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2019年11月

2019年11月24日 (日)

児童手当に関する財務省資料について

 先般、厚生労働省は、一般の方からのお問い合わせにより「平成24年児童手当の使途等に係る調査報告書」についてミスを修正し、正誤表を発表しました。またそのことに関連し、財務省資料も修正されています。これらのことは、問い合わせを受けた厚生労働省、内閣府、財務省の担当者レベルにてしっかり対応してもらえたものと思っています。そもそもミスはないに越したことはありませんが、速やかに対応できたことはナイスリカバリーといえるでしょう。また改めて、誤りのご指摘をいただいたことに、感謝申し上げます。

 このことに関し、その方のブログ「おたまの日記」にて、「橋本厚生労働省副大臣への私信:児童手当について」としてご指名をいただきましたので、そちらも拝見しました。私個人の責任において、財務省資料について以下のとおりの感想を記します。ただし現在、児童手当は現在内閣府の所管であり、また財政制度等審議会も財務省の所管ですので、同旨のペーパーを厚生労働省内に伝えてはいますが、あくまでも一個人の感想文と受け止めていただければ幸いです。

 なお、財政制度等審議会は、毎年の予算編成にあたり各省庁が出してくる要求に対して、厳しいお目付け役アドバイザーとしての機能を果たしているものと思っています。この件に限らず、いかに予算を効率化するかという投げかけをするのがお仕事であり、それに対して要求側省庁も予算の必要性を訴えて、折衝を重ねた上で、最終的な政府予算案となります。したがって財政制度等審議会の資料は「財務省はこう考えてるんだ」と受け止めていただくのはよいですが、政府全体として方針が決定されたものではありません。財政制度等審議会の資料は、個人的にも見解が相違することが少なくありませんが、しかし政府の中では必要かつ重要な機能の一つだと理解しています。

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※こちらが元の財務省資料「社会保障について①(総論、年金、介護、子ども・子育て支援)」10月9日、財政制度等審議会提出資料です。

<財務省資料p.48について>

 ページ上部説明文一行目にて「世帯収入が高いほど、『使う必要がなく残っている』等の回答が多い」とされ、左下の収入別児童手当使途のグラフでも、「使う必要がなく残っている」とされている。

 一方、厚生労働省報告書では、p.23において、この項目は「「児童手当等」の支給から回答時点までに特に使う必要がなかったので、全部又は一部が残っている(将来的に使う予定がある場合を含む)」とされており、期間(10月の児童手当等の支給後から1月末日まで)内に費消していないということを意味しているのみである。そして残額の使い道については、同報告書p.52の「(2)残った「児童手当等」の使い道(使途予定)」の項目にて調査結果が記されており、その中で「大人のおこづかいや遊興費」という児童手当に明白にふさわしくない使途予定はわずか0.3%にすぎない。また、p.57のグラフにて世帯年収階級別の使途予定を確認しても、いかなる世帯年収階級においても「大人のおこづかいや遊興費」の回答は1%未満である。

 したがって、調査時点のみならず将来の使途予定まで勘案すれば、いかなる世帯年収階級においても、明白に児童手当の使途として不適切と思われる使途の回答は極めて少なく、財務省資料同ページにおける【改革の方向性】(案)にて示されている「使途等の実態を踏まえた所得基準や給付額見直しを検討」や「所得基準を超える者への特例給付については、廃止を含めた見直し」を行う根拠は、厚生労働省報告書の範囲では、存在しないのではないか。

なお、「子どもに限定しない家庭の日常生活費」や「子どものためとは限定しない貯蓄・保険料」については、子どもや子育てをしている家庭全体として利益は及び得る、児童手当にふさわしい使途と考えるべきではないか。

また、厚生労働省報告書の調査は平成24年に実施されており、すでに7年が経過している。制度見直しにおいてはできるだけ最新のデータに基づいて行うことが望ましく、必要に応じて、まず調査を再び行うことも検討されるべきではないか。

<財務省資料p.49について>

 p.49のグラフは政府における「家族関係社会支出(現物給付・現金給付)」を見ているのみである。しかし単純に、政府からの支出が増えたので子育てがたやすくなったと結論づけるのは早計である。子ども・子育て政策が「真に子どもや子育て世代のためになっている支援となっているかどうか」を検証するためには、子育て世代各家庭における負担増についても合わせて確認をする必要もあるのではないか。

具体的には、少なくとも年少扶養控除の廃止(2011年)、消費税3%引上げ(2014年)、消費税2%引上げ(2019年)などは子育て家庭への影響は見込まれ、また医療や介護などの保険料の推移についても目配りが必要であろうと思われる。あわせて検討さるべきではないか。

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