25.一億総活躍・働き方改革・労働・雇用

2016年8月18日 (木)

相模原市障害者施設殺傷事件と一億総活躍社会・働き方改革

 ブログでのご報告が遅れましたが、先般の内閣改造に伴い、厚生労働副大臣を拝命しました。昨年10月に厚生労働大臣政務官を退任して、おおむね10ヶ月で厚生労働省に復帰し、再び塩崎恭久厚生労働大臣にお仕えすることとなりました。初登庁の際「おかえりなさい」と言って迎えていただけた時は少しウルッとしました。このような重責を担わせていただけるのは、まずは国会に送り出していただいた倉敷・早島の皆さま、そしてご縁を頂いた多くの皆さまのご支援の賜物であり、心から感謝を胸に、与えられた任務に全力を尽くす所存です。

 今回は主に労働・年金・福祉の分野を担当することとなります。大臣政務官の折には医療・介護・福祉等の担当でしたので、同じ省内でもポジションチェンジ。今回の内閣では、6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」に記された「働き方改革」が重要課題として位置づけられており、そのために加藤勝信担当大臣が任命されているわけですが、関わってくる法律は厚生労働省所管のものばかりですので、この重要課題の実現を側方から支援をするということになります。

 ところで、着任直前に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」において、きわめて多数の入所者の方が元職員に殺傷されるというとてもいたましい事件が発生しました。被害者の方々やそのご家族には、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げるものです。この犯人が記して衆議院議長公邸に届けたという手紙が報道され、物議を醸しました。「障害者は不幸を作ることしかできません」という一節をはじめ、障害を持つ方々の尊厳を著しく損なう文言が並んでおり、報道されることにより結果として多くの当事者やその周りの方々を同時に傷つけることとなったのではないかと思います。こうした考えは、障害者福祉も所管する立場の者として、断じて認められるものではありません。

 実は、先に記した「ニッポン一億総活躍プラン」では、以下のような一節があります。

 人生は十人十色であり、価値観は人それぞれである。すべての人が包摂される社会が実現できれば、安心感が醸成され、将来の見通しが確かになり、消費の底上げ、投資の拡大にもつながる。一億総活躍社会は、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会である。

 これは単なる社会政策ではなく、究極の成長戦略である。全ての人が包摂される社会が実現できれば、安心感が醸成され、将来の見通しが確かになり、消費の底上げ、投資の拡大にもつながる。また、多様な個人の能力の発揮による労働参加率向上やイノベーションの創出が図られることを通じて、経済成長が加速することが期待される(包摂と多様性による持続的成長と分配の好循環)。

 政府は明確に、かの犯人とは全く立場が異なることを既に宣言しているのです。むしろいかなる人も社会的存在として活躍できる社会を目指すこと、そしてそのことが経済成長に資することを明確に謳っているのです。理想主義的すぎるとか現状とかけなれてるとか安倍政権は本当にそこまでやる気があるのか言われるかもしれませんが、だからこそ声を大にして掲げ続けていきたい大事な旗印だと考えます。

 ですから、いわゆる「働き方改革」についても、この視点を貫徹させることが極めて重要だと考えます。なぜ長時間労働を是正しなければならないのか。また、なぜ同一労働同一賃金に踏み込まなければならないのか。それは、単に「過労は身体に悪いから」とか「正社員とパート・派遣労働者の待遇に格差があるから」という観点にとどまるものではなく、まさに高齢者、障害者や難病の方、がんサバイバーの方や若年性認知症の方、あるいは家庭でそうした方々を介護・サポートする必要のある家族ケアラーの方、もちろん妊婦さんや子育て中のお父さんお母さんも当然含め、生活上、全ての時間を仕事に捧げることにハードルがある方、さらにはLGBTの方のように現在必ずしも一般的ではないアイデンティティを持つ方も、普通かつ自然にそれぞれの事情が許す範囲における働き方で仕事をすることができ、正当な評価と賃金を得てそれで生活することができる社会を作らなければならないからではないでしょうか。今後、生産年齢人口がますます減少する中、そうした様々な事情がある方にも社会で働いていただかなければならないという社会的要請もこれを支持するでしょう。

 要は、「24時間戦えますか」という某ドリンクの宣伝でバッチリ人々の認識に固定化されてしまった、「労働者=とにかく毎日ひたすらハードに仕事することが当然」というイメージをいかに転換するか、ということが問われているのだと思います。敢えて言えば、こうした認識こそ、かの犯人の発想と極めて親和性が高い。ですから厳に戒めなければなりません。

 そうした理念に基づく「働き方改革」を目指したいものだと考えています。だとすれば、単に法規制の見直しにとどまらない作業が必要なのではないかとも思う今日この頃です。

 現実化のカギは「生産性の向上」、言い換えれば「一人当たり付加価値の向上」です。それも、単に個々人が頑張れという話ではなく、経営者の課題として相当深刻にとらえていただくべきテーマです。近々厚労省や総務省が発表する白書類において、他国と比較した日本における人材の研修にかかる投資、前向きなICTへの投資に関し、愕然とするような状況が掲載される見通しです。しかし気を取り直してこれを逆手にとれば、まだまだできることはあるのだろうということでもあるのでしょう。経営者の意識改革をどう行うかが課題です。

 いずれにしても、せっかくの「厚生」「労働」省なのです。厚生労働副大臣在任中、こうしたことを念頭に、職務に励む所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。


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(写真:副大臣の認証式後、総理官邸で集合写真。ほぼ一番後ろの方にいます。)

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