この一年間を振り返って
●はじめに
ここしばらく毎年人事前の時期には、一年間のまとめをブログに書き続けています。これまでに書いたものは下記の通りです。
・厚生労働大臣政務官退任にあたり(2015.10.8)
・外交部会長を振り返って (2016.8.2)
・厚生労働副大臣退任にあたり(2017.8.7)
・厚生労働部会長を振り返って(2018.10.3)
今年は責任者的な役職はありませんが、その分政策面において座長や事務局などを担うことが多く、多方面にわたる仕事に取り組むことができました。昨年中のことについては「平成30年末のご挨拶」)に記していますが、今年に入ってからのことについて、順不同となりますがここで整理しておきます。
●団体総局次長として
党の役職表に出てくる役職としては、組織運動本部団体総局次長を務めました。この役職は、井上信二団体総局長の下、各種団体(例えば日本医師会とか日本経済団体連合会とかです)と自民党との窓口役となるものであり、政策のヒアリングや懇談会などに出席してご要望を伺い各部会等に伝えるのが主な役目となります。具体的な成果をあげるような種類の仕事ではありませんが、さまざまな団体の方々と意見交換する機会に恵まれ、勉強になりました。
●旧優生保護法救済法の成立
昨年からずっと気にかけていた案件が、旧優生保護法救済法案でした。旧優生保護法は平成8年に母体保護法に改正され関連条文そのものは削除されましたが、旧優生保護法下で障害等を理由に本人の意によらず不妊手術を強制されていた方々に対して何らの補償もなく、昨年に訴訟が提起され注目を集めました。もともとこの法律は議員立法であり国会が主体的に対応することが必要であったため、議員間でも機運が高まり超党派議員連盟および与党WTが結成され、僕もメンバーの一員として議論に参加しました。昨年中に大筋は固まっていましたが、今年に入って一時金の金額や内容、文言(委員長発言を含む)等がまとまり、4月24日に法律が成立しました。また同日、内閣総理大臣談話および厚生労働大臣談話が発表され「政府としても、旧優生保護法を執行していた立場から、真摯に反省し、心から深くお詫び申し上げます。」という趣旨が表明されました。ご関係の方々からは、なお満足のいかない点などが表明されていることは受け止めます。ただ、これまで全く顧慮されていなかった問題に対し、与野党を超えて多くの方々の調整やエネルギーが費やされており、その中で裁判での判決を待たずに党派を超えて国会として主体的に結論を導くことができたことは本当によかったですし、優生思想の払拭のためにも画期的かつ歴史的なことと考えます。
なお、本法律は既に施行されており、旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方等に一時金が支給されますが、手続きが必要です。もし心当たりの方がおられましたら、厚生労働省の「旧優生保護法による優生手術等を受けた方へ」ページ等をご参照ください。
その後、ハンセン病家族訴訟に関し国敗訴の判決が出、安倍総理の決断により国は控訴せず救済法をつくる方針が示されました。現在、原告団らと厚生労働省が協議を行っていますが、いずれ議員立法が行われるものと思います。こちらに関しても議員懇談会のメンバーとして救済実現に汗をかきたいと思っています。
●死因究明推進基本法の成立
議員立法ではもうひとつ、死因究明推進基本法も先の通常国会で成立しました。「死因究明推進基本法が成立しました!」に記しましたので詳細は譲りますが、10年越しの懸案に一区切りをつけることができました。先の参議院選挙で惜しまれつつ勇退された石井みどり前参議院議員の粘り強い調整力と、各会派の皆さまのご協力の賜物であり、改めて感謝申し上げます。ただ、死因究明に関する恒久法ができたとはいえ、具体的な施策を講じるのはこれからです。引き続き「死因不明社会」の汚名を改善するために努力します。
●生涯現役社会の推進に向けた提言
さて、自民党においては、雇用問題調査会(松野博一調査会長)において事務局長および生涯現役社会推進プロジェクトチームの座長を務めました。このPTでは人生100年時代における雇用面での改革を検討するため、企業や経団連・連合からヒアリングなどを行い、議員間の活発な討議も踏まえて提言を整理しました。この提言の内容は、すでに政府に受け止められ骨太の方針などに反映されており、今後の法改正に生かされます。「生涯現役社会の推進に向けた提言」をご覧ください。
●性的指向・性同一性(性自認)に関するQ&Aの更新
また、性的指向・性自認に関する特命委員会(古屋圭司委員長)事務局長として、「性的指向・性同一性(性自認)に関するQ&A(令和元年版)」の更新、および付録資料「『性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すための政府への要望』(平成28年5月)に対する政府の対応状況」の整理を行いました。本特命員会としては「性的指向・性自認に関する理解の増進に関する法律案」の国会提出を目指していましたが、政府および党内の調整に手間取ってしまい、残念ながら最終的に断念せざるを得ませんでした。
しかし自民党は与党ですから、政府に対して要望を行い、既存の法律における施策を改善して実行に移すことは可能です。すでに平成28年に33項目に上る要望を行っています。また、理解増進をするための内容についてもたたき台をQ&Aの形で示していました。そこで、それぞれ現時点で最新のものに更新し、公表しました。ご参考にしていただければ、幸いです。
●大規模災害からのより迅速・円滑な応急・復旧対策に関する提言
昨年は、自分も対応にあたった平成30年豪雨災害や北海道胆振東部地震、大阪北部地震や度重なる台風などの災害被害が相次ぎました。このことを踏まえ、災害対策特別委員会(今村雅弘委員長)の下、諸課題対応に関する小委員会(中山泰秀小委員長)を設置し、ヒアリングや議論を重ねて6月に提言をまとめました。「大規模災害からのより迅速・円滑な応急・復旧対策に関する提言」に掲載していますので、ぜひご覧ください。今年も佐賀県や岡山県新見市など、台風や局所的な集中豪雨などによる被害が相次いでいます。提言を迅速に実施に移すことを、政府に期待します。
●そのほか
総務部会地方議員の課題に関するプロジェクトチーム(坂本哲志座長)では、事務局長として議事整理を行いました。近日中に論点整理を総務部会に報告する運びとなります。
沖縄振興調査会(小渕優子会長)では、三度にわたり沖縄県に出張し、子どもや若年母親の居場所づくり事業をはじめ様々な施策の状況を学びました。沖縄の問題は、沖縄県の方だけでなく日本全体の問題と捉えるべきだと考えます。
国会においては、衆議院厚生労働委員会の理事と、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会の理事を務め委員会の円滑な運営にあたりました。特に厚生労働委員会では、冨岡勉委員長を補佐して代理をしばしば務めた他、質疑も1月に毎月勤労統計問題に関する質疑、3月に「医師による異状死体の届出の徹底について(通知)」に関する質疑、5月に児童虐待防止のための児童福祉法改正案に関する質疑と、3回にわたり行いました。今年の通常国会では、与野党筆頭の緊密な連携のもときわめて平穏な委員会運営が行われました。
8月には日中次世代交流委員会(議員連盟)の第7次訪中団に副団長として参加し、中国の北京および福建省を訪問しました。詳細は「日中次世代交流委員会第七次訪中団レポート」をご覧ください。
金融庁の報告書をきっかけに、公的年金に関して様々な議論が起こりました。それに関し、BSテレビへの出演や月刊誌『文藝春秋』における対談記事掲載など、メディアにも取り上げていただきました。思うところは「金融庁報告書を巡るあれこれ、または政治家はもっと「福祉」を積極的に語ろう」に記した通りです。
6月に、自民党岡山県支部連合会会長の3期目を務めることとなりました。幸いなことに4月の岡山県議会議員選挙はじめ統一地方選挙、7月の参議院選挙岡山県選挙区などにおいてありがたい結果を頂戴し、ほっとしています。各候補をご支援いただいた皆様に、改めて厚く御礼申し上げます。
●さいごに
これまで振り返ってきた通り、おかげさまで今年も充実した成果を残すことができた一年でした。ご指導、ご支援いただいた多くの皆様、そして国会に送っていただいた倉敷市・早島町の皆さまのおかげと、深く感謝申し上げます。実は今年8月末で、自らの力不足により落選してからちょうど10年になります。その時の心境や状況から考えれば、今はありがたいとしか言いようがありません。もちろん困難もありますが、何はともあれ元気で過ごしていることがなによりです。今後とも引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
| 固定リンク
「02.東京活動」カテゴリの記事
- 第204回通常国会期間を振り返って(2021.06.16)
- 令和元年台風第15号による被害状況等について(厚生労働省による)(2019.09.12)
- この一年間を振り返って(2019.09.07)
- 厚生労働部会長を振り返って(2018.10.03)
- 厚生労働大臣政務官退任にあたり(2015.10.08)
コメント