今朝、倉敷から遠野に到着した第10班のボランティアの方々に引き継ぎを行ったのち、遠野市内で岩手県第三選挙区で前回衆院選で立候補し現在次を目指して現在雌伏中の橋本ひでのりさんと合流。ここからは災害ボランティアとしてではなく、政治家としての活動だ。橋本さん自身も大船渡市の事務所やお母様のご実家を津波で流されながら、被災地の支援に走り回られている。ご案内いただきながら、岩手県遠野市から釜石市~大船渡市~陸前高田市~宮城県気仙沼市と沿岸部の津波被災地を視察させていただいた。途中、仮設住宅や避難所となった体育館にも寄らせていただき、お話を伺いながらの長旅だ。
正直言って、驚いた。岩手に来た初日、陸前高田市の瓦礫撤去に進捗があったことに喜んだが、お詫びして訂正する。進捗してないわけではない。しかし、道路を通す以外はほぼ手がついていない地域があまりにも広すぎることに驚愕した。確かに、陸前高田市の中心部は本当に片付いていた。しかしその周辺部はまだ手つかず部分も残る。大船渡市や気仙沼市に至っては、まだまだ手つかずのような地区も中心部にある。被災直後ならともかく、被災からあと一週間で四カ月、100日以上が経過してなおこの状態というのは、「酷い」の一語に尽きる。率直に怒りを感じた。そのネックは、岩手県では瓦礫撤去を地元業者のみに発注すると決めたから、との由。全国の力を集中するようになっていないのだ。何故かって?岩手県は小沢一郎・民主党元代表のお膝元。達増拓也・岩手県知事もバリバリの小沢系。そこから先は書かない。まあそんなことはどうでもよい。とにかく、片付けすら進んでいないことに唖然としたのだ。迷惑を被るのは一般の住民だ。
また、すでにしびれを切らして一階が被災した家屋を修理する動きもちらほら見かけた。これもハッキリ言って政治の無策の結果だ。そもそも津波に襲われたところは再び住居にするべきではない。範囲を決めて土地を国が買い上げるなりして、安全な場所への移転を進めるべきだ。また、阪神大震災と異なりそもそも過疎化・高齢化が進みつつある地域が少なくないのだから、きちんとこの際選択と集中を進めて都市をゼロから造り直す必要がある。例えば三陸沿岸の漁業を営む街は軒並みほぼ全て壊滅的な被害を受けたわけだが、それを全て「復旧」するのは事実上絵空事である。その間の高齢化の進展を忘れているからだ。また仕事を求めて転出した人口が戻ってくる保証もない。仮に建物を立て直しても、街は決して元には戻らないのだ。
例えば気仙沼なら気仙沼に漁業者を集めて一定の人口集積をつくるとかしなければ、地域に活気は戻らない。しかしそうした具体的なビジョンの無く「復旧・復興」と調子のよい言葉をふりまき仕事したフリをしている菅直人・民主党政権に、津波被災者は怒っている。
一回や二回、どこかの被災地を訪問して、今回の震災すべてを把握した気になってはならない。ましてや、テレビなどメディアの報道だけでわかった気になるなんて、論外。テレビがバラエティ番組やドラマを流すからといって、また、高田松原の一本松のような「ちょっといい話」をニュースで流すからといって、被災地が復興したわけでは全くない。なんとなく希望を被災地以外の地域に与えるメディアコントロールのような気すらする。そういえば、「他地域だったら暴動が起こったかもしれないくらいヒドイ」という話も聞いたが、「報道されないけど実際には起こった」という話も耳にした。
そして菅直人が仕事してるなんて絶対にウソだ。再生エネルギー推進やエコタウンなんて、日本の将来のためには悪いことじゃないかもしれないが、今はそんな美しい将来のことよりも泥臭い現実の瓦礫や土砂の片付け、そして原発事故の終息に向け陣頭指揮にまず全力を尽くすべきだ。「一定のメド」なんて、あんな進捗でいつまで経っても来るわけがないじゃないか。四の五の言う前に即刻!脳死状態の政治トップを取り替えるべきだ。今日はつくづくそう感じた。満腔の怒りを以て、政権の怠惰を告発する。
倉敷にて「自民党も、民主党の足を引っ張っていないで、手伝え」としばしば言われた。そうかなと感じた時期もあったが、今は全くそうは思わない。被災者の一人である橋本ひでのりさんの言葉を記す。曰く、「公債特例法なんて、絶対賛成しちゃダメです。バラマキなんてする余裕があったらもっと他にすることがたくさんあります。民主党を助けても、被災者は全然助かりませんよ」と。
以下の写真は、被災直後の写真ではない。100日以上を経た「現在」である。胸の中で合掌しながら、剋目してご覧いただきたい。

(写真:釜石市内中心部。くどいけど被災直後の写真ではない。)

(写真:停電しているわけではない。「信号を修理する予算がない」のだそうだ。為政者の怠惰でなくてなんなのだ?釜石市内。)

(写真:大船渡市の中心部だった地区の現在。)

(写真:大船渡市中心部を高台から見下ろす。奥の方の津波被災地が荒れたままなのが一目瞭然)

(写真:気仙沼市にて。地震、津波の後に火災に遭ったため、一層凄惨な状況)

(写真:船が陸地に残されたまま。気仙沼市にて)