子ども手当法案に自民党が反対した理由について
今国会冒頭、1月25日の衆議院における代表質問において、自由民主党の茂木敏充幹事長が、児童手当について「所得制限を撤廃するべきと考えます」と発言されました。このことに関し、平成22年の自民党野党時代に当時の民主党政権が提出した「平成二十二年度における子ども手当の支給に関する法律案」に反対したことを指摘した批判が見られました。そこで、自民党が当時なぜ当該法案に反対したのか、その理由を衆議院本会議における討論をもとに下記に整理しました。ご覧いただければおわかりの通り、単純に、当時提案された子ども手当が所得制限を設けていないことをもって反対したものではありません。13年が経過し、自民党の議員でも当時の経緯を知らない方も増えていますので、ご参考にしていただければ幸いです。
この議論の当時から考えると、子ども・子育て支援新制度や待機児童対策、保育・教育の無償化などの実現、こども基本法やこども家庭庁の設置など、こども・子育てを取り巻く政策はさまざまに進捗しています。一方で、なお少子化に歯止めがかかっていない現状は、率直に反省しなければなりません。こうしたことを踏まえつつ、未来志向で議論が行われることを期待しています。
- 児童手当法から「家庭における生活の安定に寄与する」という文言を削除しており、家族、家庭の役割を否定する考え方が看過できない。
- マニフェストに示された満額26,000円の算出根拠が示されず、あいまいな答弁に終始した。
- 「こどもの貧困をなくす」「格差の是正」と言いながら、所得制限を設けていない。
- 第一子、第二子、第三子とすべて同額である。傾斜配分すべきである。
- 現金給付のみが突出している。現物給付にもバランスよく配分すべき。
- 児童養護施設入所児童のうち、措置入所の子とそれ以外の子で支給有無が異なる。
- こどものために使われることの担保がない。
- マニフェストでは全額国庫負担とされていたが、地方負担と事業主負担を残した。
- 無理なスケジュールで強行しようとしているため、市町村に過剰な事務負担となる。
- 在日外国人の母国在住のこどもや養子他支給基準を満たしていれば支給対象となる一方、日本にこどもを置いたまま外国で働いている日本人に支給されない。また、そのことを認識したにも関わらず是正せず法案採決を強行している。
- 恒久財源が明らかでない。
※上記は、第174回国会衆議院本会議における田村憲久衆議院議員による討論(平成22年3月16日)(議事録)を要約したものです。
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