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2020年3月

2020年3月20日 (金)

新型コロナウイルス感染症に関するニューヨーク市、州の現状

自見はなこ参議院議員の知人で、ニューヨークにいる医師の方が、新型コロナウイルス感染症に関する現地の状況のレポートをくださいました(心から感謝申し上げます)。公開のお許しをいただきましたので、いただいたPDF、およびテキストと画像をこちらにアップします。ただし、あくまでも個人的なレポートですので内容等は保証しません。また、厚生労働省内にも共有しました。

このレポートによると、ニューヨーク市・ニューヨーク州では、ここ4~5日でオーバーシュートしてしまっています。昨日の専門家会議でこの言葉が出てきましたが、実際にはこのように発生すると受け止めなければなりません。

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(いただいたPDFはこちらです。テキスト化は私が行いました。)

ダウンロード - 200319_ny_report.pdf


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New York, New York City の現状
2020 年 3 月 19 日 夜 (米国東部夏時間)

ファクト

時系列
感染者数
NY City (いわゆる 5 Boroughs、マンハッタン、ブロンクス、クイーンズ、ブルックリン、スタテンアイランド) 1 (Mar1) - 3 (Mar5) - 4 (Mar6) -11 (Mar7) -13 (Mar8) - 19(Mar9) - 36 (Mar10) -52 (Mar11) - 95 (Mar12 非常事態宣言・全劇場閉館) - 154 (Mar13) - 269 (Mar14; 2 名死亡) - 463 (Mar16) - 814 (Mar17) -1871 (Mar18) – 3615 (Mar19)

Westchester (ベッドタウン。日系駐在員が多く住む)
1 (Mar3) - 4 (Mar4) - 18 (Mar5) - 34 (Mar6) - 57 (Mar7) - 82 (Mar8) - 98 (Mar9) - 108 (Mar10) - 121 (Mar11) -148 (Mar12) -158 (Mar13) -178 (Mar14) - [Mar15; New Rochelle を封鎖] - 220 (Mar16) - 380 (Mar17) - 538 (Mar18) – 798 (Mar19)

New York State (州全体)
1 (Mar1) - 2 (Mar3) - 11 (Mar4) - 22 (Mar5) - 44 (Mar6) - 76 (Mar7) - 106 (Mar8) – 142 (Mar9 15 日か らの New Rochelle の閉鎖を決定) - 173 (Mar10) – 216 (Mar11) – 325 (Mar12) - 421 (Mar13:うち 50 人が入院・18 人 ICU) -613 (Mar14) – [Mar15, 死亡 6] - 950 (Mar16, 死亡 7) - 1544 (Mar17, 死亡 12) - 2914 (Mar18, 死亡 20) – 5298 (Mar19, 死亡 33)

在ニューヨーク日本総領事館からの情報提供
メールサービスにて、
Jan 22 ワシントン州で第一例をした旨の注意喚起
Jan 24 ニューヨーク州で疑い症例が検査中である旨の注意喚起
Feb26 引き続き感染予防につとめるよう注意喚起
Mar2 ニューヨーク市内で感染者 1 名を確認した旨の注意喚起
Mar3 Westchester 郡で感染者 1 名を確認した旨の注意喚起 以後、ほぼ毎日、各地域の感染者数のレポートと注意喚起。Twitter はあまり活用されていない。

市当局からの情報提供と指示
主に生活に密着した情報は New York City が発信している。主に twitter がリアルタイム性が高い。
Mar3 手を洗うように広報。
Mar4 フェイスマスクの適切なしようについて呼びかけ
Mar6 xenophobic discrimination には zero tolerance だと呼びかけ
Covering your coughs and sneezes/ Washing your hands/ Keeping your hands away from your face の 3 点が大切だと呼びかけ
Mar7 New York Stateに非常事態宣言。便乗値上げしないように注意喚起 "we have ZERO tolerance for anyone taking advantage of an epidemic to gouge prices"
Mar8 生活のガイドラインを発表 Mar9 携帯に通知がプッシュで来るようなサービス開始 (Text 'COVID' to 692-692 for real-time updates or visit http://nyc.gov/coronavirus for more.)また、便乗値上げをみたらレポートするよう周知 (Call 311 to report any price increases you've noticed.) 握手せずに elbow bump するように。
Mar10 献血には来てほしい、と呼びかけ。"New Yorkers will have the biggest impact on this crisis. Wash your hands, stay home if sick, work from home if you can, and wait for the next train if it’s too packed."
差別は通報せよと呼びかけ"Discrimination is ILLEGAL in New York City. If you experience or see any sort of hate crime or discrimination related to COVID-19 or anything, please report it immediately. To New York City's vibrant Asian-American community: your city stands with you."
Mar11 改めて差別禁止よびかけ"COVID-19 doesn't discriminate. There is absolutely NO reason to avoid our Asian communities. Now is the time to support each other."
Mar12 New York City に非常事態宣言
Mar13 国家非常事態宣言。感染者を確認したため複数の学校を閉鎖。Medium.com に、非常事態宣言 の意味するところを市長が寄稿。https://medium.com/@NYCMayorsOffice/statement-from-mayor-deblasio-on-covid-19-8a7c3434a2af
Mar14 市長"Our country is in a war-time scenario"
Mar15 翌日からの公立学校の閉鎖を決定。
レストラン、バー、カフェはデリバリまたはテイクアウトのみ(Mar17 9am より)・ナイトクラブや劇場 群は閉館とする通知。
CDC よりガイドライン。50 人以上の mass gathering を向こう 8 週間控えるように。
Mar16 上記レストラン関連の通知を前倒しして 8pm に発効。隣接する New Jersey では 8pm 以降の夜 間外出禁止。
Mar17 調子がすごく悪くない限り家に居るようにと通知
Mar18 中等症までは病院に来ないように。手を洗うように。また、退職した医療従事者や有資格の医療従 事者に、助けが必要だと呼びかけ。

このような場合の主な情報源
→ twitter が最もリアルタイム性が高く、そこから、ホームページに誘導する方式。ただし、twitter だけでも 十分必要情報が追える。
ホームページ(22 言語対応
https://www1.nyc.gov/site/doh/health/health-topics/coronavirus.page
City of New York @nycgov
Mayor Bill de Blasio @NYCMayor
NYC Mayor's Office @NYCMayorsOffice
NYC Emergency Management @nycemergencymgt
NYCEM - Notify NYC @NotifyNYC
NYC Public Schools @NYCSchools
NYC Commission on Gender Equity @GenderEquityNYC
nycHealthy @nycHealthy

社会保障的な側面は州が主。州知事の twitter もよい。
Andrew Cuomo @NYGovCuomo

なお、全米に定時手術の延期が呼びかけられている。(Mar14)
U.S. Surgeon General @Surgeon_General

上記の時系列情報は、City of New York @nycgov が 主 だ が 、 列 挙 し た 情 報 源 を 互 い に retweetしているので、どのアカウントをフォローしていても、ほぼ同じような情報が同じようなタイミングで受 信できる。

現在 1000 床の病院船(USNS Comfort)が NY 港に向かっている。

分析・感想
NY 州・市の感染者数は、1 日で約 1.5~2 倍に増加している。Financial Times 誌が日々更新している、国 別感染者数の trajectory [1]に重ね合わせると、医療崩壊した他国よりも急峻に患者数が伸びている。
[1] https://www.ft.com/content/a26fbf7e-48f8-11ea-aeb3-955839e06441

Ny_linear

Ny_log

[1]より。NYC の推移を赤丸にて重ね合わせている。
Trajectories

少なくとも NY 市長は今回の事象を”wartime”という強い言葉で表現し、トランプ大統領も、3 月 18 日、war と表現している(@realDonaldTrump)。病院船(1000 床)も NY に派遣された。一方、中等症までは stay home を指示しており、NY に関しては、病院にくる患者数を最小にし、域内のベッド数を極限まで高める方 針に見える。イタリアなどの経緯を見ると、患者数の急激な立ち上がりを観察してから行政が動いても、間 に合わないタイプの事象なのかもしれない。そして患者数爆発から、その地域の医療機関崩壊を経て、最 終的にはその地域の強い封じ込めに至る様に見え、現在のアメリカは、向こう 1-2 週間で何とかその傾向 を抑えようとしているように見える。

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2020年3月15日 (日)

ダイヤモンド・プリンセス号の対応を終えて

 まず、ダイヤモンド・プリンセス号に関し、7名の方が治療の甲斐なく亡くなり、多数の方々の感染が確認されています。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、今なお入院中の方々には、一日も早いご快癒をお祈り申し上げます。

 さて同船内で対応にあたり、3月1日朝に下船して14日間症状なく経過したため、宿泊施設での自己検疫を解き、週明けから物理的に職場復帰することとなりました。振り返ってみれば、2月10日に加藤勝信大臣から自見はなこ大臣政務官とともに現地対応を命じられ、翌11日から船内常駐でしたので、ほぼ世間に出ずに1か月以上の期間が経っています。その間、国内および海外でも新型コロナウイルス感染症は猛威を振るい、WHOがパンデミックを宣言するまでに至りました。一方、昨日安倍総理が記者会見で表明した通り、検査体制や医療体制の整備をはじめ各種対策が実行に移されています。気持ちを引き締め、引き続き対策にあたる所存です。

 今回の検疫では、DMATをはじめ多くの医療関係者の方々や感染症対策の専門家の方々にご協力を頂き、業務を終えることができました。またLINEやソフトバンクをはじめとする情報通信系の企業の皆さまにもお力を賜りました。その他ご協力いただいた数多くの皆さまに、心から感謝申し上げます。

 ダイヤモンド・プリンセス号の3,711名の乗客・乗員の皆さまにも、検疫へのご協力を感謝申し上げます。そもそも検疫とは、日本への感染症の上陸を極力防ぎ遅らせるという公衆衛生上の目的のために、感染症が発生してしまった船舶にたまたま乗船していただけの方々を強制的に足止めし、自由を束縛することに他なりません。短くても二週間、長ければ一ヶ月以上にわたり船内や宿泊施設あるいは医療機関での生活というご不便をおかけすることで、日本への新型コロナウイルスの上陸をコントロールしました。その間に、政府がさまざまな対策を実施するための時間が稼げたのです。重ねて御礼申し上げますとともに、皆さまの今後のご健勝をお祈り申し上げます。特に今回は、乗客の検疫を乗員の皆さまにも支えていただかざるを得ませんでしたが、ジェナロ・アルマ船長はじめすべての乗員の皆さまには、自らも感染の恐怖もあったであろう中で乗客へのサービスをやり遂げていただきました。その勇気とホスピタリティには、心から敬意と称賛の意を表します。検疫を終えられ各々の故郷や家に戻られた際には、温かく迎えられるよう願ってやみません。

 船内での対応については、検疫官や厚生労働省職員、DMATやDPATといった支援チームの方にも感染者を出してしまった反省も含め、今後政府において検証されることとなります。包み隠さず協力し、今後の教訓につなげたいと思っています。早速ですが、先日には米国の政府関係者やCDCの方々に対し、自見はなこ政務官とともにダイヤモンド・プリンセス号での経験に関して電話でご説明しました。サンフランシスコにおけるグランド・プリンセス号の検疫も、私たちの経験を活かし、より順調に行われることを願っています。

  感染症対策の難しいところは、ややもすると人間関係や国家間の交流や関係そのものを断絶してしまいかねないことではないかと感じています。しかしあくまでも封じるべきはウイルスであり、人ではありません。協力関係が損なわれることは、結果としてむしろ感染症を拡大させてしまうことにもつながり得ます。こまめな手洗いなど一人ひとりの取り組みを積み重ね、皆で力をあわせて新型コロナウイルスを封じる社会を目指し、稲津久副大臣、小島敏文・自見はな子両大臣政務官、そして厚生労働省の皆さんともども、加藤勝信厚生労働大臣を支えて全力で取り組みます。今後とも、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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