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2014年5月16日 (金)

習近平・中国国家主席演説の印象

 日中議連の高村正彦会長のご指名により、5月14日~16日の日程で訪中してきました。目的は中国人民対外友好協会成立60周年記念大会に議連代表として参列するため。議連からは民主党辻元清美、公明党伊佐進一両代議士の超党派三名での行動でしたが、大会には鳩山由紀夫元総理、江田五月元参院議長も参加されました。各国から600名の参加があり、中国側は習近平国家主席始め要人の参加が多く盛大な大会でした。ちなみに連休中に高村副総裁の日中議連一行や野田毅議員率いる自民党AA研一行も訪中していますが、習近平主席との会談は実現していません。よって私たちが最近では初めて習主席とお目にかかった議員といえるかもしれません。30mくらいの距離で演説を聴いただけですが。

 「朋あり遠方より来たる、又楽しからずや」という私たちにも馴染みの論語の一節から始まった習主席の演説は、中国における他国との友好交流の歴史を語り、今後もなお重視する旨を述べた堂々たるものでした。陸のシルクロードや海のシルクロード(明の鄭和の故事を引きながら)を通じた交流の歴史が触れられました。「鄭和はまったく領土拡大を望まなかった」とも付言し中国文化は常に平和を求めていた、とも述べました。対外友好協会の大会の祝辞として相応しい内容というべきでしょう。

 ただいささか気になったのが、一方で近代中国の歴史を「屈辱の歴史」と述べ、今こそ脱却して「中国の夢」を実現しよう!という趣旨の内容があったこと。これは最近の習主席がしばしば述べるスローガン的フレーズだそうですが、わざわざ屈辱に触れることが対外友好を語る場に相応しいかどうか。また「中国が発展するとともに覇権主義になるのではないかと言われることがあるが、多くは誤解であり一部は偏見である」と述べられたことも、昨今の出来事を踏まえるといささか言い訳がましく聞こえてしまったような気もします。大国としての余裕と自制を期待したいものです。

 時あたかも安保法制懇が答申を提出し、夕方には安倍総理が記者会見を開いたのとちょうど同日でしたが、特にそのことには言及はありませんでした。但し戻ったホテルのロビーにてニュースとして報道されているのは確認しました。趙成通・中連部副部長との昼食懇談にてかなりざっくばらんに意見交換しましたが、日本の集団的自衛権行使容認に関する中国側の姿勢としては、基本的には内政問題としつつ、他の問題もあり関心を持つ(或いは警戒する)とのこと。今後議論を深めるにあたり、丁寧に説明することが求められるでしょう。

 対外友好協会の写真展では、日中関係において父・龍太郎を含め過去多くの先達が道を切り拓いて来られたことを改めて実感しました。いま決して日中関係は良好とは言い難いですが、一衣帯水の地理的状況は不変であり、それぞれがいたずらに対立感情を深めることは望ましいことではないと思います。是は是、非は非としつつ顔を見て議論できる大人の関係を持ちたいものです。お互いに。

 なお今回の訪中にあたり、王秀雲・副会長をはじめ中日友好協会の皆さんには大変お世話になりました。前回の訪中時は安倍総理の靖国参拝と重なり日程変更を余儀なくされご苦労をおかけしてしまいましたが、今回は順調に充実した日程をこなすことができました。改めて対外友好協会の60周年をお祝いするとともに、心から感謝申し上げます。

140516

(写真:大会の様子。ごく小さくですが、演説する習近平主席)


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