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2017年9月

2017年9月28日 (木)

衆議院解散・総選挙にあたり

 先ほどの衆議院本会議にて、衆議院が解散されました。これをもって自動的に失職となり、2014年12月にお預かりした衆議院議員3期目のバッジを、外しました。

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 在職中さまざまな皆さまのご縁をいただき、多くの重要な仕事に携わりました。役職で言えば、厚生労働大臣政務官、自民党外交部会長、厚生労働副大臣、そして自民党厚生労働部会長(現職)という3年間を過ごしました。仕事の内容や所感はそれぞれの退任時のエントリ[厚労政務官外交部会長厚労副大臣]に譲りますが、仕事にも周りの皆さんとのご縁にも恵まれた在職期間でした。また三菱自工燃費不正に関する雇用危機や障害者就労支援事業所の大量解雇といった地域における危機対応や、高梁川みなと大橋の竣工をはじめとする地域のインフラ整備などにも汗をかきました。

 もちろん、すべてが上手くいった訳でもありませんし、自分のふがいなさのゆえに失望を与えてしまったこともあったでしょう。やり残しもたくさんあります。しかしいずれにしても、落ち着いて様々な政策課題に立ち向かう環境を頂けたことは、昨今の右往左往する政界を眺めるにつけても、とても恵まれたことだと感じています。その間にお寄せいただいた全てのご縁と、何よりも前回選挙において橋本がくを国会に送っていただいた倉敷・早島の皆さまに、心から感謝を申しあげます。誠にありがとうございました。

 さて25日に安倍総理が記者会見を開き、「国難突破解散」と銘打って衆院の解散を表明しました。少子化・長寿化が進む中で、日本の将来を背負って立つ子どもたちにさらに手厚い投資をすることは喫緊の課題です。また、子育てや親の介護、また自分や家族の病気や障害といった様々な事情を持ちながら、その人らしく働き稼ぐことができる環境を整えるための「働き方改革」を進めていく中、中小企業・小規模事業者を含めて投資やマーケティングを支援し企業の生産性を向上させることも、重要な課題です。これは以前、BSテレビにてご一緒した際、連合の神津会長とも意気投合した点でもあります。安倍政権は、政権をお預かりして以来、アベノミクス三本の矢、地方創生、一億総活躍、そして働き方改革と政策を矢継ぎ早に展開してきていますが、その次の一手としてぜひ進めなければならない二つのテーマがこの「人づくり革命」「生産性革命」なのです。しかしそのためには新たな財源が必要であり、これまではそれ故に必要性はわかっていても効果的な手が打てずにいました。今回、安倍総理のリーダーシップのもと、三党合意による「税と社会保障の一体改革」の枠組みを変更することは、この実現のためにはしっかり議論すべきことなのでしょう。そして税に関わる問題について国民の皆さまに信を問うことは、当然に必要なことです。

 正直、懸念もあります。本来、国債の新規発行を抑制するための税収増分の一部を歳出に振り向けるわけですから、当然ながら財政再建は遠のくこととなります。政府与党にて改めて検討を加え、しっかりとした歯止めを再設定しなければなりません。その際、医療・介護・年金・子ども子育て支援等の社会保障にどのような影響があるのかを充分に見極め、守るべきものについてはしっかり守る必要があります。これは自民党厚生労働部会長として、責任を持たなければなりません。

 なお、報道等によると、自民党(おそらく公明党も)・民進党(もしあれば)は消費税率2%引き上げつつ使途変更、希望の党・維新の党・共産党等は消費税率引き上げ延期という主張になりそうで、選挙前になると政府財政の財布の紐がどこもかしこも緩くなる現象には、複雑な感情を禁じ得ません。無駄を削る作業は絶えず必要ですし、負担を求めるためにはわが身を削るべきという志の高さには敬意を表します。しかし「予算を組みかえれば財源は出てくる」というに話は民主党政権交代時に苦い経験をしていますし、身を削るとしてもたとえ国会議員を全員クビにして国会議事堂を廃止してしまっても将来の社会保障が賄えるような規模の財源には全くなりません。現実を見た議論を期待したいものものです。

 また、地方創生や一億総活躍、そして働き方改革といった政策課題についても、まだそれぞれに取り組みが緒についたばかりであり、きちんと効果に繋がるまで継続して具体化する必要があります。水島港の整備や河川改修、そして倉敷駅付近連続立体交差事業など、引き続きの対応が必要な課題も山積しています。また、北朝鮮の核・ミサイルの問題が長期化する中で、外交上、安倍総理への国内の信任が篤いことを示す必要もあります。なお危機対応として、菅官房長官、小野寺防衛大臣が在京する予定となっていますので、衆議院が解散していても即時の対応には支障はありません。また森友学園の件など国会等で指摘され続けたテーマにおいても、選挙を行うことは国民の皆さまの審判を仰ぐことであり、しっかりと向き合うことです。ご説明を尽くします。

 思うに、自民党の敵は他政党ではないのです。自民党自身です。自民党に慢心や油断があれば、国民の皆さまがそれを見逃すことはないでしょう。同時に、私の敵も、他政党候補予定者ではなく、私自身なのです。このことを肝に銘じて、これからの選挙戦に向け、気を締め直して臨まなければなりません。

 日本における、また倉敷・早島における、明日へのチャレンジに向け様々な政策をを力強く前進させるため、子どもや孫の世代に希望あふれる日本社会を伝えるために、橋本がくは次期総選挙に自由民主党公認候補として立候補し、4期目の議席を岡山県第四選挙区にてお預かりできるよう、全力を尽くす決意です。厳しい戦いであることはもとより覚悟の上ですが、石にかじりついてでも地べたを張ってでも勝ち抜き、皆さまのご期待に応えます。候補予定者各位においては、政党の名前や属人的な課題にのみ奔走するのではなく、正々堂々と政策を訴え議論し、国民の皆さまのご審判を仰ぐ選挙戦を展開しようではありませんか!

 何卒、力強いご指導・ご鞭撻を、橋本がくに賜りますよう、心からお願い申し上げます。

橋本がく

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2017年9月 7日 (木)

先の中国訪問における孔鉉佑氏の発言について

 先日の中国訪問における孔鉉佑・朝鮮半島問題特別代表兼外務次官補との会談内容の一部がメディアで記事として取り上げられています。記事内容が誤っている訳ではありませんが、一人歩きしたり誤解も招きうる可能性も考えられるので、その場に同席して耳で発言を聞いていたものとして、補足します。

「次は東京上空越えるミサイルも」中国高官、日本の国会議員団に伝達(産経新聞)

中国高官「次は東京上空」日本に強い言葉で抑制対応要請か(共同通信)

 会談の主要な議論は先にこちらのエントリ(中国訪問記―北朝鮮ミサイル問題、一帯一路、貧困対策)で記した通りです。まず大前提として、双方ともに、北朝鮮のミサイル発射や核開発等の国連安保理決議違反の行動に対しては断固反対であること、外交的な解決が望ましい(すなわち、武力行使は望まない)ことの二点は両者とも一致していました。その上で、遠山団長から北朝鮮への圧力強化への中国のさらなる協力を要請したことに対し、孔氏から、中国が対話による解決を提案していることをもっと日本側も前向きに考えてほしい、というお返事があり、それに対して遠山団長から、実際にミサイルが上空通過する日本国民の危機感の中で、現時点での対話路線に対する懸念を伝える、という展開をたどりました。

 そのあとで、孔氏から、先のエントリの補足として記した「中国国境から90kmしか離れていないところでの核実験に強い危機感を持っている」云々の発言があり、その現実的な解決策として中国は対話による解決の提案をしていること、日本を含め関係国からは前向きな反応がないことなどを述べられた上で、「中国としては危機的な状況においても対話を試みる価値があると考えている。さもなければブレーキが利かず、ただエスカレーションするだけである。もしこのままの状況が続けば、次は東京の上空を超えてミサイル発射を行うシナリオも考えられる。そのようなシナリオを避けるべく、中国側としては、国際社会と連携しながら北朝鮮問題を解決することを望んでいる」云々という発言がありました。

 正直、聞いていてドキッとする言葉であったことは確かです。ただ振り返ってみれば、軍事的圧力のエスカレーションがもたらし得るシナリオの一例として述べたのであろうと受け止めていますし、核実験によって実際に国土の一部が地震に見舞われるという直接的恐怖感を踏まえた、落としどころの見えない中で続く軍事的エスカレーション的状況への危機意識から出た悲鳴のような言葉にも聞こえました。

 ちなみに、二年前に同じ訪中団で中国東北部の延吉という都市を訪問しており、その際現地の方から「北朝鮮の核実験があると、この辺でも地震を感じます」と聞いていました。テレビ報道で、今回の核実験でも延吉で地震のため大きくシャンデリアなどが揺れる映像が出ていました。隣国の影響で地震が頻発するのは、なかなか恐いことでしょうし、許し難く感じるのは想像に難くありません。

 いずれにしても、北朝鮮問題に関して軍事的解決を望まないのであれば、どこかのタイミングで対話に転じなければならないことは自明の理であり、日中の意見の相違はそのタイミングとプロセスの違いでしかありません。こうした溝を埋めつつ、沈着にかつ毅然と一致して北朝鮮に対して臨む国際社会の空気を作っていくよう外交当局には望みたいと思いますし、僕自身もそのように動いていきたいと思っています。

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2017年9月 3日 (日)

中国訪問記 ― 北朝鮮ミサイル問題、一帯一路、貧困対策

 さる8月27日~31日の日程で、遠山清彦衆議院議員を団長とする超党派の日中次世代交流委員会第五次訪中団の副団長として中国の重慶、西安、北京の各都市を訪問し、視察や面談等を行いました。主要なポイントについて記しておきます。

(9月3日夕方、北朝鮮の核実験を受けて一部追記しました。)

<北朝鮮ミサイル問題>

 全くの偶然なのですが、中国滞在中の8月30日に、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し北海道上空を通過しました。この問題を受け、翌31日の北京での要人会見では、特にこの問題について中国側に日本の姿勢を伝え、意見交換をすることとなりました。特に、夕方に会談した孔鉉佑・中国外交部部長助理は朝鮮半島問題担当でもあり、前日に日程がセットされたことから、このタイミングでの直接の面談には先方にもそれなりの意図があったものと思われます。 以下にこの会談のポイントを橋本の記憶とメモに頼って記します。

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 遠山団長からは冒頭、北朝鮮のミサイル発射は日本や中国のみならず北東アジア地域の平和と安定を揺るがす暴挙であり言語道断であること、問題解決のための「対話と圧力」の方針のうち圧力を強めるべきタイミングであると日本が考えていることを伝え、、中国にもそれに協力してほしいと強く要請しました。


 孔氏からは、国連安保理決議違反の北朝鮮の行動には中国は反対の立場であることを明確に述べられた上で、圧力を保つことは大事であるものの、それだけでは解決しないのではないかと述べられた上で、エスカレートを防ぐため対話も模索すべきとし、米韓は軍の演習を一年凍結し、北朝鮮は核開発とミサイル発射を凍結し、その期間内に対話で問題解決する努力をするという中国の提案(いわゆる「ダブル・フリーズ」)について考慮されたいとのお話がありました。

 それに対し遠山団長は、北朝鮮問題に対して平和的外交的解決を望む立場は日本も同様であるとした上で、仮にモラトリアムを設けても北朝鮮がその約束を守る保障はなく、仮に裏切った場合、選択肢がむしろ軍事的オプションしかなくなってしまうという懸念について触れ、実際にミサイルが上空を通過した日本人の危機意識について共有していただきたいと反論しました。

 以上のように、双方がそれぞれの立場に立って提案や要望を率直に述べあう形で議論は終始しましたが、とにかく北朝鮮のミサイル発射翌日に日中間で率直にお互いの意見交換ができたことは、極めてタイムリーであったと考えます。遠山団長の要請は、宋濤・中国共産党対外連絡部(中連部)部長との会談、陳元・政治協商会議副主席との会談でも行われました。

 その後参加団員間でも意見交換をしましたが、私の個人的印象として、中国は北朝鮮の核問題の方を重きに捉えている(もちろんミサイル問題とは不可分ですが)ことで少し日本と問題の捉え方が違っていること、また仮に北朝鮮を対話のテーブルに乗せたとしても、中国としてもそこから先のシナリオを描き切れていないかもしれないことなどを感じました。もちろん私たちにも拉致問題等も含めさまざまな北朝鮮に関する問題に対して、即時有効な解決策を有しているわけでもなく、悩ましいテーマであることも事実です。引き続き関係諸国間でコミュニケーションを図りながら協力して毅然とした態度を保ちつつ、解決策を探り続けるべきでしょう。

(以下追記)
 9月3日昼、北朝鮮が水爆実験と称する核実験を行いました。事前に水爆の小型化に成功したと宣伝しておいてのタイミングですから、そうした能力の誇示ととらえてよいと思います。当然ながら、累次の国連決議に反する言語道断の暴挙であり、決して許容されるものではありません。安易にこれに屈してはなりませんが、一方で軍事的エスカレーションという悪夢的シナリオも望ましいものではありません。政治的・経済的な制裁による「圧力」強化に向け、関係各国の一致結束が問われる状況と言えるでしょう。

 孔氏は会談の際、「中国国境から90Kmしか離れていない場所で核実験されるのは不愉快であり、中国も強い危機感を持っている」とおっしゃりました。その核実験が強行された今になってもまだ中国が「対話」を念頭においたアプローチを保ち続けるのか、また北朝鮮とおそらくコンタクトを持っているであろうアメリカもどのように受け止めるのか、十分な関心を持って注視しなければなりません。
 
<一帯一路>

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 重慶は人口3,390万人の大都市であり、中国内陸部唯一の国直轄市とされています。指定以来毎年2桁の経済成長率を続けており、自動車やコンピュータ、プリンタ、コピー機などの大生産拠点(世界のノートPCの1/3は重慶で生産されている由)となっています。この製品のヨーロッパへの輸送路および物流拠点として喩新欧鉄道や両江新区等が整備されています。それらの拠点を視察しました。

 鉄道は重慶からドイツまで総延長11,000kmで所要は13日間だそうですが、それでも沿岸部まで運んで海路を経由するより20日は短くなったとのこと。

 正直、上海や香港など中国沿岸部は発展している認識が広いと思いますが、内陸都市である重慶がそのような存在であるという認識は行って見るまで持っていませんでした。まさに百聞は一見に如かずとはこのことです。まるで新宿かマンハッタンかのような近代的高層ビル群は、かなり事前の想像を上回っておりとても驚きました。

 なお、重慶には日本の総領事館は設置されているものの、日本人は約350人しか在住しておらず、重慶における日本の存在感は残念ながら薄いと言わざるを得ません。まだ沿岸部より地価等は安く、これからの企業の進出先等として十分検討に値するものと思います。

 西安においても、同様に欧州向け鉄道貨物ターミナル等を視察しました。貨物用コンテナは沢山見ましたが、列車そのものは「出発してしまいました」とのことで見ることが出来ず、鉄分のあるものとしてはいささか残念でした。

<貧困対策>

 重慶では市の担当者から中国における貧困対策についてもヒアリングを行いました。一日約一ドル(一昨年約二ドルになりました)以下で生活する人を絶対的な貧困生活者と国際的に定義されていますが、中国でも同水準の生活者を貧困者と定義し、2020年までに貧困者ゼロを目標として2014年からトップダウンで貧困対策を進めています。

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 重慶市では2014年には165.9万人いた貧困人口が、対策によって現在は30.3万人まで減らすことができたとのこと。市長をトップとする責任体制を組み、インフラ整備(道路やため池、農地改良)から就労支援、奨学金など教育支援や職業訓練、医療の提供、貧困対策ローン等の金融支援、ネット取引による産業づくりやグリーンツーリズム、条件不利地域からの移住、そして稼得能力のない者地域に対する最低生活保障まで、行政のみならず国有企業等も協力させる全社会的体制でとても幅広い対策メニューを揃え、約20万人がソーシャルワーカー的な仕事にあたり各世帯を訪問し、それぞれにに適した対策を組む(対象者は貧困から脱した者を含めて約170万人だそうですから、ものすごい密度です)という、極めてきめ細かい対応をとっているとのことでした。監査や評価の仕組みまで説明がありました。

 もちろん日中の経済状況の違いや「貧困」に対する政策目標の違い(日本で問題になるのは「相対的貧困」です)があるので、同列に並べて比較すべきではありませんが、それにしても貧困対策にかける習近平国家主席以下中国政府の意気込みをひしひしと感じる説明に、先日まで厚生労働副大臣として日本における生活困窮者自立支援や生活保護制度を担当していた者の一人として、軽い衝撃を受けたのもまた事実です。

 中国はまだこれから少子化・長寿化の影響が著しくなる段階ですので、単に2020年に貧困ゼロにしてもその先も息の長い取り組みが必要になるものと思われますし、トップダウンの政策ゆえにどこまで息切れせずに継続できるかは未知数の部分もあるかもしれません。ただ、このような社会政策も進めているということは、とても勉強になるものでした。

<まとめ>

 今回の訪中団は、自民党、民進党、公明党の各党から若手有志10人が集まった団でしたが、遠山清彦団長、小熊慎司副団長、伊佐進一事務局長以下メンバーに恵まれ、移動中や食事の際などに普段はなかなかできない党派を超えた意見交換(そしてしばしば小熊副団長による手品の披露)が活発に行われ、それも有意義なものでした。

 また古都・西安では、視察の合間に南城門など歴史的な史跡見学の機会も頂き、吉備真備や空海といった歴史上の人物が憧れ苦難の末訪問した同じ場所に、1,000年の時を超えて立つロマンを味わうこともできたのは個人的にもうれしいことでした。

 日本と中国は、政治体制も異なりますし、歴史的な経緯もあり、まず地理的にも接していますから、摩擦や見解の相違、控えめに表現してあまり愉快ではない事も少なからず存在するのも事実です。しかしだからといって引っ越しするわけにも行かず、付き合っていかなければならない間柄でもあることも直視すべき現実です。こうした訪問交流が、直接懸案の解決につながるとは限りませんが、それでも両国の未来にとって意味のあることだと僕は信じています。

 今回の訪中団の実現にご労苦を賜った中国・日本両国のご関係の皆さまと、衆議院議員として国会に送り出しこうした機会を恵んでいただいた地元倉敷・早島の皆さまに、深く感謝を申し上げます。


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