フランスの地方自治制度
昨日は、12時間のフライトで無事シャルル・ドゴール空港に到着。飯村大使に夕食をお招きいただき、懇談。
今日(ちなみに今はフランス時間の午前6時)は、ストラスブールに移動して、州議長や地方長官、県議長らにヒアリングの予定。
以下は下調べのまとめ。地方制度は国によって全然違う。そこにこそ、日本でも道州制を考える余地があると思う。国・都道府県・市町村という今の日本の行政の仕組を「当たり前」と思うことをやめることから、道州制の議論は始まるからだ。大阪府の橋下知事が10年後をメドに道州制を目指す「分権ビジョン」を発表したとか。一層の議論が必要。今回の機会を有意義に活用せねば!
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●フランスの地方制度について
<EU>…も、あります。
<国>
・面積は日本の1.5倍、人口は日本の約半分。
・行政:大統領制。
・議会:上院・下院(国民議会)の二院制
※上院の選挙人は、国、地方の公選職。
※上下院とも、州、県、コミューンの議員や市長を兼職可。議員の約半数が兼職。
※兼職の場合、週の前半はパリで、後半は地域で過ごす生活パターンになる。兼職が推進された理由は、政府による議会対策という説も。
※日本と比較して、そもそも議会よりも行政の方が権威が高く権限も強い(議会日程も政府が決める)。官僚国家。
<州 region>
・本土に22、海外に4州設置。
・公選による州議長が行政権の長。
・内務大臣の任命による地方長官(知事)が置かれ、議長の事後監督を行う。一部の行政権も持つ。
・1980年代に地方団体化された、比較的新しい存在。
<県 department>
・本土に95、海外4。
・州同様、県議長と内務大臣任命による地方長官がいる。
・地方団体としての歴史は古い。
<広域連合体>
・大都市とその周辺のコミューンで設立されることがある。通常、長は中心都市のメール(市長)が務める。
<コミューン(市)>
・約36,800(ちなみに日本の市町村は1,800弱、平成合併前で約3,300)
・公選によるメール(市長)が行政の長。参事会(議会、conseil Municipal)がある。
●フランスの地方分権改革
・中央集権色彩の強い単一国家であった。
・1970年代、コミューンの合併推進が図られたが、失敗。
・1982年、「地方分権法」に基づく分権改革。官選県知事、国による事前の後見監督廃止。
・80年代に、国から地方への権限委譲が進展する。州の地方団体化が行われる。
・2003年、憲法改正。
- 地方自治について条文追加。「補完性の原則」が導入される。
- 州が憲法上地方団体として位置づけられる
- 財政的自主権の強化などがうたわれる
・2004年、「地方の自由および責任に関する法律」 権限・財源・人間のパッケージ移譲。
- 国から州に、経済開発、インフラ整備等の権限、30億ユーロの財源移譲。
- 国から県に、国道整備、社会福祉等の権限、コミューンに社会住宅の権限、80億ユーロの財源移譲。
- 国から州、県、コミューンに、13万人の人間が移管。
・現在、「バラデュール委員会」が設けられ、地方制度の在り方について検討中。バラデュール氏は元首相。
●日本の道州制推進に対して参考にすべき論点
・EU-国-州-県-広域連合体-コミューンという6層制の現状をどう評価しているるか。
・県を存置させつつ、州の存在感や地域アイデンティティをどう高めていこうとしているのか(日本の道州制は都道府県を廃止する方針)。
・2004年の国からの地方分権にあたり、自治体間の財政調整機能や人間の身分変更等の課題をどう克服したか。
・議長と政府任命の知事の関係は、自治の独立という観点で如何なものか。
・国会議員と地方公職の兼職は、合併や地方分権改革にプラスの影響を及ぼすのかマイナスの影響を及ぼすのか。
(写真:クリスマスイルミネーションに輝くパリの町の風景)
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コメント
今は全世界クリスマスですか
その中での視察 お疲れ様です
投稿: ギンガマン | 2008年12月 2日 (火) 15時50分