« 2024年1月 | トップページ

2024年2月

2024年2月 2日 (金)

政治資金問題のけじめと派閥の今後について

 1月26日に第213回国会が開会しました。昨年からの自民党内の派閥パーティに関する政治資金問題が尾を引き、政府四演説に先立ち衆参の予算委員会の集中審議が行われるという異例の日程となりました。30日に政府四演説(総理の施政方針演説、外務大臣の外交演説、財務大臣の財政演説、経済財政担当大臣の経済演説)が行われ、31日から2月2日まで衆参本会議で各会派からの代表質問が行われます。当然、政治資金問題についても議論が行われています。また、時を同じくして自民党の政治刷新本部の会議や中間とりまとめの公表、各派閥の動きなども日々慌ただしく、その中で私もバタバタと過ごしています。

 政治資金問題について、先に「令和六年正月にあたり、政治資金の問題について」に思うところを記しました。その際に、この問題について「けじめ」と「再発防止策」がなければ、国民の信頼を取り戻すことはできない旨記しましたが、記事は敢えて再発防止策に重点を置いて記していました。けじめについては必要であると考えるものの、まず当事者の方々や党としての考えが示されるべきであること、また私自身も自民党や派閥を構成する一員である以上、自分の考えは、ブログに書いたりメディアに向けて話す前にまず党内や派閥内に対して申し上げるべきこと、などと考えたからです。1月22日・23日の自民党政治刷新本部会議、1月30日に平成研究会意見交換会で思うところを申し上げ、また他の方々のご意見も伺いましたので、その内容を踏まえつつ現時点でけじめ等について思うことを記します。

●政治資金問題のけじめについて

 先のブログにも書きましたが、派閥パーティ券に関連する派閥から各議員の団体への寄付は、当然に収支報告書に記載すべきものです。今回の件で、東京地検特捜部は過去の例等を踏まえ、一定金額以上の不記載があった議員や、派閥の会計責任者等を起訴しましたが、共謀関係が立証できなかった議員等は不起訴となりました。しかし、本件に関して不起訴となった議員等に、不起訴であることをもって全く政治的にも責任がないという理屈は、多くの国民の納得は得られないもの考えます。年末年始に地元で多くの方にお叱りをいただいたのは、税金の取り扱いでは一円単位まで細かく調べられ、漏れがあれば追徴されるものなのに、政治資金の取り扱いは修正すれば問題ないのか?3千万円を超えなければ無罪放免なのか?というご指摘でした。

 一方で、不記載での寄付を行っていた派閥に所属する議員においても、特に歴の浅い議員からすると、派閥から不記載とするよう指示をされた場合は、逆らうこともできず従ってしまうものかも知れません。また私が耳にしたところでは、一部の派閥では、コロナ禍や選挙前等の際にはパーティ券販売目標額を下げた年があったらしく、所属議員からすると例年通りにパーティ券を販売しただけで派閥からの寄付が増えた年もあったようです。おそらく派閥からすると各所属議員への支援のつもりだったのだと思われますが、今回はそれが仇となり不記載額が出てしまったり増えてしまったりする結果になってしまいました。例年はむしろ目標額までパーティ券を販売することができず自費での購入を余儀なくされていたのに、目標額が下げられた年があったために寄付の不記載(自費購入額より少ない)が生じて裏金議員扱いされてしまったという、同情すらできる例もあるようです。こうした方々まで含めて、個々の事情を汲むこともなく一律に厳しく政治的責任を求めるのも行き過ぎではないかとも思います。不記載のあった議員は、既に政府の役職や委員会の委員長・理事を交替させられてもいます。また、委員会での質疑を打診したところ、辞退された方もおられました。今後も、厳しい目にさらされることになるものと思います。

 ただ今回、誠に残念だと感じるのは、不記載を指示したり行っていたりした派閥の責任ある立場の方々が、そのように振舞っているように見えないことです。

 かつて、平成研究会における日歯連事件の際には、団体から派閥に対する収支報告書の不記載について、会計責任者と会長代理の村岡兼造参議院議員が立件されました。その際、平成研究会の会長を務めていた橋本龍太郎は、心臓手術のため入院中で共謀には加わっていないという認定のもと不起訴となりましたが、その後自ら記者会見を開き、派閥会長を辞任し、次の衆議院選挙において選挙区から立候補しないことを表明しました。またその際、比例代表での出馬には含みを持たせていましたが、次の衆議院選挙の際、当時の自民党は名簿登載せず、そのまま引退となりました。これは、不起訴であっても、派閥の長たる者として、事件を起こして国民に不信を招いたこと、および党や所属議員にも迷惑をかけたことに対し、本人および自民党それぞれが引責の意味でけじめをつけたのだと考えます。これが派閥の幹部とされる方のとるべき道ではないのでしょうか?

 今回において、不記載のため会計責任者が立件された各派閥の幹部の方々で、同様の行動が自発的に見られないのは、自民党全体の信頼をも損ねることに繋がっています。「説明責任を果たす」とおっしゃる方もおられますが、検察により立件されていないということは「知らなかった」「関わっていない」という以外の説明ができるはずもなく、よって本件においては、「説明責任」は果たされるべきですが、それで真相が明らかになることはおそらく期待できません。しかし知らないことや関わっていないことでも、組織において不正があったならば、責任者はその管理監督責任が問われるべきです。

 また、派閥を解散したことで責任を果たしたという向きもありますが、本来周囲が期待する派閥幹部の務めは組織を健全に維持発展させることであり、むしろそれができなかったことにより解散を選ぶことになったのですから、組織に所属する方々に対して果たすべき責任はさらに重くなるのではないでしょうか。不正があった派閥の解散は、おそらくご本人たちにとっても断腸の思いであっただろうとはお察ししますが、客観的には不正の後始末の一環に過ぎません。

 メディアの記事によると、「年末年始に批判を受けて辛い思いをした」といった意見が、不記載があった派閥の会合であったようです。しかしそれこそ自民党の関係者は、国会議員も地方議員も支援者の方も、不記載があろうがなかろうが、概ね全員同様にいたたまれない年末年始を過ごしたのであって、党全体や当該派閥の若手を巻き込み迷惑をかけたという意識が微塵も感じられないのも、むしろ如何なものかと思われます。

 私は、1月22日の自民党政治刷新本部の会合において、不正のあった派閥幹部の責任の取り方として、日歯連事件における橋本龍太郎の身の処し方を紹介し、参考にされたい旨発言をいたしました。しかしその発言に対する受け止めが不十分と感じたため、より具体的かつ率直に申し上げるべきと思い、翌23日の会合では、直前に会長を辞任されているとはいえ不記載のあった派閥の幹部であった岸田文雄総裁に対して率先して議員バッジを外すよう促し、本件のけじめの先鞭をつけるよう求めました。なおこの発言については、誰とも相談したことも意見されたこともなく、素直に私個人の思いを申し上げたものです。

 もちろん、今すぐ実行に移せるものとは思っていません。政局にしたい訳でもないですし、能登半島地震対応もある中で政治的空白を作ることも避けるべきです。国会も開会していますので、まずは総理大臣として説明を行うことも求められます。当然、岸田総理は各党の議員から真っ先に厳しい追及を受けることになりますから、自民党の一員として全力でお支えします。ただ、党内からも前記のような意見があったことは胸に留めていただきつつ、真摯に今後の務めを果たしていただけるだろうと岸田総理には期待しています。

 そしてこの思いが総理以外の然るべき方々の耳にも届き、自発的な行動に繋がることを願っています。自発的な行動がなされないのであれば、党として必要な調査を行った上で党則に則り処分も検討されるべきではないかとも思います。さもなくば、自民党が国民の信頼を取り戻すことはないでしょう。

 なお、不記載の結果として各派閥や各議員が得た収入について、今回いわゆる「裏金」として存在が明らかになったわけですが、この使途についても国民の関心は強く寄せられています。収入を正しく申告していなかったら脱税として追徴課税までされるところ、政治資金は収支報告書を修正すればそのまま使えるというのは、とても納得は得にくいものと考えます。もちろん、収入が増加したことに合わせて領収書つきで支出も修正されたのであれば、政治資金としての使途は明らかにされたということになりますが、単に収入のみ修正した場合はその分の資金は手元にあるという理屈となります。本件では該当しませんが、政治資金規正法第22条の6に、規制に則らず受けた金銭は国庫に帰属し、ただちに国庫返納しなければないという条文があります。この精神を踏まえ、国庫や被災地等に不記載額の寄付をすることも考慮されるべきと考えます。

●派閥について

 1月19日、岸田文雄総理は、政治の信頼回復のために宏池会(岸田派)を解散する旨を発表しました。かねて派閥のパーティ券の不記載が問題とされていたところ突然の発表であり、大きなインパクトがありました。23日に宏池会の臨時会合で解散方針が正式に決定されるとともに、同様に会計責任者が起訴された清和政策研究会(安倍派)、志帥会(二階派)も解散を決定しました。また自民党政治刷新本部の議論においても、派閥の解消が議論されていたことを踏まえ、25日には、今回唯一刑事告訴されていない近未来政策研究会(森山派)が解散を決めました。現時点で残っているのは平成研究会(茂木派)および志公会(麻生派)ということになります。

 一方で、自民党政治刷新本部が1月25日に取りまとめた「中間とりまとめ(国民の信頼回復に向けて)」では、政策集団の政治資金パーティの禁止、夏季・冬季の所属議員への資金手当ての廃止、人事の推薦等を行いこと等が定められました。このとりまとめは自民党としての決定ですから、平成研究会にしても志公会にしても、存続するとしてもこの決定には従うこととなります。本来、解消されるべきは派閥そのものではなく、政治資金や人事などにまつわる「派閥の弊害」だと思いますが、現状の議論の中では、いずれにしても既存の派閥のあり方にはピリオドを打たなければなりません。

 1月30日に、平成研究会の意見交換会がありました。多くの所属議員の発言があり、また離脱を表明する議員もおられる中で、私からは、自民党政治刷新本部の「中間とりまとめ」を受け止めていることを対外的に明らかにするため、今の平成研究会には一旦けじめをつけるべきではないか、その上で、これまでの人間関係が突然切れたりする訳ではないので、一緒にご飯を食べて政治を語るようなところから再出発してはどうか、という意見を申し上げました。しばしばメディアでは「政治資金やポストを得るために議員は派閥に所属する」かのような解説をされますが、仮に本当にそういう方がおられるのであれば、別段無理に今後ご一緒する必要もないでしょう。一方で、落選しても歯を食いしばって頑張っている仲間もいるのに、彼らが当選してきた暁に「お帰り!」と言ってあげる場所が全くなくなるのは避けたいですし、できれば今回派閥を離脱した先生方とも、いずれまたご一緒できる場があるとありがたいとも思っています。

 個人的には、半分以上冗談交じりですが、政策集団や勉強会などと肩肘張らず、会費制出入り自由の「平成お食事会」(仮称)を立ち上げてはどうかと妄想したりしています。真に頼れる仲間とは、辛いときも楽しいときも、時間を一緒に過ごせるものではないかと思いますし、率直な意見交換や議論を通じ、政治の原点に立ち戻ることにも繋がろうとも考えます。

 なお意見交換会では、政治団体としての登録を今後どうするかという議論もありました。廃止すべきという意見も出た一方、会議費等に限られるとはいえ政治活動としてお金の出入りがある以上、収支報告書提出義務がかかる政治団体として存続させる方がより透明性が高いという意見もありました。個人的には、生まれ変わった団体がどのような規約によりどのような活動を行うこととするかの方が重要であり、それに沿って検討されればよいのではないかと思います。税金を原資とする政党交付金は入らないでしょうから、対外的にどこまで収支を公表する必要があるかは、結局は活動内容によるものと思われます。多くの議員連盟のように、定期的に会計報告をすることで済ませる場合もあるでしょう。

 いずれにせよ、平成研究会としては、「中間とりまとめ」を尊重し引き続きあり方について議論を続けることが共有されました。その方向に異存はありませんので、私は参加を続けるつもりです。

●おわりに

 今回の件において、自民党の中に、政治資金規正法の趣旨を尊重しない空気があったことは明らかであり、そのために国民の皆さまに政治への不信を招いてしまったことは、自民党の一員として誠に申し訳なく、重ねてお詫びを申し上げます。このことにつき、政治家が然るべくけじめをつけ、政治資金規正法改正を含む再発防止に取り組まなければならないことは当然です。引き続き信頼回復に努めます。

続きを読む "政治資金問題のけじめと派閥の今後について"

| | コメント (0)

« 2024年1月 | トップページ