« ジャンボタニシと政権交代 | トップページ | 目線の高さ »

2009年9月 7日 (月)

石破茂総裁待望論

 今回の選挙を振り返る上で、橋本個人としての反省点や改善点は当然山のようにある。まずは自分の活動を考え直すことが第一。選挙の敗戦の責任を誰か別の人や事象の負わせてはならない。それは当然だ。ただ、今後を考える上で、やはり引き続き自民党という看板を背負って活動する以上、これからの自民党に対して発言したいこともある。僕は今現在ただの一党員という立場でしかないから、むしろ率直にものが書ける。思うところの一端を記す。

◎僕なりに自民党を総括する

 自民党は有権者の信頼を失い、歴史的大敗を喫した。しかも参議院選挙からの流れを止めることができなかった。社会保障費の削減による体制崩壊や長寿医療保険制度、さまざまな不用意な発言など、原因を挙げればキリがない。しかし代表的な理由を三つ挙げるとすると、以下の三つだと考える。

1.年金記録問題 ― 行政無謬神話の決定的毀損と、政治の危機管理の失敗
2.繰り返す総理・総裁の辞任 ― 党内不一致の露呈
3.鳩山邦夫大臣辞任 ― 国民意識との乖離

 平たく言えば、部下の間違い(というか犯罪)は多くそのフォローも下手、しばしば中でごたついてトップが変わるし、何よりも国民の想いを汲まない、ということ。もちろん自民党内の立場に立てば言い分はあるし、経済対策・景気回復や安全保障など力を尽くした分野もある。しかし外から見てこう見えるのであれば、信頼は失うべくして失われたと言わねばなるまい。当時、中に居た一人としては申し訳ないとしかいいようがない。

◎根本は「総裁選に対する意識の低さ」

 これらを招いた根本には、党および内閣のリーダーたる自民党総裁の選び方、および選ぶ際の意識に問題があったのではないかと思えてならない。僕は在職中に三回の自民党総裁選を経験したが、果たしてその時々に必要なリーダーを選べていたか?結果から言えば、そうではなかったと考えざるを得ない。人を得ていれば、年金記録問題はあそこまで問題が拡大しなかったかもしれないし、もっと長期に総理・総裁ができたかもしれないし、国民意識を踏まえた意思決定ができたかもしれないと思ってしまうのだ。

 ただし総裁選の結果、総理・総裁を務められた安倍、福田、麻生の各氏や、その方々を支えた選対メンバーの方を責めたいわけではない。どの総裁選を見ても、当選された方はそれにふさわしい選挙戦を実行しておられた。僕が指摘したいのは、いずれも圧勝した当選者に投票した議員に「寄らば大樹の陰」とか「付和雷同」といった意識があったのではないか?ということだ。

 自民党がごたごたしているように見えた原因の一つは、何か起こるたびに「若手有志の申し入れ」とか「署名活動」とかが発生することだ。僕は任期後半はほとんど関わらないようになった。なぜか。「若手の声を聞け!」というのなら、まず若手代表を総裁選に擁立して活動するのがそもそものスジだからだ。麻生総理誕生の総裁選の際、山本一太議員と棚橋泰文議員が「若手代表」として立候補を検討されたが、いずれも実らなかった。それは若手の実力の無さとみるべきだし、であれば声を聞いてもらえなくてもやむを得ない、ということになる。

 僕は、安倍総理が当選された総裁選では谷垣禎一候補を応援した。3人の演説を聞き、消費税のアップを含めて最も真摯に語っておられたからだ。福田総理が当選された総裁選では、福田康夫候補に投票した。これはちょっとしたいきさつの末派閥の決定に従ったという理由であるが、そもそもこの回は候補者が少なすぎた。麻生総理が誕生した総裁選では、石破茂候補の選対に入って選挙する側に回った。結果は自民党総裁選の非情な厳しさを肌で感じるものだったが、後悔はない。

 派閥による立候補前の調整も、総裁選を無意味なものにする一因だ。この最たるものは福田・麻生の二人しか立候補者がなかった二回目の総裁選だし、一回目に福田康夫氏が立候補していても歴史は異なったかもしれない。総裁選のたびに「○○派は△△氏で一本化」「□□派は分裂状態」といったニュースが流れるたびに、自民党への信頼は着実に減っていったのではないか。小選挙区制になった今、少なくとも衆議院では総裁選の母体としての派閥というのは既にフィクションなのだが、未だに残っているような思いがある人もいる。そろそろ目を覚まそう。

 いずれにせよ、自民党総裁選は自民党員にとってリーダーを決める最も重要な選挙。そこに、主体性を持って参加した人がどのくらいいたのか?「人気がある人を総裁に」という実に安易かつ他人依存な意思決定をした人はどのくらいいるのか?各回とも下馬評通りに優勢な候補者が圧倒的な得票し当選する様子を目の当たりにしては、これらの疑問を払拭することはできない。リーダーを決める選挙が他人事として扱われれれば、組織はいずれ立ち行かなくなるに決まっている。その結果がいろいろな形で噴出し、今回の政権交代に繋がったのではないか。僕にはそう思えてならないのだ。

 なお、結局麻生太郎氏に一度も投票したことがないが、決して他意はない。麻生さんは実にチャーミングな方だ。しばしば気にかけていただき、とてもお世話にもなった。ただ個人的には、外相を務められていた時が一番輝いておられたように思う。

◎これから自民党を支える議員の皆さんへ

 僕も党員ではあるが、議員の時のようには党運営にコミットできない。総裁選については立候補はもちろん、推薦人にもなれないし投票もできない(一党員としてできるかもしれないが)。今回当選された方々に託すのみだ。ぜひ以下をご考慮願いたい。

○総裁選の議論について

 挨拶回りなどをしていて選挙後の自民党の不評な点の一つは「まだ民主党のマニフェストの批判をしている」ことだ。確かに批判はいくらでも出来るし、選挙中も散々行ったが、それでも選挙の結果有権者は民主党のマニフェストを支持したのだ。その点は正しく受け止めなければならない。当面は民主党マニフェストは「絶対」なのだ。

 むしろ自民党総裁選では「自民党の基本理念とは何か」「何故敗れたのか」「どうやって建て直すのか」を改めて議論してほしい。そして誰が当選しても、新総裁を中心に改めて選挙の総括をしてほしい。なお、総裁選より前に選挙の総括をすべき、という議論がある由耳にしたが、新総裁がやらないとあまり意味がないと思う。

○総裁選の方法について

 これまで、自民党総裁選は、総理大臣の選挙と同じ意味だった。だからこそ、時間をかけて各地で遊説して回って多くの国民の皆さまへのお訴えもした。しかし今回は野党党首を選ぶだけだ。前回民主党の総裁選は一週間程度ではなかったか。これまでの規定をたてに、時間をかけて総裁選を行うのはナンセンス。緊急時なんだから緊急対応するべき。もしどうしても規定にこだわるなら、総裁選挙ではなく暫定総裁の選挙と位置づけてしまえばよい。

 例えば派閥等の妙な活動を未然に防ぐために、有権者(国会議員+県連代表)を一か所に集めて演説会を行い、その直後に投票して決めてしまってはどうか。いちいち他人の指図を仰いだり、他人と相談しなければ投票できないのでは自民党国会議員の名がすたる。個人で真剣に考えて責任を持って投票するような方法を行ってほしい。これだったら一日でできるので、首班指名にも十分間に合う。貧乏な自民党の経費節減にもなる。一石五鳥くらいのアイディアだと思うのだが。

○次の総裁には石破茂さんが相応しい

 次の総裁を「人気」で選んではならない。過ちは繰り返してはならない。今自民党は国民の信頼を失った。そこから再び信頼を勝ち取る能力がある人が、次の総裁であるべきだ。当選された議員の中で適任者は、石破茂農水相しかいないと思う

 石破さんは、護衛艦「あたご」衝突事故の際の責任者として被害者遺族の方々に対し、極めて真摯に対応された。その結果、自民党総裁選の時にはその漁協の方から海の幸を送っていただきご激励をいただくまでとなった。もちろん事故は起こしてはならないのだが、事故を起こした後、見事に信頼を回復し勝ち取る能力(向き合う力、お詫びする力、粘り強く説明する力、等)があることは証明済みなのだ。これまでの自民党に欠けていたのは、上記の力ではないのか?もちろん政策能力も抜群なのは衆目の一致するところ。とくに新連立政権の弱点である外交・安保が専門なのは心強い。堂々と論破していただきたい。

 もちろん、ハデな人気があるわけではない。容姿も端麗とはいささか言い難い。でも、足らざるは皆で支えて補えばよい。そういう姿勢で投票し、支えてほしい。

◎むすび

 以上、ほぼ四年間の議員経験を踏まえ、そして日本における二大政党制時代における自民党の必要性と役割の重さに想いを致し、僕なりの自民党愛をもって、将来に向けて思うところを記した。元気を出せ日本!とは父・橋本龍太郎のセリフだが、あえて今は言う。「元気を出せ自民党!」と。願わくは、この小論が自民党再生にむけた礎の一つとならんことを。

|

« ジャンボタニシと政権交代 | トップページ | 目線の高さ »

01.地域活動」カテゴリの記事

コメント

おはようございます。

自身に厳しい冷静さはお父様譲りでしょうか。

「この方に一票を投じた事は正しかった」
改めてそう感じました。

そして、今日ここを拝見してまた、安心も致しました。

私は、沿道からの拍手しか送ることはできませんが、そのような方が他にもたくさんいらっしゃることと思います。皆が期待し、応援し、見守っています。

どうぞ 正論を携えて、王道をお進みくださいませ。

投稿: ひなママ | 2009年9月 7日 (月) 09時18分

消費税の嘘も御存じないのですね。

http://ameblo.jp/juggernaut-jp/entry-10172043586.html

石破さんは私も良いと思います。国防の点ではなく、今回の選挙結果をきちんと分析できているからです。

しかし、正直自民党ブランドは厳しいですよ。
高速無料化の試算もあったとのことですし
年金記録も無いといってたのがあったようですし

今後、こういったことが次々明らかになっていくにつれ自民党は野党にありながらマスコミから厳しい追及を受けるでしょう。

そんな自民党に居ても先は無いと思います。
政治家としてやっていきたいのであれば自民党は見限るべきでしょう。

投稿: yoshi | 2009年9月 7日 (月) 12時16分

はじめまして。

今回の選挙結果に自民党員として真摯に向き合われていることを感じます。

さて、今回の首班指名に白紙票をと言っているようですが、これで自由民主党は再生するのか心配です。
貴殿がお薦めの石破氏は白票はダメだが、麻生太郎もダメとのこと。これも白票と言っているのと同じことだと思います。

雪斎さんが書かれていることに同感なので、
雪斎さんの下記エントリーを読んでみてください。

敗戦責任おける「礼儀」
http://sessai.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-09ab.html

投稿: onelife | 2009年9月 7日 (月) 17時08分

今後に向けて色々と総括をされているのはいいのですが
選挙の時は役員会やら 会長会やら 招集されましたが
今後の活動の方針やらで 召集はありませんか
頼りにならん後援会ですが これにも総括が必要ではないですか

投稿: ギンガマン | 2009年9月 7日 (月) 17時35分

有権者も日本の未来や財政をを考えたりする方ばかりでなく。
将来の日本のことなど考えず目先のばら撒きの愚民政治的公約を支持する方も多数いるのも事実

幾ら正論で勝負しても勝てないもどかしさ
このあたりが、民主主義の難しい所

先の太平洋戦争ですら国民の大多数は、政府指導部の世論誘導はあったにせよ、戦争支持
開戦前数カ月に東條首相に、即時開戦との嘆願書的手紙が3000通来たそう。

国民の意向が、正しいとは限らないことは今回の選挙でも如実に出る

まあ焦ることはありませんよ。

民主党の政策では
今年は、税収の激減で、国税40兆円を割ろうかという惨憺たる状況
ある国の官庁の方に聞いたんですが、宿舎(官舎)の建て替えを急遽ストップ

土建屋関係の方は、年末にかけて大変なことになるのではと心配

来年の子供手当ぐらいまでは、補正の組み換えと等で、何とかなると思いますが
それ以降は、税収減・財源不足で予算編成どころではありませんよ
土建屋等から大量に失業者も出て政府も大混乱 マスコミも民主党の政策を大批判

民主党の連中は今まで外野席で言いたい放題でしたが今回から主役

ある評論家が、民主今までは組合員で、言いたい放題が、今度は経営者の立場どうするのかと言ってましたよ。

岳さんも少し民主のお手並みを拝見してください。
特に長妻氏、年金で、あいまいな者にも支給せよと言いたい放題でしたが今回は支払い側どんな対応を取るか個人的には見もの

まあ岳さん民主等の政策では、国が立ち行くわけもなく。
直ぐに政策的に行き詰まり解散も案外早いかも

国民も景気後退や失業増で、苦しむでしょうが、次は、柚〇氏に入れんでしょう。

なにか長々の書き込みどうもです^^;

投稿: 岳さんの私設応援団 | 2009年9月 7日 (月) 17時47分

私も石破さんに総理大臣になって欲しい1人です。
 
私の姉は農水省の
とある庁で国家公務員上級職として働いています。
父を早くに亡くし国庫奨学金を受けて仕送りナシで大学を出、その大学時代に資格試験に合格し国家公務員になりました。
上級職にも事務職と技術職とがありますけれど
技術職の姉はODAがキチンと正当に使われているか調べに
東南アジアなどにヨク行っていました。
 
よく官僚方が話しを通さないとか
ニュースで言われますが、あれって上級事務職出の方々なんですかね…
 
国会会期中なんか姉は毎日日付が変わっても省内で仕事しています。
 
官僚が官僚がって言うわりに
官僚の概念がハッキリしていないのに本省勤めってだけで嫌味を言う人までいます。
真面目に正直に働き続ける姉が不憫に想う時があります。

投稿: 日高見 まま子゚ | 2009年9月 7日 (月) 19時55分

岳さんは、まだ党内の権力闘争をしているだけだ。 分かっていない。
石破さんには国防がある。君は難病対策、盲導犬育成、国策の失政に泣く薬害患者救済等、弱者の為の政治とIT情報インフラ整備等、国策の産業育成に取り組むべきだ。
世の中の風向きに左右されない日本一の山に成ってほしい。
長崎2区の福田さんの言葉には重みがある。ライバルながら見習ってほしい。 意見のある方レスください

投稿: 上成人 | 2009年9月 7日 (月) 20時48分

《総理大臣》に石破さんになって欲しいと書いたのは間違いではなく
自民党総裁には勿論なって頂きたいのですが
政権奪還した後を考えると、石破さんに総理大臣になって頂きたいと私は思っているということです。
石破さんの発言は昔からブレることが無いからです。

投稿: 日高見 まま子゚ | 2009年9月 7日 (月) 20時55分

 「たられば」は無意味だとは分かっていますが書かせてください。岳先生が当選されていれば、明日の両院議員総会で真っ先に挙手をされ、上記の「檄文」を読まれたのでしょうね。


 立て、石破! ゲルダム発進! マジン・ゴー!
       

 石破総裁が米子に通い、三顧の礼で『珍獣ハンター』を中国比例1位で迎え入れれば、次期総選挙はバッチリ。岳先生は復活枠などあてにせず、明日も、明後日も街宣に立ってください。

投稿: 浜野 芋太 | 2009年9月 7日 (月) 22時18分

元公務員が語る役所の無駄の記事
として少しブログに記事書きました。
私なりに岳君の敗因分析してみました。
やはり小沢さんの国民の声「@口コミ係長」を徹底分析した勝利だと思います。
正直民主党のマニフェストはすばらしとは、思いません。評価できるのは、霞ヶ関にメスをいれたとこだけで、あまりにも自民党がお粗末そこにつきると思います。一番の象徴が長崎の
久間さんの「原爆しょうがない」発言と
「命の尊さ」これがすべてを物語っている
と思います。ゾンビ議員より岳君高く評価しています。

投稿: オンラインブログ検定 | 2009年9月 8日 (火) 01時19分

再就職は石破さんの秘書になればいいやんか!

投稿: たましまん | 2009年9月 8日 (火) 01時23分

時々、ブログを拝見しております。今回は本当に残念なことでございました。しかし、選挙後の活動に力強さを感じ、今後に期待しております。岳先生はもちろん栄里子さんも本当にお疲れでいらっしゃると思いますが、御身体に気をつけて頑張ってくださいませ。遠く千葉御宿の地より応援しております。

投稿: 林 晶恵 | 2009年9月 8日 (火) 10時30分

今回は、とても残念な結果になりましたが、頑張ってください。応援しています

投稿: yasuko | 2009年9月 8日 (火) 14時35分

お疲れ様でした。自民党惨敗だけでなく、世襲が多すぎが原因なんです。離党しても構いませんけど、平沼先生(岡山県同志)によく話し合いして下さい。私は民主党に投票したんです。前回は、自民党圧勝したから…今度は民主党の事を考えました。

投稿: 由美 | 2009年9月10日 (木) 22時46分

岳さんの意見には概ね賛同致します。
一点「民主のマニフェストに国民が支持した。」と言う点には疑問が残ります。
民主のマニフェストには細部のみを切り取ってデコレーションしてる草案しか載っていません。
巷の老人達の四方花話を聞いていると
自民はダメだ!消去方で民主に入れよう。
と言った話が良く聞かれました。
民主の案に阿ねってはいけません。
企業はそれで失敗を繰り返して来たではありませんか?

投稿: ディハート | 2009年9月10日 (木) 23時12分

こんなこと、当選してから言えよ

投稿: まめ | 2009年9月15日 (火) 10時08分

 谷垣総裁、石破幹事長ってことでしょうか? 総理になれない総裁よりは、幹事長になったほうが、党再生の仕事が進みそうですね。それとも安全保障上の問題がこじれ、某党が連立から離脱した時に、「大連立」&「防衛相で入閣」するための布石なのでしょうか?

 「たられば」で申し訳ありませんが、岳先生がご当選されていれば、推薦人集めにご苦労されなかったのに、と思います。


投稿: 浜野 芋太 | 2009年9月16日 (水) 11時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/525277/46142573

この記事へのトラックバック一覧です: 石破茂総裁待望論:

« ジャンボタニシと政権交代 | トップページ | 目線の高さ »