創薬分野の成長戦略に関する決議
4月20日、自民党創薬力の強化育成に関するプロジェクトチームとして決議をまとめ、座長一任をいただきました。その場やその後にいただいたご意見を踏まえて修文を行い、本日衆議院内にて厚生労働省の森真弘医薬産業振興・医療情報審議官に手渡しました。ドラッグ・ロスなど日本の医療現場において患者さんが必要とする医薬品へのアクセスが問題を抱える中で、今回の高市政権による成長戦略17分野に「創薬」「バイオ」が位置づけられていることは起死回生の一手となりうるものです。それを後押しする期待を込めて提言をまとめました。「国内特許品市場の成長」まで記せたのは、一つのポイントではないかと考えます。ご関係の方のに、ご覧いただければ幸いです。
なお、この中にも出てくる米国のMFN(最恵国待遇)政策について、4月24日に衆議院厚生労働委員会にて高市早苗総理に質疑を行っています。衆議院インターネット中継にてご覧いただけますので、こちらもあわせてご覧ください。
自由民主党政務調査会
社会保障制度調査会
創薬力の強化育成等に関するプロジェクトチーム
創薬は、高市内閣が掲げる17の戦略分野の一つに位置付けられ、国民の健康を支えるだけでなく、日本の将来の競争力にも直結する重要な国家戦略分野である。
現在、政府においては、日本成長戦略会議の下に設置された「創薬・先端医療WG」と「合成生物学・バイオWG」において成長戦略のロードマップ作成の議論が進められている。
創薬分野への投資不足は、経済成長の停滞だけでなく、国民の革新的医薬品へのアクセスを奪う結果を招きかねず、社会保障、経済安全保障、経済成長の観点から、投資を促進させる踏み込んだ手段を講じる必要がある。
これまで、当プロジェクトチーム(PT)としても、複数回にわたり提言をとりまとめ、日本発の革新的・画期的な医薬品が次々と生まれる環境を整えるべく政府に申し入れを行ってきているところである。
しかしながら、世界の医薬品市場は、米国の最恵国待遇(MFN)価格政策や中国の研究開発分野での台頭等により、不透明感が高まっている。このような状況だからこそ、今ここで、基礎研究力など我が国が有する強みを活かして、創薬分野への投資に力を入れ、成長につなげていく必要がある。
必要な医薬品へのアクセスなき国民皆保険制度の維持は本末転倒である。我が国の創薬力や生産力等を強化し、医薬品産業を我が国経済の成長を牽引する産業に育て、国民皆保険制度の下で、必要な医薬品が患者・国民の皆様に届くことを確実なものにするため、当PTとしては、下記事項を強く求めたい。
なお、現下の中東情勢に影響を受ける医薬品、医療機器、医療物資等の確保は重要な課題であり、緊密に企業と連携を取り、安定供給に関する情報の把握等を徹底するとともに、課題が生じた場合には、国民の生命を守るための万全の対策に全力で取り組むことを併せて求める。
一、 創薬力の向上のためには、創薬エコシステムによる好循環が必要であり、その起点として、新規モダリティを含む革新的・画期的な医薬品を高く評価するとともに、費用対効果評価制度等の見直しを含め特許期間中の薬価を維持するなど、国内外の投資を呼び込む観点から、他国に劣後しないよう国内特許品市場の魅力を高めること。併せて、国内市場がグローバル特許品市場と同程度に成長できるよう、官民協議会等での議論をより実行性を高めるものとし、具体的な目標や実効策を議論し、PDCAサイクルを回していくなど、地域未来戦略におけるクラスターの整備推進等も活用し、官民が協力して必要な取組等を進めること。
二、 米国による最恵国待遇(MFN)価格政策によりドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスとなるリスクに必要な対応を行うこと。
三、 創薬シーズの創出から製造、治験に至るまで、創薬の各フェーズに要する時間やコストを格段に短縮・縮減し、創薬及び診断における圧倒的な効率化や革新が実現できるよう、AI技術を活用した研究開発やAI-readyなデータの収集・生成・利活用のための基盤整備、DX、ロボット技術との融合等の推進、支援を行うこと。
四、 官民をあげて、教育課程の見直しを含め、我が国の創薬を支える、研究から開発、臨床試験、製造に至る創薬関連人材の育成に取り組むこと。また、創薬に関するノウハウが広く共有されるとともに、世界で勝てる医薬品企業となるよう、海外にも通じる創薬支援人材の育成・確保を促進すること。
五、 創薬におけるグローバル戦略を検討するにあたっては、欧米市場はもとより、アジア市場への展開も念頭に取り組む視点が重要であり、PMDAアジア医薬品・医療機器トレーニングセンター・海外事務所の活用や薬事規制調和等の取組を進めること。
六、 レイターフェーズ(上場・上市前後)をはじめ創薬の各段階で必要な資金が適切に供給されるよう、創薬ベンチャーエコシステム強化事業の改善や、民間投資の呼び水効果を持つ政府系金融機関の活用も含め、リスクマネー供給を更に進めること。
七、 臨床試験の活性化や海外からの呼び込みを目指し、臨床試験の効率的な実施や国際拠点の確立、小児がんを含む臨床試験・治験ネットワークの強化に取り組むこと。併せて、小児用医薬品等の開発を促進する制度のあり方について検討を行うこと。
八、 次世代の創薬シーズ創出に向けた免疫・再生医療等の強みとなる基礎研究の更なる充実や橋渡し等による実用化を推進すること。また、先端医療や臨床試験を実施する大学病院等の研究開発力の向上と、持続可能な運営のための経営基盤の強化に向けた環境整備を推進すること。
九、 研究から実用化までの創薬プロセスにおいて、開発の進捗を把握して、必要な支援を行う仕組みを整備すること。
十、 製薬企業の国際競争力を高めるため、政府として、バイオ医薬品、再生医療等製品、放射性医薬品等の国内製造拠点の整備、強化等を通じた「国産化」を進めるとともに、国内製造につながる市場インセンティブの創出など国内生産を支援・強化することで、生産・販売による収益を研究・創薬に再投資するエコシステムの循環を一層促進させること。併せて、超希少疾患に対する革新的な治療法に係る患者アクセス向上を図るため、再生・細胞医療、遺伝子治療や個別化治療等の国内の臨床研究環境の整備、超希少性疾病等に対する治療法の研究開発に必要な新たな手法、制度、薬価等の検討等に取り組むこと。
十一、 創薬ベンチャー育成を通じたオープンイノベーション促進により、垂直統合から水平分業への産業構造転換を図りつつ、我が国の強みを活かせる合成生物学・バイオ分野に基づく技術革新を通じた国内発の革新的医薬品創製や生産効率化を実現することで我が国の競争力強化に取り組むこと。
十二、 感染症危機対応医薬品等開発・生産体制強化戦略に基づき、ワクチン、治療薬、診断薬等について、複数年の支援の枠組みを含め事業予見性を確保する形で、研究開発から、製造支援、生産体制維持支援、買上げ・備蓄、供給に関する国際連携等の一連の政策を確立すること。さらに、その他有事に備えた医薬品備蓄を推進すべき。また、平時において安定的に供給が必要な医薬品の製造設備の維持・強化の支援にも取り組むこと。
十三、 健康医療安全保障の観点からも、我が国からの技術流出等を防ぎつつ、我が国発の創薬が企業の発展につながるようにすること。
十四、 創薬エコシステムの構築のため、引き続き、政府において、創薬分野の司令塔機能を維持し、必要な議論を継続させ、人材やノウハウの維持・共有に努めること。
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