地方自治法改正案に対する代表質問
2014年4月10日 衆議院本会議
地方自治法を一部改正する法律案 自由民主党代表質問
自由民主党の橋本岳です。
ただいま議題となりました「地方自治法の一部を改正する法律案」について、自由民主党を代表し、安倍総理大臣ならびに新藤総務大臣に質問いたします。
さる3月28日、国土交通省は「新たな『国土のグランドデザイン』の骨子」を発表しました。2050年には日本の人口が9,708万人となり、人口の増加は首都圏および名古屋周辺などわずか2%の地域しかなく、地方部を中心に現在の居住地域の6割以上の地点で人口が半減することと推計されています。
2050年というと遠い将来のように聞こえますが、私は76歳、自分の目で見られる将来です。本院最年少の鈴木貴子議員はまだ64歳の働き盛り。安倍総理が96歳、伊吹議長が112歳。長寿社会ですから皆さん元気でご活躍でありましょう。2050年の人口減少社会は、まさに我々が直面する、「いまそこにある危機」であります。
さて、これまで地方制度改革として、平成の大合併が進められてきました。平成11年には3,229市町村を数えましたが、現在1,718市町村まで減少しました。しかし今後は人口が減少し人口密度も低下します。これ以上の合併による効率化は期待できません。
そこで総理にお訊ねします。政府として、インセンティブや強制力による市町村合併の推進は今後行うべきではないと考えますが、如何でしょうか?ご所見をお伺いいたします。
むしろ今後は、一つの自治体でフルセットの行政サービスを行うのではなく、核となる都市との連携、或は市町村同士の連携により、小規模な自治体は小規模なままでも必要な行政サービスが提供できる体制を整えるべきです。既に総務省において定住自立圏構想が推進されていますが、第30次地方制度調査会の答申でも「地方中枢拠点都市を核とした『集約とネットワーク化』」の必要性が述べられています。
そこで総理に伺います。地方中枢拠点都市を形成していく狙いについて、お答えください。
またその推進にあたっては、財源の裏付けがなければ絵にかいた餅となります。今年1月に行われた中核市長と総務省の懇談会でも、私の地元である倉敷市の伊東香織市長から要望があったはずです。この点について新藤総務大臣からご所見を伺います。
また、今回の地方自治法改正においては、地方公共団体間の「連携協約」制度として、事務や政策の役割分担のための新たな枠組みが創設されます。単なる民事の契約やこれまであった事務の共同処理制度ではない新たな制度を創設することの意義および推進方策について、総理の答弁を求めます。
昨年、私は衆議院の調査団の一員として、ヨーロッパの地方制度改革について調査する機会を頂きました。その際にスペインでは人口100人以下の基礎自治体が1,000以上あり、最も小さいものでは人口2~3人と聞いて驚きました。それは極端だとは思いますが、私は、人口減少社会であるからこそ、今後小さな単位の地域がさらに大切にされるべきだと感じたところであります。
一方で自治体としての機能を考えると、日本でも離島や山間にある小規模町村にとっては、近隣団体との連携による行政サービスの維持もハードルが高いと言わざるを得ません。しかしこうした小規模町村こそ、自然環境保護や国境管理等の観点から我が国に非常に重要な意味を持つことが多く、決して切り捨てることがあってはなりません。
そこで総理にお伺いします。このような小規模町村における行政サービスを維持するための方策について、お答えください。
第30次地方制度調査会の答申においては、大都市制度の見直しについても指摘がありました。それに基づいて策定された今回の法案では、昭和31年の指定都市制度創設以来の非常に重要な大改正を行うものと理解しています。その趣旨について、新藤総務大臣からご説明をお願いします。
今回、中核市と特例市を統合することとしていますが、このことにより、どのような効果が期待されるのでしょうか。安倍総理にお訊ねします。また特例市から中核市に移行するためには保健所の設置がハードルとなります。経過措置をどのように考えているか、新藤総務大臣にお伺いします。
さて、先般わが自民党において、道州制推進本部総会が開かれ、道州制について平場での議論が再開されました。さまざまな意見があるところであり、丁寧に議論を進めなければなりません。私はできるだけ早期に、具体的な道州制の在り方について国民的な議論を行う場を設けることが、まず大事だと考えています。そこで、道州制の推進についてどのように考えておられるか、総理のご所見を伺います。
最後に、議場におられる議員諸兄姉に一言申し上げます。掲げる政策や立場は異なりますが、すべての皆さんに愛する地元や故郷(ふるさと)があるはずです。冒頭申し上げた通り、今後の日本は、人口の激減というこれまでの政策の前提や常識が通じない世界に突入します。
地方制度を考えるにあたっても、現在の形に囚われてはなりません。過去の流れにも囚われてはなりません。未来に暮らす子どもたちや孫たちに、よりよい故郷(ふるさと)とよりよい日本を残せるよう、来るべき将来を真摯に見通し、前向きかつ柔軟、そして大胆なご議論を賜りたい。
人口減少と高齢化は、いずれ他の国々も同様の問題を背負う先進国の共通課題です。本法案は、その先駆けとしての地域モデルを示すものでもあります。未来のために、今こそ本法案を成立させるべきであります。
このことを申し上げ、自由民主党を代表しての私の質問を終わります。
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