と、国内外を相手にさまざまなビジネスをしている企業の集積があり、ここを回るだけで日本のみならず世界の情勢まで伺うことができる。

 が、今年ほど暗い顔の多い年はなかった気がする。「リーマンショックの時よりも悪い」という声まで聞こえる。原因は長期化して先の見えない円高であり、ユーロ圏の経済不安、そしてイラン情勢による石油調達への不安などなど、だ。リーマンショックの時はまあ我慢すればなんとかなるだろうという感じもあったが、今回はもうどうにもならないかも、とも言われた。ある社長さんいわく「これまで円高になってもなんとか歯を食いしばってコスト削って我慢したから、今度もなんとかなるじゃろと政治家の皆さんはタカをくくってるんじゃないか。消費税消費税と言っても、稼げなくなって給料が払えなくなったらそれどころじゃないんじゃけどな」と。

 あるいは、「水島港がバルク戦略港湾に指定されたと民主党の皆さんは喧伝するが、来年度予算にはまったく予算が計上されていない。やっぱり看板倒れじゃないか」と。看板倒れはマニフェスト以来民主党のお家芸と化しているが、ここでもやはりそうかと慨嘆せざるをえない。中国電力管内は比較的マシだが、やはり今年夏の電力供給についても不安はぬぐえない。もちろん中電も結局火力発電で支えているのだから、コストやCO2問題だってどうなるのだかさっぱりわからない。

 そして当然、大企業だけでの話ではない。水島の不振は、地場の協力企業からたとえば勤めの方が住むアパートの大家さんまで、そしてもちろん雇用そのものにも波及するのである。先が思いやられる。

 消費税増税しか目に入っていない今の政権に、果たしてどれだけこの危機的な声が聞こえているのだろうか。

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2009年6月29日 (月)

技の鉄人競技大会

 28日、三菱自工水島製作所で行われた「第8回 水島技の鉄人競技大会」にお伺いした。普段、自動車の組み立てにあたっておられる皆さんが、それぞれの技を競技の形で競うものだ。ロボットティーチング、溶接、塗装、ヤスリ掛け、パテによる成形から、ボルト締め付け、電気配線、測定、部品や完成車の点検、砥石のバランスとり、、、etc.etc.

 いかに機械化された自動車製作工場とはいえ、実に基本的な手作業が基礎にあり、かつそれが極めて精密に行われていることを実感。まさに「ものづくり」である。ボルト締め競技の模範演技を見れば、右手でボルトを締めながら左手で正しいボルトを指の触覚で探していて、決して間違うことがない。すごい!の一語。

 街に日常的にあふれている一台の車も、これだけの努力と技の積み上げでできてるんだなぁ!と感動した時間だった。車は大事に乗りましょう。そしてこの「ものづくり」こそ、日本の産業の基礎である。補正予算等でさまざまな施策はとられているが、なお一層しっかり守らなければならない。

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(写真:大原謙一郎・倉敷商工会議所会頭と一緒に見学、説明を受けた)

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(写真:フォークリフト運転操作競技。水をこぼしたりパイロンに当たると減点)

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(写真:組み立て競技の様子。テキパキとした挙動が日頃の仕事ぶりを伺わせる)

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2009年5月14日 (木)

給付金を『夕張希望の杜』へ寄付

 倉敷市でも定額給付金の申込書受付が始まり、わが家でも早速申込を行ったようだ。まだその分は自分には来ていないが、先にかねて考えていた使い途を実行に移すことにした。

 それは、財政再建中の北海道夕張市で頑張っている医療法人財団「夕張希望の杜」への寄付である。いろいろご縁があった上に、医療現場危機突破議連にて村上智彦理事長の講演を伺いその熱意に感動し、また夕張希望の杜メールマガジンも毎週拝見している。日本の医療を現場で歯を喰いしばって支える方々を少しでも応援したいという想い、かつ公職選挙法上選挙区内での寄付は不可ということも考慮し、そのようにした。なお家族の分は家族と相談して地元岡山県倉敷市・早島町で消費するつもり。

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(写真:振込したATMの利用明細デス。証拠として。)

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2009年4月29日 (水)

補正予算審議入り

 27日(月)、県連の会合の後岡山空港から空路上京。羽田空港からは一緒になった萩原誠司議員の車に便乗させてもらい、国会へ。ありがとうございました。13時から衆院本会議にて、与謝野大臣による財政演説。翌28日(火)13時から衆院本会議にて各党からの代表質問。答弁と合わせて所要二時間半。

 今回の補正予算は経済危機へのさらなる対策として組まれたものであり、一般会計では約14兆7000億円が計上されます。環境にやさしい車への買い替え支援や住宅の太陽光発電パネル設置補助等の需要刺激策が含まれる。現下の状況を鑑みれば速やかに成立させるべきである。何故か野党各党が反対なので国会はどう動くかよくわからないが。

 代表質問では、鳩山由紀夫民主党幹事長が相変わらず検察批判を行った。よほどヤマシイのか。政府案の財政面についてバラマキという懸念を示すが、同時に高速道路無料化等の民主党提案の経済対策を語り、「よっぽどそっちの方がバラマキじゃないか!」というヤジが飛ぶ。家計に対する支援がないと批判するが、ならばなぜ定額給付金に反対したのか。そもそもこれまで「麻生内閣の認識が甘い」と言っていたのは自分たちだ。にもかかわらず対策を打ったら批判する。支離滅裂である。

 終了後、「のぞみ」で倉敷へ。事務所にて若い世代の支援者の方々の会合に顔を出す。仕事帰りに集まってもらい、本当に感謝。選挙での勝利に向けて誓いを新たにする。

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自民党岡山県連緊急雇用労働対策本部

 27日(月)は、水島・開新橋での早朝街宣からスタート。自民党岡山県連青年局長の佐藤真治県議も参加してくださる。普段は一人なので心強い限り。その後岡山に移動して、自民党岡山県連緊急雇用労働対策本部の会合。商工会議所から連合までの団体、国や県の機関の方々を一堂に会していただき、岡山県下の現在の経済情勢や対策等についてヒアリング。

 報告では、なお受注等経済の動きも求人倍率等も悪化しつつあるものの、悪化のペースは落ち着いてきたとのこと。とはいえまだ下げ止まったわけではなく、一層の対策が必要であるとの由。雇用促進住宅への緊急入居決定数は、愛知県に続いて二位となっている。それだけ岡山は今回の景気減退が響いているということだ。

 私からは、1.雇用促進住宅の入居期限が6か月であり、近々に期限を迎える方も出てくるがその対策をどうするか?2.前々から決まっていたことだがタイミング悪く玉島のハローワークが3月末で廃止となったが、どのようにフォローするか、の二点を要望を兼ねて質問。1.については「厚労省本省の方針次第」ということで国会議員側の宿題。2.については、倉敷市と相談しつつ近日中に措置することを考えている由。いずれ倉敷市から発表があるとのこと。対策本部として議決を行うことを決めて閉会した。

 いずれにしても、なお一層の対策が必要であり、同日に提出された補正予算は早期に実現すべきだ。その様子は次のエントリにて。

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2009年4月 9日 (木)

環境対応車の普及促進

 午前中、衆院総務委員会。地上デジタル放送推進のために、生活保護世帯等にデジタル対応チューナーを配布する。そのため等の電波法および放送法改正について。20分間時間をもらって質疑を行う。消防団機庫のNHK受信料問題を取り上げたところ、予定外にも関わらず鳩山総務大臣は前向きに取り組む由答弁してくださった。

 午後衆院本会議、道州制推進本部会合(北海道観光推進法について)、法曹養成および法曹人口を考える会勉強会(司法書士、税理士、弁理士さんの団体からヒアリング)、異状死死因究明議連コアメンバー会議(民主党案および各省庁からのヒアリング)、と続く。夜は会社時代の友人と情報交換、帰りにマスコミの方とばったり会ってさらに情報交換。

 さて昨日エントリのギンガマンさんのコメントで中古車切り替えや新車購入補助の話が出ていました。これは新たな経済対策の一環として検討されているものであり、今後補正予算が通ることで実現します。現在の与党案では登録日ベースで4月10日まで遡及適用となっています。ですから明日にでも販売店さんに連絡して、登録をちょっと待ってもらうように依頼してみてください。まだ間に合うかも知れません。

 なお景気対策施策としては、もちろんちょっと安く車を購入していただくという意味もありますが、自動車メーカー及び関係会社に対する需要喚起策という面もあることはご理解いただけると幸いです。そして、自動車ほど様々な技術や部品の組み合わせがあるものはなく、ということは幅広い波及効果も期待されるということです。もちろんメーカーと政府にとっては、定価で買っていただくことも当然景気へのプラス影響という意味ではうれしいことに違いありません。

 対策の具体的な内容ですが、車齢13年超(ということは相当古い車)を廃車して2010年度燃費基準達成車(新車の9割が街頭)に買い替える場合は、普通乗用車で25万円、軽自動車で12.5万円の補助が出ます。また、廃車を伴わなくても、環境性能の良い新車(排気ガス性能4つ☆かつ2010年度基準+15%以上、、三菱自工の車で言うとコルトや新しいアウトランダーは当てはまる模様)を買った場合は普通車10万円、軽自動車5万円の補助が出ます。今年度限りまたは合計270万台分の予算が無くなり次第終了。今年度税制改正による自動車重量税・取得税の減免措置による効果と合わせ、100万代規模の需要減を補う台数効果、12万人の雇用波及効果が予測されるとの由です。

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2009年4月 1日 (水)

マル経融資制度、拡充!

 今日の衆院経済産業委員会の橋本の質疑により、二階経済産業大臣から小規模事業者経営改善資金融資制度、通称「マル経融資制度」を今後さらに拡充する政府の方針が明らかにされた。

 この制度は、小規模の事業所(従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)の法人・個人事業主を対象とするもので、これまでは融資限度額が1000万円、無担保、無保証人、低利率(2.0%)で、融資期間が運転資金が5年以内(元本据え置き期間6か月)、設備資金が7年以内というもの。たとえば倉敷商工会議所ではさらに独自に0.5%の利子補給を行い、小規模事業所の資金繰り支援の中核としている。私からは、この制度に関して商工会議所の取り組みを紹介しながら重要性を指摘し、拡充を要望した。

 二階俊博経産相の答弁によると、昨日ロンドン出発前に麻生太郎総理と二階経産相の会談で拡充を提案したところ、総理が「それでいこう!」と決断された由。具体的には、融資限度額を1,500万円に、融資期間を運転資金を7年(元本据え置き期間1年)、設備資金10年(元本据え置き期間2年)となる。既に財務省とも調整が済んでおり、迅速に実現したいとのことである。

 なお、今回の質疑では、産活法改正に関する質疑とともに、現下の経済情勢をふまえ上記以外にも、

・緊急保証制度の対象業種、および無担保保証上限額の拡大
・診療所や中小病院等の医療機関を緊急保証制度の対象に含めること
・中小企業の遊休生産設備の買い上げ・リースバック制度の検討
・繊維業など、以前から厳しい業界への配慮
・(総社市が実施したような)自動車購入に対する補助実現
・自治体の取組への財政支援の拡充
・資源生産性向上のためのコンビナートの活用
・倉敷市議会の「ジーンズ議会」を例に出し、景気を良くする委員会運営

 などの要望および議論を行った。

 引き続き、日本と地域の景気を良くするために、衆院経済産業委員として皆さんのご意見をいただきながら努力する。

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2009年3月27日 (金)

平成21年度予算成立

 今日は午前中、衆院経済産業委員会。三名の有識者の方にお越しいただき、参考人質疑。中でも草野豊己氏の今回の世界同時不況に対するコメントが勉強になった。曰く、

○アメリカの金融不安はまだ底が見えない。何よりも米財務省すら「これから実態を把握する」と言っているのが恐ろしい。常識外のことも起こりうる(ブラックスワン)覚悟を持つべき。
○少なくとも過去数年のアメリカの住宅や自動車の需要は金融バブルによるもの。この状態への回復を期待してはならない。
○日本は、貿易依存がアダとなり世界の分業体制からも離れているため、影響をモロに蒙ることになった。日本の株価等を支えていた外資も引き上げている。その中で我慢できるセーフティーネットが必要。

 状況は楽観を許さぬもの。引き続き緊迫感を持って対策に当たらなければならない。来週同委員会で質疑の時間をいただいたので、しっかり政府の姿勢を質したい。

 午後、衆院本会議。その前に参院で予算案および関連法案が否決されているため、両院協議会が開かれるも成案を得ず。予算案は衆院の優越既定により自動的に成立、関連法案も再議決して成立。これで切れ目なく予算執行できる。昨年の今頃は暫定税率の期限切れでシンドイ思いをしていたが、よほど今年の方がスムーズだ。もちろん背景には深刻な不況があることを忘れてはならない。

 今日の衆院本会議では民主党席の元気のなさが目立った。演説に対するヤジや声援が少ない。直前の代議士会で小沢代表が釈明演説をしている筈だが、納得がいかないのか。また代議士会に出席せず、一人だけ早々に本会議場の議席に着いていた枝野幸男議員の姿も目を引いた。思うところがあるのだろう。

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