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2017年9月 7日 (木)

先の中国訪問における孔鉉佑氏の発言について

 先日の中国訪問における孔鉉佑・朝鮮半島問題特別代表兼外務次官補との会談内容の一部がメディアで記事として取り上げられています。記事内容が誤っている訳ではありませんが、一人歩きしたり誤解も招きうる可能性も考えられるので、その場に同席して耳で発言を聞いていたものとして、補足します。

「次は東京上空越えるミサイルも」中国高官、日本の国会議員団に伝達(産経新聞)

中国高官「次は東京上空」日本に強い言葉で抑制対応要請か(共同通信)

 会談の主要な議論は先にこちらのエントリ(中国訪問記―北朝鮮ミサイル問題、一帯一路、貧困対策)で記した通りです。まず大前提として、双方ともに、北朝鮮のミサイル発射や核開発等の国連安保理決議違反の行動に対しては断固反対であること、外交的な解決が望ましい(すなわち、武力行使は望まない)ことの二点は両者とも一致していました。その上で、遠山団長から北朝鮮への圧力強化への中国のさらなる協力を要請したことに対し、孔氏から、中国が対話による解決を提案していることをもっと日本側も前向きに考えてほしい、というお返事があり、それに対して遠山団長から、実際にミサイルが上空通過する日本国民の危機感の中で、現時点での対話路線に対する懸念を伝える、という展開をたどりました。

 そのあとで、孔氏から、先のエントリの補足として記した「中国国境から90kmしか離れていないところでの核実験に強い危機感を持っている」云々の発言があり、その現実的な解決策として中国は対話による解決の提案をしていること、日本を含め関係国からは前向きな反応がないことなどを述べられた上で、「中国としては危機的な状況においても対話を試みる価値があると考えている。さもなければブレーキが利かず、ただエスカレーションするだけである。もしこのままの状況が続けば、次は東京の上空を超えてミサイル発射を行うシナリオも考えられる。そのようなシナリオを避けるべく、中国側としては、国際社会と連携しながら北朝鮮問題を解決することを望んでいる」云々という発言がありました。

 正直、聞いていてドキッとする言葉であったことは確かです。ただ振り返ってみれば、軍事的圧力のエスカレーションがもたらし得るシナリオの一例として述べたのであろうと受け止めていますし、核実験によって実際に国土の一部が地震に見舞われるという直接的恐怖感を踏まえた、落としどころの見えない中で続く軍事的エスカレーション的状況への危機意識から出た悲鳴のような言葉にも聞こえました。

 ちなみに、二年前に同じ訪中団で中国東北部の延吉という都市を訪問しており、その際現地の方から「北朝鮮の核実験があると、この辺でも地震を感じます」と聞いていました。テレビ報道で、今回の核実験でも延吉で地震のため大きくシャンデリアなどが揺れる映像が出ていました。隣国の影響で地震が頻発するのは、なかなか恐いことでしょうし、許し難く感じるのは想像に難くありません。

 いずれにしても、北朝鮮問題に関して軍事的解決を望まないのであれば、どこかのタイミングで対話に転じなければならないことは自明の理であり、日中の意見の相違はそのタイミングとプロセスの違いでしかありません。こうした溝を埋めつつ、沈着にかつ毅然と一致して北朝鮮に対して臨む国際社会の空気を作っていくよう外交当局には望みたいと思いますし、僕自身もそのように動いていきたいと思っています。

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