朝、衆院総務委員会にてNHK予算の採決。会合一件をはさんで平成研究会総会。明日来年度予算と関連法案成立の見通しだが、その議事の説明などがあった。
午後、「法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会」第三回会合。
橋本は事務局次長。事務局長であり仕掛け人の河井克行・元法務副大臣のブログ「あらいぐまのつぶやき」に寄せられた膨大なコメントから、主要なものを抜粋して事務局として議連メンバーに紹介した。司法関係者の方のコメントが多いせいか論理的なコメントも多いし、厳しい生活が伺える切実なコメントも少なくない。読みあげていて、やりきれない。
法曹養成制度について、前回勉強会で法務省、文部科学省、最高裁判所に浴びせられた数々の質問(二回試験の不合格者数の増加についてどう考えるか、法曹需要の検証はどうか、予備試験の制度設計をどう考えるのか、etc...)に対する回答を聞くのが今日の主題。が、最初の質問に対する法務省の回答「残念だと思います。一時的なものか構造的なものか判断ができないので、よく見極めて対応します」という時点でズッこける。以後40分にわたり延々と答弁が続くが、切実感との無さと溢れんばかりの他人事感は、救い難い。
高村会長、渡海元文相をはじめ出席議員からは激しく質問、意見が出されるも、課長レベルに話をしても仕方がない。怒りと憤懣は党司法制度調査会および法曹養成の在り方に関する小委員会に持ち込むしかなかろう。
そもそも。
司法制度改革の一貫として、法科大学院(ロースクール)が設立され新司法試験が導入された。同時に法曹人口拡大のため、平成22年頃に「質を確保した上で」年間3,000人の司法試験合格者を養成すること、と閣議決定されているのが事の発端。ところが、法科大学院のレベルがが玉石混交(平成20年試験で合格者0人の学校が3校ある)、弁護士が増えすぎて供給過剰、そもそも法科大学院に通える経済的負担ができる人しか基本的に司法試験受験資格が得られないなどの課題が指摘されている。昨年一年生議員有志で勉強会を行い、新司法試験受験資格の見直し、司法試験合格者数の見直し、司法制度改革の検証の三項目を鳩山邦夫法相(当時)や保岡興治・党司法制度調査会顧問らに申し入れを行った。この議連はその拡大発展版である。
今、個人的には以下のように思っているところ。認識の誤り等あれば、ぜひご指摘いただきたい。
1.そもそも、年間3,000人養成、総員50,000人を満足させる需要がないのでは?
例えば産科では愛育病院や日赤医療センター(ここは数は足りてるみたいだが)といった都内大病院でも労働基準監督署から是正勧告を受けるような労働状況、地方に行けば順次壊滅中である医師の不足具合と比べ、どう考えても「弁護士不足」に対する社会的切迫感は、無い。むしろ就職難とも言われる。需要見積もりが甘かったと言わざるを得ないのではないか。早期に検証し過ちは正すべき。
2.法科大学院が多すぎるのでは?
一方、そもそも法科大学院の数が多すぎる。平成21年現在、定員合計5,785人。今後増やす筈とはいえ現時点では合格者数約2,000人。しかも三回不合格で受験資格を失う。リスクを背負って大学院に通ってこれでは辛い話である。教員も充足が困難となっている。既に供給過剰状態の歯科医については、昨年末に厚生労働大臣と文部科学大臣の間で歯学部定員削減の合意をしている。当面、同様のことを考えるべきではないか。
3.予備試験っているの?
法科大学院に通わないで司法試験受験資格を得るルートとして、予備試験という制度がある。説明によると「法科大学院修了程度の能力があるかどうかを測る」ための試験とのことだが、どうせ司法試験そのものがあるのだから無駄な気がするのだが…。むしろ無くす(=司法試験受験資格の法科大学院修了要件を外す)方が、多様な人材を法曹に取り込むという司法制度改革の趣旨に合致するものとも思うのだが。ついでに、三振制限も余計なお世話ではないか。