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2009年9月

2009年9月26日 (土)

マニフェスト

 先月の衆院選ほど「マニフェスト」が注目された国政選挙はなかった。政権選択が現実的になる中で、判断の拠り所として注目を集めたのがマニフェストだった。そして有権者の選択の結果として、民主党が政権を獲得した今、鳩山政権は一つひとつマニフェストを実行に移しつつある。民主党のみならず、マニフェストというツールを普及する立場の人も正念場だ。

 もちろんマニフェストの意義は小さくない。以前の「公約」と比較してより具体的に政策が示されるようになった。小選挙区制の導入と相まって、政権選択の評価対象として重要なものだ。地方選挙も含めて、選挙で政策が議論されやすくなった。また、今回のように政権交代が起こった場合、トップダウンで物事を変更させるための指針として実際に絶大な威力を発揮しているようだ。

 しかし課題も発生しつつある。八ツ場ダムの問題では、国政レベルで支持されたマニフェストの内容に地方自治体が強硬に反対する構図となった。また「子ども手当」の所得制限など、連立政権を組む政党間でマニフェスト内容が異なる場合は、政権内部での議論に調整が委ねられることになる。また、高校授業料無償化について間接支払いとする由、川端文部科学相が表明した。厳密にいえばマニフェストの変更であり契約違反だ。生活保護の母子加算の復活も10月からは先送りの模様だ。

 実際のところ、こういった混乱は今後も続くだろう。もちろん混乱は無いにこしたことはないが、政権を担当すれば、文書に書いてあることよりも現実を優先することも場合によっては許されるべきだと僕は思う。予想外の現実に対して万全の対応がしてあるマニフェストなどあり得ない。臨機応変の措置も必要になるのだ。むしろ、臨機応変の措置がどうとれるかという点にこそ政治家の力量が問われるだろう。ただマニフェストを実行するだけだったら官僚に任せておけば十分だ。もちろん選挙の際にその結果責任が問われることになるが。

 ただ、民主党には「有権者との契約=マニフェスト」を主体的に推進してきた経緯がある。政策討論会の際、民主党候補の方から「橋本さんの政策は、マニフェストと呼べるんですか?」という質問をいただいたほど、彼らはその手法にとてもコダワリがあるようだ(政策の是非を、内容ではなく外形的基準で評価するのはアホなことだと僕は思うが)。そこまでこだわるのであれば、言った通りに実行するべきという期待は当然高い。どこまでやり抜けるだろうか。

 今問われているのは、民主党の政策の中身とともに、「マニフェストによるトップダウン型政策実施」という政策手法でもある。これから何が起こるか、とても興味津津だ。

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2009年9月21日 (月)

自民党総裁選挙にあたり

 現在、自民党総裁選が行われている。「石破総裁待望論」で述べたように、総裁選こそが自民党再生のカギだと思う。残念ながら石破茂議員は立候補しなかったが、西村康捻、河野太郎、谷垣禎一の各衆議院議員が立候補し論戦がスタートした。日程的には、9月27日が党員投票の投票締め切り日、28日が議員投票の投開票日となる。

 ときどき「誰に投票すればええんかな」と問われるが、今回、僕は誰かを推薦するということは控えたいと思っている。むしろ党員の皆さんが、各候補者の訴えに耳を澄ませ、「この人に自民党を託したい!」と思う人を自分の考えで選ぶことから、自民党再生の第一歩は始まるのではないだろうか?(それに、一度「石破総裁がいい!」と書いたのに、また別の人をすぐ推薦することはできないです)。

 ただ個人的には以下の二点で各候補を評価したいと思っている。

 ・二大政党時代下における自民党の理念を、再定義しようとしているか。
 ・その実現のために、どのような手立てを講じようとしているか。

 民主党マニフェストが総選挙で選ばれたという現実があるのだから、現時点ではいきなり政策で民主党と争うことは難しい。むしろその背景にあるべき自民党ならではの理念を明確に示し、その方向に向かって党が団結すれば、独自の政策はそれに随って出てくるはずだ。「なぜ民主党ではなく自民党なのか?」という質問に、人の心を掴むヒトコトで応えられる候補者がいれば、その方がベストだろう。

 各候補の訴えをしっかり聞いて、自分の一票を投じたい。また投票権がある党員・党友の方は、ぜひ貴重な一票を大事に行使願いたい。

<各候補の訴え 自民党Webサイトより>

 ○西村康稔 候補

 ○河野太郎 候補

 ○谷垣禎一 候補

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シルバーウィーク

 シルバーウイークに突入した。倉敷の美観地区周辺は観光客で大変な賑わいだ。また敬老会シーズンでもある。地域や施設等での敬老会に出席させていただき、長寿のお祝いと近況報告を申し上げる。

 街頭でのお礼ご挨拶も継続中。今日は朝は玉島、午後からイオン前の交差点で行った。また、午後は水島支所で行われた日本善行会倉敷支部主催の交通安全教室に参加。一般の方に交じって動体視力の検査やドライブシミュレーターなどを体験。無事、無事故で終了できてひと安心。みなさん、安全運転を!

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(写真:岡山県警の交通安全体験車「おかやまふれ愛号」。さまざまな検査やドライブシミュレーターができる)

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2009年9月15日 (火)

目線の高さ

すこしご無沙汰しました。変わらず元気に活動しています。

朝、交差点で街頭活動をし、昼間からはお礼とお詫びの行脚。これは当分続く。先週二日間、国体水泳競技のため長岡に出かけたが、あとは同じような日々。

街宣では、ビールケースに乗るのを止めた。お礼するのに台の上にいるのも変だからだ。わずか数十センチの高さの違いだが、ドライバーの方や自転車の方と目線が合うようになり、心を込めてお礼できるようになった気がする。たかだかそれだけのことだが、ひとつひとつの見直しの積み重ねが大事だ。

お話を伺っていると、自民党再生へのご期待も感じるし、選挙前と打って変わって国債発行という話が出る新政権への不信も感じる。皆さんの想いの受け皿になれるように、頑張らなければならない。

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2009年9月 7日 (月)

石破茂総裁待望論

 今回の選挙を振り返る上で、橋本個人としての反省点や改善点は当然山のようにある。まずは自分の活動を考え直すことが第一。選挙の敗戦の責任を誰か別の人や事象の負わせてはならない。それは当然だ。ただ、今後を考える上で、やはり引き続き自民党という看板を背負って活動する以上、これからの自民党に対して発言したいこともある。僕は今現在ただの一党員という立場でしかないから、むしろ率直にものが書ける。思うところの一端を記す。

◎僕なりに自民党を総括する

 自民党は有権者の信頼を失い、歴史的大敗を喫した。しかも参議院選挙からの流れを止めることができなかった。社会保障費の削減による体制崩壊や長寿医療保険制度、さまざまな不用意な発言など、原因を挙げればキリがない。しかし代表的な理由を三つ挙げるとすると、以下の三つだと考える。

1.年金記録問題 ― 行政無謬神話の決定的毀損と、政治の危機管理の失敗
2.繰り返す総理・総裁の辞任 ― 党内不一致の露呈
3.鳩山邦夫大臣辞任 ― 国民意識との乖離

 平たく言えば、部下の間違い(というか犯罪)は多くそのフォローも下手、しばしば中でごたついてトップが変わるし、何よりも国民の想いを汲まない、ということ。もちろん自民党内の立場に立てば言い分はあるし、経済対策・景気回復や安全保障など力を尽くした分野もある。しかし外から見てこう見えるのであれば、信頼は失うべくして失われたと言わねばなるまい。当時、中に居た一人としては申し訳ないとしかいいようがない。

◎根本は「総裁選に対する意識の低さ」

 これらを招いた根本には、党および内閣のリーダーたる自民党総裁の選び方、および選ぶ際の意識に問題があったのではないかと思えてならない。僕は在職中に三回の自民党総裁選を経験したが、果たしてその時々に必要なリーダーを選べていたか?結果から言えば、そうではなかったと考えざるを得ない。人を得ていれば、年金記録問題はあそこまで問題が拡大しなかったかもしれないし、もっと長期に総理・総裁ができたかもしれないし、国民意識を踏まえた意思決定ができたかもしれないと思ってしまうのだ。

 ただし総裁選の結果、総理・総裁を務められた安倍、福田、麻生の各氏や、その方々を支えた選対メンバーの方を責めたいわけではない。どの総裁選を見ても、当選された方はそれにふさわしい選挙戦を実行しておられた。僕が指摘したいのは、いずれも圧勝した当選者に投票した議員に「寄らば大樹の陰」とか「付和雷同」といった意識があったのではないか?ということだ。

 自民党がごたごたしているように見えた原因の一つは、何か起こるたびに「若手有志の申し入れ」とか「署名活動」とかが発生することだ。僕は任期後半はほとんど関わらないようになった。なぜか。「若手の声を聞け!」というのなら、まず若手代表を総裁選に擁立して活動するのがそもそものスジだからだ。麻生総理誕生の総裁選の際、山本一太議員と棚橋泰文議員が「若手代表」として立候補を検討されたが、いずれも実らなかった。それは若手の実力の無さとみるべきだし、であれば声を聞いてもらえなくてもやむを得ない、ということになる。

 僕は、安倍総理が当選された総裁選では谷垣禎一候補を応援した。3人の演説を聞き、消費税のアップを含めて最も真摯に語っておられたからだ。福田総理が当選された総裁選では、福田康夫候補に投票した。これはちょっとしたいきさつの末派閥の決定に従ったという理由であるが、そもそもこの回は候補者が少なすぎた。麻生総理が誕生した総裁選では、石破茂候補の選対に入って選挙する側に回った。結果は自民党総裁選の非情な厳しさを肌で感じるものだったが、後悔はない。

 派閥による立候補前の調整も、総裁選を無意味なものにする一因だ。この最たるものは福田・麻生の二人しか立候補者がなかった二回目の総裁選だし、一回目に福田康夫氏が立候補していても歴史は異なったかもしれない。総裁選のたびに「○○派は△△氏で一本化」「□□派は分裂状態」といったニュースが流れるたびに、自民党への信頼は着実に減っていったのではないか。小選挙区制になった今、少なくとも衆議院では総裁選の母体としての派閥というのは既にフィクションなのだが、未だに残っているような思いがある人もいる。そろそろ目を覚まそう。

 いずれにせよ、自民党総裁選は自民党員にとってリーダーを決める最も重要な選挙。そこに、主体性を持って参加した人がどのくらいいたのか?「人気がある人を総裁に」という実に安易かつ他人依存な意思決定をした人はどのくらいいるのか?各回とも下馬評通りに優勢な候補者が圧倒的な得票し当選する様子を目の当たりにしては、これらの疑問を払拭することはできない。リーダーを決める選挙が他人事として扱われれれば、組織はいずれ立ち行かなくなるに決まっている。その結果がいろいろな形で噴出し、今回の政権交代に繋がったのではないか。僕にはそう思えてならないのだ。

 なお、結局麻生太郎氏に一度も投票したことがないが、決して他意はない。麻生さんは実にチャーミングな方だ。しばしば気にかけていただき、とてもお世話にもなった。ただ個人的には、外相を務められていた時が一番輝いておられたように思う。

◎これから自民党を支える議員の皆さんへ

 僕も党員ではあるが、議員の時のようには党運営にコミットできない。総裁選については立候補はもちろん、推薦人にもなれないし投票もできない(一党員としてできるかもしれないが)。今回当選された方々に託すのみだ。ぜひ以下をご考慮願いたい。

○総裁選の議論について

 挨拶回りなどをしていて選挙後の自民党の不評な点の一つは「まだ民主党のマニフェストの批判をしている」ことだ。確かに批判はいくらでも出来るし、選挙中も散々行ったが、それでも選挙の結果有権者は民主党のマニフェストを支持したのだ。その点は正しく受け止めなければならない。当面は民主党マニフェストは「絶対」なのだ。

 むしろ自民党総裁選では「自民党の基本理念とは何か」「何故敗れたのか」「どうやって建て直すのか」を改めて議論してほしい。そして誰が当選しても、新総裁を中心に改めて選挙の総括をしてほしい。なお、総裁選より前に選挙の総括をすべき、という議論がある由耳にしたが、新総裁がやらないとあまり意味がないと思う。

○総裁選の方法について

 これまで、自民党総裁選は、総理大臣の選挙と同じ意味だった。だからこそ、時間をかけて各地で遊説して回って多くの国民の皆さまへのお訴えもした。しかし今回は野党党首を選ぶだけだ。前回民主党の総裁選は一週間程度ではなかったか。これまでの規定をたてに、時間をかけて総裁選を行うのはナンセンス。緊急時なんだから緊急対応するべき。もしどうしても規定にこだわるなら、総裁選挙ではなく暫定総裁の選挙と位置づけてしまえばよい。

 例えば派閥等の妙な活動を未然に防ぐために、有権者(国会議員+県連代表)を一か所に集めて演説会を行い、その直後に投票して決めてしまってはどうか。いちいち他人の指図を仰いだり、他人と相談しなければ投票できないのでは自民党国会議員の名がすたる。個人で真剣に考えて責任を持って投票するような方法を行ってほしい。これだったら一日でできるので、首班指名にも十分間に合う。貧乏な自民党の経費節減にもなる。一石五鳥くらいのアイディアだと思うのだが。

○次の総裁には石破茂さんが相応しい

 次の総裁を「人気」で選んではならない。過ちは繰り返してはならない。今自民党は国民の信頼を失った。そこから再び信頼を勝ち取る能力がある人が、次の総裁であるべきだ。当選された議員の中で適任者は、石破茂農水相しかいないと思う

 石破さんは、護衛艦「あたご」衝突事故の際の責任者として被害者遺族の方々に対し、極めて真摯に対応された。その結果、自民党総裁選の時にはその漁協の方から海の幸を送っていただきご激励をいただくまでとなった。もちろん事故は起こしてはならないのだが、事故を起こした後、見事に信頼を回復し勝ち取る能力(向き合う力、お詫びする力、粘り強く説明する力、等)があることは証明済みなのだ。これまでの自民党に欠けていたのは、上記の力ではないのか?もちろん政策能力も抜群なのは衆目の一致するところ。とくに新連立政権の弱点である外交・安保が専門なのは心強い。堂々と論破していただきたい。

 もちろん、ハデな人気があるわけではない。容姿も端麗とはいささか言い難い。でも、足らざるは皆で支えて補えばよい。そういう姿勢で投票し、支えてほしい。

◎むすび

 以上、ほぼ四年間の議員経験を踏まえ、そして日本における二大政党制時代における自民党の必要性と役割の重さに想いを致し、僕なりの自民党愛をもって、将来に向けて思うところを記した。元気を出せ日本!とは父・橋本龍太郎のセリフだが、あえて今は言う。「元気を出せ自民党!」と。願わくは、この小論が自民党再生にむけた礎の一つとならんことを。

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ジャンボタニシと政権交代

 4日から倉敷に戻り、お世話になった方々にお礼とお詫びのご挨拶をするため、ずっと倉敷・早島中を回っている。励まして下さる方、労って下さる方、残念がって下さる方、アドバイスを下さる方、叱咤して下さる方。どんなお言葉も有難く伺い、勉強するのが今の仕事だ。そういうさまざまなお気持ちをいただけることに、深く深く感謝。朝の街頭活動も継続中。

 6日朝は「児島湖流域清掃大作戦」に参加。社団法人倉敷青年会議所のメンバーとして倉敷市役所近辺のゴミ拾い活動を行った。ゴミを探して歩いていると、用水路にジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)の鮮やかなピンク色の卵を見かける。これが近年倉敷で相当増殖していて、あちこちの用水路で昨年くらいから目立つようになった。この巻貝は田んぼのイネに被害を出す。

 たまたまある市議さんと一緒だったので、「ジャンボタニシの対策は、市でやってるんですか?」と尋ねると「緊急雇用対策でやってます」との由。これは麻生内閣で成立させた補正予算による事業ということだ。「じゃあ、鳩山内閣で補正予算組み替えられたら困るじゃないですか」「そうなんですよ。一年限りになっちゃいますもんね」。

 こういうところにも、政権交代の影響は出てくる。

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2009年9月 3日 (木)

会館・宿舎からの退去

先日のエントリにたくさんのコメントを頂いた。いずれも暖かいお励ましのお言葉で読んで涙がにじむ。誠にありがとうございました。頑張ります!

昨日、今日と議員会館および議員宿舎の退去のため東京にいる。久しぶりに妻と二人きりの上京だが、目的が目的だけにいささか寂しい。気丈な妻だが、苦労をかけてしまった…。

選挙応援にお越しいただいた先生方へもお礼とお詫びのご挨拶にも伺った。輸送艦「おおすみ」のプラモデルは、やはりモデラーの石破農水相に保管をお願いしたところ快くお預かりいただけた。事務所にたくさん並んでいたので「ここに置かせてくださいよ」とお願いしたら二つ返事で「いいよ!帰ってくるまで預かっててあげる」と仰って頂けた。有難いこと。

そもそも今回の引っ越し自体も急な話しで、いろんな方にご無理をお願いしてやっている。無位無冠の我が身へのご厚意、謝するに余りある。お応えできるように、一層頑張らなければならない。

とりあえず一時撤収だ。いずれ戻るぞと念じつつ。

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