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2013年5月

2013年5月22日 (水)

一般用医薬品販売に関する規制へのご質問について

 前のエントリに綿貫様からコメント欄にてご質問をいただきました。ありがとうございました。普段あんまりコメント欄に返信できずにいるのですが(申し訳ありません、、、全部目は通しています。感謝申し上げます)、誤解があるようですのでそれを解くためにもお返事差し上げます。

 まず、僕のエントリをきちんと読んでいただきたいですが、僕は「ネット販売だけを規制すべき」とは一言も言ったこともありませんし、そのような立場ではありません。店舗販売の方にも言うべきことはあると思っていますし、このブログでも一般用医薬品販売全般に通じる議論をしています。今一度お目通しを願います。ご提案については、お客の利便性のために営業時間をどうするかはお店の営業努力の問題であり、国が保障することではありません。ご理解賜りますように。

 ただ敢えて申し上げれば、店舗販売では医薬品の陳列配置などについて既にさまざまな規制があり、一般医薬品を販売する店舗は当たり前に守っているのです。ところがネットでの販売では、例えば「半径七メートル以内に陳列」といった物理的な規制はそのままは実現できません。そこをどのようにネット的に実装するかが問われているのです。

 実装できないからネットではその規制は省くということにすると、店舗販売の方からすれば逆に不公平なことであり法の執行の公正を欠きます。一方、実装が難しいためにネットでの販売そのものを禁止したところ、1月の最高裁判決に繋がりました。だからネットでのLRAの法理に基づく規制の在り方、具体的な実装方法が主に検討の俎上に上がっているのだと理解しています。

 16日の検討会で厚労省が出した資料「第1類医薬品が医療用として販売されていた時の副作用発生状況について」によると、例えば現在「ロキソニンS」として販売されている解熱鎮痛剤について、同じ成分が医療用として使用されていた際には約9年間で1,345例の副作用報告(うち死亡例62例)があり、医療用承認申請時に行われた臨床試験では1,700例のうちなんらかの副作用発現例は163例(発現率9.6%…この数字は結構びっくりしました)。医療用の製造販売後調査では6年間で副作用発言例は232例(発現率2.0%)です。

 一方、一般用の副作用発生状況は2年間で8例の副作用報告(うち死亡例1例)にすぎません。何人がロキソニンを買って飲んだかは資料がなく発現率は計算できません。

 同じ成分で概ね用法も同じですから、実際の副作用の確率が変化するとは考えにくいです。ということは、医療用の場合は医師や薬剤師の管理下で副作用の発見が早く、医薬品の因果関係が考慮されるが、一般用の場合は重篤化しないとわからなかったり、医薬品の副作用とわからないまま治療してしまい報告されないといった、状況把握の問題があるということです。

 したがって一般用医薬品の販売方法について、特にリスクが高いと考えられるものについて、適切に管理すべく厚労省が規制することは、十五分ぐらいに合理的なことであると証拠を基に申し上げます。その上で、店舗での各種規制と同等のネット規制のあり方はどうあるべきか、が議論されるべきことと考えています。さらに正直言って副作用発現率9.6%はちょっとびっくりで、かつ医療用の場合と一般用の場合で実態把握の差がこんなにも出ることも非常にびっくりで、ネットでも店舗でもハイリスクのものについては本人確認とかの実態把握強化の方策を考えた方がいい数字かもしれないとも思っています。

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2013年5月20日 (月)

「橋本がく前進の集い」誠にありがとうございました。

 5月18日(土)、倉敷アイビースクエアフローラルコートにおきまして「橋本がく前進の集い」を催しましたところ、満場の皆さまにお集まり頂き盛大に開催することができました。ご多用の中ご参集いただいた皆さま、またお力添えいただいた皆さまに篤く感謝申し上げます。
 橋本がくならびに事務所・後援会一同にとり大きなお励ましをいただき、さらに元気な日本を取り戻すため一歩一歩「前進」を続け、ご期待にお応えする決意です。
 変わらぬご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。

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2013年5月16日 (木)

一般医薬品販売規制のあり方と憲法・最高裁判例について

 平成25年度予算が成立しました。安倍政権最初の予算ということで、適切な執行によりアベノミクスの二本目の矢がさらに加速することを期待したいと思います。また政党の共同代表の方がいろんな発言をして世間を賑わせていますが、賑わせて注目を集めることを意図しているのであれば、気にしないのが一番だと思っています。

 一方、橋本がくが議連の事務局長として関わっている一般用医薬品販売のインターネット販売の件に関しては、厚労省の検討会がそろそろ結論に向けて大詰めに近づいているようです。当初から議連の基本スタンスとして、さまざまな立場の方々が集まった検討会において、総意がまとまり方向性が示されれば、それを尊重することで一貫しています。議論の行方を見守りたいと思います。個人的に頭の体操はしていますが、今のタイミングではこのブログでも内容に踏み込むことはさし控えます。

 ただこの議論の際に、日本国憲法や最高裁の判例がときどき引用されるのですが、いささか乱暴な取り扱いがある気がしますので、この点について思うところを記します。

 もともと今回の議論は、平成25年1月11日の最高裁判決により薬事法施行規則の一部が薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものとされたことから始まりました。この判決は、「新薬事法中の諸規定を見て、そこから、郵便等販売を規制する内容の省令の制定を委任する授権の趣旨が、上記規制の範囲や程度等に応じて明確に読み取れること」を求めています。したがって、省令の制定を委任する授権の趣旨が薬事法に明確に読み取れるように薬事法を改正することで、本最高裁判決の指摘は満たすことができます。今後の法改正の際にはその点に留意が必要ですが、本質的には立法技術の問題です。

 また厚労省検討会に参考資料として提出された、駒村圭吾慶大教授による「医薬品インターネット販売規制の憲法問題に関する意見書」では、昭和50年4月30日の最高裁判決を引用し、インターネットでの医薬品販売規制を含む職業選択および職業活動の自由に対する規制が、LRA(Less Restrictive Alternatives、「より制限的でない代替手段の有無」)の法理に基づくべきこと、規制を正当化する根拠となる立法事実を提示するべきことが指摘されています。合理的根拠に基づきかつ最小限の規制に留めるべしというのは、きわめて順当な指摘であり、当然そうすべきです。同時に、ネット販売か店舗販売かを問わず、過去の薬害事件や現在でも一般用医薬品の副作用や不適切な利用による実際に被害が生じていることなどを立法事実とする最小限の規制までを違憲とするものではないことは、言うまでもありません。

 今回の検討会は、一般用医薬品販売における安全性とその範囲内での利便性について共通のゴールを設定し、その実現のためにどのような最小限の規制を行うべきかを議論するものであるべきだと思います。しかし仄聞するに「このような規制は憲法違反だ」とか「このような規制ができたら提訴する」といった発言もあるやに聞いています。そうなのであれば「共通認識のゴールはこの地点で、そのゴールをたどりつくには他にこれこれこのようなより制限的でない代替手段があるから、この規制案は最高裁判例の趣旨に則していない」という説明をしなければ、周りの人は納得しないものと思います。

 仮に、いたずらに日本国憲法や最高裁の判例という虎の威を借りて自己の主張をのみ正当化するかの如き発言があったのであれば、検討会の円滑な合意形成を妨げるものであり誠に遺憾です(そうでなかったらごめんなさい。杞憂であることを願っています)。前向きかつ合意形成を目指した議論を期待したいと思います。


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2013年5月 5日 (日)

約5分でわかるネット選挙解禁の公選法改正

 法案提出者の責任として、ネット選挙解禁の公職選挙法改正について、改正内容などの一般の方々への周知をきちんとしなければならないなとずーっと思っていました。候補予定者や政党関係者、選挙関係の方は、総務省ページに掲載されるガイドライン(ゴールデンウィークが明けて事務手続きが済めば正式版が掲載される予定です)等をしっかり読み込んでいただき細部まで確認をしていただく必要がありますが、一般の方にそれを要求するのは酷というものです。

 そこで、眺めていればよいスライドショーを作成してみました。思いついて約一晩で作ったのであんまり凝ってはいませんが、内容はちゃんとしていると思っています。ぜひご参考にしていただければ幸いです。またご意見等いただければバージョンアップしていきますので、コメント等お寄せいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いします。

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2013年5月 4日 (土)

今日という日のこと。

 今日から20年前の1993年5月4日、カンボジアにて活動していた国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)の日本人文民警察官5人が護衛のオランダ海兵隊と共に武装ゲリラの襲撃を受け、岡山県警に所属していた高田晴行警視が殉職されました。それからちょうど20周年の日です。日本はたまたま先の大戦後は戦争に巻き込まれることなく平和裏に過ごせていますが、同じくカンボジアで落命された中田厚仁さん、あるいはイラクで殉職された奥克彦大使、井ノ上正盛書記官ら、少なからぬ数の方が海外で平和支援のために犠牲となっていることは決して風化させてはならず、感謝を忘れてはなりません。今日、同志の方々と一緒に種松山の高田警視の墓所にお参りをさせていただき、改めて決意を新たにしました。

 現在、日本国憲法の改正がクローズアップされています。僕は改憲論者ではありますが、現行憲法でも好きな部分はあります。例えば、前文の「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」という一節は、あまりにも理想主義的で現実との乖離著しいものがありますが、とはいえ国際社会においてわが国日本の目指す立ち位置を示す大事な一節だと思っています。

 さまざまな枠組みの中で日本を背負って国際平和のために身を粉にしている方々がおられます。意識しておられるかどうかは別にして、この「名誉ある地位」のために働いておられるのでしょうし、国の立場で考えた場合高田警視らはそのためにわが身を犠牲にされたのです。憲法の議論をする際に、その前文の理念とそこに殉じ犠牲になった方々対し、一部の方が金科玉条とする第9条がどういう役目を果たしたのかという議論は、果たしてなされているのでしょうか。

 前文は理念を示しています。第9条はその理念を具現化する手段として戦争の放棄や軍隊の不保持をうたっています。憲法制定からずいぶん時を経、東西冷戦体制はとうの昔になくなり日本を取り巻く国際情勢は全く変化ました。理念を実現するのに手段がだんだん適当でなくなってきているとすれば、手段の方を適切に修正するのは順当なことです。たまたまこれまで憲法9条の存在と日本の平和が共にあったからと言って、それを因果関係と錯覚して「これからも憲法9条があれば日本は平和なのだ」と思うことには何の根拠もありません。イラク人道復興支援に自衛隊として派遣されたヒゲの隊長こと佐藤正久参議院議員のお話しなどを伺っても、邦人保護のための駆けつけ警護ができないなど、現場で大変なご苦労があったことが伺えます。日本で頭の中で考え口を出す人よりも、現場で身を張ってきた方の発言こそ重く受け止めるべきです。したがって僕は9条を含め憲法改正を避けるべきではないと考えます(同時に自民党草案は前文がいささか現実的過ぎて、、、という不満もないわけではありませんが)。ぜひ皆さんも一緒にお考えいただきたいと思います。どう思われますか。

 天気もよいゴールデンウィークの極めて平和な中、美観地区もハートランド倉敷が開催され多くの方でにぎわっていました。そんな中だからこそ、今日はそんなお話を街頭演説でしました。多くの方が車から手を振ってくださり、また握手をして激励をしてくださいました。心から感謝申しあげます。

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(写真:種松山墓地にて高田警視墓参の様子。背中は逢沢一郎衆議院議員)

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