マニフェスト討論会候補者アンケート回答

パネリスト氏名:橋本 岳
【生年月日】:1974年2月5日(35歳) 
【最終学歴】:慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程 修了
【略歴】
1974年総社市生まれ。関西学園岡山中学校・高等学校、慶應義塾大学、同大学大学院修了の後、(株)三菱総合研究所入社。2005年総選挙にて比例中国ブロックで当選。衆議院議員一期。家族は妻と子ども四人。

<現状認識と将来像>

設問:現政権の実績に対する現状認識(評価と課題)

(「現政権」を「麻生内閣」と捉えて記します)

<政権誕生の経緯について>

  • 麻生政権誕生に至るまで、一年ごとに連続して総理が辞任し自民党総裁選が行われた。私はその際の総裁選において、日本を委ねるリーダーを選ぶ選挙を「人気があるから」等の理由で選んだ点を、自民党は厳しく反省すべきだと考える。なお私は任期中3回の総裁選で、谷垣禎一候補、福田康夫候補、石破茂候補に投票した。石破候補については選対事務局次長として選挙戦を支えたことは、今でも胸を張れる。

<麻生内閣の評価>

  • 昨年9月の総裁選中に世界的金融危機が発生し、日本経済が一気に不況の底に沈んだ。その中で産業を雇用と生活を守るため、即効性のある経済対策を累次にわたり実施した。休業補償や雇用調整助成金の範囲拡大、信用保証枠の拡大やセーフティネットの拡大、消費刺激等により、明るい兆しも見えるに至った。景気は未だ厳しい状況は続くものの、水島コンビナート企業や中小企業をはじめ、地域の多数の雇用を維持したことは高く評価できる。
  • 小泉改革以来の財政再建・構造改革路線の副作用として、医療や介護等社会保障の綻びは明らか。社会保障費自然増加分8800億円のうち2200億円の削減を継続していたが、今年6月の「骨太の方針09」において、削減をしないことに方針転換し、社会保障を建て直す向きに舵を切った。地方交付税を増額し、地方財政の削減方針も転換した。改革に伴う副作用に対応策を打ちたてた点は評価できる。
  • 外交・安全保障は国政の軸であり私は重視すべき分野と私は考える。日米同盟を基軸とする外交方針のもと、補給支援特措法の延長や海賊対処法の成立等、外交・安全保障面特に日本の生活を守る海上輸送路の安全保障への存在感を確保できた。

<麻生内閣の残した課題>

  • 公務員制度や農業政策、年金制度等は、改革を志しつつもなお道半ばである。経済の動向も予断は許さず。北朝鮮のミサイル・核の脅威は静かにエスカレートしており、次の政権の責任は大きい。

設問:現国会運営に対する現状認識(現職の場合、任期中の成果と課題を含む)

<現国会運営に関する認識>

  • 任期中、「憲法改正手続き法(国民投票法)」の成立や「教育基本法」、「臓器移植法」の改正等、国会の不作為が指摘されていた法案が成立したことは、特に国会運営上の成果と考える。
  • また、野党が欠席する中での採決実施、参議院選挙後の「ねじれ国会」下でも憲法第59条第二項に基づく衆議院の再議決等により、責任与党としての任を果たした。
  • しかし、一度禁止されたプラカード等による意思表示が繰り返されたこと、野党議員が徒党をなして河野洋平議長を議長室に閉じ込めて衆院本会議の開会を二時間遅らせる等の行為に出たこと、民主党議員が櫻田義孝厚生労働委員長(当時)を暴力をもって椅子から引きずり降ろし登院停止の懲罰を受けたこと等、きわめて残念なこともあった。また、実効性のある両院協議会の在り方や、同意人事の制度により日本銀行等の重要な役職が長期間不在になってしまった点など、今後の課題とすべき点と考える。
  • また総理大臣が毎年交代し国政に対する信頼の失墜につながった。この不信は今なお回復されていない。リーダーを安定して支える体制が必要である。

<橋本岳の議員としての任期中の成果>

(国会での質疑について)

  • 質疑の機会が限られる自民党の中では多数の質疑を行った。任期中の質疑は27回を重ね、テーマも、医療安全・医療再建、死因究明制度、景気対策と中小企業振興、情報通信・放送、公務員制度改革、製品安全、産業立地、景気対策と中小企業支援、パブリックコメント制度、地方財政、道州制等、多岐にわたるテーマを取り上げ、政府の方針を質した。
  • 質疑にあたっては、現場の方の疑問を率直に尋ねる試みを行った。例えば医療事故対策については、メーリングリストを使って現場の医師の方の声をもとに質問を作成した。また景気対策についても、倉敷・児島・玉島・つくぼの各商工会議所・商工会へのヒアリングを行い、質疑に生かした。
  • 経済対策に関しては、質疑において私が提言したマル経融資制度や自動車購入支援等が実施された。
  • 公務員制度改革については、民主党から出された対案について提出者に質疑を行った。「天下り法人に半年で5兆9千億円の資金」が無駄遣いの象徴として主張されていることに対し、「天下りの無駄」とは無関係な政府系金融機関への交付金や私学助成金、科学技術開発等への資金が含まれていることを調査して指摘し、過剰な表現であることを認めさせた。

(議員立法について)

  • 政治主導の政策形成のため議員立法の活動も行った。具体的には「北海道観光振興特別措置法案(第171回通常国会衆法第44号) 」、「歯科疾患の予防等による口腔の健康の保持の推進に関する法律案(第171回通常国会衆法第53号)」の提出者となった。

<橋本岳の議員としての任期中の課題>

  • 道州制基本法や医療安全調査委員会設置法、難病対策の制度改正、死因究明制度等、議論に加わりながらまだ具体化に至っていないテーマも残っており、ぜひ取り組むチャンスを頂きたい。

設問:めざすべき将来像

  • 私は、日本が目指すべき将来像として「安定した雇用により、働く方々が努力に見合った収入を得、家族が養える社会」「社会全体で子どもと親を支え育む社会=子育て優先社会」「困った時お互いに支えあう相互扶助に基づく社会保障・福祉の充実社会」「身近な課題は身近に解決できる地方主権社会=道州制」「世界の平和維持に積極的に貢献を果たす平和国家」の5点を実現したい。
  • 今の日本の課題は、20代、30代、40代を中心に働く人たちの所得全体が低くなっていること。そのことが、未婚率を高くし出生率を下げることにつながっている(添付資料参照)。したがって、「安定した雇用により、働く方々が努力に見合った収入を得、家族が養える社会」を目指す。格差というと得をしている人がいるような印象があるが、むしろ日本の産業全体の底上げを図ることが根本的な課題。そのためには、景気回復と投資の促進による産業のリニューアル・環境対応化・情報通信の活用、また女性や若者、障害者の就職支援がカギとなる。それが達成されれば、十分な財源に裏付けられた高齢化・少子化への対応ができる。
  • 地域や企業も含め「社会全体で親と子どもを支え育む社会=子育て優先社会」を目指す。親が孤立し過度に責任を感じすぎることが過大な負担感につながり、場合によっては虐待にも結びつく。親の経済的負担感の解消は大事だが、保育料等の負担軽減と上記のような収入向上によるべきである。自分の子育て経験からしても、親に責任を押し付けるのではなく、「子育て」とともに親も学び成長する「親育て」の観点が大切。
  • 医療・介護・福祉等は、予算配分を充実し綻びを建て直す方向に舵を切った。患者や納税者の方の理解を得た税制改正等も頭におき、従事者の方々の努力に報いる報酬や体制を確保することで、「困った時お互いに支えあう相互扶助に基づく社会保障・福祉の充実社会」を目指す。年金制度は超党派で皆が納得する制度を議論する。
  • 行政の仕組みを、霞が関集権体制から地方への分権体制に改める。二重行政の無駄を排し「身近な課題は身近に解決できる地方主権社会=道州制」を目指す。
  • 憲法前文の精神を踏まえ「世界の平和維持に積極的に貢献を果たす平和国家」となる。具体的には、日米安保体制を堅持しつつ、国土のみならず石油等生活物資の輸送路である中東からインド洋等で補給支援活動や海賊対策等の海上自衛隊による活動を行い、平和維持に貢献する。北東アジア地域の平和と安定を維持する。

重要政策(優先順位の高い順に3つ)

設問:第1優先

●経済・雇用対策による雇用維持と景気回復

  • 雇用調整助成金の継続、セーフティネット貸付・信用保証拡充等中小企業支援の継続
  • 水島コンビナート設備のリニューアル支援、地元の合意による各種規制の見直し
  • エコカー支援税制・購入補助
  • 住宅リフォーム等の推進(太陽光発電等)、買い取り制度の実施
  • 学校耐震化、スクールニューディール

設問:第2優先

●社会保障・社会福祉の建て直し

  • 診療報酬、介護報酬の引き上げ(保険料見直し、税制改革に裏打ちされた)
  • 医療安全の確立(医療事故の原因究明・再発防止)
  • 難病対策、がん・肝炎等の対策の拡充
  • 不妊治療に対する助成
  • 障害者自立支援法の改正(応能負担原則、障害者区分の変更、発達障害の明文化等)
  • 保育園、学童保育の利用者負担引き下げ、都市部での増設
  • 子育てママ制度等、地域での子育て・親育てのサポート拡充

設問:第3優先

●地方分権と道州制

  • 「身近なことは身近な主体で決める行政」「霞が関への中央集権体制の打破」を目指し、以下の3つの方針による道州制を推進する。「道州制基本法」を早期に制定し、制定後6~8年で道州制への移行を実現。
    • 1.国が政策及び制度の基本または基準を定める場合であっても、その実施主体は道州及び基礎自治体とする。
    • 2.地方支分部局は廃止し、その機能を道州または基礎自治体に移管する。
    • 3.国庫補助事業は、財源を付して道州または基礎自治体に移行する。

テーマ①:「経済政策」についての具体策(優先順位の高い順に3つ)

設問:第1優先

内容:環境型産業・バリアフリー都市への投資
期限:景気回復までの間
数値目標:
予算:
財源:
手段:自治体を通じた補助金、税制改正等。コンビナート企業の設備の環境対応リニューアル促進、エコカー減税や購入補助金、住宅や学校のリニューアル、段差解消やスロープ設置、高齢者が歩きやすい商店街の支援等。

設問:第2優先

内容:若者、女性、障害者の就職支援
期限:できるだけ早期
数値目標:
予算:
財源:
手段:積極的企業への支援、事例紹介、数値目標の設定等。特に障害者の就職支援に関しては、議論と合意により罰則を設けることも検討。

設問:第3優先

内容:水島港の整備継続
期限:平成29年度完成
数値目標:
予算:460億円
財源:一般会計から
手段:現実施中事業の継続。倉敷を下支えするコンビナート企業の競争力を高める。高梁川の橋梁、耐震岸壁、航路浚渫、高潮対策。

テーマ②:「少子高齢化(年金・社会保障・教育も含む)政策」についての具体策(優先順位の高い順に3つ)

設問:第1優先

内容:幼児保育・幼児教育の充実、負担軽減
期限:できるだけ早期
数値目標:
予算:
財源:
手段:児童福祉施設としての保育園や学童保育、幼児教育施設としての幼稚園というそれぞれの役割分担の中で、子どもをはぐくみ親も育てる施設としてそれぞれ充実させる(親に保育を体験してもらう等)。また経済的な負担を軽減し、通いやすくする。

設問:第2優先

内容:不妊治療に対する医療費助成実現
期限:できるだけ早期
数値目標:
予算:
財源:
手段:赤ちゃんが欲しくても持てない不妊治療について、医療費を助成する。同時に人工妊娠中絶や虐待等により多数の生命が失われる現状に鑑み、養子や里親・里子をより広く社会で受け入れられるよう、可能性を検討する。

設問:第3優先

内容:「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)新設
期限:できるだけ早期
数値目標:
予算:
財源:
手段:現在、熊本慈恵病院に設置されている「こうのとりのゆりかご」を他地域数か所に拡大。児童福祉施設やシェルターの増設支援等も行い、虐待により命が失われることを防止。

上記の2つのテーマ以外の重要課題(優先順位の高い順に3つ)

設問:第1優先

内容:医療安全の確立(医療事故の原因究明・再発防止)
期限:
数値目標:
予算:
財源:
手段:医療事故に関する第三者調査委員会を設立し、原因究明・再発防止を図る。その検討プロセスにおいて、医療者と患者の相互理解を促進する。

設問:第2優先

内容:農漁業の収入確保と自給率の向上
期限:当面の間
数値目標:食料自給率50%
予算:
財源:
手段:市場による価格設定という原則を守りつつ、生産者と消費者の双方からのアプローチを行う。生産者側は転作奨励等、消費者側は米の消費拡大や飼料等への用途拡大等。

設問:第3優先

内容:自衛隊の国際平和協力に関する一般法制定
期限:できるだけ早期に
数値目標:
予算:
財源:
手段:補給特措法やイラク復興支援特措法等、個別事案ごとに特措法を整備している現状を脱するため、自衛隊の国際平和協力活動に関する原則等を定めた一般法を制定。