昨日(13日)は、朝街宣の後、企業などの挨拶回り。夕方、所属している倉敷青年会議所例会に出席。大原美術館理事長で倉敷商工会議所会頭の大原謙一郎さんの「まちと文化と国づくり―進化する「地方の論理と主張」を考える―」と題する講演があった。
恐ろしく多岐にわたる内容だったが、印象に残った言葉などを紹介する。
○地方から生まれたものが、日本をクリエイトしている。クリエイションエンジンとしての地方を復活させるべき。
○アメリカは、地方にいろんなクリエイションセンターを作ったことで再生した。シリコンバレー、オースチン、ナッシュビル、フェニックス、ハートフォード、アトランタ、ロチェスター、…etc.
○倉敷を自己紹介しようとすると、とても一言では言えない!クラスター型都市。旧倉敷、児島、玉島、水島、船穂、真備、それぞれに世界と繋がっている。他方岡山は、池田藩の大きなお城を中心としたモノセンター型都市。
○備中の国自体が、複雑多様。「備中 陣屋」で検索してみればよい。
○自己紹介できる街がたくさんあるのが国の強さ。イタリアなど。
○「文化は働く」。ただし、21世紀になれば文化の世紀になるかといえばそう甘くはない。明の部分:「クリエーションと生活のクオリティ」だけでなく、暗の部分:「異文化の融和と日本の風格」も働かないと生きていけない。
○日本と西洋が出会う場所が美術館。大原美術館は異文化理解の装置。だから「和服を着たベルギーの少女」が玄関を飾る。
○「文化は万能ではないが、何かの力はある」。
○地方都市から企業は生まれる。繊維産業でいえば、クラレ:倉敷、東レ:滋賀、帝人:米沢。
○繊維産業は、組み立て産業、機械産業、ファッション産業、かつ情報産業。
○たとえば浜松。遠州の豊田自動織機からトヨタができた。織機は木を使った精密な構造物。だからピアノもできる、、、ヤマハ、カワイ。(橋本付記。たぶん、同様の理由で木製模型づくりが発達し、金型も作れ、だからプラモデル産業も静岡が多いんだと思う。タミヤ、ハセガワ、フジミ、アオシマ、etc...浜松と言えばホトニクスもあるし。そういえば静岡大学工学部・情報学部は静岡ではなく浜松にあるのです)。
○諏訪。生糸の産地。相場でやり取りをしていた。明治時代、岡谷から横浜やニューヨークに直通電話があった…情報産業!
○久留米。ブリジストン、博多ラーメンの本家、松田聖子。
○京都ベンチャー。石門心学を語るベンチャーな人々。
○阪神間モダニズム。疎開してきた谷崎潤一郎がびっくりして書いたのが『細雪』。
○倉敷は、民間人のパワーが爆発した町。代官所はちっぽけで無防備。殿様のように力で抑えられない。入れ札(投票)で役人を選ぶ。民主主義の萌芽。
○メディアが伝えるのは首都の視点です。関東武家社会の日本支配はマズイでしょ。朱子学が基本。いいことも悪いこともさせない。東京オリンピックもヤメタ方がいいよ。そもそも東京はブラックホール。
○倉敷の「この指とまれ方式」…屏風まつり。町衆と行政とプロの連携。
◎結論。文化は一生懸命働くのだ。文化は地方で生まれる。倉敷は日本のクリエイションエンジンになって働くのだ。われわれはそれを再生させるためにがんばるのだ。そのことを共有したい。
考え方には全て共感。質問する時間があれば、道州制についてぜひ伺ってみたかった。今の47都道府県の存在が、個々の街の対外的プレゼンスを奪っている気がする。そこを大括りにすれば、むしろ地方都市を輝かせるきっかけになるのではないかと思うのだが。また、注意深く大原家の話を一切排除して倉敷を語られたのは、謙一郎会頭の謙虚でフェアなお人柄もあるだろうが、かえって倉敷の奥深さを感じることとなった。聞いてよかったです。あまりお話する時間がなくサンライズ出雲に乗らなきゃいけなかったことだけが、残念。