同じネットの話でも。
ここしばらく、二つのインターネット関連の話でてんてこ舞いしています。
まず一つは、インターネット選挙解禁のための公職選挙法改正について。党PTの事務局長および実務者として、党内調整や各党協議会の運営にあたっていました。残念ながら民主党・みんなの党が独自法案を1日に衆議院に提出したため、全会派の合意形成には至りませんでしたが、その両会派を含め夏の参議院選挙はネット解禁で行うという方向性は共有しています。また、選挙を控える自民党参議院の先生方にも説明会を行って丁寧に話をすすめ、今日の夕方に行われた自民党の選挙制度調査会・インターネット選挙PT・総務部会合同会議でも、具体的なガイドライン作成等の要望をいただきながらも法案については了承をいただきました。来週火曜日の政調審議会、総務会、与党責任者会議での了承を経て自民党としても党議決定、そして法案を国会に提出して審議という手続きに進みます。
(関連記事)メール除きネット選挙解禁へ 自民部会が法改正了承(朝日新聞デジタル)
もう一つのネットは、医薬品のインターネット販売の件。今年一月の最高裁判決を受け、医薬品のネット販売に関する議員連盟の事務局長としてこれまで関係者のヒアリングなどを行ってきました。厚労省に検討会が設置されこの議論の行方を見守る状況でしたが、政府の規制改革会議が一般用医薬品のネット販売の全面解禁を打ち出す方針を固めたという報道を受け、議員立法に向けて作業を行うこととなりました。これまでのヒアリングの論点を整理し、法制化に向けて検討を進めます。
(関連記事)医薬品ネット販売で議員立法策定へ―規制改革会議に対抗、自民議連会長が意向(医療介護CBニュース)
同じネットの話ながら、ネット選挙は推進論者で、医薬品のネット販売は慎重論者というのが僕の立場です。おかしいように見えるかもしれませんが、この二つの間には明確な線があります。
ネット選挙を解禁して、仮に悪質な誹謗中傷で大変なことになったとしても、直接被害を蒙るのはほぼ候補者に限られます。一般有権者の方にとっても見苦しかったりするかもしれませんが、その程度の問題にしかすぎません。もちろん民主主義の根幹をなす選挙に関することですから軽く扱うつもりはありませんが、一般の方に直接大きな悪影響を与え得るものではないのです。むしろ政治として新しい(というか他では既に当たり前に普及している)ことに前向きにチャレンジする姿勢を示せなければ、もっと政治・選挙離れを加速させることになるでしょう。
一方で市販の医薬品でも取り扱いを誤れば、副作用はもとより薬が効きすぎて受診が遅れるリスク、あるいは偽薬流通のリスクがあり、場合によっては健康被害が出たり命が失われるような取り返しのつかない被害が一般の方に幅広く生じる可能性もあります。そして実際に過去にはスモン病やサリドマイド事件など多くの被害者を出した深刻な経験を日本社会は持っているのです。こうしたことを顧慮せず、ただ便利さを追求するわけにはいきません。単純に医薬品をネットで買ったら副作用が増えるなどとは思いませんが、店舗での販売も含め、医薬品の扱いはまず慎重を要し、利便性よりも安全性を優先すべきだと思うのです。
そして、離島の方や外出が不自由な方の利便性といった議論にはまだ一理はあるとは思いますが、これが「成長戦略」になるとは全く思えません。医薬品をネットで売買できたら、より便利にはなり助かる人も出るであろうことは否定しませんが、これが経済成長に繋がるとは全く理解できないし、経済成長を目的とした規制改革のために一般の方の安全を犠牲にするような議論は決して許せません。また、良心的に医薬品のネット販売をしようとする業者の方の立場に立っても、全く規制の無いフル解禁が良いと考えておられるわけではなく、一定の適切なルールは必要というご意見を議連のヒアリングでも承っています。
個人的には、厚労省の検討会にはいろんな立場の方が参加しておられましたので、あまり時間をかけずうまく議論が収束して皆が納得するルールが決まることが望ましいと考えていました。しかし、全く違う観点から横やりが入るのであれば、立法府としての覚悟を示すことも必要であろうと思っています。一月の最高裁判決で、私たち国会の意思も問われていますので、経済成長よりも国民の健康と安全を尊ぶべしという意思を示すべきなのかもしれません(ただし、衆議院の選挙区割りの見直し実現を急がないと、あまり大きなことも言えませんが)。
そんなこんなで、次から次へと仕事を抱える日々を続けていますが、こうして東京で忙しくできるのも地元倉敷・早島の皆さまのおかげ。こんな仕事をするために3年半頑張ったんだから!と自らを励まし、感謝の思いを深めながら慌ただしく過ごしています。毎週末は必ず倉敷・早島に戻っていますが。
3月になり春めいた日もあるようになりました。季節の変わり目は体調を崩しやすいですから、十分ご注意いただいてお過ごしください。
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