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2013年4月15日 (月)

一般用医薬品のネット販売を巡る議論から、かすかに見えるもの

 先週末、ネット選挙解禁の公職選挙法改正案が一部修正の上、全会一致で衆議院を通過しました。提出者の一人として、全会派のご関係の皆さまに深く感謝を申し上げます。対案を出された民主党・みんなの党の皆さまにも、また独自の修正案を提出された共産党の皆さまにも最終的には賛成していただくことができました。「しょうがないから賛成してあげてもいいけど、あなたの法案が最善だと思ってるわけじゃないからねっ!」的な趣旨の討論の末の賛成には「ツンデレ…」という言葉が頭をよぎりましたが、何はともあれ最終的にはご理解を賜り幸甚です。今週は参議院の審議が行われる見通しです。まず最初の当事者として選挙を迎えるかもしれない参議院の先生方にも丁寧な答弁を心がけ、ご納得いただけるように努力したいです。

 と同時に、そちらにかまけてこれまで力をあまり入れられなかった他の課題も控えています。党政務調査会の死因究明制度PTの座長を仰せつかっていましたが、今週やっと第一回の会合を医師・作家の海堂尊先生をお迎えして開きます。またアレルギー対策基本法案や道州制推進基本法案の提出者も仰せつかりましたので、そちらも勉強しなければなりません。情報通信戦略調査会ももう少しコミットしないといけないし。

 また、議連の事務局長を務めている一般用医薬品のインターネット販売についてもいろいろ考えを巡らせています。具体的にどのような方針で臨むかというのは議連での議論によりますが、その中で感じたことを少し記します。心ある方の目や耳ともちろんハートに届くことを願いつつ。

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 まず、この件に関して、自分のビジネス第一で一般消費者の身の安全を二の次に考えている輩が仮にいるとすれば、全く同情の余地はありません。医薬品には必ずリスクが伴うものであり、かつスモン病事件をはじめ一般用医薬品の薬害も最終的には国の過失を認め賠償すべしという判例が積み重なっている以上、行政はまず安全を考えなければなりません。この議論は、今年1月11日の最高裁判決が大きなきっかけになっていますし重く受け止めなければなりませんが、最高裁判決がその一件しかないわけではなりません。

 また、「業界から献金をもらって既得権益を守るため行動する欲得まみれの政治家ども」とか「利権のために規制改革に抵抗する抵抗勢力・守旧派」といったステレオタイプ思考から脱せない気の毒な方も、仮にそういう方がいれば気の毒だなと同情しながら放置するしか方法がありません。献金については収支報告書を見ていただければ誰でもご覧いただけます。同時に橋本岳は多くの同僚議員諸兄姉と同様に、万を超える有権者の方に名前を書いていただいたことに基づき、自らの価値基準や正義感にのっとり意見を述べ行動します。自分がお金で動く人間だからといって他人もそうだとレッテルを張る方は、個人的には「残念な人」なんだなと評価することにしています。

 同時に、これはとても微妙な点なのですが、医薬品のメーカーも、販売者(ネットも店舗も問わず)も、一応「医薬品はリスクを伴います」ということを認めはしますが、あんまり大きな声で言いたくないんだろうなという気がするのです。薬を作るのも売るのも企業ですから、そりゃ必要以上に医薬品のリスクが大袈裟に広まって売れ行きに響いてしまっては、元も子もないでしょう。それは理解します。しかしこの議論をするにあたり、最高裁でエビデンスがないと指摘されるのが納得できる程度に、議論の土台になるべき資料がなんとなく出てこず、どうしても隔靴掻痒の感がぬぐえないのも事実です。もしかしたらそういう側面もあるのかもしれないなという想像もできてしまうのです。

 医薬品ネット販売の議論では、実は一般医薬品の売り上げそのものを守る必要があるのは攻める側も守る側も共通するため、もしかしたらこの点に関しては共犯なのかもしれません(これはあくまでも僕の勝手な想像ですよ。はい)。所管する厚生労働省も、予算がないとか言い訳があるとは思いますが、員数主義に陥り形式的活動で思考停止している気もします。

 でもタバコにはあんなにデッカク注意書きしてるのにナと思う瞬間も、正直、あるのです。

 軽微な風邪などでの医療資源費消を防ぐため、セルフメディケーションの名のもとに一般用医薬品の使用が推奨されています。現在の日本の社会保障の現状を鑑みるに、それ自身はとても重要な概念だと僕は思っています。ただ、専門家として薬剤師の介在が必要な、ひらたく言えば危険な商品であればこそ、国も企業も専門家も協力して、もっと一般の方にその効用と危険性をきちんと認識してもらう活動を行うことが先決なのではないでしょうか。

 先日、高校生の長女の家庭科(?)の教科書に、医薬品の用法やリスクに関するページがあるのを発見して素晴らしいことだと思いましたが、まあ高校生の授業一時間でそんなに記憶に残るとも思えません。地域や社会教育の場で、検診や各種の予防の話とともに「薬の効用と危険性と正しい飲み方」も徹底普及されてしかるべきです。その知識の土台があれば、対面であれネットであれどんな形で一般用医薬品を販売しようと問題なくなるのではないでしょうか。あわせて「代理と称して医薬品販売店に薬を買いに行ったら買えた」という実験記事が大新聞の一面を麗しく飾るアホな現状も消滅するでしょう。めでたいことです(なぜアホかって?そんな問題提起の仕方をしたら、ネットはおろか店頭での販売方法の規制も厳しくしろという話になり、おそらく記者の意図と真逆の結果をもたらすからです)。

 もちろん、一般消費者の方も「不都合な事実」に向き合う覚悟が求められます。自ら学ぶ姿勢なく、都合の良い時だけ利便性と効果を求め、トラブルが発生すると被害者になるという行動は、実はこの問題の解決の大きな妨げです。きちんとリスクを認識するからこそ薬の正しい用法を守ることに繋がるのですし、本当にそうなればセルフメディケーションの効用は最大限に高まることになるでしょう。

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 今行っている議論については、当面は今の社会を前提になんらかの決着をつけなければなりません。暴論には不本意でも対抗せざるを得ません。しかし同時に今の議論も残念ながらいささか場当たり的で不毛な感覚が拭えません。よってまずは個人的に提言しておきます。もちろん議員としての言動にも今後反映するつもりです。ご関係各位のご高見を賜れば幸いです。

 なおこの小文を書くにあたり、『医療にたかるな』(村上智彦 著、新潮新書)にインスピレーションを得たことを付記し、村上先生に感謝申し上げます。この本、読みやすくて爽やかに面白いし、いろんなインスピレーションを湧かせてくれますよ。ホント。

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03.医療・介護」カテゴリの記事

コメント

医療者でもないのに、とても共感できる冷静な分析です。
医薬品のネット販売に関する議員連盟、異常死死因究明制度の確立を目指す議員連盟とこれから変化していかなければならない医療を変革していく上でとても大事な法律に決める立場の橋本議員。自由を維持しながら安全の規制をうまく取り入れ、そして国民の責任を広報をつかってうまく教育しながら、法律を作っていってください。新聞記者の記事にあるような今のスタンスを維持しながらよろしくお願いします。医療者と一般人をうまく取り持ってください。

投稿: 中村 ゆきつぐ | 2013年4月16日 (火) 09時29分

橋本がく 様

この度のブログを楽しく読ませていただきました。
私の本の事まで触れていただき感謝いたします。
「自ら学ぶ姿勢なく、都合の良い時だけ利便性と効果を求め、トラブルが発生すると被害者になるという行動は、実はこの問題の解決の大きな妨げです。」というくだりはとても共感できます。
そろそろ住民自身が学び、賢く便利なサービスを利用していく事が大切だと思います。

橋本さんは私が夕張に赴任した頃から応援して下さっていましたね。その事を今でも感謝しています。
もし私達で役に立つことがあればいつでも言って下さい。

投稿: 村上 智彦 | 2013年4月16日 (火) 16時12分

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