医薬品のネット販売を考える議員連盟
今週は、20日から倉敷市議選の告示ということもあり、倉敷・早島の日が多かったです。17日には伊東市長はじめ倉敷市幹部の方々から倉敷市の課題について改めて教えていただきました。忙しい中ありがとうございました。
その中、18日には事務局を務める「医薬品のネット販売に関する議員連盟」第二回総会があり、17日夜にサンライズ出雲で上京しました。ネットでの医薬品販売については11日の最高裁判決で国が敗訴したことを受け、対応を協議しました。結論としては、場合によっては議員立法も視野に入れスピーディに検討を進めよう、ということとなりました。
一般の方からすると「ネットで市販薬が買えない方がおかしい」という感覚だと思いますし、最高裁判決が出たのですからこれは重たいもので、きちんとその判断は受け止めなければなりません。
ただ、日本の薬事行政には残念ながら過去さまざまな薬害を起こしてしまった経験があります。一般市販薬といえども奇形児を生む災禍となったサリドマイドや下半身麻痺等の被害を出したスモン(和解をしたのは父・龍太郎が厚生大臣の時でした)といった例があります。近年にもスティーブンス・ジョンソン症候群といった市販薬が原因と疑われる例もあります。新薬開発時に副作用の実証データをとる機会が限られる医薬品というものの性質上、今後似たようなことが絶対に起きないという保証はありませんし、医薬品行政を司る立場として、そのような悲劇を極力防ぐ責任があることは決して忘れてはいけません(解説として「Wikipedia:薬害」はとても簡潔で分かりやすいです)。
インターネット販売の是非以前の問題として、業として医薬品に携わる方にはその一端を担っているという意識は持っていていただきたいと願いますし、「自己責任」という言葉は麗しいですが、市販薬とは場合によっては直接自分の体に被害が出るものだということは必ず頭の隅に置いて利用していただきたいです。その上で、より便利で健康な社会になることを目指して汗をかいてゆきたいと思います。
18日夜には倉敷に戻ります。よい週末をお過ごしください。
追記)議連の会合の内容は下記をご覧ください。
・医薬品ネット販売、議員立法も視野に検討-自民議連(医療介護CBニュース)
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コメント
薬剤師です。
現在の医療やこれからの医療の形について考える際、これらに強い影響を与えることになる、制度設計の段階こそが非常に重要であると痛感しています。
これまでの改正薬事法等の議論も含め、国側や薬剤師会が適切なビジョンを語れなかったことに関して、とても残念に思っています。
期待しています。どうかよい医療制度を作ってください。
このブログが紹介されているBLOGOSの議論において、地域で活動する一薬剤師として意見を幾つか投稿しています。もし時間が許せばご覧になっていただければと思います。
http://blogos.com/article/54296/?axis=g:0
http://blogos.com/article/54143/
投稿: 千早忠如(仮名です) | 2013年1月19日 (土) 16時13分
中国やインドで偽薬が製造されております。ネット販売を自由化する前に、その問題を予防する方策を考えておく必要があります。なお、アフリカの事例については、私のブログ記事をお読み下さい。http://let-us-know-africa.blogspot.jp/2010/09/bop.html
投稿: Miya | 2013年1月21日 (月) 23時31分