05.子育て・青少年・少子化

2016年1月 8日 (金)

宮崎謙介議員の国会議員育休宣言をめぐる議論について

(2016.2.11 追記 宮崎議員に関する残念な記事が週刊誌に掲載され話題となっています。しかし、彼の行状と、育休取得の是非そのものは、分けて議論していただきたいと切に願います。通りにくい願いであることは十分承知していますが…)

 宮崎謙介衆議院議員が「育休をとる」と宣言したことについてさまざまな議論が起こっています。本人のブログによると、そもそも「男性の育休取得の促進のために一石を投じる」ことを目的としたことですから、メディアに取り上げられ議論になることでそれなりに目的は果たされた面はあるのではないかと思います。

 ただ、その議論の前提となることが、いくつか誤っていることが散見されるためあまり噛み合わず深まっていない面もあるように思います。個人的に議論を眺めていて感じたことを整理して記したいと思います。

●育休は「育児休暇」に非ず

 まず本人のブログからして間違っていますが、いわゆる育休は「育児休暇」ではありません。正確には「育児休業」です。育休の根拠法は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」であり、すべて「育児休業」です。

 休暇と休業の違いは、ある論文(神吉知郁子「休日と休暇・休業」)によると「確固たる理由に基づくものではないと考えて差支えない」そうです。ですから間違っていても実際に支障があるわけではないですが、「休暇」という言葉が「ヒマ」という漢字を含み、楽をするようなイメージに繋がって誤解を招いているような気もします。いずれにしても、用語は正しく使いましょう。

●国会議員の仕事は、義務ではなく権利である

 育児・介護休業法は、労働者の育児休業等について定めています。労働者とは労働基準法第9条において「職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」となっています。また賃金とは、同法第11条において「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」となっています。

 国会議員は、衆議院または参議院に「使用される者」ではありません。衆議院や参議院と契約して議員になっているわけではないのです。したがって労基法における「労働者」ではありません。労働者であれば、一般的には事業主との雇用契約に基づき、労働基準法等の範囲内で労働することが義務付けられます。そしてその例外として育児休業が法律で保障されるという構造になっています。

 一方国会議員は、日本国憲法第43条、および公職選挙法により選挙で当選した者が衆議院議員または参議院議員の地位を得るという形で規定されています。

 しかし国会法のどこを眺めても課せられる義務はありません。例外は第5条の応召義務と、第124条の2の行為規範の遵守義務くらいです(ちなみに第119条では「各議院において、無礼の言を用い、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」となっています。お互い「無礼の言」を用いないよう気を付けましょうね。>議員諸兄姉)。

 一方で、本会議や委員会への出席、採決への参加などは、議員しか許されません。したがって法律的には、国会議員の議会活動は、法的には義務ではなく、権利にすぎないということです。本会議や委員会にどれだけ休もうと、寝ていようと、法的には全く何の問題もありません。いわんや政党の活動や、自分の後援会活動や選挙運動は、法的には実はまったく根拠のない任意の活動でしかありません。

 もちろん、投票して下さった有権者のご期待に応えるという道義的責任は、全ての議員が背負っているでしょう。しかしそれはまさに次の選挙により選択されるべきことであって、法的な義務ではないのです(なお同時にこれは、どんなに真面目に世の為人の為に頑張っていた議員でも、落選したらただの人という現実の裏返しでもあります。有権者ひとりひとりの選択は、法律よりも重たい。)

●歳費は賃金ではない

 同様に、歳費は日本国憲法第49条で保障された権利です。「労働の対償として支払われる」ものではないので、賃金ではありません。これは国会議員の活動の自由を保障するための規定だと考えます。同時に、労働の対価ではないので、どれだけ議員活動をサボっていても受け取ることのできるものという表現も可能です。しかし、これが憲法の規定なのです。国会議員は、それだけ活動の自由を認め保障して頂いていることは肝に銘じなければなりません。

●しかし、育休が法律で定められている精神は酌むべき

 育児・介護休業法の第1条は、「子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする。」となっています。職業生活と家庭生活の両立は、子の養育や家族の介護を行う者の福祉の増進に繋がるのみならず、経済及び社会の発展に資することなのです。

 この法律は労基法による労働者を対象としていますが、ではいわゆる「労働者」ではない者の職業生活と家庭生活の両立は考えなくてよいのでしょうか?私はそうではないと思います。労働法制は、事業主との間で弱い立場である労働者を保護するための法制ですから、労働者しか対象にしていないだけです。しかし、労基法による労働者ではない職業人は、農林漁業者、商店街の店主さん、医師・弁護士など独立専門職など、日本中にとても沢山おられます。この方々も、この少子化社会の中で、職業生活と家庭生活を両立させることが経済及び社会の発展に資することに繋がることは明白ではないでしょうか?そしてその中には、職業人としての議員も自然に含まれるものだと私は思います。

●国会議員にとって育児とは?

 これは個人的な感想になりますが、赤ちゃんと向き合う時間を持つことは、僕にとってとても貴重な経験でした。人として成長する機会でもありましたし、またそのことを通じて多くの方々と出会うきっかけになりました。そしてそのことは、国会議員を務める中で、貴重な糧になっています。子育ては親育て、でした。

 視察や研修等、本来の業務を離れて違う体験をすることで、本来の業務をより豊かにすることは、一般的に認められていることです。個人的には、育児に要する時間も、そういったことと同様に社会は認めるべきことだと思います。育児休業制度は、決して本人が楽になるための制度ではありません。家族はもとより、社会にとっても有用であると社会と国会が認めたからこそ法律になっているのです。その国会議員が育児の時間をとらずして誰が育児に時間を割くのでしょうか?さらには「育児の時間なんか優雅にとって」といった発言を国会議員が行うに至っては、もう一度育児・介護休業法を読み直して頂きたいと思うところです。

 なお「育児は人に任せればいいじゃないか」という声が、他党ならともかく、自民党内から出るのは驚きました。できるのであれば親が子育てに向き合うことが望ましい、というのは一般的に保守的な価値観として党内で共有されていると思っていたのですが。

●こうしたことを総合的に勘案すると…

 宮崎議員の問題提起について数々ある意見、とくに否定的なものについて言えば相当的外れなものが含まれていると言わざるを得ません。特に、一般の方が感想として仰るのならともかく、国会議員間でもこうしたことが理解されていないのはいささか首を傾げざるを得ません。

意見)多くの人が育休なんて取れないのに、ケシカラン!

橋本の感想)多くの労働者が育休が取れない現状をどうにかするために、育児・介護休業法があるのです。取れない現状が問題なのであって、育休をとろうとする人への批判として不適切です。

意見)育休をとっても歳費が満額出るのはおかしい!

橋本の感想)日本国憲法の規定です。憲法改正を提起してください。ただしその際、議員活動の自由の保障をどのように行うのかまで含めて検討してください。なお、被雇用者が育休を取得した場合の給与が幾らになるのかは、各企業の労働契約や規定によります。2/3というのは、雇用保険の育児休業給付金がその水準というだけです。

意見)私はやりくりして育児した!やればできる筈だ!

橋本の感想)その努力は大変だっただろうとお察しします。しかし、さまざまな条件(サポートしてくれる家族の有無や家庭・職場の立地など)がそれぞれの家庭ごとにとても異なるということは考慮されるべきですし、そもそもやりくりで話が済んでしまうのなら育児・介護休業法は不要です。

意見)地元の有権者の声が国政に反映できなくなるのでは?

橋本の感想)ここは秘書さんたちの出番でしょう。しかも今の時代、電話やファックスやネット等もありますから、本人も在宅でサポートできます。宮崎議員の場合「一か月程度」とのことですから、大きな支障が出るとも思いません。もちろん、災害等非常の場合、あるいは不信任案採決等、政局的に本会議に出席しなければならない場面は、本人がきちんと責任を持って対応することと思います。なお、なんらかの理由で(病気入院等の場合が多いですが)本会議等を、特に公表することなく一定期間欠席する議員は時折おられます。そうした方々に比べ、「育児のため」と事前に理由を明らかにするだけ、宮崎議員は有権者の方々に対して誠実な対応をして志していると思います。

意見)有権者に理解されないのでは?

橋本の感想)そもそも、育児休業が法制化されている意味は、ほっといても育児休業が理解されず、進まないからなのです。両親が仕事を休んででも育児に時間を割くことの意義を国民に伝え理解を得る努力をするのは、むしろ同法に賛成した国会議員の務めではないでしょうか。宮崎議員の行動もその一つとして理解できます。そして本当に有権者に理解されない場合、宮崎議員本人が議席を失うリスクを負うのであり、第三者が心配することではありません。「評判を落とす」という注意があった由報道がありますが、仮に政党の幹部がそのような発言をしたとするならば、世の中に育児休業への理解が深まる筈もありません。誠に残念なことです。

●実際のところ。

 実のところ、ゴールは極めて簡単なことです。本会議への出席は義務ではなくて権利なので、本人は欠席届を提出して休めばよい。その他のことは法的には何の義務もないし、党内的には差し替え等同僚がフォローすればよいだけです。

 とはいえ産休について規則はあります。衆議院の場合、このようなものです(参議院の規則も似たようなものです)。

衆議院規則185条②

議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。

この「出産のため」を「出産または育児のため」と改正すれば、育休の規則になる、というだけのことです。もちろん衆議院規則の改正は然るべく手続きを踏んで行わなければなりません。それには多くの議員を説得し、同意を得ていく必要があります。実現しようとすると、そうした努力を今後コツコツと取り組むべきでしょう。今回は、宮崎議員がそれをする前に、宣言がメディアに取り上げられ社会の注目を集めてしまったために話がこじれてしまった面もあるようにも思います。

●願わくは、、、

 これから結婚しよう、親になろうと思っている若者たちが、今回の騒動で「こんなに厳しいことを言われるんだ」と思って萎縮してしまったら、それは日本社会にとって極めてマイナスです。残念ながら今回の騒動で、与野党を超えてそうした声がメディアで伝えられているのは、個人的にはとても残念で仕方ありません。

 現在の日本は、少子化対策担当の大臣が設けられ、政策目標として出生率向上を掲げなければならない程度に、切迫した状況です。また、女性議員も他国と比較して日本は少なく、いかにして増やすかという議論は、各党で行われているはずです。

 その中で、めでたく結婚をしめでたく子どもを授かった二人の想いが、宮崎議員の宣言には籠っているのであろうと思います。結婚披露宴の〆の本人挨拶で、「未熟者の二人です。間違えることもあるかもしれませんが、ご列席の方々はどうぞご指導ください」みたいなスピーチも珍しくないわけです。国会議員とはいえ、まだこれから初めて親になる二人なのですから、不安な状態にもあるでしょうし、行き届かないことも舌足らずなこともあるでしょう。

 ですから、願わくは人生の先輩方におかれては、彼の主張への賛成・反対は別にしても、自分の苦労を大上段に振りかぶるのではなく、まず若く不安な二人に、暖かく接してあげて頂きたいと思うのです。

そうした空気が世の中に満ちて、はじめて女性活躍も、地方創生も、一億総活躍も実現するのだと、僕は思います。

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2015年1月11日 (日)

平成27年度予算案大臣折衝事項について

 今日は平成27年度予算編成の大詰めとなる大臣折衝が行われました。これは、財務大臣と各省の大臣が直接会って折衝することにより、最後まで意見が合わなかった事項について合意を行うものです。介護報酬改定や障害福祉サービス報酬改定があり、また消費税3%の引き上げ(かつ残り2%の引き上げ延期)分の使途などを含みます。一部だけ切り取って評価される向きもあるため、終了後の厚労相会見で記者に配布された資料のほぼ全文(別紙1は本文に溶かしこみ、別紙2「所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し」は割愛)を掲載します。ご興味の方はどうぞご一読ください。

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大臣折衝事項


 平成27年度厚生労働省予算について、介護サービス料金改定(介護報酬改定)等、平成27年度の消費税増収分による社会保障の充実・安定化、医療保険制度改革の推進並びに生活困窮者支援および生活保護のため、以下の通り予算措置等を行うこと。

1.介護サービス料金改定(介護報酬改定)等

 平成27年度の介護サービス料金改定(介護報酬改定)は、介護保険料の上昇の抑制、介護サービスの利用者負担の軽減、介護職員の給料の引き上げ、介護事業者の安定的経営の確保、という4つの視点を踏まえて行う。平成27年度介護サービス料金(介護報酬)の改定率は全体で▲2.27%とするとともに、消費税増税分を活用して、次のとおり対応すること。

・月額+1.2万円相当の介護職員処遇改善加算を拡充するため、+1.65%を確保すること。
・中重度の要介護者や認知症高齢者に対して良好なサービスを提供する事業所や地域に密着した小規模な事業所に対する加算措置を拡充するため、+0.56%を確保すること。
・さらに、地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域医療介護総合確保基金や認知症施策など地域支援事業の充実に十分な財源を確保すること。
 (別紙1より)
 ○地域医療介護総合確保基金による介護施設の整備等 公費700億円程度
 ○認知症施策の推進など地域支援事業の充実 公費200億円程度
・収支状況などを反映した適正化等 ▲4.48% (別紙1より)

 サービス毎の介護サービス料金(介護報酬)の設定においては、各サービスの収支状況、施設の規模、地域の状況等に応じ、メリハリをつけて配分を行う。
 また、介護職員処遇改善加算の拡充が確実に職員の処遇改善につながるよう、処遇改善加算の執行の厳格化を行う。
 なお、次回の介護サービス料金改定(介護報酬改定)に向けては、サービスごとの収支差その他の経営実態について、財務諸表の活用の在り方等を含め、より客観性・透明性の高い手法により網羅的に把握できるよう速やかに所要の改善措置を講じ、平成29年度に実施する「介護事業経営実態調査」において確実に反映させる。


(障害福祉サービス等料金改定(障害福祉サービス等報酬改定))
 平成27年度障害福祉サービス等料金(障害福祉サービス等報酬)の改定率は±0%とすること。
 サービス毎の障害福祉サービス等料金(障害福祉サービス等報酬)の設定においては、月額+1.2万円相当の福祉・介護職員処遇改善加算の拡充(+1.78%)を行うとともに、各サービスの収支状況や事業所の規模等に応じ、メリハリをつけて対応する。また、福祉・介護職員処遇改善加算の拡充が確実に職員の処遇改善につながるよう、処遇改善加算の執行の厳格化を行う。
 なお、次回の障害福祉サービス等料金改定(障害福祉サービス等報酬改定)に向けては、「障害福祉サービス等経営実態調査」の客対数を十分に確保するとともに、サービス毎の収支差その他経営実態について、より客観性・透明性の高い手法により、地域・規模別の状況も含め網羅的に把握できるよう速やかに所要の改善措置を講じ、平成29年度に実施する「障害福祉サービス等経営実態調査」において確実に反映させる。また、地方自治体の協力を得ること等を通じ、より具体的な現場の経営実態を把握する。そのうえで、次回の改定においては、これらにより把握された経営実態等を踏まえ、きめ細かい改定を適切に行う。

2.社会保障の充実・安定化

 来年度の消費税増収分(8.2兆円程度)は全て社会保障の充実・安定化に向ける。基礎年金国庫負担割合2分の1への引き上げの恒久化に3.02兆円を充てた上で、消費税増収分1.35兆円と社会保障改革プログラム法等に基づく重点化・効率化による財政効果を活用し、社会保障の充実1.36兆円と簡素な給付0.13兆円を措置すること。
 その中で、平成27年4月からの子ども・子育て支援新制度の円滑な施行に向けて予定していた「量的拡充」及び「質の改善」を全て実施するための十分な予算措置を行うこと。また、国民健康保険への財政支援の拡充を含む医療・介護サービス提供体制の改革の推進に必要な事項に重点的な予算措置を行うこと。
 低所得者に対する介護保険の1号保険料の軽減強化については、特に所得の低い者に対する措置の一部について平成27年度から実施すること。介護保険料軽減強化の残余の措置、低所得者への年金の福祉的給付及び年金受給資格期間の短縮については、消費税率10%引き上げ時(平成29年4月)に、後期高齢者の保険料軽減特例を原則的に本則に戻すこととあわせて、着実に実施すること。

(参考)平成27年度の社会保障の充実1.36兆円(公費ベース)の内容
・子ども・子育て支援の「量的拡充」及び「質の改善(0.7兆円ベースを全て実施)」(5,100億円程度)
・育児休業中の経済的支援の強化(60億円程度)
・地域医療介護総合確保基金(医療分900億円程度、介護分700億円程度)
・平成26年度診療報酬改定における消費税財源の活用分(400億円程度)
・介護報酬における介護職員の処遇改善・質の高いサービスに対する加算等(1,100億円程度)
・国民健康保険等の低所得者保険料軽減措置の拡充(600億円程度)
・国民健康保険への財政支援の拡充(1,900億円程度)
・被用者保険の拠出金に対する支援(100億円程度)
・高額療養費制度の見直し(250億円程度)
・介護保険の1号保険料の低所得者軽減強化(200億円程度)
・難病・小児慢性特定疾病への対応(2,000億円程度)
・年金制度の改善(20億円程度)

3.医療保険制度改革の推進に関する予算関連事項
 次期通常国会に提出予定の医療保険制度改革関連法案において国民健康保険の財政基盤安定化・財政運営責任の都道府県移行、医療費適正化計画の見直し、後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入等の医療保険制度改革を着実に進めること。その関連において、予算に関連する以下の事項について、それぞれ記載の取扱いとすること。

(協会けんぽに対する国庫補助)
 国庫補助率の特例措置が平成26年度末で期限切れとなる協会けんぽについては、医療保険制度改革において、国庫補助率を当分の間16.4%と定め、その安定化を図ること。ただし、現下の経済情勢、財政状況等を踏まえ、準備金残高が法定準備金を超えて積み上がっていく場合に、新たな超過分の国庫補助相当額を翌年度減額する特例措置を講じること。

平成27年度:国庫補助は、法定準備金を超過する準備金の16.4%相当を減額
平成28年度以降:法定準備金を超過する準備金残高がある場合において、さらに準備金が積み上がるときは、さらに積み上がる新たな超過分の16.4%相当を翌年度の国庫補助から減額

(入院時食事療養費等の見直し)
 入院時の食事代(現行:1食260円)について、入院と在宅療養の負担の公平等を図る観点から、食材費相当額に加え、調理費相当額の負担を求めることとし、平成28年度から1食360円、平成30年度から1食460円に段階的に引き上げること。ただし、低所得者は引き上げを行わず、難病患者、小児慢性特定疾病患者は現在の負担額を据え置くこと。

(所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し)
 所得水準の高い国保組合の国庫補助について、負担能力に応じた負担とする観点から、平成28年度から5年かけて段階的に見直すこととし、所得水準に応じて13%から32%の補助率等とすること。

4.生活困窮者支援及び生活保護

 平成27年4月に施行される生活困窮者自立支援制度については、生活保護制度と一体的に運用する中で、複合的な課題を有する生活困窮者の自立支援に効果を上げていくことが必要である。また、自治体での準備が着実に進むよう引き続き万全を期すこととし、本制度を適切に実施するため、必要な財政措置を講じること(400億円程度(国費ベース))
 住宅扶助基準及び冬季加算については、社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果を踏まえ、最低生活の維持に支障が生じないよう必要な配慮をしつつ、以下の見直しを行う。

・住宅扶助基準については、各地域によける家賃実態を反映し、最低居住面積水準を満たす民営借家を一定程度確保可能な水準としつつ、近年の家賃物価の動向等も踏まえて見直す(国費への影響額は平年度▲190億円程度)。
・冬季加算については、一般低所得世帯における冬季に増加する光熱費支出額の地区別の実態や、近年の光熱費物価の動向等を踏まえて見直す(国費への影響額は▲30億円程度)。

 また、医療扶助の適正化や就労支援の取り組みを着実に進め、その効果を事後的に適切に検証する。
 生活保護受給者の高止まりについては、高齢化の進展の影響が大きいものの、雇用環境が大幅に改善する中で経済的自立による保護脱却が若干好転しつつも十分に進んでいないことも要因となっている。
 こうした状況を踏まえ、高齢者や障害者世帯など生活保護受給者の様態に留意しつつ、最低限度の生活を保障し自立を助長するとの生活保護法の趣旨にかんがみ、次期生活扶助基準の検証(平成29年度)にあわせ、年齢、世帯類型、地域実態等を踏まえた保護のあり方や更なる自立促進のための施策等の制度全般について予断無く検討し、必要な見直しを行う。

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2010年6月14日 (月)

子ども・子育て新システムについて

 4月27日に、民主党政権は「子ども・子育て新システムの基本的方向性」を発表した。これまで「子ども手当」や「幼保一体化」といった方向性の言葉だけが示されていたが、ようやく具体的な形となって示された。これを最近勉強する機会があったのだが、正直、問題山積みだ。これではやっぱり政権を任せられないとの思いを強くした。

 例をあげる。「利用者(子ども)中心の抜本的な制度改革」という素敵なお題目のもと、「客観的な基準に基づき保育の必要性の認定・地位の付与」といきなり書いてある。これはどういうことかというと、行政が、それぞれの子どもや家庭を評価して、程度区分を行う仕組みを導入するということだ。具体的には、収入や両親の状況などが「客観的に」評価される。厳しい状況になればなるほど、給付が増えることになるのだろう。こういう仕組みになるとどうなるか。

 厳しい生活の中でなんとか子育てしている家庭。少しでも給付が増える方が助かる。その時、おそらく離婚した方が行政からの給付が増えるのだ。さて、この仕組みがきっかけとなって離婚が増えたら、本当にそれは「子ども中心」と言えるのだろうか?「あなたを育てるために私たちは離婚したの」と言われて傷つかない子はいないと思うのだが。

 離婚を促すような仕組みをつくっておいて「子ども中心」などというタワゴトは決して許されるものではない。またこの仕組みは、実は障害者自立支援法と同じ枠組み(いくつかの点で介護保険とも似てる)であり、僕らは当時の与党として同じような批判を当時野党のみなさんや多くの方からいただき、結局修正の方向に動いているものだ。だからこそ僕らとしては、その反省に立ち再び同じ過ちが繰り返されることは看過できないのだ。

 厚生労働省は政権交代が起ころうとも相変わらず役所の作文を書いているし、長妻大臣は年金以外はわからない模様で政治主導といいながら民主党もチェックできなかったらしい。僕らには失敗の経験がある。これを生かすのは今だと思う。この「子ども・子育て新システム」は他にもツッコミどころは満載だが、長くなるのでこの辺で。詳細はいつでもお話します。

 保育園のニーズは高く整備は必要。子育てに対する様々な支援も、現状では充実しなければならない。自民党もそこはマニフェストに掲げる。だけど、だからと言って子育ては本来はまず「親」の責任であり、その次に親が生活上カバーできない点を行政やその現場としての保育園や幼稚園が責任を持つという順番を履き違えてはならない。すくなくとも子どもにとって、親と安心して生活できることが何よりの安心のもと。それを引き離すような政策は本末転倒であり家庭崩壊のもとであり、子どもが荒れれば学級崩壊、そのうちきっと国家崩壊となるものだ。

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2009年10月 9日 (金)

FM番組はじめました

実はこのたび、FMくらしき(82.8MHz)にて番組を持つことになった。題して『がくとえりこの子育ての話』。妻栄里子と二人でパーソナリティを務め、いろいろなゲストをお招きして倉敷を中心とした子育て情報を伺い、子育て中のパパさん・ママさんたちのお役にたてば…と思って始めることになった。選挙の結果が出て、これからどんな活動をしようかと考えていた際に出たアイディアが、スポンサーさんをはじめいろいろな方のご協力をいただいてトントン拍子に実現することになったのだ。ご関係の皆さま、ありがとうございます!

また、年初めにも今年の目標として「今年は『子ども』を政策テーマとして取り組む。」と書いていた。議員ではなくなったが、折角誓ったのだからできることには取り組みたい。そういう想いもあった。

さて今日がその第一回目。ラジオのパーソナリティは初めてで、正直緊張した!でもゲストの小谷かなりや第二保育園の小谷園長先生ご夫妻や倉敷JCの小野さんの絶妙なトークに助けられた気がする。妻との夫婦漫才も、始まる前は二人ともかなりナーバスになっていたが、まあなんとかなったかな?来週は助産師の藤原先生と、NPO法人子育て応援ひろばぽっかぽかの田口さんにお越しをいただく予定だ。

ということで、これから半年間、第二・第四・第五金曜日の午後2時~3時の一時間、FMくらしきにて『がくとえりこの子育ての話』、しっかりお届けします。次回は23日(金)。お楽しみに!

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(写真:生放送中の風景。奥はゲストの小谷先生ご夫妻。)

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2009年6月28日 (日)

心を育てる保育

 昨27日、保育園の先生方による後援会の総会があった。そこでゲストとして来場された「まあせんせい」こと扇こころ保育園の菊池政隆先生のお話を伺った。当選して半年後くらいに、当時勤務されていた保育園に視察に伺ったご縁がある。

 菊池先生は、創作された手遊び歌とその実習、またご自身の保育体験でのエピソードや作詞された素敵な歌などを交えながら、

・子どもは、先生がいるからこそ保育園に来てくれる。
・子どもを笑顔にして家に帰してあげれば、親も安心する。
・保育は、子どもの心を育て、日本の将来を変えることができる。

 といったメッセージを私たちに伝えてくださり、「知育」「食育」の次は「心育」が必要!と締めてくださった。

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(写真:講演するまあせんせい。イケメンです。)

 先日このブログで、親がイライラする通園風景について記した。家庭がそういう状況であればこそ、保育園(もちろん幼稚園や小学校だって同様であろう)で子どもの心を慈しみ育てる余裕というものが大事になる。それを守っていくのが僕らの仕事だ。そういうことを再認識するいい機会になった。来場されていた保育士さんたちにも励みになったことだろう。まあせんせい、ありがとう。

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2009年6月19日 (金)

骨太の方針2009

 来年度予算編成の基礎となる「骨太の方針2009」について、概ね固まってきた模様。記述の通り、党政調全体会議等にていくつか僕から要望した点もあるので補足する。ただし僕が見ているのは決定された最終版ではないので念のため。

(21日追記。党総務会にて2200億円削減の件でペンディングになった模様。がんばれ津島雄二、尾辻秀久両議員)

○幼児教育、保育の総合化

 「幼児教育、保育の総合化を図る」という文言は「幼児教育、保育のサービスの充実・効率化・総合的な提供を推進する」とされた。
 内閣府の担当者に一つ一つ詰めて確認したところ、「総合的な提供」とは「認定こども園の増加、幼稚園における預かりサービスの拡充」のこと。また「効率化」とは、充実を前提としており、「定員の弾力化や、今回の補正予算で安心こども基金に加わった送迎センター(定員割れの保育所への送り迎えを行う)を想定」とのこと。
 「一元化」の問題で議論となったが、そういう意味ではないと明言された。誤解を招くことは回避されたのではないか。

○死因究明制度

 これについては結局「犯罪の見逃し防止及び公衆衛生の向上のため、法整備に向けた動きも踏まえつつ、死因究明制度に係る施策を着実に推進する。」となった。要望を汲んで議連の動きにも触れられており、二重丸の結果である。あとは法制化の準備を進めるのみ。選挙後になるだろうが。

○医師養成数

 これまであった偏在是正の記載とともに、「医師等人材確保対策を講じる」という記述がされた。「中期プログラム」では「医師等人材確保策」として医師養成数の増加と書いてあるので、そのように読めということだ。

○社会保障費2200億円削減

 これについては、残念ながら「基本方針2006」という文字自体は残ってしまった。完全に財政再建の旗を降ろすわけにはいかんということだろう。ただし正確には「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ、安心と活力の両立を目指して現下の経済社会情勢への必要な対応等を行う。」という記載となり、これまでの記載(「『基本方針2006』の方針を堅持し」等)からは相当緩い表現となっている。「経済情勢」だけでなく、「社会情勢」まで含まれたことも注目。また例外規定をわざわざ書きこんでおり、来年度予算ではそこを活かすことを示唆している。

 園田政調会長代理は既に来年度予算では2200億円削減は行わない、診療報酬は上げることを明言している。また別項の「当面の最優先課題」にて、「社会保障の『ほころび』の修復なしに政府への信頼回復はない」という認識が示されており、これは年金の問題や医療・介護の問題を示唆している。そういう意味では、これらの記述により来年度予算編成においてはこの分野に相当重点を置くものと期待できるだろう。

 ただ再来年以降については議論が持ち越しとなってしまった。引き続き注意が必要だ。財政再建の旗を降ろすわけにはいかないという苦労もわかるのだが、、、、。

 この件については、尾辻秀久・参院議員会長と園田博之・政調会長代理の間で怒鳴りあいに近いやりとりになり、最終的には保利耕輔・政調会長が「私が責任を持ちます」と引き取った経緯がある。自民党の中でも大きな争点になっているのだ。

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2009年6月10日 (水)

「骨太の方針」素案について議論

 9日朝飛行機で上京。午後は衆院本会議にて臓器移植法改正4案に関する中間報告。田村憲久・衆院厚生労働委員長が審議内容等について詳細に報告し、各案提案者が発言を行った。さすがに普段よりも厳粛な雰囲気が本会議場に漂う。来週にも採決される見通しか。終了後、与党道州制特区法PT、異状死議連関係の説明、衆院法制局と死因究明制度の基本法制定に向けた勉強会。

 夜宿舎に帰宅し、作文しなきゃ…とか夕食どうしよう…とか風呂入らなきゃ…とか思いつつ、シャツとズボンのままベッドに倒れこみそのまま眠ってしまった模様。気がついたら午前2時すぎ。着替えだけして朝までもう一度寝た。

 10日は朝から衆院経済産業委員会。午後は党政調全体会議、再び経済産業委員会、与党道州制特区推進法PT、異状死議連関係の申し入れ。

 党政調全体会議とは、来年度予算編成の方針となる「基本方針2009」を議論する場。党所属全議員が参加できる重要な会議である。発言権を確保するため20分前に会場に行って保利政調会長、園田政調会長代理の目の前の席に着席。首尾よく指名していただき発言した内容は以下。

1.「『基本方針2006』等を踏まえ、歳出改革を継続しつつ現下の経済状況への必要な対応等を行う。」となっている部分について、『基本方針2006』には社会保障費用自然増分の2200億円削減が書いてあるので「~を踏まえ」の部分を削除すべき。

2.労働基準監督署が病院に対して医師の勤務状況の是正を命じる例が多発していることを考えれば、医師不足は偏在是正だけでは到底解消しない。医師養成数の拡充についても記載すべき。

3.異状死議連の提言を受け、「犯罪の見逃し防止等のため死因究明を着実に推進する」として死因究明の推進が書かれたのは感謝するが、犯罪の見逃し防止に加えて「公衆衛生の向上」も追加すべき。そうでないと警察だけの問題になってしまう。

4.「幼児教育・保育の総合化を推進する」と書いてあるが意味が不明。保育の児童福祉という根幹は守るのか。一元化とどう違うのか。説明できる言葉に直すべき。

 その他多数の発言が各議員から相次いだ。今回の議論を踏まえ修文ののち、来週再び開かれる予定。さてそれまでにどう変わっているか。

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2009年5月25日 (月)

保育園の声

 今日は終日水島、児島方面の保育園関係の挨拶まわり。ここしばらくでのべ数日かけて回ってきたが、今日で終了。あちらこちらで伺うお話の中で、特に印象に残ったもの。

○保育士の確保が難しい。人数の問題だけでなく、最近は短大二年で資格を取ってきても、すぐ現場で即戦力にならない職員もいる。記録などの書類が書けない。派遣業者もいるが、高いし能力の保証がない。待遇を良くしてあげたいと思うが、制度で決められた中では限界がある。

○全てを保育園に求める難しい親もいる。子育て支援は大事だが、ややもするとただの親支援になってしまう。子どもにとって良いことなのか考えてしまう。

○最近の保育を巡る政策議論は、極端に需給バランスが悪い都会部のためのものではないか。またそもそも福祉全体の中でも児童福祉にかけられる予算が少なすぎる。

○保育園も「福祉」の心があるからやっていける。厳しい中でなんとか運営しているが、もう駄目だと思えば認可を返上するとか、保育園をやめて老人福祉に転向することだってできなくはない。社会にとって必要だと思うからするのであって、「当たり前」だと思わないでほしい。

 などなど。医療のみならず、ここにも崩壊の兆しが…。

 朝方、赤ちゃんを抱え、二人の園児を連れて登園する若いお母さん。ツノが生えてるんじゃないかというくらい見るからにイライラしており、「車が来てるじゃないの!早く歩きなさいよ!バカっ!!」となどと言いつつ子どもの頭をハタく。ハタかれる子どものぐっとこらえる何とも言えない表情が、見ていて辛い。しかしおそらくそのお母さんにしても、たぶん毎朝が三人の子供と自分の支度でドタバタと戦場状態なのであれば、親としてイラつく気持ちも理解できてしまう。そんな中で日本の将来を担う子どもたちは育っていく。

 しかしそんな現場を省みず当たり前に「子供は親が面倒をみるべきだ」などと平気でノタマウ議員もいるのも事実。もちろんそうあるのが理想。でもそれが実現できるんだったら最初から誰も苦労しないんだっつーの!!「幼保一元化」なんてハンパな号令をかけても全く何の役にも立たないの!!

 …ああ、僕がイラついてもいけませんね。頑張らねば!

 夕方、児島駅からマリンライナーに乗車、岡山駅で「のぞみ」に乗り換えて上京。岡山駅で小野晋也代議士とばったり出会い、立ち話。小野代議士は次回選挙には立候補せず、在野の政治家を目指されることを明らかにしている。ニュータイプの政治家として、志を果たされんことを切に祈る。

0905251

(写真:下津井・田之浦地区から見た瀬戸大橋。願わくば日本の未来もかく晴れやかであらんことを)

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2009年5月16日 (土)

内閣府少子化対策担当に説教

 14日夕、異状死議連第六回勉強会。検討の結果をまとめ提言をまとめる。突貫作業なので精緻とは言えないが、いくつか工夫のある提言となった。後日改めて内容の紹介をします。

15日(金)朝、党厚生労働部会子育て支援委員会。少子化対策大綱について、および補正予算での少子化対策について。内閣府に対し「35歳か30歳時点の平均年収が、現時点と10年前でどう違っているか数字を教えて」と質問すると「調べて後で回答します」という答弁。

 このブログをちゃんとご覧いただいていた方なら、以前NHKで『35歳を救え!』という番組があり、そこで紹介されていたことをご存じであろう。「少子化が何故進んだのか、問題は団塊ジュニア世代にあるのはわかっているはず。政策のターゲットのプロフィールがどう変化しているか数字でパッと出てこないで、政策の効果が上がる筈もない。何をやってるんですか!!」と思わず説教。次回までの宿題とした。

 なおその後、津島雄二・党税調会長や鈴木淳司・総務大臣政務官からNHKの番組について声をかけていただいた。少なくともこのお二人はご覧になっていた模様。勉強している議員は、勉強している。

 銀座・和光で開催されている高木聖鶴先生の書道展に伺ったのち、党本部に戻ってユニバーサル社会推進議連総会。駅のバリアフリー化、特に乗降客の少ない駅のエスカレーター設置について、およびホームドアについてさらなる取組を要望する。母子寡婦議連総会に顔を出したのち、与党道州制特区推進法PT。北海道からヒアリング。その後新幹線に飛び乗って帰倉。

 夜、後援会の女性の会「えりこの会」拡大幹事会。来るべき選挙に向けて涙涙の訴えをと思っていたら、夫婦間の暴露合戦となり大爆笑の会となった。みなさん大変楽しんで帰って下さったようなので、よかったかな?

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2009年5月 6日 (水)

“35歳”を救え!

 今日は終日、倉敷市内で街宣と挨拶回り。街宣していると声援してくださる方も少なくない。感謝である。

 帰宅してからNHKスペシャルを妻と見た。今日のタイトルは『“35歳”を救え―明日の日本 未来からの提言』というもので、取材に当たったNHKの記者さんに教えていただいた。まさに私も妻も35歳。興味深く拝見。以下に内容をかいつまんで紹介する。

 昔は35歳と言えば、既に結婚して1人か2人は子供がおり、そろそろマイホームを持つ人もいるような一人前の社会人年代というイメージだった。しかし終身雇用は過去の話となり、倒産や解雇も珍しくない昨今である。結果として今の35歳は、以前と比較して低所得化が進み(年収600万円台が最も多かったのが、今は年収400万円台が最も多い)、35歳時点での出生率も10年前の35歳は1.2程度だったものが0.86まで下がってしまっている。結婚や子育てしたくても経済的にできず、結果少子化に歯止めがかからない。将来にも不安を抱えている。自分の身の回りを見てみてもうなずける話だ。

 今後とるべき対策として、「積極的雇用政策」と「生活支援」の二点を挙げていた。就労支援や技能教育など「人」に投資をすることで正社員化を進めること。イギリスの就労支援民間団体が取材されており、また積極的雇用政策に予算を割くことで、将来の経済成長の増加や年金給付の削減減少、消費税率増分の減少が可能という試算が示された。また住宅や子育てに支援して負担を軽減し、安心して子育てに取り組めるようにすること。ここでは岡山県西粟倉村の例が紹介されていた。多様な働き方を許容する企業も紹介され、若者世代へのさらなる支援を訴えて番組は閉じられていた。

 以前から僕は「団塊ジュニア世代が子育てしたくなるようにしなければ、少子化に歯止めがかからない」と訴えている。この世代が将来の鍵を握ることを、この番組はわかりやすく指摘しており、個人的にも大変勉強になった。モノへの投資から人への投資へ振り替えてゆくべきという主張も、基本的にそのとおりだと思う。一方で、番組内でも指摘されていたがコスト負担の問題や、マクロで見た場合に国際競争力をどう維持するのかといった点に、まだ課題は残る。西粟倉村で実現したことが日本全体ですぐできるかというと、そう簡単ではないだろう。

 とはいえ、就職氷河期を乗り越え、入社しても過去のバブル期の栄光の様子を話で聞くだけという、あまり報われずに黙々と一生懸命努力してきた自分たちの世代が脚光をあびることは、素晴らしいし大事なことだ。機会があれば再放送やNHKオンデマンドなどで、ぜひご覧いただきたい。

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