一般医薬品販売規制のあり方と憲法・最高裁判例について
平成25年度予算が成立しました。安倍政権最初の予算ということで、適切な執行によりアベノミクスの二本目の矢がさらに加速することを期待したいと思います。また政党の共同代表の方がいろんな発言をして世間を賑わせていますが、賑わせて注目を集めることを意図しているのであれば、気にしないのが一番だと思っています。
一方、橋本がくが議連の事務局長として関わっている一般用医薬品販売のインターネット販売の件に関しては、厚労省の検討会がそろそろ結論に向けて大詰めに近づいているようです。当初から議連の基本スタンスとして、さまざまな立場の方々が集まった検討会において、総意がまとまり方向性が示されれば、それを尊重することで一貫しています。議論の行方を見守りたいと思います。個人的に頭の体操はしていますが、今のタイミングではこのブログでも内容に踏み込むことはさし控えます。
ただこの議論の際に、日本国憲法や最高裁の判例がときどき引用されるのですが、いささか乱暴な取り扱いがある気がしますので、この点について思うところを記します。
もともと今回の議論は、平成25年1月11日の最高裁判決により薬事法施行規則の一部が薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとされたことから始まりました。この判決は、「新薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れること」を求めています。したがって、省令の制定を委任する授権の趣旨が薬事法に明確に読み取れるように薬事法を改正することで、本最高裁判決の指摘は満たすことができます。今後の法改正の際にはその点に留意が必要ですが、本質的には立法技術の問題です。
また厚労省検討会に参考資料として提出された、駒村圭吾慶大教授による「医薬品インターネット販売規制の憲法問題に関する意見書」では、昭和50年4月30日の最高裁判決を引用し、インターネットでの医薬品販売規制を含む職業選択および職業活動の自由に対する規制が、LRA(Less Restrictive Alternatives、「より制限的でない代替手段の有無」)の法理に基づくべきこと、規制を正当化する根拠となる立法事実を提示するべきことが指摘されています。合理的根拠に基づきかつ最小限の規制に留めるべしというのは、きわめて順当な指摘であり、当然そうすべきです。同時に、ネット販売か店舗販売かを問わず、過去の薬害事件や現在でも一般用医薬品の副作用や不適切な利用による実際に被害が生じていることなどを立法事実とする最小限の規制までを違憲とするものではないことは、言うまでもありません。
今回の検討会は、一般用医薬品販売における安全性とその範囲内での利便性について共通のゴールを設定し、その実現のためにどのような最小限の規制を行うべきかを議論するものであるべきだと思います。しかし仄聞するに「このような規制は憲法違反だ」とか「このような規制ができたら提訴する」といった発言もあるやに聞いています。そうなのであれば「共通認識のゴールはこの地点で、そのゴールをたどりつくには他にこれこれこのようなより制限的でない代替手段があるから、この規制案は最高裁判例の趣旨に則していない」という説明をしなければ、周りの人は納得しないものと思います。
仮に、いたずらに日本国憲法や最高裁の判例という虎の威を借りて自己の主張をのみ正当化するかの如き発言があったのであれば、検討会の円滑な合意形成を妨げるものであり誠に遺憾です(そうでなかったらごめんなさい。杞憂であることを願っています)。前向きかつ合意形成を目指した議論を期待したいと思います。
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コメント
ネット販売を制限するのであれば、同時にドラッグストア側に24時間営業の義務付けや薬剤師の24時間常駐の義務付けはできないのでしょうか。
このまま第1種医薬品が禁止になれば、ドラッグストアの営業時間、しかも薬剤師常駐の一定時間のみしか医薬品が買えない現実の中で、ドラッグストア側だけの都合で明らかに利便性は損なわれる。ドラッグストアの方々は自分たちは今までのままでというわけにもいかないでしょう。規制を主張するのであればその影響に対する対応も考えなくてはならない。本来そういうものだと思うのですが。
どうも規制される方は(ご存じ故なのかもしれませんが)ネットの販売を止めることだけ考えていて既存のドラッグストア側に対して、何も言っていないように思えます。既得権益を守るためといわれても仕方のない部分があるのではないですか?
現状の利便性と安全性をイコールにする方法は薬局の24時間営業・薬剤師の24時間常駐しかないと思いますが。如何に。
ブログ上で問題提起なりご回答いただければ幸いです。
投稿: 綿貫 雄二 | 2013年5月19日 (日) 17時32分