05.子育て・青少年・少子化

2024年4月17日 (水)

令和6年4月11日地域こどもデジタル特別委こども子育て支援法改正案の質疑資料

 令和5年4月11日、橋本がくは衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、政府提出の子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案に関し、30分間の質疑を行いました。本法案は、昨年閣議決定されたこども未来戦略における加速化プランを具体化するためのものであり、こども・子育て施策の推進とその専用の財源確保という観点からすると画期的なものだと考えます。一方で、子ども・子育て支援金制度を創設するものであり、衆議院本会議や各委員会での質疑を聞いておりますと、負担の在り方に関してさまざまな観点からのご議論がありました。

 その中で、せっかく時間をいただいて質疑するので、事前に配布資料を準備して質疑に臨みました。委員会の現場では、加藤鮎子大臣をはじめ与野党の委員も資料を参照いただきながら充実した議論ができたと思っています。が、その結果、インターネット中継等をご覧になっている方々から、資料がないとよくわからないというご意見も何名かの方からいただきました。

 そこで、配布した資料をここに公開いたします。眺めていただきながら質疑動画をご覧ください。

 なお、資料p.13は、衆議院予算委員会において立憲民主党の井坂信彦議員が使用されたものであり、これをご本人のご了解をいただいて私なりに追記したものが資料p.14です。この資料は、4月16日の地域こどもデジタル特委における立憲民主党の岡本あきこ議員が引用の上、さらに発展させてご使用いただきました。また他の先生からも私の質疑について言及をいただきました。光栄なことであり感謝を申し上げますとともに、こういう展開があるのが、国会において「議論が深まる」ということではないかと考えます。


【令和6年4月11日地域・こども・デジタル特別委 橋本がく質疑】


【参考 子ども・子育て支援法改正案(こども家庭庁webサイト) 】


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2023年6月15日 (木)

「こども未来戦略方針」の具体化に関する提言

 13日、政府において「こども未来戦略方針」が取りまとめられました。その中で「出産費用の保険適用の導入」や「乳幼児健診等の推進」といった出産・育児に関する施策の充実が多数含まれています。一方で、関係省庁はこども家庭庁、厚生労働省などにわかれ、どのように相互の連携を図り、出産前後の親の安心や産後の子の健康を守る一気通貫したサービスとするか議論が必要と考えました。そうした観点から、田村憲久・社会保障制度調査会長のご了解をいただき、調査会の下にさる6月6日にこどもまんなか保健医療の実現に関するPTを設置していただき、座長に就きました。

 同日の会合では、公益社団法人日本産婦人科医会および公益社団法人日本小児科医会よりヒアリングを行い、さまざまなご意見を承りましたが、そのことも踏まえ、政府においても連携して諸施策の具体化に当たること、また関係する団体等の意見をよく伺って具体化の検討を行うべき必要を感じたため、14日のPT会合で提言を取りまとめて政府に申し入れを行いました。下記にその内容を記します。

 なお通常国会の会期末が近いため、とりあえずはこれでひと段落となりますが、秋以降、具体的な施策を取り上げたり関係団体のヒアリングを行うなど、より安心して出産育児ができる環境づくりに向けて検討を進めます。

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(写真:第1回こどもまんなか保健医療PTの様子)


[PDF版]「こども未来戦略方針」の具体化に関する提言


令和5年6月14日

「こども未来戦略方針」の具体化に関する提言

自由民主党政務調査会
社会保障制度調査会
こどもまんなか保健医療の実現に関するプロジェクトチーム

 政府において取りまとめられた「こども未来戦略方針」においては、妊娠期から出産、乳幼児期、そして就学に至るまでの間の保健および医療に関し、

  • 出産・子育て応援交付金の制度化等の検討
  • 妊娠期からの伴走型相談支援の着実な実施
  • 出産育児一時金の大幅な引き上げ、低所得の妊婦に対する初回産科受診料の費用助成の実施
  • 出産費用(正常分娩)の保険適用の導入の検討
  • こども医療費助成の減額調整措置の廃止
  • 産後ケア事業の利用者負担軽減措置の実施および提供体制の確保
  • 乳幼児健診等の推進
  • 障害児、医療的ケア児の支援体制等の強化  等の方針が定められた。これらは、出産前後の親の安心や産後の子の健全な発育をサポートするために、いずれも重要な施策である。

 一方で、当プロジェクトチームにおいて(公社)日本産婦人科医会および(公社)日本小児科医会からヒアリングを行ったところ、特に出産費用の保険適用に向けては強い懸念が示されたこと、こどもの身体・心・社会(環境)のすべての面での育ちを一体として保障するための乳幼児健診の機会の充実等、さまざまな課題が残されていること等の現状が明らかにされた。

 当プロジェクトチームにおいては、親と子の出産と育ちを一気通貫してサポートし、より安心できるものとするという視点から、こうした課題の解消に向けて引き続き取り組むものであるが、政府においては関連する施策が多数に及び、担当も厚生労働省およびこども家庭庁の各局課にわたることとなるため、縦割りを排した検討体制をとることが望まれる。そこで下記の提言を行うこととするので、政府においてもこれを重く受け止め、実現されたい。

  1. 妊娠期から出産、乳幼児期を通じ就学までの間、それぞれの親と子を一気通貫に支援する観点から、関係部局が有機的に連携するための協力体制を構築し、諸施策の具体化にあたること。
  2. 施策の検討にあたっては、こども基本法および成育基本法の趣旨を十分に踏まえつつ、出産の保険適用など上述した点を含め関連する団体や地方公共団体等の意見や懸念を丁寧に受け止め、これを解消するように努めながら行うこと。
以上

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2023年3月29日 (水)

「次元の異なる少子化対策」への挑戦に向けて(論点整理)

 令和5年3月27日、自由民主党「こども・若者」輝く未来創造本部(本部長:茂木敏充幹事長)において、「『次元の異なる少子化対策』への挑戦に向けて(論点整理)」をとりまとめ、29日に小倉將信こども政策担当大臣に提出しました。橋本がくは同本部の事務総長として、茂木本部長の指示のもと木原稔座長・田野瀬大道事務局長らとともに会議の進行や論点整理の編集作業にあたりました。

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(写真:小倉こども政策担当大臣への申し入れ)

 この論点整理では、これまで要望がありながら実現できずにいた出産費用の保険適用や児童手当の拡充(所得制限の撤廃や対象年齢の引き上げ等)、保育士等の処遇や配置基準の見直し、こどもの医療費に関する国民健康保険補助減額措置の撤廃など、これまでの自民党の政策から踏み出した施策を何点も方向性として示しています。まずは現在平行して政府が検討しているこども関連政策の「たたき台」に反映させるとともに、引き続き6月の骨太の方針の閣議決定に向け、党内でも施策の詳細や優先度および財源のあり方を具体的に検討する段階になります。その中で引き続き議論を重ね、ひとつひとつ実現していけるよう引き続き努めます。

 自民党内の諸兄姉からすると「これまで不可能と言っていたのに急にやると言われても…」という戸惑いもあるでしょうし、他の政党の方々からは「先に我々が唱えていた政策のパクリだ!」という評価もあり得るものとも思います。いずれにせよ、自民党も少子化という現実を改めて直視し危機感を持って議論を重ね現状の変革を目指した表れであり、共感していただける施策については、共に実現に向けてご議論いただければ幸いです。

 4月1日に施行される「こども基本法」の理念を実現し、少子化の流れに歯止めをかけることができるよう、今後とも引き続き努力します。


【PDF版】「次元の異なる少子化対策」への挑戦に向けて(論点整理)


「次元の異なる少子化対策」への挑戦に向けて(論点整理)

令和5年3月27日
自由民主党
「こども・若者」輝く未来創造本部

 昨年の出生者数は80万人を下回り、戦後すぐのベビーブーム期の260万人や第2次ベビーブーム期の200万人の3分の1にまで減少している。少子化対策は、我が国の社会経済の存立基盤を揺るがす、待ったなしの課題である。

 結婚・出産の適齢期を迎える若者は、2030年を境に大幅に減少する見込みであり、この10年間が日本の少子化を反転させられるかどうかの最後の期間である。そうした危機感をもって、若者や子育て世代が将来に希望をもって安心して子育てできるような社会の実現に向けて、大胆で前向きな施策を実行していかなければならない。

 「こども・若者」輝く未来創造本部の下におかれた「こども・若者」輝く未来実現会議においては、本年2月から11回開催し、地方3団体、様々な関係団体からのヒアリングに  加え、人口学の専門家や先進的な取組を行う海外の施策についてのヒアリングや、現場視察を行うとともに、少子化対策調査会や教育・人材力強化調査会等における議論の成果を踏まえ、精力的に議論を進めてきた。

 今般、党として、目指す社会や取り組むべき施策の方向性について、論点整理をまとめた。政府に提出するとともに、今後、この論点整理をベースとして、6月の骨太方針までに、政策の優先順位や財源のあり方も含めて更に議論を深め、党としての提言をまとめていく。

1.「こどもまんなか」の少子化対策が目指す社会

 本年4月1日に施行されるこども基本法の趣旨にのっとり、いかなる状況や事情の中であっても、すべてのこどもが、ひとしく皆から尊重され応援される社会を目指す。すべてのこどもが愛され、教育を受けることができ、年齢および発達の程度に応じてその意見を表明でき、その意見が尊重される。その実現に向け、政府の各種施策は行われなければならない。

 若者は、学びやキャリア形成と結婚・出産・育児を同じ時期に求められ、かつ現所得も低く将来の成長も見通しがない。その中でまず稼ぐことを考え、キャリア向上やさらなる学びを求め、結果として結婚・出産・育児が後回しになり、少子化に歯止めがかからないのは必然である。この状況を打開するためには、若者の所得を目に見える形で継続的に向上させ、さらに補う政策が必要である。また、若者が自力で所得を向上させた場合に、子育てに対する支援が減る仕組みでは、せっかく流した汗が報われない。こどもや子育てに対する尊重や応援は、誰にも等しくあるべきである。そうしたことにより、若い年代からでも結婚・出産がより前向きに考えられるようにする。

 すべてのこどもが安心できる暮らしを、保護者のみならず保護者同士や地域全体、そして国まで、社会の皆で守り支えることが大事である。親が働いていても、家にいても、学びの中であっても、同じように支援されるべきである。

 家庭の中で、父親と母親が相互に補い合いながら、二人でこどもを育てることができるよう、社会が支援する。二人で担っても大変な子育てを一人で担っている保護者、双子やきょうだいが多い家庭、困難を抱えているこどもとその保護者には、より一層の支援を行う。

 経済界も、出産・子育てを単なる労働力の損失と捉えるのではなく、次世代への投資と捉えて、応援の一端を担う。子育てが済んだ年代層も、子を持たない選択をする者も、やはり応援の一端を担う。

 日本社会の皆で、若者の人生の選択を支え、すべてのこどもと子育てを尊重しかつ応援し、困難をサポートする社会を実現する。このことを通じ、すべてのこどもがそれぞれに健やかで幸福な生活を送ることができ、かつ子を産み育てる親もそのやりがいやよろこびを感じることができるようにする。それが「こどもまんなか」の少子化対策である。

2.施策の方向性

 どのライフコースを選んでも結婚・妊娠・出産・子育ての各場面での希望がかなえられる社会の実現が必要であり、「次元の異なる少子化対策」に相応しい施策を講じ、ライフステージごとの支援を総合的・抜本的に充実し、優先順位をつけて実施していく。現金給付・現物給付のバランスを図りつつそれぞれ一層の充実と普遍化を図っていく。

(1)ライフプランニング支援

 個人がライフプランを設計する上で、正確な情報を提供する支援が重要である。少子化が進む中で、人生の中で乳幼児とのふれあいの機会自体が少なくなっている。学校段階での乳幼児とのふれあい体験など実際の体験を通じて、こどもを持つことを実感し命の尊さやこどもを持つことについてのイメージ、喜びが感じられるライフプランニング支援が必要である。

①小中高等学校段階での赤ちゃんとの触れ合い教育(育児インターン)
②性や妊娠、命の尊さ、母乳の大事さに関する正しい知識の啓発、よりよい人間関係を築くための適切な発達段階に応じた包括的性教育の議論、安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後の健康管理を促すプレコンセプションケアの普及

(2)若者のキャリア形成支援・キャリアコース柔軟化、賃金向上

 少子化の主要因の一つは「非婚化・晩婚化」である。そして、「非婚化・晩婚化」の要因は、結婚資金の不足、不安定な所得・雇用環境である。若者が経済的基盤を確保するための環境づくりが必要である。

①若年層が結婚できる経済環境づくり(正規雇用化の推進、若年層を重視した賃上げ、最低賃金の引上げ)
②国・地方自治体・企業が連携した給付型奨学金およびいわゆる「出世払い奨学金」の拡充
③自営業・フリーランスの保護者の育児時の負担軽減
④女性の補助職的な働き方から総合職への転換、地方における新たな女性雇用の創出

(3)結婚への希望をかなえるための支援

 若い世代が結婚しない理由として、「適当な相手にめぐりあわない」ことや、「結婚資金が足りない」ことが上位に挙げられている。若者の地方からの流出に加え、かつては結婚に向けた社会システムであった「お見合い」や「社内結婚」の社会的機能が最近は失われてきているため、これらの機能を補うための施策が極めて重要である。

①新婚世帯への住宅支援、三世代同居・近居・隣居への支援、多子世帯への住宅支援、祖父母世代の育児サポートへの配慮
②出会いサポートの拡充強化
③結婚、妊娠・出産、子育てに温かい社会づくり・機運醸成(結婚祝い金等)

(4)妊娠・出産・育児の環境に投資

 理想のこども数を持たない主要因は、経済的理由であり、経済的支援が重要である。また核家族化の進行により、産前産後の母親や父親への私的な支えがぜい弱になっている。産後うつ対策や母乳ケアをはじめ、産後ケア事業の充実やこども支援センターの整備・充実など産前・出産・産後を通じたサポートの充実を図り、安心してお産できる環境を再構築するべきである。こども施設について、これまで重視されていた量の拡充に加え、質の拡充についてもより重点を置くべきである。

【4-1 妊娠・出産支援】
①出産費用等の保険適用および自己負担分の支援の具体的検討、分娩および産前産後ケアについてかかりつけ助産師も活用した充実および地域ネットワーク化
②妊娠段階からの伴走型相談支援の回数および期間の拡充、アウトリーチ充実
③不妊治療の推進、ハイリスク出産への支援、健康上の理由で妊娠抑制している方への相談支援、望まない出産へのフォロー

【4-2 育児・就学前支援】
①児童手当の拡充(給付額の検討、所得制限の撤廃、対象年齢の引き上げ、多子世帯をより手厚く)、在宅保育家庭への経済的支援
②保育士等の処遇改善・配置基準改善、幼児教育・保育の無償化の拡充、副食費のあり方の検討
③保育園・認定こども園・幼稚園について、誰でも子育てについて相談できる体制や、親の就労の有無に関わらず短時間から預けられる体制の整備
④病児・病後児保育の制度化検討および拡充、障害児保育の拡充
⑤こども施設の「質の向上」を促すためのモニタリングと評価の仕組みの検討
⑥乳幼児・児童の健診回数および項目の拡充
⑦こどもの医療費の無償化、国民健康保険補助減額措置の撤廃
⑧今後設置されるこども家庭センターの一層の充実、専門性向上
⑨ベビーカーや子連れを前提としたインフラ・施設・通学路等整備の推進

【4-3 就学後支援】
①小中学校の給食費の無償化
②学童保育・放課後子ども教室等の拡充
③働く親や学ぶ親に対する地域でのファミリーサポートサービスの拡充、家事援助・ベビーシッター等への支援
④こども食堂の支援、こどもの居場所・遊び場の整備及び維持への投資
⑤こどもを犯罪から守るための日本版DBSの制度化

(5)共に育児する環境整備

 女性の就業率が 80%に達しつつある中で、また、子育てや家事などについて家庭内で男性が一定の役割を果たすことが必要不可欠となっている現状において、仕事と子育ての両立実現は、少子化を克服するための必要条件である。

①両親ともに、育児休業の拡充および育児休業給付の充実(育児休業給付の手取り10割確保)
②高い目標値を設定した男性の育児休業促進と分割取得の拡充、そのための企業規模に配慮した支援策の検討
③非正規労働者が育児休業を取得しやすい環境整備
④育児休業の対象年齢の拡大と対象外の自営業者などへの経済的支援
⑤育児休業後の職場復帰支援、育児休業を取得した者も昇進を目指せるキャリアパスの実現
⑥育児期の者の長時間労働の是正
⑦勤務間インターバルの制度の導入促進、選択的週休3日制の検討、短時間勤務への助成
⑧税や社会保険加入要件等に関する「壁」の解消

(6)教育費の負担軽減

 少子化の要因の一つとして、子育てや教育にお金がかかりすぎることが指摘されており、国の役割を踏まえ、教育の機会均等を図る観点から、その負担軽減を図ることが必要である。特に、高等教育について費用負担が大きく、全ての意欲のある者が支援を受けられるようその負担軽減が喫緊の課題である。

①小中学生の就学援助の拡充(対象経費や費目の充実)
②高校等の授業料の実質無償化の拡大(段階的な対象拡大)、高校生等の奨学給付金の拡充(給付額の増額、段階的な対象拡大)
③高等教育費の支援の大幅拡充、貸与型奨学金の子育て世帯への配慮、出世払い型奨学金制度の導入
④職業キャリア教育における施設費や実習費の支援

(7)公教育の再生

 公教育にはこれからの社会を生き抜く力を保障してくれる新たな姿が求められている。「一律に与える教育」から「個々の学びを引き出し、ウェルビーイングを重視する教育」への転換を更に進め、社会に開き、このような教育を展開する学校を再構築していくこと、そのような変革の先に、「こどもを安心して任せることができる質の高い公教育」が実現する。

①幼児教育の質の向上
②教職員の働き方改革や処遇および定数の改善、質の向上
③教員業務支援員、学習指導員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、医療的ケア看護職員、栄養教諭、養護教諭等の配置拡充
④こどもデータ連携の基盤でもあるGIGAスクール構想の継続と更なる充実
⑤不登校特例校の更なる拡充
⑥コミュニティ・スクール・地域学校協働活動推進員の配置拡充、部活動の在り方の見直し
⑦命の尊さを学ぶための地域人材を活かした学校動物飼育の充実のための工夫

(8)貧困や障害など困難がある子への支援を一層厚くする

 障害・発達障害のあるこども、医療的ケア児、社会的養護経験者、ヤングケアラー、外国にルーツを持つこどもなど、様々な困難を抱えるこどもや家庭を支えていくことは、そうしたこどもや家庭自身にとって重要であることはもちろん、どのような状況等にあっても社会全体でこどもや子育てを支えるという社会意識の変革にも繋がる。

①児童発達支援センターの機能強化とインクルージョンの推進、教育関係機関との連携の強化
②児童相談所や一時保護所等の一層の充実
③特別児童扶養手当、障害児への福祉的給付(例:補装具費支給制度)の所得制限の見直し
④障害があるこどもの保護者への支援の検討、訪問支援の対象拡大の検討
⑤社会的養護経験者の伴走・自立支援の強化、大学受験時の負担軽減の検討
⑥医療的ケア児等、専門支援が必要なこどもへの対応強化
⑦児童扶養手当の充実および所得制限の見直し、低所得子育て世帯生活支援特別給付金の柔軟な実施、ひとり親家庭の自立支援の強化や養育費の確保支援、等価可処分所得の考え方による施策の再検討
⑧不登校・ひきこもりのこどもおよびその家庭へのフォローアップ拡充
⑨こどもホスピスの実現、CDRの制度化
⑩孤立解消やピアサポート等のヤングケアラーの支援拡充
⑪外国にルーツを持つこどもの学習・生活等の支援拡充

(9) 申請主義からの脱却、事務負担軽減、こどもDX

 妊娠・出産・子育てにわたるデジタル化を進め、子育て世帯の負担を軽減するとともに、情報・データを活用したプッシュ型の情報発信・支援を充実させることが必要である。  詳細は、こどもDX小委員会が纏めた「こどもDX推進に向けた提言」を参照されたい。

①こども家庭庁内に、こどもDXを検討・推進する常設の組織(部局)設置。デジタル庁においてもこどもDXを準公共分野の重点領域としチームを維持。
②政府レベルで、以下の3つのこどもDXのコアシステムを検討し、実現。

  • 困難を抱えるこどもの見守りシステム(こどもの見守りデータ連携実証事業の成果を全国の自治体に展開。こどもや親がアクセスしやすいようにSOS相談はSNSやチャットボットに移行。個人情報保護法の関係を更に整理し検討)
  • 子育て家庭への行政手続きの利便性向上(行政手続きをオンラインで完結させるために、国と都道府県、市区町村の個別制度や根拠法、根拠条例を整理。申請によらずとも手当や補助金を自動的に公金口座に振り込まれるよう推進)
  • 電子母子手帳システムの検討と実現(電子母子手帳システムを起点として、こどもの成長や状態を記録し活用するシステムを構築。妊娠期から出産、育児、小中学校・高校等の学校検診等の情報の接続を実現。予防接種について、任意接種についてもデジタル化を実施)
  • ③自治体レベルで、こどもに関わる担い手や組織がこどもを支援するDXの仕組みを検討し実現する。

  • こどもの支援に関わる様々な担い手や関係各所(SSW、SC、学校担任、児童相談所職員、こども家庭支援センター相談員等)の役割や責任の所在、在り方を整理する。一人ひとりのケースワークに対応するよう情報の連携強化を行う。こども家庭センターを、児童等への支援に関する連携や自治体DXの中心的な役割を担うものと位置づける。
  •  

     もとより結婚は個人の自由な意思決定に基づくものであるが、若い世代の結婚・子育てに関する希望がかなえられていない現状を変えていく必要がある。今後、国民みなが危機感を共有しながらこども・子育てを社会全体で応援すべく、総理の下で国民的な議論を喚起し、施策の周知方策も含めた検討をするための会議を設けることが考えられる。

     また、上記のほか、教育と福祉・地域の連携、家族形態が多様になる中でのこどもの最善の利益の実現を図るための家族制度の在り方(共同親権、養育費、親子交流など)、各種控除などの税制の在り方についても、取り組んでいくべきである。 


    (参考)開催実績

    【「こども・若者」輝く未来創造本部】
    令和5年 1月19日(木)15:30~
    議題:関係省庁会議(第1回)の議論について【報告】

    【「こども・若者」輝く未来実現会議】
    第 1 回 令和5年 2月 6日(月)16:30~
    議題:団体ヒアリング①(自治関係)

    第 2 回 令和5年 2月 8日(水)15:00~
    議題:関係省庁会議(第2回)の議論(経済的支援の強化)について【報告】

    第 3 回 令和5年 2月13日(月)15:00~
    議題:団体ヒアリング②(厚生関係①)

    第 4 回 令和5年 2月16日(木)13:00~
    議題:ハンガリーにおける少子化対策について
    パラノビチ・ノルバート ハンガリー駐日特命全権大使

    第 5 回 令和5年 2月20日(月)14:30~
    議題:団体ヒアリング③(教育関係・建設関係)

    第 6 回 令和5年 2月21日(火)13:00~
    議題:関係省庁会議(第3回)の議論(幼児教育・保育サービスの強化、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充)について【報告】

    第 7 回 令和5年 2月27日(月)15:00~
    議題:団体ヒアリング④(厚生関係②・NPO関係)

    第 8 回 令和5年 3月 6日(月)15:30~
    議題:有識者ヒアリング 安藏 伸治 明治大学政治経済学部 教授(明治大学付属明治高等学校・明治中学校 校長)

    第 9 回 令和5年 3月13日(月)15:30~
    議題:関係会議等からの報告
    ・少子化対策調査会
    ・教育・人材力強化調査会
    ・Children First 勉強会

    (視 察) 令和5年 3月20日(月)
    福島県二本松市 学校法人まゆみ学園

    第10回 令和5年 3月22日(水)15:15~
    議題:論点整理の骨子案について

    第11回 令和5年 3月23日(木)15:30~
    議題:関係省庁会議(第4回)の議論(働き方改革の推進と育児休業制度の強化)について【報告】

    【「こども・若者」輝く未来創造本部】
    令和5年 3月27日(月)15:30~
    議題:論点整理(案)について

    (以上)

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    2023年2月 7日 (火)

    子ども手当法案に自民党が反対した理由について

     今国会冒頭、1月25日の衆議院における代表質問において、自由民主党の茂木敏充幹事長が、児童手当について「所得制限を撤廃するべきと考えます」と発言されました。このことに関し、平成22年の自民党野党時代に当時の民主党政権が提出した「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案」に反対したことを指摘した批判が見られました。そこで、自民党が当時なぜ当該法案に反対したのか、その理由を衆議院本会議における討論をもとに下記に整理しました。ご覧いただければおわかりの通り、単純に、当時提案された子ども手当が所得制限を設けていないことをもって反対したものではありません。13年が経過し、自民党の議員でも当時の経緯を知らない方も増えていますので、ご参考にしていただければ幸いです。

     この議論の当時から考えると、子ども・子育て支援新制度や待機児童対策、保育・教育の無償化などの実現、こども基本法やこども家庭庁の設置など、こども・子育てを取り巻く政策はさまざまに進捗しています。一方で、なお少子化に歯止めがかかっていない現状は、率直に反省しなければなりません。こうしたことを踏まえつつ、未来志向で議論が行われることを期待しています。

    1. 児童手当法から「家庭における生活の安定に寄与する」という文言を削除しており、家族、家庭の役割を否定する考え方が看過できない。
    2. マニフェストに示された満額26,000円の算出根拠が示されず、あいまいな答弁に終始した。
    3. 「こどもの貧困をなくす」「格差の是正」と言いながら、所得制限を設けていない。
    4. 第一子、第二子、第三子とすべて同額である。傾斜配分すべきである。
    5. 現金給付のみが突出している。現物給付にもバランスよく配分すべき。
    6. 児童養護施設入所児童のうち、措置入所の子とそれ以外の子で支給有無が異なる。
    7. こどものために使われることの担保がない。
    8. マニフェストでは全額国庫負担とされていたが、地方負担と事業主負担を残した。
    9. 無理なスケジュールで強行しようとしているため、市町村に過剰な事務負担となる。
    10. 在日外国人の母国在住のこどもや養子他支給基準を満たしていれば支給対象となる一方、日本にこどもを置いたまま外国で働いている日本人に支給されない。また、そのことを認識したにも関わらず是正せず法案採決を強行している。
    11. 恒久財源が明らかでない。

    ※上記は、第174回国会衆議院本会議における田村憲久衆議院議員による討論(平成22年3月16日)(議事録)を要約したものです。

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    2022年12月14日 (水)

    こども関係予算の拡充に関する決議

     さる11月8日に、橋本がくが事務総長を務めている自由民主党「こども・若者」輝く未来実現会議(木原稔座長)において、「こども関係予算の拡充に関する決議」をとりまとめ、政調審議会にてご了承を得た上で、11月小倉将信・こども政策担当大臣に申し入れを行いました。また12月14日に、岸田文雄総理大臣にも同様の申し入れを行いました。

     11月時点ではまだすこし漠然としていましたが、現在は予算編成も徐々に大詰めが近づき、今年度補正予算で来年前半の手当てがされた出産子育て応援交付金の後半部分や、さまざまなこども子育て関係補助等の対象拡大(所得制限の緩和)などの実現に焦点をあて、役所と調整をおこなっています。「こどもまんなか」社会の実現に向け、引き続き努力します。

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    (図:小倉將信こども政策担当大臣・岸田文雄総理大臣申し入れ)



    令和4年11月8日

    こども関係予算の拡充に関する決議

    自由民主党「こども・若者」輝く未来創造本部
    「こども・若者」輝く未来実現会議

     令和5年4月のこども家庭庁設立を控え、令和5年度のこども関連予算は、単に既存関連予算を集約するだけに留まってはならない。こども基本法の目的として掲げられている「全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活が送ることができる社会の実現」を目指すこども家庭庁として、期待される船出にふさわしい内容とする必要がある。

     また現在、将来的な「こども予算の倍増」を掲げる岸田政権として、来年度の骨太の方針において財源も含めたその道筋を示すべく、全世代型社会保障構築会議において検討が進められているところである。令和5年度当初予算において、より充実した額を積み、より前倒しして必要な事業を実施することは、議論を積極的に後押ししまた国民にそのメリットを示すことに繋がるため、極めて重要である。

     仮に、こども関連予算の規模が既存関連予算の範囲に収まるようなことがあれば、「仏作って魂入れず」という非難にさらされることは免れ得ず、期待を込めてこども家庭庁の出発を見守る国民の失望や落胆を買うこととなる。そうした事態は避けなければならない。
    以上を踏まえ、令和5年度本予算の編成にあたり、下記の課題を踏まえつつ、政府においてこども関係予算の拡充に向けて全力を尽くすよう求める。

    1. 1.こどもの居場所づくり支援、地域におけるいじめ防止対策の推進等、こども家庭庁新設に係る事項要求事項の充実
    2. 2.結婚支援、妊娠・出産に伴う経済的負担の軽減、未就園児を含む就学前のこどもの育ちを支援する取組等、結婚・妊娠・出産・子育て期にわたる切れ目ない支援の充実
    3. 3.こどもの貧困、ひとり親家庭、障害児、若年妊婦、ヤングケアラー、社会的養護経験者等、多様できめ細かい支援ニーズへの対応
    4. 4.保育の質の向上など「0.3兆円超メニュー」への対応
    以上

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    2019年11月24日 (日)

    児童手当に関する財務省資料について

     先般、厚生労働省は、一般の方からのお問い合わせにより「平成24年児童手当の使途等に係る調査報告書」についてミスを修正し、正誤表を発表しました。またそのことに関連し、財務省資料も修正されています。これらのことは、問い合わせを受けた厚生労働省、内閣府、財務省の担当者レベルにてしっかり対応してもらえたものと思っています。そもそもミスはないに越したことはありませんが、速やかに対応できたことはナイスリカバリーといえるでしょう。また改めて、誤りのご指摘をいただいたことに、感謝申し上げます。

     このことに関し、その方のブログ「おたまの日記」にて、「橋本厚生労働省副大臣への私信:児童手当について」としてご指名をいただきましたので、そちらも拝見しました。私個人の責任において、財務省資料について以下のとおりの感想を記します。ただし現在、児童手当は現在内閣府の所管であり、また財政制度等審議会も財務省の所管ですので、同旨のペーパーを厚生労働省内に伝えてはいますが、あくまでも一個人の感想文と受け止めていただければ幸いです。

     なお、財政制度等審議会は、毎年の予算編成にあたり各省庁が出してくる要求に対して、厳しいお目付け役アドバイザーとしての機能を果たしているものと思っています。この件に限らず、いかに予算を効率化するかという投げかけをするのがお仕事であり、それに対して要求側省庁も予算の必要性を訴えて、折衝を重ねた上で、最終的な政府予算案となります。したがって財政制度等審議会の資料は「財務省はこう考えてるんだ」と受け止めていただくのはよいですが、政府全体として方針が決定されたものではありません。財政制度等審議会の資料は、個人的にも見解が相違することが少なくありませんが、しかし政府の中では必要かつ重要な機能の一つだと理解しています。

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    ※こちらが元の財務省資料「社会保障について①(総論、年金、介護、子ども・子育て支援)」10月9日、財政制度等審議会提出資料です。

    <財務省資料p.48について>

     ページ上部説明文一行目にて「世帯収入が高いほど、『使う必要がなく残っている』等の回答が多い」とされ、左下の収入別児童手当使途のグラフでも、「使う必要がなく残っている」とされている。

     一方、厚生労働省報告書では、p.23において、この項目は「「児童手当等」の支給から回答時点までに特に使う必要がなかったので、全部又は一部が残っている(将来的に使う予定がある場合を含む)」とされており、期間(10月の児童手当等の支給後から1月末日まで)内に費消していないということを意味しているのみである。そして残額の使い道については、同報告書p.52の「(2)残った「児童手当等」の使い道(使途予定)」の項目にて調査結果が記されており、その中で「大人のおこづかいや遊興費」という児童手当に明白にふさわしくない使途予定はわずか0.3%にすぎない。また、p.57のグラフにて世帯年収階級別の使途予定を確認しても、いかなる世帯年収階級においても「大人のおこづかいや遊興費」の回答は1%未満である。

     したがって、調査時点のみならず将来の使途予定まで勘案すれば、いかなる世帯年収階級においても、明白に児童手当の使途として不適切と思われる使途の回答は極めて少なく、財務省資料同ページにおける【改革の方向性】(案)にて示されている「使途等の実態を踏まえた所得基準や給付額見直しを検討」や「所得基準を超える者への特例給付については、廃止を含めた見直し」を行う根拠は、厚生労働省報告書の範囲では、存在しないのではないか。

    なお、「子どもに限定しない家庭の日常生活費」や「子どものためとは限定しない貯蓄・保険料」については、子どもや子育てをしている家庭全体として利益は及び得る、児童手当にふさわしい使途と考えるべきではないか。

    また、厚生労働省報告書の調査は平成24年に実施されており、すでに7年が経過している。制度見直しにおいてはできるだけ最新のデータに基づいて行うことが望ましく、必要に応じて、まず調査を再び行うことも検討されるべきではないか。

    <財務省資料p.49について>

     p.49のグラフは政府における「家族関係社会支出(現物給付・現金給付)」を見ているのみである。しかし単純に、政府からの支出が増えたので子育てがたやすくなったと結論づけるのは早計である。子ども・子育て政策が「真に子どもや子育て世代のためになっている支援となっているかどうか」を検証するためには、子育て世代各家庭における負担増についても合わせて確認をする必要もあるのではないか。

    具体的には、少なくとも年少扶養控除の廃止(2011年)、消費税3%引上げ(2014年)、消費税2%引上げ(2019年)などは子育て家庭への影響は見込まれ、また医療や介護などの保険料の推移についても目配りが必要であろうと思われる。あわせて検討さるべきではないか。

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    2017年12月31日 (日)

    平成29年末のごあいさつ

    平成29年(2017年)も暮れようとしています。今年も多くの皆さまとのご縁に恵まれ、健やかに終えることができます。心から感謝申し上げます。

    後半の厚生労働部会長としての活動の中で思ったことを少し記します(今年の前半は、「厚生労働副大臣退任にあたり」に記したことと重複しますので割愛します)。

    臨時国会で「働き方改革」の法案を仕上げるのが今年後半最大の仕事、と思っていました。しかし、突然の解散総選挙によって来年度通常国会に先送りになってしまいました。政治ですから、そういうこともあります。これは来年の大きな宿題です。

    ただ、総選挙時の公約により、消費税税率引上げ増収分の使途変更を行うことになりました。もちろん「人づくり革命」、すなわち幼児保育・教育の無償化や待機児童解消の前倒し、高等教育の無償化等々の必要性は理解しますし、選挙の公約ですから実現はしなければなりません。一方で、財政再建のため2020年にプライマリーバランスの黒字化をする目標は先送りになりました。ということは、将来世代へのツケ回しは今なお続いているということです。消費税増収分の使途変更は、国債発行削減をより少なくする、ということは国債発行の増発に繋がるわけですから、すなわち「未来の世代の負担をより増やす選択」でしかありません。

    「高齢者偏重の社会保障を全世代型に変える」という言い方もされます。実は税・社会保障の一体改革の際の、社会保障制度改革国民会議報告書の中で、子ども・子育て新制度を社会保障の一環として消費税財源の使途に位置付ける際に、既に「全世代型の社会保障」という表現を使っていますので、何をいまさら言うのかという思いもあります。ただ、話はそれだけではなくて、これまでは「高齢者に偏った社会保障を、未来の世代の負担で実現してきた」という状態だったものが「高齢者から子育て世代まで全世代の社会保障が、未来の世代により多い負担を科すことで実現される」ということに変わっただけということを指摘せざるを得ません。まあ、教育は投資ですから、未来世代に負担をかけてもそれを上回って余りある教育効果を挙げるような結果に繋がればよいのですから、ご関係の皆さまには、そうしていただけることを切に期待しています。

    ただこうした政策決定が、急な解散総選挙のため必ずしも十分な議論なく自民党の公約として掲げられたことは、個人的には実に遺憾なことだと思っています。だから、自民党の人生100年本部での第一回会合冒頭において、抗議を行いました。そしてこの話は、来年のおそらく骨太の方針とともに決定されるであろう、新たな財政再建目標再設定の議論に持ち越されます。厚生労働部会長としての立場上、今の社会保障の水準を下げるような議論にあまり与したくもありませんが、後世の負担について目を瞑るわけにもいかず、おそらく辛い議論を余儀なくされることでしょう。それでもやり抜かなければなりません。そうした勉強や議論をする場を党内どこかに設けられるといいなと思っています。


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    なお、今記したような内容は書籍「シルバー民主主義の政治経済学 世代間対立克服への戦略」(島澤諭、日本経済新聞出版社)に触発されたものです。この書籍は財政論を含む社会保障制度の近年の在り方と、10月の総選挙までを含む政治・政策プロセスの変遷とを重ねあわせて論じており、客観的かつ簡潔明瞭に現状の日本が抱えている課題が記されています。ぜひ特に若手の政治家には読んでいただきたいと思い、自民党青年局役員・顧問の先生方には勝手に配らせていただきました(ちなみに僕の自腹で書籍代は支出しています。政治資金ではありません。為念)。ご興味の方は、ぜひご覧いただければ幸いです。こうした議論を積み重ね、課題を乗り越えていくことが、これから私たち自民党がなすべきことです。

    とりあえず来年予算編成においては、診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス報酬のトリプル改定を、まあ多くの方々がほっとして頂けるくらいの改定率で乗り切れたものと考えています。また障害報酬サービス報酬改定の食事提供体制加算について、自民党厚生労働部会として継続の申し入れを行い、今回は継続となりました。生活保護水準については、低所得者との比較による改定がありご批判もありますが、生活保護制度が憲法上に記される「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障するためのものであり、たとえば「余裕のある生活」の権利保障をするものでない以上、生活保護を受給されていない方々の生活と比較して水準を設定することはやむをえないものと考えます。その上で、子どもの大学進学の支援や、生活困窮者自立支援等をさらに進めていきます。

    来年の通常国会では、働き方改革の法案審議や受動喫煙対策、医師不足対策等の重要法案が目白押しです。そうしたものにも全力を尽くして取り組んでまいります。

    今年は倉敷市が三市合併50周年を迎え、昨年12月に町制施行120周年を迎えた早島町ともども、節目の年を迎えました。「一本の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」の日本遺産への登録や、水島港における倉敷みなと大橋の竣工など、多くの方々のお力のおかげで地元倉敷・早島が発展していることはとても嬉しく、多少お役に立てていればありがたいことだと思っています。一方で、障害者就労支援事業所の廃業により多数の方が解雇される不測の事態もあり、障害者福祉と雇用安定行政の連携による対応などにも力を注ぐことになりました。

    今年は突然の解散総選挙があり、秋のお祭りや稲の収穫とも重なり、多くの皆さまにご迷惑をおかけすることになりました。しかしながら、地道に「人づくり革命」や「生産性革命」の必要性について訴え、同時に上記のことについても議論をしますとお話をし、93,172票の得票をいただき、4回目の当選を選挙区で果たさせていただきました。選挙を経ることで、多くの皆さまに支えていただいて仕事ができるんだということを再確認できます。心からの感謝を申し上げますとともに、来年もその思いを持って引き続きご期待にお応えできるよう全力を尽くします。

    個人的には正月に人生初の入院をするようなこともありましたが、どうにか健康で過ごすことができました。多くの方々との出会いとサポートに恵まれたことに感謝を申し上げるとともに、自らの力不足のために多くの方々を失望させてしまったかもしれず、お詫びしなければならないとも思います。ただそう簡単にものを忘れることもできません。すべてを背負いながら前を向いて進むのみです。

    重ねて、ご覧の皆さまに対し、今年一年のご厚誼への感謝と、来年のさらなるご発展をお祈り申し上げます。どうぞよい年をお迎えくださいませ。


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    2016年1月 8日 (金)

    宮崎謙介議員の国会議員育休宣言をめぐる議論について

    (2016.2.11 追記 宮崎議員に関する残念な記事が週刊誌に掲載され話題となっています。しかし、彼の行状と、育休取得の是非そのものは、分けて議論していただきたいと切に願います。通りにくい願いであることは十分承知していますが…)

     宮崎謙介衆議院議員が「育休をとる」と宣言したことについてさまざまな議論が起こっています。本人のブログによると、そもそも「男性の育休取得の促進のために一石を投じる」ことを目的としたことですから、メディアに取り上げられ議論になることでそれなりに目的は果たされた面はあるのではないかと思います。

     ただ、その議論の前提となることが、いくつか誤っていることが散見されるためあまり噛み合わず深まっていない面もあるように思います。個人的に議論を眺めていて感じたことを整理して記したいと思います。

    ●育休は「育児休暇」に非ず

     まず本人のブログからして間違っていますが、いわゆる育休は「育児休暇」ではありません。正確には「育児休業」です。育休の根拠法は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」であり、すべて「育児休業」です。

     休暇と休業の違いは、ある論文(神吉知郁子「休日と休暇・休業」)によると「確固たる理由に基づくものではないと考えて差支えない」そうです。ですから間違っていても実際に支障があるわけではないですが、「休暇」という言葉が「ヒマ」という漢字を含み、楽をするようなイメージに繋がって誤解を招いているような気もします。いずれにしても、用語は正しく使いましょう。

    ●国会議員の仕事は、義務ではなく権利である

     育児・介護休業法は、労働者の育児休業等について定めています。労働者とは労働基準法第9条において「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」となっています。また賃金とは、同法第11条において「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」となっています。

     国会議員は、衆議院または参議院に「使用される者」ではありません。衆議院や参議院と契約して議員になっているわけではないのです。したがって労基法における「労働者」ではありません。労働者であれば、一般的には事業主との雇用契約に基づき、労働基準法等の範囲内で労働することが義務付けられます。そしてその例外として育児休業が法律で保障されるという構造になっています。

     一方国会議員は、日本国憲法第43条、および公職選挙法により選挙で当選した者が衆議院議員または参議院議員の地位を得るという形で規定されています。

     しかし国会法のどこを眺めても課せられる義務はありません。例外は第5条の応召義務と、第124条の2の行為規範の遵守義務くらいです(ちなみに第119条では「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」となっています。お互い「無礼の言」を用いないよう気を付けましょうね。>議員諸兄姉)。

     一方で、本会議や委員会への出席、採決への参加などは、議員しか許されません。したがって法律的には、国会議員の議会活動は、法的には義務ではなく、権利にすぎないということです。本会議や委員会にどれだけ休もうと、寝ていようと、法的には全く何の問題もありません。いわんや政党の活動や、自分の後援会活動や選挙運動は、法的には実はまったく根拠のない任意の活動でしかありません。

     もちろん、投票して下さった有権者のご期待に応えるという道義的責任は、全ての議員が背負っているでしょう。しかしそれはまさに次の選挙により選択されるべきことであって、法的な義務ではないのです(なお同時にこれは、どんなに真面目に世の為人の為に頑張っていた議員でも、落選したらただの人という現実の裏返しでもあります。有権者ひとりひとりの選択は、法律よりも重たい。)

    ●歳費は賃金ではない

     同様に、歳費は日本国憲法第49条で保障された権利です。「労働の対償として支払われる」ものではないので、賃金ではありません。これは国会議員の活動の自由を保障するための規定だと考えます。同時に、労働の対価ではないので、どれだけ議員活動をサボっていても受け取ることのできるものという表現も可能です。しかし、これが憲法の規定なのです。国会議員は、それだけ活動の自由を認め保障して頂いていることは肝に銘じなければなりません。

    ●しかし、育休が法律で定められている精神は酌むべき

     育児・介護休業法の第1条は、「子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。」となっています。職業生活と家庭生活の両立は、子の養育や家族の介護を行う者の福祉の増進に繋がるのみならず、経済及び社会の発展に資することなのです。

     この法律は労基法による労働者を対象としていますが、ではいわゆる「労働者」ではない者の職業生活と家庭生活の両立は考えなくてよいのでしょうか?私はそうではないと思います。労働法制は、事業主との間で弱い立場である労働者を保護するための法制ですから、労働者しか対象にしていないだけです。しかし、労基法による労働者ではない職業人は、農林漁業者、商店街の店主さん、医師・弁護士など独立専門職など、日本中にとても沢山おられます。この方々も、この少子化社会の中で、職業生活と家庭生活を両立させることが経済及び社会の発展に資することに繋がることは明白ではないでしょうか?そしてその中には、職業人としての議員も自然に含まれるものだと私は思います。

    ●国会議員にとって育児とは?

     これは個人的な感想になりますが、赤ちゃんと向き合う時間を持つことは、僕にとってとても貴重な経験でした。人として成長する機会でもありましたし、またそのことを通じて多くの方々と出会うきっかけになりました。そしてそのことは、国会議員を務める中で、貴重な糧になっています。子育ては親育て、でした。

     視察や研修等、本来の業務を離れて違う体験をすることで、本来の業務をより豊かにすることは、一般的に認められていることです。個人的には、育児に要する時間も、そういったことと同様に社会は認めるべきことだと思います。育児休業制度は、決して本人が楽になるための制度ではありません。家族はもとより、社会にとっても有用であると社会と国会が認めたからこそ法律になっているのです。その国会議員が育児の時間をとらずして誰が育児に時間を割くのでしょうか?さらには「育児の時間なんか優雅にとって」といった発言を国会議員が行うに至っては、もう一度育児・介護休業法を読み直して頂きたいと思うところです。

     なお「育児は人に任せればいいじゃないか」という声が、他党ならともかく、自民党内から出るのは驚きました。できるのであれば親が子育てに向き合うことが望ましい、というのは一般的に保守的な価値観として党内で共有されていると思っていたのですが。

    ●こうしたことを総合的に勘案すると…

     宮崎議員の問題提起について数々ある意見、とくに否定的なものについて言えば相当的外れなものが含まれていると言わざるを得ません。特に、一般の方が感想として仰るのならともかく、国会議員間でもこうしたことが理解されていないのはいささか首を傾げざるを得ません。

    意見)多くの人が育休なんて取れないのに、ケシカラン!

    橋本の感想)多くの労働者が育休が取れない現状をどうにかするために、育児・介護休業法があるのです。取れない現状が問題なのであって、育休をとろうとする人への批判として不適切です。

    意見)育休をとっても歳費が満額出るのはおかしい!

    橋本の感想)日本国憲法の規定です。憲法改正を提起してください。ただしその際、議員活動の自由の保障をどのように行うのかまで含めて検討してください。なお、被雇用者が育休を取得した場合の給与が幾らになるのかは、各企業の労働契約や規定によります。2/3というのは、雇用保険の育児休業給付金がその水準というだけです。

    意見)私はやりくりして育児した!やればできる筈だ!

    橋本の感想)その努力は大変だっただろうとお察しします。しかし、さまざまな条件(サポートしてくれる家族の有無や家庭・職場の立地など)がそれぞれの家庭ごとにとても異なるということは考慮されるべきですし、そもそもやりくりで話が済んでしまうのなら育児・介護休業法は不要です。

    意見)地元の有権者の声が国政に反映できなくなるのでは?

    橋本の感想)ここは秘書さんたちの出番でしょう。しかも今の時代、電話やファックスやネット等もありますから、本人も在宅でサポートできます。宮崎議員の場合「一か月程度」とのことですから、大きな支障が出るとも思いません。もちろん、災害等非常の場合、あるいは不信任案採決等、政局的に本会議に出席しなければならない場面は、本人がきちんと責任を持って対応することと思います。なお、なんらかの理由で(病気入院等の場合が多いですが)本会議等を、特に公表することなく一定期間欠席する議員は時折おられます。そうした方々に比べ、「育児のため」と事前に理由を明らかにするだけ、宮崎議員は有権者の方々に対して誠実な対応をして志していると思います。

    意見)有権者に理解されないのでは?

    橋本の感想)そもそも、育児休業が法制化されている意味は、ほっといても育児休業が理解されず、進まないからなのです。両親が仕事を休んででも育児に時間を割くことの意義を国民に伝え理解を得る努力をするのは、むしろ同法に賛成した国会議員の務めではないでしょうか。宮崎議員の行動もその一つとして理解できます。そして本当に有権者に理解されない場合、宮崎議員本人が議席を失うリスクを負うのであり、第三者が心配することではありません。「評判を落とす」という注意があった由報道がありますが、仮に政党の幹部がそのような発言をしたとするならば、世の中に育児休業への理解が深まる筈もありません。誠に残念なことです。

    ●実際のところ。

     実のところ、ゴールは極めて簡単なことです。本会議への出席は義務ではなくて権利なので、本人は欠席届を提出して休めばよい。その他のことは法的には何の義務もないし、党内的には差し替え等同僚がフォローすればよいだけです。

     とはいえ産休について規則はあります。衆議院の場合、このようなものです(参議院の規則も似たようなものです)。

    衆議院規則185条②

    議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。

    この「出産のため」を「出産または育児のため」と改正すれば、育休の規則になる、というだけのことです。もちろん衆議院規則の改正は然るべく手続きを踏んで行わなければなりません。それには多くの議員を説得し、同意を得ていく必要があります。実現しようとすると、そうした努力を今後コツコツと取り組むべきでしょう。今回は、宮崎議員がそれをする前に、宣言がメディアに取り上げられ社会の注目を集めてしまったために話がこじれてしまった面もあるようにも思います。

    ●願わくは、、、

     これから結婚しよう、親になろうと思っている若者たちが、今回の騒動で「こんなに厳しいことを言われるんだ」と思って萎縮してしまったら、それは日本社会にとって極めてマイナスです。残念ながら今回の騒動で、与野党を超えてそうした声がメディアで伝えられているのは、個人的にはとても残念で仕方ありません。

     現在の日本は、少子化対策担当の大臣が設けられ、政策目標として出生率向上を掲げなければならない程度に、切迫した状況です。また、女性議員も他国と比較して日本は少なく、いかにして増やすかという議論は、各党で行われているはずです。

     その中で、めでたく結婚をしめでたく子どもを授かった二人の想いが、宮崎議員の宣言には籠っているのであろうと思います。結婚披露宴の〆の本人挨拶で、「未熟者の二人です。間違えることもあるかもしれませんが、ご列席の方々はどうぞご指導ください」みたいなスピーチも珍しくないわけです。国会議員とはいえ、まだこれから初めて親になる二人なのですから、不安な状態にもあるでしょうし、行き届かないことも舌足らずなこともあるでしょう。

     ですから、願わくは人生の先輩方におかれては、彼の主張への賛成・反対は別にしても、自分の苦労を大上段に振りかぶるのではなく、まず若く不安な二人に、暖かく接してあげて頂きたいと思うのです。

    そうした空気が世の中に満ちて、はじめて女性活躍も、地方創生も、一億総活躍も実現するのだと、僕は思います。

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    2015年1月11日 (日)

    平成27年度予算案大臣折衝事項について

     今日は平成27年度予算編成の大詰めとなる大臣折衝が行われました。これは、財務大臣と各省の大臣が直接会って折衝することにより、最後まで意見が合わなかった事項について合意を行うものです。介護報酬改定や障害福祉サービス報酬改定があり、また消費税3%の引き上げ(かつ残り2%の引き上げ延期)分の使途などを含みます。一部だけ切り取って評価される向きもあるため、終了後の厚労相会見で記者に配布された資料のほぼ全文(別紙1は本文に溶かしこみ、別紙2「所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し」は割愛)を掲載します。ご興味の方はどうぞご一読ください。

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    大臣折衝事項


     平成27年度厚生労働省予算について、介護サービス料金改定(介護報酬改定)等、平成27年度の消費税増収分による社会保障の充実・安定化、医療保険制度改革の推進並びに生活困窮者支援および生活保護のため、以下の通り予算措置等を行うこと。

    1.介護サービス料金改定(介護報酬改定)等

     平成27年度の介護サービス料金改定(介護報酬改定)は、介護保険料の上昇の抑制、介護サービスの利用者負担の軽減、介護職員の給料の引き上げ、介護事業者の安定的経営の確保、という4つの視点を踏まえて行う。平成27年度介護サービス料金(介護報酬)の改定率は全体で▲2.27%とするとともに、消費税増税分を活用して、次のとおり対応すること。

    ・月額+1.2万円相当の介護職員処遇改善加算を拡充するため、+1.65%を確保すること。
    ・中重度の要介護者や認知症高齢者に対して良好なサービスを提供する事業所や地域に密着した小規模な事業所に対する加算措置を拡充するため、+0.56%を確保すること。
    ・さらに、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療介護総合確保基金や認知症施策など地域支援事業の充実に十分な財源を確保すること。
     (別紙1より)
     ○地域医療介護総合確保基金による介護施設の整備等 公費700億円程度
     ○認知症施策の推進など地域支援事業の充実 公費200億円程度
    ・収支状況などを反映した適正化等 ▲4.48% (別紙1より)

     サービス毎の介護サービス料金(介護報酬)の設定においては、各サービスの収支状況、施設の規模、地域の状況等に応じ、メリハリをつけて配分を行う。
     また、介護職員処遇改善加算の拡充が確実に職員の処遇改善につながるよう、処遇改善加算の執行の厳格化を行う。
     なお、次回の介護サービス料金改定(介護報酬改定)に向けては、サービスごとの収支差その他の経営実態について、財務諸表の活用の在り方等を含め、より客観性・透明性の高い手法により網羅的に把握できるよう速やかに所要の改善措置を講じ、平成29年度に実施する「介護事業経営実態調査」において確実に反映させる。


    (障害福祉サービス等料金改定(障害福祉サービス等報酬改定))
     平成27年度障害福祉サービス等料金(障害福祉サービス等報酬)の改定率は±0%とすること。
     サービス毎の障害福祉サービス等料金(障害福祉サービス等報酬)の設定においては、月額+1.2万円相当の福祉・介護職員処遇改善加算の拡充(+1.78%)を行うとともに、各サービスの収支状況や事業所の規模等に応じ、メリハリをつけて対応する。また、福祉・介護職員処遇改善加算の拡充が確実に職員の処遇改善につながるよう、処遇改善加算の執行の厳格化を行う。
     なお、次回の障害福祉サービス等料金改定(障害福祉サービス等報酬改定)に向けては、「障害福祉サービス等経営実態調査」の客対数を十分に確保するとともに、サービス毎の収支差その他経営実態について、より客観性・透明性の高い手法により、地域・規模別の状況も含め網羅的に把握できるよう速やかに所要の改善措置を講じ、平成29年度に実施する「障害福祉サービス等経営実態調査」において確実に反映させる。また、地方自治体の協力を得ること等を通じ、より具体的な現場の経営実態を把握する。そのうえで、次回の改定においては、これらにより把握された経営実態等を踏まえ、きめ細かい改定を適切に行う。

    2.社会保障の充実・安定化

     来年度の消費税増収分(8.2兆円程度)は全て社会保障の充実・安定化に向ける。基礎年金国庫負担割合2分の1への引き上げの恒久化に3.02兆円を充てた上で、消費税増収分1.35兆円と社会保障改革プログラム法等に基づく重点化・効率化による財政効果を活用し、社会保障の充実1.36兆円と簡素な給付0.13兆円を措置すること。
     その中で、平成27年4月からの子ども・子育て支援新制度の円滑な施行に向けて予定していた「量的拡充」及び「質の改善」を全て実施するための十分な予算措置を行うこと。また、国民健康保険への財政支援の拡充を含む医療・介護サービス提供体制の改革の推進に必要な事項に重点的な予算措置を行うこと。
     低所得者に対する介護保険の1号保険料の軽減強化については、特に所得の低い者に対する措置の一部について平成27年度から実施すること。介護保険料軽減強化の残余の措置、低所得者への年金の福祉的給付及び年金受給資格期間の短縮については、消費税率10%引き上げ時(平成29年4月)に、後期高齢者の保険料軽減特例を原則的に本則に戻すこととあわせて、着実に実施すること。

    (参考)平成27年度の社会保障の充実1.36兆円(公費ベース)の内容
    ・子ども・子育て支援の「量的拡充」及び「質の改善(0.7兆円ベースを全て実施)」(5,100億円程度)
    ・育児休業中の経済的支援の強化(60億円程度)
    ・地域医療介護総合確保基金(医療分900億円程度、介護分700億円程度)
    ・平成26年度診療報酬改定における消費税財源の活用分(400億円程度)
    ・介護報酬における介護職員の処遇改善・質の高いサービスに対する加算等(1,100億円程度)
    ・国民健康保険等の低所得者保険料軽減措置の拡充(600億円程度)
    ・国民健康保険への財政支援の拡充(1,900億円程度)
    ・被用者保険の拠出金に対する支援(100億円程度)
    ・高額療養費制度の見直し(250億円程度)
    ・介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化(200億円程度)
    ・難病・小児慢性特定疾病への対応(2,000億円程度)
    ・年金制度の改善(20億円程度)

    3.医療保険制度改革の推進に関する予算関連事項
     次期通常国会に提出予定の医療保険制度改革関連法案において国民健康保険の財政基盤安定化・財政運営責任の都道府県移行、医療費適正化計画の見直し、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入等の医療保険制度改革を着実に進めること。その関連において、予算に関連する以下の事項について、それぞれ記載の取扱いとすること。

    (協会けんぽに対する国庫補助)
     国庫補助率の特例措置が平成26年度末で期限切れとなる協会けんぽについては、医療保険制度改革において、国庫補助率を当分の間16.4%と定め、その安定化を図ること。ただし、現下の経済情勢、財政状況等を踏まえ、準備金残高が法定準備金を超えて積み上がっていく場合に、新たな超過分の国庫補助相当額を翌年度減額する特例措置を講じること。

    平成27年度:国庫補助は、法定準備金を超過する準備金の16.4%相当を減額
    平成28年度以降:法定準備金を超過する準備金残高がある場合において、さらに準備金が積み上がるときは、さらに積み上がる新たな超過分の16.4%相当を翌年度の国庫補助から減額

    (入院時食事療養費等の見直し)
     入院時の食事代(現行:1食260円)について、入院と在宅療養の負担の公平等を図る観点から、食材費相当額に加え、調理費相当額の負担を求めることとし、平成28年度から1食360円、平成30年度から1食460円に段階的に引き上げること。ただし、低所得者は引き上げを行わず、難病患者、小児慢性特定疾病患者は現在の負担額を据え置くこと。

    (所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し)
     所得水準の高い国保組合の国庫補助について、負担能力に応じた負担とする観点から、平成28年度から5年かけて段階的に見直すこととし、所得水準に応じて13%から32%の補助率等とすること。

    4.生活困窮者支援及び生活保護

     平成27年4月に施行される生活困窮者自立支援制度については、生活保護制度と一体的に運用する中で、複合的な課題を有する生活困窮者の自立支援に効果を上げていくことが必要である。また、自治体での準備が着実に進むよう引き続き万全を期すこととし、本制度を適切に実施するため、必要な財政措置を講じること(400億円程度(国費ベース))
     住宅扶助基準及び冬季加算については、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、最低生活の維持に支障が生じないよう必要な配慮をしつつ、以下の見直しを行う。

    ・住宅扶助基準については、各地域によける家賃実態を反映し、最低居住面積水準を満たす民営借家を一定程度確保可能な水準としつつ、近年の家賃物価の動向等も踏まえて見直す(国費への影響額は平年度▲190億円程度)。
    ・冬季加算については、一般低所得世帯における冬季に増加する光熱費支出額の地区別の実態や、近年の光熱費物価の動向等を踏まえて見直す(国費への影響額は▲30億円程度)。

     また、医療扶助の適正化や就労支援の取り組みを着実に進め、その効果を事後的に適切に検証する。
     生活保護受給者の高止まりについては、高齢化の進展の影響が大きいものの、雇用環境が大幅に改善する中で経済的自立による保護脱却が若干好転しつつも十分に進んでいないことも要因となっている。
     こうした状況を踏まえ、高齢者や障害者世帯など生活保護受給者の様態に留意しつつ、最低限度の生活を保障し自立を助長するとの生活保護法の趣旨にかんがみ、次期生活扶助基準の検証(平成29年度)にあわせ、年齢、世帯類型、地域実態等を踏まえた保護のあり方や更なる自立促進のための施策等の制度全般について予断無く検討し、必要な見直しを行う。

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    2010年6月14日 (月)

    子ども・子育て新システムについて

     4月27日に、民主党政権は「子ども・子育て新システムの基本的方向性」を発表した。これまで「子ども手当」や「幼保一体化」といった方向性の言葉だけが示されていたが、ようやく具体的な形となって示された。これを最近勉強する機会があったのだが、正直、問題山積みだ。これではやっぱり政権を任せられないとの思いを強くした。

     例をあげる。「利用者(子ども)中心の抜本的な制度改革」という素敵なお題目のもと、「客観的な基準に基づき保育の必要性の認定・地位の付与」といきなり書いてある。これはどういうことかというと、行政が、それぞれの子どもや家庭を評価して、程度区分を行う仕組みを導入するということだ。具体的には、収入や両親の状況などが「客観的に」評価される。厳しい状況になればなるほど、給付が増えることになるのだろう。こういう仕組みになるとどうなるか。

     厳しい生活の中でなんとか子育てしている家庭。少しでも給付が増える方が助かる。その時、おそらく離婚した方が行政からの給付が増えるのだ。さて、この仕組みがきっかけとなって離婚が増えたら、本当にそれは「子ども中心」と言えるのだろうか?「あなたを育てるために私たちは離婚したの」と言われて傷つかない子はいないと思うのだが。

     離婚を促すような仕組みをつくっておいて「子ども中心」などというタワゴトは決して許されるものではない。またこの仕組みは、実は障害者自立支援法と同じ枠組み(いくつかの点で介護保険とも似てる)であり、僕らは当時の与党として同じような批判を当時野党のみなさんや多くの方からいただき、結局修正の方向に動いているものだ。だからこそ僕らとしては、その反省に立ち再び同じ過ちが繰り返されることは看過できないのだ。

     厚生労働省は政権交代が起ころうとも相変わらず役所の作文を書いているし、長妻大臣は年金以外はわからない模様で政治主導といいながら民主党もチェックできなかったらしい。僕らには失敗の経験がある。これを生かすのは今だと思う。この「子ども・子育て新システム」は他にもツッコミどころは満載だが、長くなるのでこの辺で。詳細はいつでもお話します。

     保育園のニーズは高く整備は必要。子育てに対する様々な支援も、現状では充実しなければならない。自民党もそこはマニフェストに掲げる。だけど、だからと言って子育ては本来はまず「親」の責任であり、その次に親が生活上カバーできない点を行政やその現場としての保育園や幼稚園が責任を持つという順番を履き違えてはならない。すくなくとも子どもにとって、親と安心して生活できることが何よりの安心のもと。それを引き離すような政策は本末転倒であり家庭崩壊のもとであり、子どもが荒れれば学級崩壊、そのうちきっと国家崩壊となるものだ。

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