臓器移植法改正案の採決
しばらく慌ただしすぎてブログ更新が止まってしまった。今週の出来事など順次更新します。
18日(木)、臓器移植法改正案の衆院本会議での採決があった。現行臓器移植法の下では施行12年間で81件の移植手術実施となったわけであるが、当然移植を求める患者の数には及ばない。また現行法では15歳以下の子どもはドナーになることができないため、子どものレシピエント(移植を受ける患者)は海外渡航しか手段がなかった。そこでA案~D案の四つの改正案が提案されていた。
採決では、私はA案について白票(=賛成票。反対は「青票」)を投じた。小児虐待の懸念のため当初B案を考えていたが、直接提出者等に繰り返し話を聞き、また勉強会への出席を重ねる中で懸念を払拭できためA案に賛成した。法文上懸念材料もゼロではないが、医療現場を信じたい。
正直な話、この法律の対象は人間としての判断の範囲を超えていると思う。だから迷ったり棄権したり他案に賛成する議員も、すべて一人一人の全人格を賭けた意思決定の結果であろう。しかし現実社会への対応は必要だし、最高意思決定機関とされる国会以外に判断できる人がいないのであれば、逃げるわけにも行かない。あとは、改正案により、適切なプロセスで一人でも多くの方の命が救われることを願うのみ。
また、今回、各議員の全人格による判断による議決となったが、実はこれが本来の国会の在り方のような気もする。ただしその代償として、改正案A案の衆院提出から採決まで3年も時間が経過してしまっていることにも留意が必要だ。しかもまだ参院での議論の行方は不明だし、衆院と参院の議決が異なった場合にどうなるかも検討を要する。そうしたことも考えさせられた。
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コメント
「幸福実現党」という一宗教法人を母体とする政党を支持する者から、臓器移植法についてモノを言ってみますが、私には霊能力があるわけではありませんから、想像力でしかモノを言うことが出ないことを前置きして話をします。
結局、覚悟の問題として、生きている人の臓器を他人に提供するのを後押しするか、しないかの問題ではないか、と考えます。安易な善意のみで良しとすべきではありません。脳死状態で、まだ霊視線がつながり、人体の近くに本人の霊体・意識体が現実にいることを想定し、その人が見ている前で、麻酔もせずに腹を切ることまで覚悟できるかどうか、ということかも知れません。
勇気や歯を食いしばって、本人が耐えられるかということではないか。一時的な苦痛でもありますし、本人が死んでいることや死ぬことを自覚できれば、驚愕したり苦しんだりわめいたり
せずに済むでしょうが、医療現場の方は、いつも死と共にあるので、世間の方とは違う感性、鈍感さを身につけざるをえないところも出てくると考えますので、本人や家族が「生きている状態での手術だ」ということを本当に覚悟しているかという厳しい選択です。
投稿: かめ | 2009年6月19日 (金) 18時04分
はじめまして。
私は被虐待児当事者として、今回の被虐待児の臓器移植の決定が非常に気になっています。
このような 質問も、それこそ心臓が壊れそうになりそうだけど、どうしてもと思うのでやっとします。
提出者の話を繰り返し聞き、どのような考えや判断があって、懸念が払拭できたのか、のところをもう少し、解りやすく残していただくことはできませんか?ここでも。別のどこかででも、すでにそのような場があれば教えてもらえると大変助かります。個人的な問題とはとても言えませんしよろしくお願い致します。
投稿: ハートロード | 2009年6月21日 (日) 18時24分
誠に申し訳ありません。憤りのあまり、表現に誤りがありました。
正しくは、被虐待児の臓器移植・ではなく、
被虐待児の、臓器移植の恐れを含むと思われる決定が、気になります。でした。
被害者意識としないでください。
親から迫られる立場で、どこかへ助けを求めたり、逃れられる位ならば、あえて、ここへ書き込んだりなどしません。
投稿: ハートロード | 2009年6月22日 (月) 21時29分