外務省の平成27年度補正予算について
12月16日(水)、自民党外交部会・外交・経済連携本部合同会議が自民党本部で開催されました。その席上、平成27年度補正予算が議論されました。外務省の補正予算は人道・テロ対策・社会安定化支援(難民問題を含む)、自然災害や広域感染症等の地球規模課題への対応支援、テロ・情報セキュリティ対策等の追加財政需要、及びTPPに関する国内対策のため、概ね2,000億円規模となっています。今週中には閣議決定され、来年の通常国会冒頭において審議される見通しです。
この中で、日中植林・植樹国際連帯事業について、これまでの外交部会等で様々な議論がありました。1999年に小渕総理の提案により始まった事業ですが、その頃と異なり中国は既に日本以上の経済大国であり、海洋問題や歴史認識等で対中感情が良くない中で、今更そのような支援を追加する必要はないというご意見もありました。一方でそのような現状があるとはいえ、日中間の関係が冷え込んでいた時でもほぼ唯一継続されてきた基金事業であり、民間交流の基礎となる事業を打ち切ってしまうべきではないというご意見もありました。
結論として、今回の補正予算で約90億円の計上をさせていただくこととしました。ただし、これまでは単に中国での植樹に対し日本側が出資した資金を基に苗木購入等の支援を行うだけでしたが、より共同事業の性格を持たせることや、具体的な青少年交流等に繋がるものとすること等、中国と協議して事業の見直しを発展的に行うべきこととしました。なお単純に援助を行うものではないため、ODAにはあたりません。また予算計上は認めるものの、執行にあたっては改めて部会に諮るよう、外務省に要望しました。
国民の皆さまから頂いた税を使って行う事業ですから、ご理解を頂ける事業であるべきです。一方で、中国に日本と立場を異にする行動があるからといって、これまでの外交は失敗だった、新たな拠出は必要ないと言い切ってしまうのも、外交の選択肢を自ら狭めることに繋がり、適切ではない場合もあると個人的には考えます。効果とバランスを考え、多くの方々のご意見を伺いながら取り組んで参ります。
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