「こども未来戦略方針」の具体化に関する提言
13日、政府において「こども未来戦略方針」が取りまとめられました。その中で「出産費用の保険適用の導入」や「乳幼児健診等の推進」といった出産・育児に関する施策の充実が多数含まれています。一方で、関係省庁はこども家庭庁、厚生労働省などにわかれ、どのように相互の連携を図り、出産前後の親の安心や産後の子の健康を守る一気通貫したサービスとするか議論が必要と考えました。そうした観点から、田村憲久・社会保障制度調査会長のご了解をいただき、調査会の下にさる6月6日にこどもまんなか保健医療の実現に関するPTを設置していただき、座長に就きました。
同日の会合では、公益社団法人日本産婦人科医会および公益社団法人日本小児科医会よりヒアリングを行い、さまざまなご意見を承りましたが、そのことも踏まえ、政府においても連携して諸施策の具体化に当たること、また関係する団体等の意見をよく伺って具体化の検討を行うべき必要を感じたため、14日のPT会合で提言を取りまとめて政府に申し入れを行いました。下記にその内容を記します。
なお通常国会の会期末が近いため、とりあえずはこれでひと段落となりますが、秋以降、具体的な施策を取り上げたり関係団体のヒアリングを行うなど、より安心して出産育児ができる環境づくりに向けて検討を進めます。
・[PDF版]「こども未来戦略方針」の具体化に関する提言
社会保障制度調査会
こどもまんなか保健医療の実現に関するプロジェクトチーム
政府において取りまとめられた「こども未来戦略方針」においては、妊娠期から出産、乳幼児期、そして就学に至るまでの間の保健および医療に関し、
- 出産・子育て応援交付金の制度化等の検討
- 妊娠期からの伴走型相談支援の着実な実施
- 出産育児一時金の大幅な引き上げ、低所得の妊婦に対する初回産科受診料の費用助成の実施
- 出産費用(正常分娩)の保険適用の導入の検討
- こども医療費助成の減額調整措置の廃止
- 産後ケア事業の利用者負担軽減措置の実施および提供体制の確保
- 乳幼児健診等の推進
- 障害児、医療的ケア児の支援体制等の強化 等の方針が定められた。これらは、出産前後の親の安心や産後の子の健全な発育をサポートするために、いずれも重要な施策である。
一方で、当プロジェクトチームにおいて(公社)日本産婦人科医会および(公社)日本小児科医会からヒアリングを行ったところ、特に出産費用の保険適用に向けては強い懸念が示されたこと、こどもの身体・心・社会(環境)のすべての面での育ちを一体として保障するための乳幼児健診の機会の充実等、さまざまな課題が残されていること等の現状が明らかにされた。
当プロジェクトチームにおいては、親と子の出産と育ちを一気通貫してサポートし、より安心できるものとするという視点から、こうした課題の解消に向けて引き続き取り組むものであるが、政府においては関連する施策が多数に及び、担当も厚生労働省およびこども家庭庁の各局課にわたることとなるため、縦割りを排した検討体制をとることが望まれる。そこで下記の提言を行うこととするので、政府においてもこれを重く受け止め、実現されたい。
- 妊娠期から出産、乳幼児期を通じ就学までの間、それぞれの親と子を一気通貫に支援する観点から、関係部局が有機的に連携するための協力体制を構築し、諸施策の具体化にあたること。
- 施策の検討にあたっては、こども基本法および成育基本法の趣旨を十分に踏まえつつ、出産の保険適用など上述した点を含め関連する団体や地方公共団体等の意見や懸念を丁寧に受け止め、これを解消するように努めながら行うこと。
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