今朝は嵐模様の中、霞橋西詰で街宣。玉島遺族会の慰霊祭および総会、昼からミニ集会、夜も会合。夕方から晴れ間が出てきて、明日はいい天気になるといいな。
ところで世襲議論が急に盛んになった。被告席に座るものとしては、本来黙って裁判の行方を聞き粛々と従うべきであろうとも思うのだが、やっぱり黙っていられないので、最近盛んな世襲制限議論に対し、被告席からの発言をお許しいただきたい。
…いや、卑屈になる必要ないか。自分は誰がどう見ても世襲ど真ん中の議員ではあるが、しかし前回総選挙にて96,356票をいただき、比例復活とはいえ議席を預かり、議員として三年半全力を尽くしてきた。するべき主張はさせていただく。
○世襲制などという制度は、ありません。
くだらない議論であるが、時々「世襲制は制限すべきだ」という言葉を吐く方が職業政治家にもいる。そんな制度はどこにも存在しません。候補者が未定の際に、政治家の近親者が後継候補となることが多く、結果として二世や三世の議員が多い現象を、政治における「世襲」と呼ぶだけ。一般の方々の議論ならともかく、職業政治家ならばまず正しく問題を認識してください。福島瑞穂社民党党首、あなたのことですよ。
・世襲制限、法制化検討を=社民党首
○世襲は広く捉えるべきだ
現職大臣でも「選挙区が違うので世襲ではない」という発言をされる方もおられる。気持はわかるが、逃げてはいけない。この問題が世論の高まりから起こっている以上、世襲の細かい定義を争っても世論に訴えなければ意味がない。衆議院と参議院で違うとか、知事と国会は違うとか、選挙区は違うとか、議論はいろいろできるが、正直言って国民はすべてひっくるめて「世襲」と理解していると思う。政治家の親の名前で選挙に当選した人はみな世襲だ。世襲の定義を細かく定めても、世間からは小手先の小理屈にしか見えないだろう。
もちろん、自民党にもたくさんある話である。しかし、共産党にすら現職衆議院議員の息子さんが前回の参議院選にて比例区で立候補していた例があることは認識いただきたい。そういえば岡山一区にも菅直人さんのご子息が前回立候補して、お父さんも応援に来られていたような気もする。そういうことがあるから、以前のエントリで「構造」と書いたのだ。
○世襲ですが、何か?
民主党にて、同じ選挙区での親族の立候補に制限をかけよう話があるようだ。自民党でも同様の議論は提起されているし、先の福島党首の言葉によれば法制化もあり得るとのこと。憲法だ何だという議論はあるが、個人的には「世襲議員が世の中の害悪である」あるいは「世襲議員は非世襲議員と比較して客観的に劣り、社会にとって良くない」ということが証明されれば、むしろ制限されるべきであろう。
しかし、個別具体例以上にそのような議論をされたことは聞いたことはない。世襲議員が多いという現象は間違い無いが、社会的に害があることが証明されないにも関わらず制限がかかるのであれば不当な「門地出身による差別」以外の何物でもない。人権派弁護士は何をしておるのか。
よくある話は「安部総理も福田総理も途中で投げ出したから世襲はダメ」とかいったものだが、では選挙で負けて辞任した橋本総理、途中で病で倒れた小渕総理も世襲であるが、どうなのか。世襲ではない森総理は大変な低支持率の中で辞任せざるを得なくなったが、どうなのか。世襲じゃない総理だったら、参議院選挙で敗退後も投げ出さずに済んだのか。もっと日本は改善されていたのか?
「そんな仮定の議論に意味はない」というのであれば、世襲議員がよく浴びせられる罵倒「お前の父親が議員じゃなかったらお前なんか絶対当選できない」という言葉のアンフェアさを同時に噛みしめてもらいたい。そんなこと言われても、父親を替えることは我々には不可能である。違う親の元で生まれた自分などという想定ができない以上、この言葉に証拠をもって反論することはできない。もちろん、或いは政治家の親を持っても立候補できない人は少なくないし、立候補しても落選する人も少なくない。しかしぐっとこらえて「そうですね」と答えるしかない。世襲議員は皆その悔しさを知っている。むしろ、行動と結果で自らの存在意義を証明しなければならないため、世襲議員の方が政務に真剣に取り組むべきプレッシャーをより強く感じているかもしれない。
それはさておき、世襲問題を議論するのであれば、先に述べた「構造」、すなわち政党と地方組織、選挙のあり方と担い手、候補者選定プロセス、議員や候補者のキャリアパスなどの見直しまで含めて議論すべきだ。
○議員であることは利権なの?
また再び野党党首にお出ましを。福島瑞穂党首曰く「世襲制は利権の相続になりかねないので制限すべきだ」。議員であることは、利権なのか?当然自分も議員だという前提で話してるよねえ。へえ、そうだったんだぁ。福島さんにとって、議員であることは「利権」だったのねぇ。福島さんはどんな利益を得てるんだろう?僕にはわからん。
それはともかく、もし議員であることがすなわち利権だとするならば、まず多選問題について論ずるべきではないか?
○もちろん、隗より始めよ
とはいえ、世襲の立候補に制限はかかるかもしれない。法制化までいかなくても、政党によって次の選挙から実施する政党はあるだろう。であれば、当然現職議員からその制限に従って行動すべきだ。現職はいいけどその次の世代からはダメ、というのはアンフェアだ。現職の世襲議員が世の中の害悪ということだからこそ規制が行われるわけで、現職のダメさを次の世代に負わせるのは間違っている。
ですからまず、小沢一郎代表、鳩山由紀夫幹事長、あなたたちから次回の立候補を辞退すべきです。そうしたら民主党が勝つでしょう。もちろんここまで書くからには、僕も僕自身が引っかかる世襲制限が自民党で行われたら、次回の立候補は致しません。自分が世間からダメ扱いされたものを、どうして子供に累を及ぼせるものか。
○要するに
客観的に評価されたうえで制限をされるのであれば、受けるのは全くやぶさかではない。それで日本の政治が良くなるのであれば、辞任することになっても本望だ。しかし、選挙前の一時の人気取りでいいかげんな議論の末不当に犠牲にされるのであれば、戦わざるを得ない。よくよくお考えいただきたい。