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2024年7月 1日 (月)

第213回国会を振り返って

●はじめに

 6月21日金曜日、第213回通常国会は事実上閉会しました。実際には23日が閉会日ですがこの日が日曜日のため、最終の平日である21日に閉会中審査の手続き等を行うための衆議院本会議が行われたものです。この国会は、昨年晩秋から明るみに出た自民党派閥の政治資金パーティに関する収支報告書未記載の問題の東京地検のよる捜査や、1月1日に発生した能登半島地震の対応等が行われる中召集され、150日間の会期を通じてそれらへの対応に終始注目が集まりましたが、実はそれだけではなくさまざまな議論が行われています。

 橋本がくは、衆議院では予算委員会理事、衆議院厚生労働委員会理事(与党筆頭)、衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会委員、自民党では社会保障制度調査会および地方制度調査会の事務局長、創薬力の強化育成に関するプロジェクトチームおよびこどもまんなか医療保健の実現に関するプロジェクトチーム座長、「国立こどもウエルビーイングセンターin沖縄(仮)」の設立にむけた議員連盟の会長ほか、さまざまな活動を今国会中に行いました。毎年恒例の振り返りを記します。この記事で10年目となりました。

<振り返りシリーズバックナンバー>
厚生労働大臣政務官退任にあたり (2015.10.8)
外交部会長を振り返って (2016.8.2)
厚生労働副大臣退任にあたり (2017.8.7)
厚生労働部会長を振り返って (2018.10.3)
この一年を振り返って (2019.9.7)
厚生労働副大臣退任にあたり(二年ぶり二回目) (2020.9.15)
第204回通常国会期間を振り返って (2021.6.16)
第208回国会閉会にあたり (2022.6.16)
第211回国会を振り返って (2023.6.27)

 なお、昨年秋から年末にかけては、「令和五年末のご挨拶」に記しておりますので、そちらもご覧ください。また文中にしばしば登場する「骨太の方針」とは、令和6年6月21日に閣議決定された「経済財政運営と改革の方針2024 」を指します。

●政治資金収支報告書未記載の問題について

 冒頭記したように、この国会は政治資金収支報告書未記載の問題で終始した感があります。この件については、このブログでも何度も取り上げてその折々に思うところを記しています。

令和五年末のご挨拶 (2023.12.31)
令和六年正月にあたり、政治資金の問題について (2024.1.18)
政治資金問題のけじめと派閥の今後について (2024.2.2)

 既に記したことを繰り返すことは控えます。ただ、これらのブログに記した思いは私自身今なお変化していません。2月以降、自民党内の調査と処分、衆参両院の政治倫理審査会における審査、そして政治資金規正法の改正がありましたが、残念ながら、この問題にけじめがついたとは正直思えませんし、多くの方が同様に感じておられるために、岸田内閣および自民党に対する支持率が低いまま推移しているものと考えています。倉敷・早島でいろいろな方にお話を伺っていても、未だに厳しいご指摘をいただくことが少なくありません。

 おそらく今現在問題になっていることの本質は、派閥パーティに関する政治資金収支報告書未記載の問題というよりも、その件の事後対応に自民党が失敗し、今なおけじめをつけたと国民の皆さまに認めていただくことができず、引きずり続けていることです。党内不祥事に関する自民党本部の自己ガバナンス能力そのものに疑問符がつけられているから、支持率は低いままなのではないでしょうか。残念ながら、「政治改革に終わりはない」という言葉は、単に党内事情を優先して改革を先送りしているだけと受け取られているのが現実でしょう。

 自民党総裁の任期が9月に切れるため、それまでには自民党総裁選挙が行われるものと思われます。もちろん政策やら国家観やらも大事ですが、上記の課題に対して立候補者がどのような見解を示されるのか、個人的にはとても注目しています。

●国会において

 先の臨時国会から、衆議院の予算委員会および厚生労働委員会の理事を兼務することとなりました。そのため国会対応に多くの時間を割くことになりました。

 予算委員会理事は二回目です(前回は「第204回通常国会を振り返って」参照)。今回は、小野寺五典委員長、加藤勝信与党筆頭理事の下、三席の理事を務めました。担当は自民党の質疑者の選定で、折々のテーマや流れに合わせ、さまざまなバランスも考慮して質疑者を調整しました。また加藤筆頭や上野賢一郎次席理事が離席した場合にはその代理も務めることになりますので、テレビ中継等で質疑者席の横の与党筆頭理事席に私が着席しているところを見かけられた方もおられるのではないかと思います。自分が質疑調整役だったため集中審議等の質疑に立つことは控えましたが、2月8日の一般質疑では質問に立ちました(議事録)。また小野寺委員長に解任決議案が提出された折には、衆議院本会議にて決議への反対討論に立ちました(「予算委員長小野寺五典君解任決議案 反対討論」。また、分科会審議においては2月27日、28日の二日間にわたり第五分科会(厚生労働省所管)の主査を務め、3月1日の委員会において審査報告を行いました。反対討論でも触れましたが、山井和則野党筆頭のご配慮により毎回日本茶がいただけたこともあり、対立的な局面はありつつも落ち着いた理事会でした。

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(画像:第213回国会予算委員会理事会メンバー)

 厚生労働委員会の理事は何回もしていますが、与党筆頭理事は二回目となります。先にリンクを貼っている「第204回通常国会を振り返って」をご覧になればおわかり通り、前回も予算委員会理事との兼務でした。ただし前回は、前任の方の降板によるショートリリーフでしたが、今回は昨年秋の臨時国会から引き続き継続して務めたものです。通常国会では野党筆頭理事が立憲民主党の中島克仁議員となりましたが、お互いにそれぞれの要望を十分に調整しながら円滑かつ充実した委員会審議を行うことができたのではないかと考えています。今国会では閣法4本(「生活困窮者自立支援法等改正案」「雇用保険法改正案」「育児介護休業法等改正案」「再生医療法等改正案」)を審議しましたが、うち三本の法案では参考人質疑を行い、法案に関する企業の視察や能登半島地震被災地の視察も行いました。また立憲民主党からは、介護・福祉従事者の処遇改善や訪問介護事業所支援のための議員立法が提出されましたが、その意を汲んで当方から委員会決議を提案し調整の上、「介護・障害福祉分野の人材の確保及び定着を促進するとともにサービス提供体制を整備するための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する件 」を全会一致で議決することができました。

 今国会では筆頭理事業に徹していたため厚生労働委員会では質疑には立ちませんでしたが、先の議決の提出者を代表して趣旨説明に立たせていただいたのは議員として誠に光栄なことでした。幸いにして先の臨時国会に続き今国会でもすべての日程を与野党合意で恙なく行うことができたことは、あまり対決的な法案が無かったことも一因ではありますが、中島克仁野党筆頭の実直誠実なお人柄によるところが大きかったと思います。新谷正義委員長(自民)のご配慮により理事会のお弁当が充実していたことに加え、井坂信彦理事(立憲)、足立康史理事(維教、途中から遠藤良太理事)、伊佐進一理事(公明)、宮本徹委員(共産)、田中健委員(国民)、そして大串正樹、大岡敏孝、三谷英弘各理事(いずれも自民)というメンバーにも恵まれ、理事会前後の雑談(というかかなり放談)もなかなか皆さん率直で楽しいという、荒れることの少なくない衆議院厚生労働委員会では珍しいくらい理事会でした。また大塚陽子さん・杉山卓生さんを始めとする委員部など衆議院スタッフの皆さまにも助けていただきました。委員会運営に対する皆さまのご協力に、篤く感謝申し上げます。

 なお特別委員会は、昨年委員長を務めていた地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会に、委員として所属しました。昨年に閣議決定された「こども未来戦略」に基づき提出された「こども子育て支援法改正案」や「児童対象性暴力防止法案(いわゆる「日本版DBS法案」)」などに加え、地方分権やデジタル関係の法案もあったため、常任委員会よりも審議がハードな特別委員会となりました。こども子育て支援法改正案の審議にあたっては私も質疑に立ち、こども政策に関しておそらく将来に向けて画期的な意味を持つことになるであろう同法案の意義について、過去の経緯を振り返りながら解説しました。資料等は「令和6年4月11日地域こどもデジタル特別委こども子育て支援法改正案の質疑資料 」に掲載しています。この資料では、こども政策の財源のみならず、将来にわたる社会保障制度一般の財源論までをカバーして現時点で私の思うところを披歴しておりますので、ご興味の方にはぜひご一読賜れば幸いです。

●党および議員連盟での活動

 座長を務めている創薬力の強化育成に関するプロジェクトチームでは、今年は科学技術イノベーション調査会医療小委員会との合同で会合を開きました。昨年12月に内閣官房に「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」が設置されたことを受け、この中間とりまとめに向けて5月21日に「創薬力強化に向けた決議」を行い、反映させました。この中間まとめは「骨太の方針2024」に反映されたことに加え、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改定版」(いわゆる「成長戦略2024」)においても、創薬力の強化やバイオ医薬品の開発促進等の記述が行われました。

 また同時に創薬力PT単独で「骨太の方針2024に向けた緊急提言」を決定し政府に示しました。その結果、骨太の方針2024においては、中間年改定である来年度薬価改定に関し「2025年度薬価改定に関しては、イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する。」記され、見直しを強く示唆するものとなりました。また懸念の多かった費用対効果分析については「引き続き迅速な保険収載の運用を維持した上で、イノベーションの推進や現役世代等の保険料負担に配慮する観点から、費用対効果評価の更なる活用の在り方について、医薬品の革新性の適切な評価も含め、検討する。」と記され、一方的に薬価が削られるばかりではない方向性が示されました。いずれも年末の予算編成までに具体的な議論が行われることになりますが、この記述は足掛かりになるのではないかと考えます。

 これらの決議および緊急提言は、「創薬力強化に向けた決議・骨太の方針2024に向けた緊急提言」に掲載しています。

 同様に座長を務めているこどもまんなか保健医療の実現に関するプロジェクトチームでは、日本産婦人科医会および日本小児科医会のヒアリングを行った上で、「骨太2024および令和7年度予算編成に向けた提言」をまとめ、政府に提出しました。出産(正常分娩)の保険適用に議論は集まりがちですし当然重要な問題なのですが、個人的には少子化によって経営が厳しくなるのは小児科も同様であり、いずれも放置することはできません。また受診する親子の立場からすると一連の流れとして受け止めるのが自然だと考えます。そうした思いも含めて、このPTの扱う課題に関して「出産(正常分娩)の保険適用を巡る備忘録」に記しています。そちらもあわせてぜひご覧ください。

 沖縄県は、出生率は日本一高いというポテンシャルがある一方、こどもの貧困や低年齢出産の多さなどの困難もあります。こうしたことに問題意識を持つ自民党・公明党の有志議員にご相談した上、4月17日に設立準備会を行い、5月23日に設立総会を開いて、菅義偉・元総理、山口那津男・公明党代表をはじめとする錚々たる発起人の皆さまにご賛同をいただいて「『国立こどもまんなかウエルビーイングセンター in沖縄(仮称)』の設立に向けた議員連盟」が設立されました。その際、橋本がくが座長に選任され、「経済財政運営と改革の基本方針2024に向けた提言」を議決しました。6月6日に自見はなこ沖縄担当大臣に提言を提出しました。その結果閣議決定された「骨太の方針」では「教育・医療・福祉が融合したこどもの貧困対策・Well-being拠点設置に向けた取組(中略)等の沖縄振興策を国家戦略として総合的に推進する。」として記載されました。今後具体化に向けて引き続き活動します。議員連盟では、歯科技工士議連やリハビリテーション議連、超党派山の日議連等の会合にも参加し、それぞれ活動しました。

 かねてからハンセン病対策議員懇談会・ハンセン病問題の最終解決を進める国会議員懇談会の両方に参加していましたが、このたび両議員懇談会合同PTが設置され、橋本がくが座長に指名され、6月13日に初回の会合を開きました。令和7年度以降の定員合理化計画におけるハンセン病療養所の定員の在り方や医師等職員の確保、将来構想などの課題について、各会派の代表の方々と共に今後議論していくこととなります。簡単には結論が出せない難しい課題ではありますが、ご関係の方々のためにはできるだけ早く方向性を見出すべきであり、そのように努めてまいります。

 橋本がくは、今年度から日本国際貿易促進協会の会長代行に就任しました。この団体はいわゆる日中友好7団体の1つであり、現在は河野洋平・元衆議院議長が会長を務めておられます。以前は橋本龍太郎が会長を務めていましたが、急逝ののち後任を河野会長が引き継いでいただいた経緯があります。このたび河野会長から会長代行を務めるようお話があり、お引き受けすることとなりました。日中間では、福島第一原子力発電者の処理水放出に関する対応や邦人の拘束、尖閣諸島海域への中国船の侵入など様々な課題があり、決して関係は良好とはいえません。とはいえ貿易や企業進出など経済的な関係は依然強く、地理的にも文字通り一衣帯水であり、歴史的な経緯も含め、向き合わなければならない国であることもまた事実です。具体的な課題にひとつひとつ取り組みながら、相互に建設的な関係を築けるよう努めていきたいと考えています。早速、7月1日からの訪中団に参加しており、何立峰国務院副総理との会見が報道されています。別途、訪中の様子についてはブログでご報告します。

・報道記事「日本人母子切り付けの影響回避を 中国副首相、河野氏と会談」(共同通信)

●倉敷・早島について

 この7月で平成30年豪雨災害から6年となりますが、真備町の水害の原因となった高梁川から小田川への逆流のリスクを軽減するために工事が進められていた、小田川・高梁川合流点付替工事がこの3月に竣工しました。真備町や船穂町柳井原にお住まいの方を含め、より安心してお過ごしいただけるものと思います。一方、新たに合流点になった水江付近より下流の堤防の強化も進めており、また老朽化の指摘がある笠井堰についても改修に向けた協議が行われ、流域全体としての安全性を高めるよう、引き続いて取り組みます。

 また国際バルク戦略港湾に指定されている水島港については、玉島地区の事業については計画が完成し竣工式が行われました。引き続き水島地区についても工事を進めます。一方、慢性的な渋滞が続く国道2号線については、岡山-早島-倉敷間の交差点立体交差化事業が進められています。まだ設計段階ですが、今後工事に着手することになります。その際には一時的にご不便をおかけすることになるかもしれませんが、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。倉敷川・六間川改修やその他各地の事業についてもご要望を伺い、一層安心してお暮しいただけるよう対応に努めます。

 さる6月23日、倉敷・早島を中心とする法人・団体の皆さまにご参加をいただく新たな後援会「岳勝会」を、井上峰一会長のもとご設立いただきました。今なお自民党への逆風が厳しい中ですが、本当に励みになります。国会開会中も倉敷・早島には毎週末戻り、随時街頭活動などを行いましたが、しばしば多くのお車や通りがかりの方などから手を振ったり声をかけていただいいたり、ご激励をいただきました。こうした応援が、橋本がくのエネルギーになります。心から感謝申し上げます。

●大臣の配偶者として

 私事になりますが、昨年秋の内閣改造で妻・自見はなこが内閣府担当大臣に任命されたことにより、閣僚の配偶者という立場にもなりました。現在は在京時には、衆議院宿舎にて長男、次男とともに4人で暮らしています。担務が、大阪・関西万博、地方創生、沖縄・北方、消費者庁、公正取引委員会、アイヌ政策などとても多岐にわたり、かつ工事の遅れなどが指摘される万博や、小林製薬の栄養食品による健康被害問題、フードロス対策などの案件、またいわゆるスマートフォン新法(GoogleやAppleに対して競争の公正性確保の観点から規制を加えるもの)など新法制定もあり、横で見ていても大臣業は本当に大変そうでした。自見はなこのこれまでの専門性とは異なる分野ではありましたが、勉強しながら積極的に各分野にコミットし、以前からの仕事人ぶりを発揮してよく頑張っていました。

 配偶者としては、朝に台所でコーヒーを淹れて目玉焼きを作りながら、高校に進学した次男君に「早く起きなさーい、学校に遅れるぞー」と言い、はなこに「早くお化粧しなさーい、閣議に遅れるぞー」と言うという、なかなか貴重な体験をしています。大臣を閣議に遅刻させるのは、配偶者の恥であると思っています。こどもたちや、母久美子も、いずれもそれぞれに元気に暮らしてくれているのは、誠にありがたいことです。

●おわりに

 月日の経つのは早いもので、今年9月には2005年9月の初当選から20年目の年を迎えることになります。落選期間中も含め、倉敷・早島の方々をはじめとする多くの皆さまのお支えにより、国政での活動を続けることができています。重ねて、感謝を申し上げる次第です。衆議院議員5期目の任期も残り1年と少しとなりましたので、いつ解散総選挙があってもおかしくありませんし、今年9月には自民党総裁の任期末となることから自民党総裁選挙もあるものと思われます。先行きの見通しの立たない中ではありますが、これからもご支援いただける皆さまのために全力を尽くしますので、引き続きご指導・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

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