先日の自民党総裁選において、谷垣禎一総裁が誕生した。その後大島理森幹事長、石破茂政務調査会長、田野瀬良太郎総務会長の三役が決定、自由民主党の新体制が発足した。
これからも引き続き自民党の看板を背負って浪人生活を送ろうとする一人として谷垣自民党に望むことは、民主党とも、もちろん他の政党とも異なる政策的立場の再構築と、ブレずにそれを主張し行動し続けることだ。選挙結果では惨敗だが、得票率で言えば一定の割合の有権者のご支持はいただいている。自信を持とう。
◎「いま党」と「みらい党」
前回の衆院選マニフェストを読み比べると、自民党は成長戦略を持ちつつ財政的な持続可能性を意識した政策だと感じる。結果として即効性では民主党に劣る。一方で民主党の政策は「今困っている人たちにすぐ直接支援!」という色が全体的に濃い。ただし「それをやったら後で困らないか?」と感じるものも少なくない。「みらい」志向か、とにかく「いま」志向か、背景となる意識が異なるのだ。
振り返ってみれば4年前の郵政解散時、小泉自民党は「将来のために痛みを伴っても構造改革をやり抜くのだ!」という主張で国民の支持をいただいた。いわば「みらい」志向で支持を得た。しかしその「痛み」が本当にいろんなところに痛みをもたらした結果、有権者の皆さまは今回は「いま志向」の政策を支持されたのではないか。政策だけ見ると、そういう分析もできると思う。もっともいわゆる「天下り」はじめ政官の関係など「むかし」を引きずった自民党体制が嫌われた面が大きいが。
政権交代により、否応なく政官の体制は変わった。今後自民党が拠って立つ基礎は政策しかない。そしてその理念は「みらい」志向を維持し続けてほしい。民主党の政策の最大の不安材料は財源だ。子どもや孫へのつけ回しは避けなければならない。「みらい」志向の政策が必要とされる日は、いずれ必ず来る。
◎憲法、外交、安保
また、そもそも自民党は綱領に憲法改正をうたっており、これも他政党との明確な違いとなりうる。安全保障や外交政策に絡んでくるだろう。石破茂政調会長には、そういう視点での論陣を期待したい。
◎二大政党時代への脱皮
そもそも、冷戦の崩壊により55年体制の役割はとっくの昔に終わっており、むしろよく今まで自民党政権が持ったという見方もある。二大政党時代の一翼を担う政党として脱皮できるかどうか、今から自民党の真価が問われる。応えられなければ分裂、崩壊だろう。厳しい中ではあるが、一人の党員として、今後も自民党を支える覚悟だ。