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2011年11月25日 (金)

「ほとんど嘘」に基づく政策仕分け

 「提言型政策仕分け」なるものが行われたらしい。事業仕分けは民主党政権当初は花形扱いされたものだがいまや注目度は低い。もはや強弩の末勢と言うべきか。そして内容もまたあからさまな財務省主導だ。

 たとえば次期診療報酬改定の改定率について、「据え置き・抑制意見が多かったことを重く受け止めて対応すべき」との取りまとめだった。凄いなあ。前の選挙の時は民主党の皆さんは真逆のことを言っていたのに。議論の前提となる説明は、1)診療報酬を上げると国民負担が増す(1%上げで税1,350億円、保険料1,750億円、患者負担が500億円増す)。2)統計上、医師給与は増加傾向にあり、物価や賃金・給与が下がる中に国民の理解が得られない、という趣旨の問題提起だった。

 この問題提起は、「真っ赤な嘘」ではないが、「ほとんど嘘」だ。極めてバイアスがかかっている。あたかも診療報酬=医師の給与という誤解を与え、医師が自分たちの給料のために不当に診療報酬増を求めているかのような印象付けをするものだ。診療報酬は、病院や診療所にとって、企業で言えば「売り上げ」に当たるものであり、当然ながら人件費も含まれるがそれ以外の経費も含まれる。そして、医療技術の進歩や機器の向上に伴う価格上昇、あるいは事故を防ぎ患者の安全を護るための追加的活動費用などまでも、診療報酬で賄わなければならない。例えばインフルエンザが特異的に流行することが予測されると、そのためのいろんな対策だって普段以上に強化しなければならないのだ。そのコストも診療報酬で賄われるのだ。したがって、診療報酬を引き下げることは、医師の手取りの問題ではなく、医療水準そのものも引き下げることを覚悟しなければならないものだ。

 もちろん、医療費の負担が支払えないのでサービス低下は当たり前だ、というところまで、患者=国民が割り切るのであれば議論としては成り立つ。しかしそういう議論をこの提言型事業仕分けで行った形跡はないし、その他にもどこにもそんなコンセンサスはない。小泉改革に対する批判は、実際にあちらこちらで具体的に医療崩壊と呼ばれる事例が発生したことによるものだった。それを猛烈に批判した民主党が、このような仕分けをして平然としているのというのは、驚くほかない。小宮山厚労相もそれを「重く受け止める」と言うのだから、もう白旗を上げたも同然だ。

 自民党だったらどうだったか?少なくとも僕が書いた反論くらい、少し社会保障を齧った人だったら誰でもできる。こんな子供だましの説明を自民党の厚労部会にかけたら、役所と部会長が吊るしあげられて大変なことになっただろう。あの人やこの人が怒鳴り出すという顔が浮かぶ(笑)。当然、結論も異なっていただろう。ここまでたやすく財務省のいいなりにはならなかった。よっぽど自民党の方が「政治主導」である。

 そもそも二年前の選挙で民主党政権が誕生した際、

  ・民主党が、年金の減額を提言する
  ・民主党が、診療報酬の据え置きまたは抑制を提言する
  ・民主党が、消費税増税のための法案を提出する

 のどれかでも実施すると思って投票した人がいただろうか?まあ、最近のニュースに聞こえる民主党のあまりの転換ぶりに空いた口がふさがらない。僕も本当にびっくりなのである。

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