子どもたちが笑う日本をつくるために。
武蔵さま、ギンガマンさま、はるさま、昨日もコメントありがとうございます(もちろんこれまでコメントを寄せ頂いたすべての方に、感謝デス)。折角ですから、子どもをめぐる諸問題について今日は書いてみます。長くなると思うので、コーヒーなど飲みながら、どうぞ。
大阪府の橋下知事が確か「子どもが笑う大阪をつくる」といったフレーズを公約として選挙をしていた筈。これは大阪だけじゃなくて日本全体がそうなるとよいなと思う。というとすぐ「少子化問題対策」という話になるのですが、チョット待った。僕は実はこの言葉は相当キライです。
まず、日本における子どもの出生数・出生率が年々減少しているのは事実。で、何故それが問題なの?「将来の労働人口が減るから」とか「将来の社会保障を支える人口が減るから」、言い方を変えれば「日本の国力が落ちるから」という理由は、ぶっちゃけて言えば「俺たち(今の大人世代)の老後の支え手がいなくなって俺たちが困るから」と聞こえて仕方ない。自分たちの老後の不安を子どもの数に投影しているだけだ。一方で、どこの親が、自分や他人の老後の面倒を見させるために可愛いわが子を育てようとするものか!少子化問題という言葉の裏には大人のエゴが丸見えで、かつ誰もが口にはしないが気付いている。それで上手くいくワケない。
ではちょっと数の問題は棚上げして、他に子どもをめぐる問題はどんなものがあるか。まずは虐待、非行(最近こういう言葉使わないけど、現象がなくなったわけじゃない)、遺棄。本当に少子化が問題だと皆が思っているのであれば起こり得ないことが毎日何件も起こっている。いずれも保護者と社会の問題。子どもが悪いわけじゃない(「夜回り先生」の本を読んでください)。こういう子どもを救い、かつ悲劇を減らすためにどうするか?保護者への経済的支援は、それはあれば助かるでしょう。しかし、某政党の公約のように毎月1人あたり2万6000円国から保護者に支給すれば虐待は減るのか?あるいは、未納の給食費、未納の健康保険の保険料、未納の保育料を、保護者はきちんと納めるようになるのか。皆さんはどう思いますか。そういう保護者であれば、飲み代かパチンコ代に消えるのが関の山のような気がする。あるいは、「国からお金もらえるんだったら子どもを作ろう」と思って子どもを産んだ親がいたとして、その子どもは幸せに育ててもらえるのか。僕はあまりそうは思えない。子どもをお金で買う発想は、人間として間違っている。
その昔、日本は貧しかった。貧しかったけれど、その結果子どもが少なくなったわけじゃない。比較的豊かなのに少子化が進行する現状は、直接経済的支援は少子化対策の切り札にはならないということだ。
ではどうするか。子どもの問題の多くは、多くは親の不安や不幸の投影。だから親の方が、自信を持って前向きに子どもや社会と向き合えるようにしないと話が始まらない。例えば、「親業訓練協会」という団体があり、親のための子育て講座もある(僕も受講してます)。もっと普及させるといいと思う。義務教育は子どもの作り方は教えるが、親のあり方は教えない。でも、これは自らを反省して書くのだが、親は自覚して意識して親にならないと親としての役目は決して果たせない。昔はジジババから小うるさく言い聞かせられたかもしれないが、今もうそんな人いない。だから習う機会が要るのだ。農業や伝統技術の後継者問題に似て、「親」の後継者問題は深刻で、その技術伝承が求められている。
この普及には時間がかかる。その間にも起こりうる親が赤ちゃんが殺したり棄てたりする悲劇を回避するため「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を緊急避難的にもっと支援すべき。子どもを殺したくて殺す親はいない。だからこそ。これは「国のメッセージ」としては最高だと思うのだけど。
あと、現実問題として保育園や幼稚園等の拡充と支援等はもっと必要。地域が崩壊している中、子育てしやすい環境は整えるべき。産婦人科は、高齢出産が増えつつある現状では体制増強の要あり。一方小児科は、親学の中に関係知識を少し盛り込むだけでも相当違うのではないか。医療や検診の経済的支援は、ギンガマンさん指摘の通り医療体制との見合いで考えないといけないのでケースバイケース。もっとマクロな視点では、景気対策そのものが子ども問題対策に繋がる面もあるだろう。
「子どもは未来からの預かりもの」と、自分が親になった時にふと感じた。だから大切に育てなきゃいけないんだと思っている。国も、ただ産めよ増やせよではなく、子どもに対する国の考え方をきちんと整理して、するべきことをすれば、あとは皆が望めば自然に子どもは増えるのではないかと思うんだけど。
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今日は一日倉敷で活動。お寺のご住職兼ジャズトランペッターという素敵な方の還暦祝いの大宴会を抜け出して、最終の新幹線で上京。眠いです…。
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コメント
こどもはさずかりものです…でも、こどもをもつ親としてはいってはいけませんが…私は本当にこども育てていいのかと…私自身いい親じゃないから余計ですね…
今の時代は子育てしにくいんじゃなくてできない親が多いです…
投稿: はる | 2008年11月 9日 (日) 09時26分
今の親の一世代まえからできていないのでは?
親の前に その親 爺さん婆さんが わけがわからん
色々な問題から少子化対策が必要です
がんばってください
投稿: ギンガマン | 2008年11月 9日 (日) 14時01分
『「国からお金もらえるんだったら子どもを作ろう」と思って子どもを産んだ親がいたとして、その子どもは幸せに育ててもらえるのか。』と書かれていますが、子供を持っているだけで、金銭的に有利になるというような制度で子供を増やす政策は、無責任な親を増やすことにつながると私も考えます。
ただ、考えなければならないのは、自分の周りでも、子供を育てることによって、自分の老後の備えの貯蓄もできなくなっている家庭が非常に多いという現実はあると思います。子供を生んで、儲けたいと思う親は、ほとんどいないと思いますが(信じていますが)、子育てで非常がかかりすぎて、自分の老後が心配という親は多いのではないでしょうか。
ちなみに、児童手当などの子育てなどの親に対する給付金を増やしても、親の飲み代やパチンコ代に変わってしまうかもしれません。それであるならば、例えば、極論ですが、子供にかかる医療費・給食費・健康保険等の負担をゼロにすれば、親の飲み代やパチンコに消えることはなく、子育てにかかる費用を軽減することができると思います。
いずれにしても、書かれているように、「子どもに対する国の考え方をきちんと整理」した上で、単なるばらまきではなく、子育てしやすい環境にしようとしている国の姿勢が明確になるような大胆な施策などが挙がってきてほしいなと期待としています。
投稿: 武蔵 | 2008年11月10日 (月) 00時26分
はるさん、
「理想の親」「いい親」なんて、どこにもいないですよ。それに近づきたいと願うかどうかだと思います。
ギンガマンさん、
そうかも知れません。やはり戦後教育に問題があるのか。
武蔵さん、
確かに、子育てでお金はかかりますよね。昔はかからなかったのでしょうか。そこが僕にはよくわからないのです。お金をかける余裕が無くなったのであれば、エントリで書いた親の不安という問題に加えて、景気とか雇用とかいう社会政策の問題かもしれません。
投稿: 橋本岳 | 2008年11月10日 (月) 13時24分
ありがとうございます、と心から感謝を申し上げたいです。戦後、食べていくことに厳しいかった時代に子どもは増えていた。豊かになった現代社会(不況ですが戦後の時代よりは恵まれています)に子どもは減っている。あの苦しかった時代は未来に希望をもち子どもの幸せの為社会の発展の為に一生懸命に頑張っていた親の姿があったように思います。近年、自殺者が激増し原因が経済問題よりも心身的な苦悩の方が多いことに現れています。子どもを取り巻く問題も人間関係の歪みによる人間形成(心の成長)の問題が起因して起こる悲劇的な事件が後を絶たないのですから。戦後の高度成長期に金銭的、物質的な豊さのみを求め地位と名誉を手に入れることが幸福として偏差値教育による学歴社会を築いていき、人としての心の在り方がなおざりにされてきたことの歪みが現代社会に多くの問題を落としていると私は思います。ゆえに、国から金銭的な援助を受けることで親も子も幸福になれる、社会が平和で発展していくと考える大人がいて堂々と政策提言する政治家がいることに恐怖すら感じています。社会形態の変化に伴い小児医療や保育や雇用体制等への子育て支援は急務と考えますが、豊かになったからこそ起きてい問題に安直な手当金の支給のような政策、表面的な制度の改革、組織形態の改善だけにとらわれた政治が行われると子ども達の未来は暗礁です。私は幸せな生き方を子ども達に伝えようとする心をもった大人達、即ち、勇気と希望をもって幸せな人生を切り開いていこうとする大人達が増えることが子ども達の為と信じて親業訓練インストラクターの活動をしています。親自身が癒やされ自信を取り戻し自分を愛し、お金を与えられて感じる幸せではなく、自分の手で掴む幸せを実感して欲しいです。子ども達の為に本当の意味で親を救い支えていく(甘やかすのではなく)ための政策に取り組んでください。貴方のような政治家が国会の壇上に居続けてくださると日本の未来は明るいと信じます。人生は心の傾向性で創られる、人生を歩んでいる一人一人が集まって社会は成り立っている。21世紀は心の時代です。人々が自分や愛する人の命と心を大切にする行動をしていくと現代社会における様々な問題は解決できて、平和で人々が幸福の実現をめざす社会が築いていけると信じて、よりよい人間関係創りの親業訓練講座の普及に向けて私も頑張ります。親と子の笑顔が溢れるために。
投稿: 英子 | 2008年11月10日 (月) 15時22分