18.国会・政局

2018年8月 8日 (水)

厚生労働省分割反対論

●はじめに

 日本経済新聞の8月2日付朝刊に「厚労省の分割検討 政府・自民20年にも」という見出しの記事が1面トップに掲載されました。同紙2面の関連記事、3面の「きょうのことば」欄においても関係する記事があります。これらによると、自民党行革本部が中央省庁再編を検証し、8月中に首相に提言を行うとのことです。

 実のところ個人的には、党行革本部のある役員からこの件が検討テーマに上がっている旨教えていただいてはいました。しかしこうして表に出ると唐突感は否めません。さまざまに思うところはありますし、賛成もできません。そこで、自民党政務調査会にて厚生労働部会長の職を預かるものとして、意見を整理しておきます。今後、党本部における平場の議論においては、本稿の趣旨に基づき発言を行います。また同僚諸兄姉にもご参考にしていただければ幸いです。

 なお万が一、自民党総裁選の論点に浮上した場合には、この記事の見解を念頭に行動を考えることを申し添えます。8月6日に党本部事務局にこの件に関し資料がないか確認したところ、「ない」との返事でした。これから議論するにしても、総裁選で公約とされ選挙で結果を決めるには、内容が賛同し難いことに加え、事柄の重みに対してあまりにも拙速であり、しかし選挙を経ることで党内議論を封じかねないものであるからです。また公式な資料がないため、8月2日付日本経済新聞によって議論を進めざるを得ないことも付記します。

●そもそもなぜ厚生労働省なのか

 現在の厚生労働省は、平成13年の中央省庁再編によって誕生しました。その構想は、平成8年橋本龍太郎内閣の下で設置された行政改革会議によります。要約すれば、首相のリーダーシップを強化しつつ、国家公務員の総人員の削減などを行うことを目的としたものです。

 厚生労働省については、当時首相秘書官を務めていた江田憲司衆議院議員の著書『誰のせいで改革を失うのか』によると、「この二省の統合自体は、ほとんど反対もなくスムーズに決まった」とされています。そして、「一致団結、融合化し、来るべき超高齢社会への対応に万全を期してほしい。そして、日本の社会保障制度、雇用形態などの良いところは引き続き残し、官と民双方を視野に入れた最適な『日本型社会保障・雇用システム』を構築し直してもらいたいものだ」との期待が記されています。この期待そのものは、構想から20年を経た現在においても、全く通じるものであり変化するものではありません。むしろ長い熟成期間を経て、「一億総活躍社会」「働き方改革」などとしてようやく実を結びつつあるともいえます。

 日経新聞によると、「厚生労働省が取り組む課題は大きく変わってきた」と言われますが、むしろ20年以上前から「超高齢化社会が到来」「少子化対策が急務」といった記事は日経新聞においても頻繁にあったのではないでしょうか。同じ現象が着実に進行し、課題の深刻さが増しているだけです。もちろん20年以上克服できていないことは問題ですが、なのであれば必要な対策は「強化」なのであり、「できなかったのでやめます」という話ではありません。そういう意味で「子ども省」的な構想は検討の余地はあるでしょうが、働き方と育児支援は同時に考えるべきこととは思います。いずれにしても、少なくとも単に役所を「厚生省」と「労働省」に分割することは、問題解決には無関係です。

 「労働政策審議会の機能不全が目立つ」「人口減でも成長するには生産性の改革が必要で、そのための柔軟な働き方の議論が厚労省主導では進められないのが現状だ」という指摘は重く受け止めるべきです。しかし内閣官房に「働き方改革実現会議」を設置し、総理主導で使用者団体・労働組合を巻き込んで労働法制史上初の残業時間の罰則付き上限規制を導入できたことをあわせて考えれば、むしろ橋本行革で目指した「首相のリーダーシップにより政策を動かす」という方向性を安倍総理が体現したのであって、「厚労省主導で進まない」のは事実でしたが、問題とすべきことではありません。また分割して労働省に戻したところで公労使三者構成を変えなければ全く無意味です。そして労働者保護という労働行政の本旨を考慮すればこの構成は無くすべきではありません。杞憂であればよいですが「生産性革命のために労働省と経済産業省と合併させる」などという話が出てきかねなくなることを恐れます。

 日経新聞曰く、労働行政について「今は働き方改革に象徴されるように、日本全体に目配りした政策が求められる」とのことで、私も同感です。しかし労働省単独になったらそれができるようになるというロジックは明かされませんし、全く想像もつかないのです。

●不祥事の多発について

 日経新聞記事では、不祥事の多発も論点の一つとなっています。他の省庁にもあるような気もしますが、厚生労働省が過去多数の不祥事を起こしていることは事実であり、この点を看過することはできません。

 ただしその再発を防ぐためには、ひとつひとつの事案に対し原因をきちんと調査した上で、組織として課題を見つけて是正し続けることが重要です。例えば日経新聞に掲載されている不祥事例について、その原因を挙げます。

・消えた年金問題(平成19年発覚)
 (原因)厚生労働省および社会保険庁の責任感不足を背景とした、長年にわたり継続してきた杜撰な事務処理

・年金の個人情報流出」(平成27年発覚)
 (原因)外部からの攻撃。ただし事態の拡大を防げなかった背景には、ネットワーク設計の不備、サイバー攻撃に対する油断、不審な報告が上がらない組織体質があった(参考:日本年金機構における不正アクセスによる情報流出事案について

・(振替加算に関する)年金の支給漏れ」(平成28年発覚)
 (原因)年金機構と共済組合との間の情報連携不足、システム処理に起因するもの、機構の事務処理誤り、お客様の届け出漏れ。(参考:振替加算の総点検とその対応について

・裁量労働制のデータ不備(平成30年発覚)
 (原因)調査実施に対する軽視、確認不足など(現在、自民党厚生労働部会労働分野における調査手法に関するPTにて提言作成中)

 その他にも、医療・介護総合確保法案趣旨説明資料におけるコピペミス(平成26年発覚)、労働者派遣法案における罰則規定の誤記(平成26年発覚)、労働者派遣法案審議における「10.1ペーパー」問題(平成27年発覚)、社会・援護局職員による不正経理(平成29年発覚)、日本年金機構データ入力誤り(平成30年発覚)など、多数の事案がメディアを騒がせました。

 ただ、これらの件のいくつかの事案について、厚生労働大臣政務官または厚生労働副大臣として国会対応や再発防止策の検討に加わり、または党厚生労働部会長として報告を聞き、厚生労働委員会でも質疑を行った経験の中で、厚生労働省を分割することが再発防止に資すると思うことはひとつもありません。

 たとえば日本年金機構情報漏洩事件の際に対応を遅らせた原因は、現場レベルで不審メール情報のやりとりはあったものの、課長級(年金局事業管理課長、情報政策担当参事官)に報告が上がらず、当然ながら政務を含めた幹部も事態を把握しておらず省全体での対応ができなかったことにもあります。報告・連絡・相談という組織文化ができていなかったことが大きな反省点なのですが、組織を分割することがその対処法になるとは全く思いません。

 副大臣の折に、「厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム」主査として「中間とりまとめ」の作成に関わりました。その際、他の業所管省庁(国土交通省、農林水産省、経済産業省)と比較して、職員一人当たりの国会答弁数、委員会質問数、質問主意書件数等がダントツで多いことを確認しています。もちろん不祥事の背景には様々なものがありますが、単純ミスについては、まさに日経新聞記事で「多くの厚生労働省幹部は頻発するミスの背景に『人が足りない』という構造的問題があると語る」と記されている通りなのです。

 もしかして、多くの方がごまかされているのかも知れないとまで思ってしまうのですが、組織を分割しても全体の仕事量に変化はない(もしかしたら増えるかもしれない)ですし、職員の総数も変わらないのであれば、職員一人あたりの仕事量も変わりません。ミスを減らしたり、長時間残業を削減したりするためには、職員を増やすか仕事を減らすかしか最終的な手段はないのです。組織をいじることではありません。

 ましてや日経新聞には「(分割によって)政策立案を強化し、生産性を高める」と書いていますが、組織が分かれたらなぜ政策立案が強化されるのか、生産性が高まるのか、僕には皆目見当もつきません。後述しますが、タテ割りに歯止めがかからず弱体化するように思えてなりません。

 また、同紙の「きょうのことば」欄に、「巨大官庁、予算規模は断トツ」と記載され、いかにも肥大化して仕事が多すぎる印象付けがされています。しかし予算が多いのは国民に給付される社会保障費用が計上されているからであり、この費用増は社会の高齢化や医療の高度化等によるものですから、とても予算の多い厚生労働省を分割しても、とても予算の多い厚生省(と、それなりの予算規模の労働省)ができるだけです。

 なお、法案が多いため国会審議が渋滞しがちという理由も考えられますが、それは国会改革の文脈で検討されるべきです。国会の委員会を二つにするために役所を二つにするのは、本末転倒です。副大臣や大臣政務官がもっと有効に活用されればよいのに、と個人的には思います。

●厚生労働省は、より一体化すべき

 大臣政務官または副大臣として厚生労働省の「中の人」になって感じたことは、まだまだ縦割りがヒドイということでした。

 例えば「障害者の就労支援」というテーマでは、障害保健福祉部、職業安定局、人材開発統括官といった組織が関わってきます。しかしとある制度改正に関し、連携せず個別に話を持ってくるため、塩崎大臣が命じて関係部署長を並べてレクチャーさせるようにしたことが、ありました。また災害の折に、健康局が被災自治体の上水道の状況を電話確認しかできず報告が要を得ないことにやはり塩崎大臣が業を煮やし、近くの労働局やハローワーク、労働基準監督署等の人員を派遣して直接確認させるように命じたこともありました(厚生側には出先機関が地方厚生局しかないので、機動的な対応ができないのです。ちなみにこの件は後に省内の災害対応マニュアルが改定され、デフォルトの対応になりました)。

 僕自身も、大臣政務官の折に「新たな福祉サービスのシステム等のあり方検討プロジェクトチーム」を立ち上げ、「誰もが支え合う地域の構築に向けた福祉サービスの実現 -新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン-」というレポートを作成しました。その背景には、人口減少社会を控え、高齢者福祉、児童福祉、障害者福祉、生活保護・生活困窮者自立支援といった形で様々に専門分化していた福祉サービスについて、連携して包括的な体制を構築して対応しなければ乗り切れないという問題意識がありました。このペーパーが源流となり後に「共生社会づくり」として施策化されていくわけですが、例えば生活困窮者自立支援を議論するためには就労支援と連携しなければなりませんし、医療とも連携すべきでもあります。また自殺対策や虐待対策とも結びつけて考えられるべきです。だとすれば過労死対策としての労働基準行政やハラスメント対策まで考えなければなりません。また一方で育児・介護休業の取得やワーク・ライフ・バランスの支援は、児童福祉や高齢者福祉の充実と切り離して考えることもできません。年金と高齢者雇用の関係も、結び付けて考えられるべきでしょう。「医療現場の働き方改革」も、厚生労働省が一体だからこそ手を付けられたテーマだと思います。そして今後直面する社会保障の課題のひとつは、担い手の確保なのです。

 要するに、善く生活することと善く働くことは、切っても切り離せない関係なのです。「分割すると政策強化に繋がる」などという議論は、ただの机上の空論でしかありません。

「厚生労働省なんでしょ!もっと一緒に考えようよ!」という叱責を飛ばした記憶が、僕にも何度もあります。僕の知る限り、厚生労働省におけるタテ割り弊害をどうにかこうにか克服する努力をしていたのは、どちらにも目配りしなければならない大臣・副大臣・大臣政務官の政務三役でした。そして政務がしっかり意思とビジョンを示せば、各部署もそれに応える努力をしてくれていたと思っています。分割したら、誰がその役をするのでしょうか?内閣総理大臣または内閣官房長官は論理上可能ですが、本当にそこまで目配りできるのでしょうか?甚だ疑問です。タテ割り行政の継続で不幸になるのは、国民です。

●まとめ

 ひとつだけ思うのは、「厚生労働大臣は担当分野が広くてとても大変そう」です。これは、分割すれば、楽になるかもしれません。ただ近年でいえば田村憲久大臣、塩崎恭久大臣、そして現職の加藤勝信大臣と、いずれもしっかりと職責を果たしておられます。適材適所の人事を行えば済む話です。

 正直、単に厚生労働省を厚生省と労働省に二分割するだけなら、看板をもう一枚かければ済む話なので、それなりのコストで実現できるかもしれません。ただ、縷々述べたように全く積極的な理由を欠く上に、大臣ポストを増やし秘書官やら官房各課やらも増えますので、実はいわゆる「行革」とは正反対の行為です。不祥事を減らすことにも全く繋がりません。

 日経新聞によると、「行革本部幹部は提言について『厚労省の現体制は限界に来ている』とのメッセージを送るのが主眼と説明」したようです。僕もその認識は共有します。厚生労働省の業務環境は、残念ながらおせじにも良いとは思いません。何人も、メンタルを痛めて異動になった人を知っています。いささか極端な、感覚的な表現をお許しいただければ、「死屍累々」です。本当に限界なのです。しかしそうであるならば、不要な省再編により不要な業務を増やして負担をかけ職員のモチベーションをぶち壊すのではなく、まず定員増をぜひお願いします。本当に。

 このタイミングでこの話が急浮上した背景はよくわかりませんが、察しがつかないわけでもありません。しかし、政治的な思惑により、頑張っている職員の心をヘシ折るような話をすることは、僕にはとても許せるものではありません。

 以上の理由により、「旧厚生省と旧労働省の業務の2分割による新体制を発足する計画」などというものに、橋本岳は反対します。各位におかれましては、何卒ご賢察ありますように。

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2018年7月18日 (水)

公職選挙法の一部を改正する法律案 賛成討論

 参議院の選挙制度に関し、選挙区(埼玉県)の定数を2増やし、また全国比例区の定数を4増やしかつ特例枠を設ける公職選挙法改正案の衆議院での採決にあたり、自民党および公明党を代表して、賛成討論に立ちました。動画は衆議院インターネット審議中継にてご覧いただけます。

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公職選挙法の一部を改正する法律案 賛成討論
(平成30年7月18日 衆議院本会議)

 自由民主党の橋本岳です。
 討論に先立ち、このたびの西日本の豪雨災害において亡くなられた皆さまのご冥福を、心よりお祈り申し上げますとともに、全ての被災者の皆さまにお見舞いを申し上げます。

 私が住んでおります岡山県倉敷市では、ご承知の通り真備地区において小田川等の堤防が決壊し、極めて大きな被害が生じました。しかし、すかさず愛知県、奈良県、滋賀県の各県からの緊急消防援助隊や、自衛隊が駆け付け、現地の消防・警察とともに人命救助にあたっていただきました。本当に心強かったです。先の三連休には、倫選特の森山浩行野党筆頭理事を含め、全国から多くの方が災害ボランティアとしてお越しになり、被災地の復旧や避難所の支援にあたられました。物資や義援金などのご支援も、多くお寄せいただいています。政府も、多くの自治体も、力強くご支援いただいています。倉敷市民の一人として、心から御礼を申し上げます。誠にありがとうございます。

180718

 今回の災害では、極めて広範囲にわたる被害が発生しました。また被災者の生活再建の歩みはまだまだこれからであります。私たち地元の議員が努力するのは当然ですが、議場の皆さまにおかれましても、今後とも被災された方々にお心をお寄せいただき、お力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

 さて私は、自由民主党および公明党を代表して、ただいま議題となりました「公職選挙法の一部を改正する法律案」に対して、賛成の立場から討論を行います。

 平成二十七年に改正された公職選挙法の附則第七条においては、「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」との規定がおかれました。これを踏まえ、参議院において熱心にご議論されたものの、各党合意による成案を得るに至らず、自由民主党・こころ、無所属クラブの共同提案により参議院に提出され、審議の上可決され衆議院に送付されたものが、この法案であります。

 そもそもわが党は、合区の解消を含む憲法改正の発議に向け努力を行ってきました。しかし残念ながらその環境が整わない中、ほぼ一年後に参議院選挙を迎えるタイミングとなりました。周知期間などを考えれば、ただ議論を続ける時間はもう残っていないことを、まず指摘しなければなりません。

 また、自民党の党利党略だというご批判もありますが、委員会質疑で指摘されたように、定数増がそのまま自民党の議席増になるわけではありません。どの政党が議席を増やすかは、ひとえに有権者の選択にかかっております。また、特定枠についても、利用するかどうかは政党の選択によります。したがって、そのご指摘は全くあたりません。

 定数増に関して、厳しいご意見があるのは事実です。その上で、附帯決議も含めて参議院としての意思を示されたわけですから、参議院においては、定数増によるコストを抑えつつ、これまで以上に審議を充実させ、国民の利益をさらに増大させるという決意と覚悟を示されたものと考えられます。我々は、これを重く受け止めなければなりません。

 その上で、この案は、一票の較差の縮減と、人口減少に直面する地域をはじめとする多様な民意の国政への反映という、二つの命題を両立させる案として、現在考え得る最良の案であると考えております。ただあえて申し添えれば、参議院におかれましては、引き続き改革に取り組み続けていただきたいことを付言いたします。

 以上の理由により、責任政党の立場として、本改正案に賛成であると再度申し上げ、議員各位のご賛同を賜りますことを切にお願いし、私の賛成討論といたします。

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2018年5月24日 (木)

厚生労働委員長 高鳥修一君解任決議案 反対討論

 平成30年5月24日、衆議院本会議において、野党が提出した厚生労働委員長高鳥修一君解任決議案が議題とされ、その反対討論に立ちました。その原稿をここに掲載しておきます。なお動画は衆議院インターネット中継等でご覧いただけます。

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厚生労働委員長 高鳥修一君解任決議案 反対討論
(平成三十年五月二十四日 衆議院本会議)

 自由民主党の橋本岳です。

 私は、自由民主党および公明党を代表し、ただいま議題となりました厚生労働委員長高鳥修一君解任決議案に、断固反対する立場から、討論を行います。

180524

 この通常国会は「働き方改革国会」であります。安倍政権は、二年前に一億総活躍プランにおいて「働き方改革」の実行を力強く宣言をし、労使双方のトップを含めた「働き方改革実現会議」における議論などを積み重ねてきました。この国会では、いよいよその中核となる関連法案を審議し結論を得ることが、各界から強く期待をされております。またその他にも国民生活にかかわる多数の法案が提出されており、それらについてもすみやかに審議を進めることは、国民の負託を受けた、我々立法府の重大な使命であります。

 一方、残念ながら、裁量労働制に関する不適切なデータの比較や、その基となった調査のずさんなデータ処理、東京労働局長の記者会見における不適切な発言、さらには日本年金機構における不適切な業務委託やそれに起因する正しい額の年金支給の遅延など、厚生労働省に関連することだけでも様々な問題が政府において発生し、ないしは発覚をした国会でもありました。与党である私たち自由民主党としても、誠に遺憾なことであります。

 さて厚生労働委員長高鳥修一君は、人格は高潔にして冷静沈着、障害者福祉の向上に情熱を傾け、空手、合気道、居合など武道をたしなみ、日本文化を愛する快男子であります。委員長としては、この難しい国会において、就任冒頭の発言の通り、「公正かつ円満な委員会運営」に全力を尽くしてこられました。諸課題については、野党の要求の通りに、昨日の総理入り質疑をはじめ、集中審議や補充質疑、参考人質疑や視察も行いました。資料要求についても、他委員会では類を見ない長時間におよぶ理事会や理事懇談会を開いて与野党の協議の機会を設け、政府に提出させるよう求めました。さらに質疑中に疑義が生じた際、与党理事が質疑続行を求めていても、毎回速記を止め理事同士の協議を丁寧に促すなど、むしろ与党側から不満が出かねないほど野党の皆さんにも配慮し、円満な委員会運営に懸命に努めておられました。

 その上で、なお与野党の合意点を見出すことができない場合や、あるいは、維新の会以外の野党の皆さんがゴールデンウィークを挟んで長期間欠席をされたため合意のしようもない場合に、やむを得ず委員長の判断で委員会の運営を進めたこともありました。しかしこれは厚生労働委員長としての職責を真摯に果たしただけのことなのであります。自分たちが欠席した結果について、その責任を委員長に転嫁するかの如きこの決議案は、決して国民の理解を得られるものではありません。

 この決議案を提出された野党の皆さまに申し上げたい。今国会において、野党共同の議員立法として「生活保護法等の一部を改正する法律案」が提出されました。さる四月二十日の委員会において、我が党の国光あやの議員がこの法案に対して通告通りに質疑しようとしたところ、委員会開始時点では答弁席におられた、提出者の一人である立憲民主党のある議員が途中で退席し、質問ができないという事態がありました。既に維新の会を除く野党の方々は全員欠席されていた中で、答弁のために一人で出席されたこの議員の勇気と責任感について、私は率直に評価をいたします。しかし誰かが指示をして、党利党略のために退席させたと受け止めざるを得ません。法案を提出し賛同を呼びかけておきながら、提出者が答弁を放棄していなくなるなど、前代未聞であります。断固抗議をし、猛省を促します。

 野党の皆さん、皆さんは、国会の権威をいったいどれだけ軽く考えておられるのですか?皆さんは安倍内閣を厳しく批判されますが、この内閣には委員会の途中に答弁を放棄していなくなる閣僚など一人もいません。むしろ、出席どころか答弁まで放棄する今の無責任な野党には、高鳥委員長の解任決議案を提出する資格など、まったくないと断じざるを得ないのであります。

 以上の理由から、的外れで、身勝手で、不当としかいいようのない、高鳥修一厚生労働委員長の解任決議案には断固反対であると再度申し上げ、心ある議員各位には、こぞって青票を投じていただくよう訴え、私の反対討論といたします。

(以上)

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2017年9月28日 (木)

衆議院解散・総選挙にあたり

 先ほどの衆議院本会議にて、衆議院が解散されました。これをもって自動的に失職となり、2014年12月にお預かりした衆議院議員3期目のバッジを、外しました。

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 在職中さまざまな皆さまのご縁をいただき、多くの重要な仕事に携わりました。役職で言えば、厚生労働大臣政務官、自民党外交部会長、厚生労働副大臣、そして自民党厚生労働部会長(現職)という3年間を過ごしました。仕事の内容や所感はそれぞれの退任時のエントリ[厚労政務官外交部会長厚労副大臣]に譲りますが、仕事にも周りの皆さんとのご縁にも恵まれた在職期間でした。また三菱自工燃費不正に関する雇用危機や障害者就労支援事業所の大量解雇といった地域における危機対応や、高梁川みなと大橋の竣工をはじめとする地域のインフラ整備などにも汗をかきました。

 もちろん、すべてが上手くいった訳でもありませんし、自分のふがいなさのゆえに失望を与えてしまったこともあったでしょう。やり残しもたくさんあります。しかしいずれにしても、落ち着いて様々な政策課題に立ち向かう環境を頂けたことは、昨今の右往左往する政界を眺めるにつけても、とても恵まれたことだと感じています。その間にお寄せいただいた全てのご縁と、何よりも前回選挙において橋本がくを国会に送っていただいた倉敷・早島の皆さまに、心から感謝を申しあげます。誠にありがとうございました。

 さて25日に安倍総理が記者会見を開き、「国難突破解散」と銘打って衆院の解散を表明しました。少子化・長寿化が進む中で、日本の将来を背負って立つ子どもたちにさらに手厚い投資をすることは喫緊の課題です。また、子育てや親の介護、また自分や家族の病気や障害といった様々な事情を持ちながら、その人らしく働き稼ぐことができる環境を整えるための「働き方改革」を進めていく中、中小企業・小規模事業者を含めて投資やマーケティングを支援し企業の生産性を向上させることも、重要な課題です。これは以前、BSテレビにてご一緒した際、連合の神津会長とも意気投合した点でもあります。安倍政権は、政権をお預かりして以来、アベノミクス三本の矢、地方創生、一億総活躍、そして働き方改革と政策を矢継ぎ早に展開してきていますが、その次の一手としてぜひ進めなければならない二つのテーマがこの「人づくり革命」「生産性革命」なのです。しかしそのためには新たな財源が必要であり、これまではそれ故に必要性はわかっていても効果的な手が打てずにいました。今回、安倍総理のリーダーシップのもと、三党合意による「税と社会保障の一体改革」の枠組みを変更することは、この実現のためにはしっかり議論すべきことなのでしょう。そして税に関わる問題について国民の皆さまに信を問うことは、当然に必要なことです。

 正直、懸念もあります。本来、国債の新規発行を抑制するための税収増分の一部を歳出に振り向けるわけですから、当然ながら財政再建は遠のくこととなります。政府与党にて改めて検討を加え、しっかりとした歯止めを再設定しなければなりません。その際、医療・介護・年金・子ども子育て支援等の社会保障にどのような影響があるのかを充分に見極め、守るべきものについてはしっかり守る必要があります。これは自民党厚生労働部会長として、責任を持たなければなりません。

 なお、報道等によると、自民党(おそらく公明党も)・民進党(もしあれば)は消費税率2%引き上げつつ使途変更、希望の党・維新の党・共産党等は消費税率引き上げ延期という主張になりそうで、選挙前になると政府財政の財布の紐がどこもかしこも緩くなる現象には、複雑な感情を禁じ得ません。無駄を削る作業は絶えず必要ですし、負担を求めるためにはわが身を削るべきという志の高さには敬意を表します。しかし「予算を組みかえれば財源は出てくる」というに話は民主党政権交代時に苦い経験をしていますし、身を削るとしてもたとえ国会議員を全員クビにして国会議事堂を廃止してしまっても将来の社会保障が賄えるような規模の財源には全くなりません。現実を見た議論を期待したいものものです。

 また、地方創生や一億総活躍、そして働き方改革といった政策課題についても、まだそれぞれに取り組みが緒についたばかりであり、きちんと効果に繋がるまで継続して具体化する必要があります。水島港の整備や河川改修、そして倉敷駅付近連続立体交差事業など、引き続きの対応が必要な課題も山積しています。また、北朝鮮の核・ミサイルの問題が長期化する中で、外交上、安倍総理への国内の信任が篤いことを示す必要もあります。なお危機対応として、菅官房長官、小野寺防衛大臣が在京する予定となっていますので、衆議院が解散していても即時の対応には支障はありません。また森友学園の件など国会等で指摘され続けたテーマにおいても、選挙を行うことは国民の皆さまの審判を仰ぐことであり、しっかりと向き合うことです。ご説明を尽くします。

 思うに、自民党の敵は他政党ではないのです。自民党自身です。自民党に慢心や油断があれば、国民の皆さまがそれを見逃すことはないでしょう。同時に、私の敵も、他政党候補予定者ではなく、私自身なのです。このことを肝に銘じて、これからの選挙戦に向け、気を締め直して臨まなければなりません。

 日本における、また倉敷・早島における、明日へのチャレンジに向け様々な政策をを力強く前進させるため、子どもや孫の世代に希望あふれる日本社会を伝えるために、橋本がくは次期総選挙に自由民主党公認候補として立候補し、4期目の議席を岡山県第四選挙区にてお預かりできるよう、全力を尽くす決意です。厳しい戦いであることはもとより覚悟の上ですが、石にかじりついてでも地べたを張ってでも勝ち抜き、皆さまのご期待に応えます。候補予定者各位においては、政党の名前や属人的な課題にのみ奔走するのではなく、正々堂々と政策を訴え議論し、国民の皆さまのご審判を仰ぐ選挙戦を展開しようではありませんか!

 何卒、力強いご指導・ご鞭撻を、橋本がくに賜りますよう、心からお願い申し上げます。

橋本がく

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2012年11月16日 (金)

衆議院解散・総選挙にあたり

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 いよいよ衆議院解散が閣議決定され、夕方に衆議院が解散する。3年以上の長きにわたった浪人生活も、いよいよ来月16日に勝負を迎えることが確定した。多々ご迷惑をおかけしながら、本当に多くの人に支えていただき無事に元気でこの日を迎えられたことに、心の底から感謝の想いが湧くばかりだ。

 今回の選挙戦の争点は、民主党政権三年間あまりの総決算そのものだ。自民党の見解は、昨日の衆院本会議における斎藤健衆議院議員の力強い討論が簡潔的確に言い表している。ぜひご覧いただきたい。

 僕個人としても、本当に悔しい想いをしながら浪人の日々を過ごした。父・龍太郎が心血を注ぎその後の自民党政権が着実に進めてきた普天間飛行場の問題が鳩山総理の「最低でも県外」発言で取り返しがつかないまでに壊されたことを筆頭に、政治家の「言葉」が全く信用されなくなってしまったことが本当に悔しい。デフレに歯止めが効かず、企業が海外に逃げていく。アメリカとの信頼が損なわれ、尖閣・竹島問題に的確な対応ができない中、倉敷・早島で歯噛みしながら報道を見ていることしかできなかった。今回の解散のタイミングだって最悪で、月末や歳末の忙しい中、寒い中に多くの方々の労を割いていただくことになってしまう。予算編成がどうのこうのとか環境整備がどうのこうのとか理屈はいくらでもつくが、なぜこの忙しい中で選挙をするのか!と問われると返す言葉もないのが正直なところだ。野田総理は、約束を守るのならさっさと守るべきだった。引き伸ばすのだったら任期満了まで伸ばす骨を示してほしかった。自己都合と自己満足を優先させる、今の政治の惨状をまさに示すタイミングだ。そしてこれまで与党生活を謳歌しながらいざとなったら沈む船から逃げ出すネズミが多数見えるのも見苦しいの一語に尽きる。

 とはいえ「本人よりも、周りの人の方が何倍も悔しいのだ」と今年の「出陣の集い」にて河井克行衆議院議員に言われた。全くその通りだと思う。前回の選挙では私の力足らずによりによりご支持いただいた方を失望させてしまった。浪人中も公私にわたりいろんなことでご心配を多々おかけした。申し訳ないことばかりである。そして私の身のみならず、我が国の政治そのものが、希望を失望に変えるものでしかなかった。今回の選挙戦を通して、支えていただいた皆さまへの感謝を胸に、この倉敷・早島の多くの方々の「悔しさ」をぜひこの身に集め、国会に持っていき届けたい。そして橋本がくの5つの約束をぜひ実現し、皆さまの悔しさを希望に変え、力強い日本を取り戻したい。何としても実現したい。

 かねてから現政権は財務省支配だと指摘してきた(そして野田総理の末路についての預言は両方的中しそうである)。そして私の選挙区の民主党候補予定者は現職の財務大臣政務官であり、財務省に支配された民主党の象徴的存在だ。必ず打ち破らなければならない。また日本維新の会や国民の生活が第一の方の立候補も予測される、極めて先が見通しにくい混戦になる見通しだ。僕個人としては小選挙区では二度の落選を喫しており、三度目の挑戦だ。もう後もない覚悟である。地べたを這いつくばろうと、岩にへずりつこうと、一人でも多くの方に想いを伝え、一人でも多くの方のお手を握り、一人でも多くの方にお訴えをしていく。のこり一か月間、全力を尽くして戦い抜く決意だ。

 引き続きのお力添えを、心からお願い申し上げる。

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2012年9月27日 (木)

自民党新体制で政権奪還!

 谷垣禎一総裁の任期満了に伴い9月26日に行われた自民党総裁選の結果、安倍晋三総裁が再登板する結果となった。

 今回、橋本がくは石破茂・前政調会長を支援した。党員投票では他候補を圧する得票を得て一位となり、決選投票でも獲得票数を伸ばしたものの及ばなかった。この結果から言えば個人的には残念さも残る。石破茂議員を支援くださった党員の皆さまに、感謝御礼を申し上げる。

 しかし、今後の党運営においてはノーサイドだ。日本の内政・外交の建て直しとそのための再政権交代の実現という共通の目標に向かい、一致団結が必要だ。振り返れば自民党の退勢は安倍内閣時の参議院選挙の敗北から始まり不本意な辞任で拍車をかけた。今回、その責任者に挽回の責任を与える結果になったわけだ。病を克服し「再チャレンジ」という自らのスローガンを身をもって体現した安倍晋三総裁の強靭な意志に強く期待する。

 他方民主党代表選も、あまり注目されないうちに野田総理が再選された。解散の引き延ばしを図る空気が漂うが、そうは問屋が卸さない。公債特例法などの急を要する法案が残るが、先の通常国会の末に野田総理は参議院から問責決議を可決されており、少なくとも参議院では所信表明演説すらスムーズな実現は不可能だ。かといって臨時国会を開かないわけにもいかない。そこで「近いうちに」という総選挙の約束をどうするかという選択が迫られる。10月28日に鹿児島三区の衆議院補欠選挙もあり、与野党はいきなり対決ムードにならざるを得ない。

 このような中で、橋本がくは「切実な思いを汲む政治を実現したい」という思いの実現の向け「出陣の集い」や「女性の集い」、あるいは日々の会合や街頭演説、ご挨拶などで一人でも多くの方にの自分の想いを伝えるようコツコツ努力する日々だ。ご支援・ご協力いただける皆さまに深く感謝申し上げるとともに、まずは10月28日の岡山県知事選挙においていばらき隆太候補の勝利を勝ち取り、そして来る衆議院選挙における勝利を目指して全力を尽くす所存だ。引き続きのご指導ご鞭撻を心からお願い申し上げる。

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2012年9月 4日 (火)

盛り上がる総裁選にしたいね!

 通常国会がおそらくこのまま閉会となり、そのまま自民党、民主党ともに党首選挙が焦点となっている。三党合意やら問責決議やら領土問題やら、これまでの経緯についてツッコミみどころは山のようにあるのだが、自分のなすべきことをしつつ、切歯扼腕して現実を受け入れるしかない。

 で、自民党総裁選である。過去3回自分も参加したし、一度は石破茂候補の選対事務局として駆け回った経験まであるが、今回は一地方党員としてほぼ一般の方と同じようにマスコミを通じてプレ総裁選を眺める立場だ。自分の党員票一票をどうするかは候補者が決まってから決めることだが、その前に「外から眺めた総裁選」は、やはり内部で見るのとはとても印象が違って見える。たとえば、

1.候補者がどうやって決まるのかよくわからない。
2.派閥のボス的な人の意向で候補者や結果が左右されるように見える。
3.候補予定者の名前のみが云々され、政策的議論が見えない。
4.誰が当選したら自民党がどうなるのかわからない。
5.有権者である各議員の意思が見えず、派閥やボスの意向で動くように見える。

 といったことだ。もちろん、実際は必ずしも印象通りでないことは知っている。マスコミ報道による印象の偏りはとても大きい。例えば以前ほど「派閥のボス的な人の意向」に左右される度合は少ないし、派閥そのものが変質しており以前ほどの拘束力はない。同じ派閥の安倍晋三・元総理と町村信孝・元官房長官の名前が共に挙がるのはその証拠だ。また候補者が確定すればそれぞれ公約を掲げ、討論会や街頭演説会は必ずオープンに行っている。また若手を中心にブログやtwitter、Facebook等で自分の主体的な考えを発信する議員も少なからずいるのも好ましいことだ。

 ただそれでも、谷垣禎一総裁に対し古賀誠議員が「引導を渡す」と発言したなどと報道されるのは正直言って如何なものか。谷垣総裁が引き続き総裁を続けるのが自民党にとってベストかどうかは、党員による選挙を通じて公正に判断されるべきであり、一部長老の意志で立候補の機会すら奪われるような印象があるのは極めて前近代的と言わざるを得ない。個人的には石破茂・前政調会長に今度こそ!と思っているが、それ以前に、まず公正・公平かつ国民にオープンな総裁選挙が行われることを願ってやまないし、谷垣総裁にも奮起を期待したい。

 盛り上がる総裁選にしたいね!

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2012年3月 6日 (火)

今の思い。

 谷垣自民党総裁と野田総理が会談したという話が広がり、永田町のざわつきが本格化した感がある。とはいえお互いに否定し合っているので、真相は藪の中。合意が形成されたかどうかも定かではない。でもやっぱり会うのは会ったらしいですよ。だとすれば「極秘会談」が堂々と新聞記事に出るというのは機密保持が本当にだらしない官邸だなぁという話。

 個人的には、野党総裁にナイショ会談を申し込まないといけないくらい野田総理も手詰まりなんだな、ということと、正月に予言したことがやっぱり的中してたんだな、という二点の感想を持つ。その上で、今の民主党がどうであろうとも、敢えていえば今の自民党がどうであろうとも、自民党と日本の政治を立て直し、有権者の方に再び政治への期待と信頼をしていただくためにも、今こそ僕が頑張らなければ!という思いも変わることはない。

 落選以降いろいろ心配をおかけをしているのは身の不徳の致すところで申し訳ない思いがある。しかし実際のところ今は落ち着いているし、なにはともあれまず第一に選挙に向けて集中をしなければならない時。個人的にはもう背水の陣であり、地べたにはいつくばっても岩にかじりついてでもご支援いただける皆様のご期待に応え、結果を出さなければならない。

 おかげさまで、ひとつひとつ地域の後援会の会合などを重ねることができている。空気は前回選挙時とは全く異なっている。動けば動くだけ輪が広がる実感がある。ウケのいい調子のいい政策が約束できるほど器用でもないが、落選中にも関わらずお励ますをいただける多くの方々がいていただけるのは本当に心強くありがたいこと。永田町がどうであろうとも、いつ解散になろうとも、とりあえず今の一日一日を正直に大事に全力で過ごすだけというのが、僕の今の心境である。

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2012年1月 2日 (月)

野田総理、使い捨ての恐れ。

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。旧年中のご愛顧に深く深く感謝し、今年こそ成果を出す一年となるよう、全力で活動します。僕が落選した時に、尊敬する先輩である河井克行代議士が下さったメッセージ「一人でも多く、一回でも多く、一分でも多く。」を常に頭において実践します。今年も宜しくお願い申し上げます。

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 さて、年末の夜警訪問や新年のご挨拶等で多くの方にお話をする機会をいただいた。「民主党もごちゃごちゃしとるし、選挙は早いかもしれんのぉ。春にはあるかも知れんで。今度は岳さん頑張れよ!」としばしばご激励をいただく。ご激励は本当にとても嬉しく感謝の一語に尽きる。しかし選挙についてはそう簡単ではなく、意外と先に伸びるかも知れないと思っている。

 根拠は、年末に見せた野田総理の粘り。というか、総理本人よりも、その背後に消費税増税は今しかできないという財務省の執念が浮かんで見える気がするからだ。そもそも、小泉政権で構造改革の名の下に社会保障にメスを入れ、安倍政権で参議院選挙に勝ったら消費税に取り組むシナリオだった。年金の国庫負担率の1/2への引き上げ実現には消費税増税が必要というのがもうその時点で見えていたからである。もう今からかれこれ5年くらい前の話である。ところが参院選が敗北に終わり、リーマンショック等もあってその後も結局自民党政権では消費税増税はできなかった。

 そして民主党政権が誕生した。政治主導と口では言うもののはっきりいってド素人の民主党政権は、官僚にはとても扱いやすかっただろう。あのマニフェストを掲げたにもかかわらず、鳩山内閣で財務相を務めた菅総理が総理になると消費税増税を口にし、その後継でありやはり菅内閣で財務相を務めた野田総理が総理になるに及んで、「集大成」とか「不退転の決意」とか言い出すことになった。リーマンショック対策と引き換えに麻生政権下で成立した平成21年度所得税法等改正案の附則第104条に、今回の野田政権における税制改正の一連の流れがすでに予言されている。その実現のための財務省の執念たるや見上げたものというしかない。それにしても民主党代表選における財務省の影響力ってどのくらいあるのかと疑ってしまいたくなる。仮に野田総理に何かあって後継を選ぶことになったら、次は安住財務相になるかもね(笑)。

 したがって、野田総理は何がどうなろうと今国会で消費税法案を提出し、議員定数削減や公務員給与カットなどとセットで成立させようとするだろう。もし民主党がこれ以上大きな分裂をせずにまとまることができれば、すでに二年半前の衆院選マニフェストで消費税増税を唱え、先の所得税法の附則を成立させた当事者だった自民党は、完全には反対を貫くことはできない。おそらく結局は解散総選挙と引き換えに賛成するしかないのではないか。その場合、解散は通常国会閉会を目処とすることになるだろうが、話がスムーズに合意に至るとはとても思えず、ごちゃごちゃしたら国会を大幅延長して秋口くらいになってもおかしくない。その選挙では、国民の支持が一度信じて裏切られた民主党に向かうとはおおよそ考えにくく、与党維持は困難であろう(ただし、だからといって自民党に支持が向くと思うほど楽観的ではない。自民党には、むしろ自分が消費税増税を主導し実現するのだという決意と、その上で日本をこうする!という新たな展開を望みたい。他人の土俵で決戦決戦と言ってる今のままじゃあ、ダメだろうなぁ)。

 一方、たとえば小沢一郎・元代表あたりが民主党を割って出て分裂したらどうなるか。たぶん、自民党が野田民主党を拾って連立を組み、消費税法案を成立させるんでしょうね。そうすると、選挙は任期満了になるだろう。その場合、小沢さんたちは橋下・維新の会や河村・減税日本など、また鈴木・真民主党や今回民主党を出た人たちと連携して新党結成か!?なんていう、マスコミ好みの大政局となるわけだ。つまらない現実主義者vsうわついた理想主義者というのは、いつの時代でも政界再編の対立軸なのかもしれない。

 と、まあ、そんな想像をしてしまう昨今。要するに何が言いたいかというと、今年の政局の背後には、消費税増税にかける財務省の執念が、必ず大きく影響するだろう、ということ。これまでどうにか凌いできたが、来年の予算編成では基礎年金の国庫負担分をついに交付国債で賄う状況となった。財務省としても「無い袖はもうどうあがいても振れない」というサインであり、年金制度をいよいよ瓦解させるか、消費税率を上げるかの選択を迫られているのだ。それだけに必死である。そしてどちらのシナリオでも、野田佳彦総理は消費税増税の立役者になることと引き換えに、「民主党を分裂させた代表」か「選挙で下野した総理」のいずれかの運命を辿るだろう。時代を問わず、巧兎死して走狗煮らる、なのだ。小泉総理は「政治家も使い捨てだ」と発言したが、総理も使い捨ての時代。本人がそれを望み貫くのであれば、以て瞑すべきかもしれない。

 さてそんな中なので、次回どんな構図で選挙になるかわからない厳しい覚悟で浪人生活を過ごさなければならない。いずれにしても、今日がよければ良いというのではなく「明日への選択」を、みなさんとの「信頼ときずな」に基づいて行う政治、厳しい状況の中で一部の人が不公正に利益を得ることを許さない、働いた汗が報われる公正・公平な社会の実現に向けて、一身を捧げて働きたいという自らの決意は変わらない。もちろん自民党内に対して言うべきことは言っていくが、コツコツと選挙区を歩き、街頭活動を行い、ポスターを張り、集会で思いを伝え、地道に地域に根付くのみである。

今年も頑張ります!
どうか皆様にとっても、今年が良い年でありますように。

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2011年12月 8日 (木)

さわらび会(石破勉強会)発足!

 今日は倉敷は雨。ご挨拶に回ったり、ご葬儀にお参りしたり、正月の準備をしたり(もうそんな季節!)していると時が過ぎてしまう。そんな中、前・自民党政調会長の石破茂衆議院議員を中心とした勉強会が発足!というニュースが目についた。38人もの参加があったという。めでたいことだ。

 今回は現職議員しか声をかけない方針とのことで僕は参加はご遠慮したが、現職だけでもそれだけの人数が集まったのは、石破先生への期待が自民党内でもそれなりに多いということだ。2008年の自民党総裁選の折、20人の推薦人が集まるかどうかやきもきした時からすると一歩前進とはいえる。でも一般の方々からの期待度からすると、もっと多くて然るべき…とも思うが。

 そういえばこのブログを書き始めたのもあの総裁選がきっかけだった。だから一番最初の記事がこんななのである。こんなのもあるぞ。懐かしいなあ。ここで書いたことは今も正しいと信じている。結果は出せなかったが、石破先生にとっても、大臣や三役入りを果たすきっかけとなった総裁選出馬だったといえるだろう。

 今後、硬派の政策勉強会として政界にて存在感を増してくれることを願ってやまない。

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